あいまいまいんの生物学

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課題研究って難しい けどちょっと慣れてきた?かも?

この学校に来てからこれで3年目になります。

3周目の課題研究の時期がやってきました。

課題研究は毎年悩まされている題材です。毎年何かしらの記事を書いておる。

 

i-my-mine.hatenablog.com

 

i-my-mine.hatenablog.com

 

今年度は、1年目に担当したのと同様1年生の課題研究に携わることになりました。ただし、今回はメイン教員ではなく、補助教員です。

助教員として1年生の実験実施・準備を助けるのに加え、実験計画の時から生徒間を巡回し質問への対応や指導などを行います。

 


現在、実験計画が終了し、次に予備実験をするぞという段階なのですが、

例年課題研究のテーマ決めや計画の指導に苦心していたところを、今年度は割とうまく導けたのではないかなと思っています。まぁ、補助教員という気楽な立ち位置だったからというのもあるのかもしれませんが……

ちょっとずつコツが掴めてきたかなと思う所もあるので、今年度の様子を書き留めようと思います。

 

 

今年の方針

まず、今年度私が大幅に変更したのは、「グループで計画の議論をしている段階から頭を突っ込んでいく」という所でした。

例年は、あまり計画中の会話に深く突っ込んでいくことはしていませんでした。

というのは、まずは自由に考えてもらった方がいい、生徒間で議論を重ねていって色んなことを考えた方がいい、と思っていたからです。

 

しかし、実際には生徒間だけで議論していくと、問題点には気づきにくく、現実的な想像もしにくいというのがここ2年見てきた実感としてありました。

生徒任せで議論をさせていて、ここに気づいてほしいなと経験もないことに関して思うのは無謀なのです。

 

とはいえ、最初から教員が頭を突っ込みまくり、「こういう実験ならうまくいくよ」と何も生徒に考えさせないまま決めるのは良くないわけで、なるべく頭は使ってほしい。

 

 

そんなわけで、こういう戦法にすることにしました。

 

まず最初は、生徒だけで実験計画や発案を行わせます。

この際、例年伝えている注意事項は伝えておきます。注意事項は以下のものです。

  1. まず教科書は見なくていいし図説からも離れよう
  2. 題材は手に入れやすいもの、飼育や維持がしやすいもの、成長段階が揃えやすいものにしよう(だって対照実験組むの大変だよ?)
  3. 検証可能なことを調べる対象にしよう(例えば二酸化炭素濃度の変化は多分検出できない。でもヨウ素でんぷん反応なら検出できる。こんな風に調べたいことは検出できる方法から考えて実現可能性を検討する)
  4. 自分の身近なもので今まで見てきて不思議だなとか、こうならないのかなとか、そういう「違和感」を感じたことを引っ張り出そう。食品とか、道端の植物とか、眺めていて少しでも気持ちに触ったものがあればそれは良い。もしそういうものがなければ、当たり前だと思っているものが変わったらどうなるのかを調べる対象にしよう。例えばりんごを塩水に切ったらつけるけど、それを変えたらどうなるの?とか。

加えて、

5. どうにも思い浮かばなかったら検証方法はいいので、調べてみたい対象物や現象・キーワードだけ挙げてみよう

という形にします。

 

これを伝えた上で、グループで議論する時、紙に出た意見をとにかく書き取らせます。

すると、紙に幾つもの実験案(といっても、タイトル―何を調べたい・知りたい―と、軽い検証方法のイメージ)が羅列されてきます。

 

次に生徒に、出た実験案の中でどれを採用すべきか絞っていく作業をするよう伝えます。

上で述べた注意事項に照らし合わせながら吟味するよう促します。

すると生徒たちの間では、注意事項に沿うかどうか、現実的にできそうかどうか、どうやったら現実に調べられる方法に落とせるか、という思考が発生し、議論が進みます。

でもきっと限度があるし、思いつかない方法があってよいテーマが切られたりします。

 

そこでいよいよ教員が頭を突っ込む所です。

ここが腕の見せ所でもあるわけですが、各グループの所に赴き、実験案が羅列されている紙を見せて貰いながら、議論が現在どういう状況にあるか?何に詰まっているか?というヒアリングを行います。

多分2,3分でヒアリングも状況把握もできます。

実験案をざっと見て、実現可能か不可能かは教員に判断がつくはずなので、それを素直に生徒に伝えてあげます。

この実験はできると思うよ、この実験は器材がないから難しいかな、と生徒では分からない施設状況や大体のかかりそうな手間・時間・要される手先の器用さ等から判定をして伝えます。

 

加えて、とても良いテーマや良い実験案が出ている場合は、これはとても良いよと素直に褒めてあげ、より良い実験にできそうなら議論をグループにいる生徒たち全員に対して吹っ掛けることで導いてあげても良いかと思います。

基本は問いかけ、または糸口の提示です。全てを教員が決めると本当に面白い研究案はできませんし、皆同じようなものになってしまいます。

生徒自身が調べたいもの、面白いと思うものを研究させてあげないと課題研究は頓挫します。

生徒の中にあるものを引っ張り出したり刺激したりするような形で、グループと対話するのです。

 

全然うまくいっていない班だとキーワードや無理難題な実験案ばかりが羅列されていると思います。

そういう場合生徒は放っておいてもつらいだけで頭をフル回転させられるような良い時間にはなりません。

教員が生徒の一員であるかのように振舞いながら、グループを活性化させられると理想的だと思います。

私自身は、面白そうなテーマに繋がりそうなキーワードが上がっているならば、「このキーワードに関してどんな疑問が挙げられるだろうね?」という問いかけから始めました。

例えばこんなことを不思議に思わないか、と具体例を一つ挙げてしまってもいいかもしれません。

最終的には生徒が「自分はこういうことを疑問に思うかも?」とつられてつぶやいてくれれば儲けものです。

それをなるべく採用して、生徒自身の疑問をスタート地点に置いた実験計画を作っていける土台を作ります。

 

 

とにかく大事なのは、注意事項の共有(ここは譲れない)、

そして「生徒発」を引き出すことと「生徒発」を深める、良いものにすることです。

一度作ってしまった紙粘土は固まってしまうと直すのが大変ですが、こねている最中なら幾らでも柔軟に変えられるのですよね。そのイメージに近い気がします。

こねている最中の紙粘土みたく、グループで議論中という生徒の頭が活発に動いている、かつ自由な発言が許される最中に頭を突っ込んでいくと、かなり良い方向に流していけるなという風に今回は思いました。

 

また、議論中に頭を突っ込むことで、自分が知っている過去の事例や色んな研究例から「こういう風に検出ができるよ」「こういう器具を用いるとうまくいくよ」といったちょっとした工夫なんかもシェアしやすいのが良いなと思いました。

例えば「二酸化炭素発生量を調べたい」という実験案で、生徒は大抵気体検知管での検出を計画してきます。

しかし実際はシリンジに液を満たしてシリンジが動く幅を見たり、やひっくり返した水中の試験管にたまる気体量を見たりすれば、もっと簡単に出てきた気体量自体は検出ができます(それが二酸化炭素であるという確約はありませんが…)。

そういうテクい?ことは生徒の経験がないと分かりませんので、積極的にシェアすることが生徒の「へぇ~」「なるほど!」と増やすのかな、とも思いました。

ついでに、そういう情報を提供すると、生徒は割と敏感に反応して「それって今回の場合こういう風に工夫したらもっといい感じに使えませんか?」とか、「その方法ってこのスケールの場合使えるかな、〇〇という点で難しいんじゃないかな、それを解決するには◇◇したらいいんじゃないかな」などと、生徒が勝手に深めていくんですよね。私もそれら気づきや発想を聞いててなるほど!と思う所が沢山あり、勉強になりました。

出てきた実験案にコメントを書いて交流する方法や、班長とのみディスカッションする方法では、このような小さな気づきの交流があまりなく、またグループの皆の頭脳を集約していって作り上げていく感覚がありません。でも生徒が皆でわいわい言い合える状況だと、その場にいる全員のブレインと気づきが要され、それが一つの形に集まってくるのを感じます。これはとても良い傾向だと思います。

 

とにかく生徒の議論中に頭を突っ込むこと、これがかなり最終的に出てきた案への朱入れ負担を減らし、計画を一から書き直しという悲劇もなくし、かなり良いことが沢山あるなぁと感じました。自分が気を付けることとしては、どこまでを考えさせて、どこからを提供するか、どうやって発展させるか の辺りだと思います。

実際喋っていると生徒は物凄く良い興味の発端やアイデアを持っているけれど生徒間で話している時にはちょっとあまりにもさりげない話題なので出せていなかったりするようです。生徒は大きなテーマじゃないと、パッとしているような見栄えするものじゃないと駄目なんじゃないかと思っちゃうみたいです。気持ちはよくわかりますが、そういうものより小さい疑問の方がいい実験ができたりするんですよね。本質的だったりするし、調べて結果を出しやすいシンプルな系を組みやすかったりするし…

だから教員が議論中に頭を突っ込むのは課題研究でとても大事なのではないかと感じました。

 

 

話しながらちょっと思ったこと

生徒は沢山いい疑問を出す能力も研究を考案する能力もあるんですが、

どうしても「課題研究やるよ!テーマを考えよう!」ってなると立派なものや派手なものを考えなきゃだめだ!やらなきゃだめだ!ってなっちゃってるみたいなんですよね。

もっとシンプルで、些細な疑問から入れるといいなと思うんですけど…「良い疑問はシンプルかつ些細なものなんだよ」ということを生徒自身が分かり、そういう方針で色んな意見が出せるようになるにはどうしたらいいのかなぁ、と思いました。

 

自分が思った一つの解決法は、「一流の研究も素朴な疑問から始まっている」ということを伝えるというか、知ってもらうということです。

大学とか研究所で現在やっている研究は、どうしても専門的な機器が必要なものばかりかもしれないんですけど…

例えば古典的な実験で、素晴らしい着眼点とアイデアでやってるものって沢山ありますよね。

高校生や中学・小学生の自由研究で非常に評価されているものも良い見本かもしれません。

着眼点や疑問点だけなら、現在の大学や研究所でやっている研究も参考になるかもしれません。

とにかく、「皆どれくらいの実験をやっているんだろう?」という指標がないから、立派なことをしなきゃ!になるんじゃないかなぁと思うわけです。

その見本を見せてあげられたら、この認知の違いを正せるかもしれません。

 

 

あとはやっぱり自分の引き出しや知識が足りない!!!!!!!!!!!

教員がどれだけこういう研究についてテクニックややり方や事例を知っているかが肝ですよね。

特に学校の設備や高校生が手の届く範囲内でどんなことまでできちゃうのかを知らないと、全然助言ができない。

〇〇を育てる培地はどんな培地?作れる?育てられる?

こういう研究はできないの?

これを調べる試薬は?方法は?

……全然出てこない。めっちゃワンパターン回答になっちゃう。

ネットで調べられる環境を作っておいて、生徒に調べさせてもいいのかもしれませんが、あんまり最初からネットを置いておくと、自分たちが知っている知識をどう使えるかみたいな思考すらなくなっちゃうし、そういう思考をしないと検索も難しいだろうし……

やはり教員がある程度ネタを持っているのが一番良いかなと思うんですが、自分には足りないです。精進必須。

 

 

今回の手法がいつでも使えるわけじゃない…

他に思ったこととして、今回はそこそこうまくいったとはいえ、

教員が頭を突っ込んで深い十分な議論をするのにはどうしても時間がかかりますし、中々難しいところがあるのではないかと思いました。

班の数が嵩む分、時間が嵩むし、自分の頭も使われていきます。疲れます。単純に。頭回らなくなっていく。

なので、どうしても限界がありますよね…。

 

「指導できるグループ数」がどの程度で限界があるかをやっていって把握していく必要があるかもなと思いました。

ちなみに、私は今回、6班分を30分程度で指導しました。1班5分関わっていくイメージでしょうか。5分つきっきりではなく、2巡くらいしてこの時間です(問やきっかけを蒔いて後で確認に回るイメージ)。

だとすると50分で10班?…きつそう。8班くらいしか見れないんじゃないかなぁ……

一緒に議論するというのは理想的な方法ではあるけれども、現実的なものかどうか考えつつ、教員の配置数や担当グループ数を調節する必要があると思います。時間も体力も有限なので。

 

 

ということで、3周目の振り返りでした。

ここから予備実験・実験と進むとき、どうやって指導してどうやって発展させられるかが大事!

より完成度が高い課題研究ができるようにお手伝いできるようにしたいね!

質問箱運用について

今日は私が生物の授業にて実践している「質問箱」という制度について紹介をしたいと思います。

 

 

何を思って始めたか(動機)

私が「質問箱」という制度を始めようと思ったきっかけは、以下のような生徒の事例を観測したからです。

  • 質問するタイミングや時間がなくて質問に来れない、または質問できずにそのまま忘れてしまう
  • 質問するのが恥ずかしくて質問ができない(本当は確かめたいことがある、分からないことがあるがそのままにしてしまう)
  • 疑問を抱いたタイミングが家庭学習時であったりふとした瞬間であったりと、質問したい時に教師が傍にいない

1つめについてはよくある話で、割とやきもき自分でしていた部分がありました。学校内で質問をしなきゃいけないとなると、授業の後、休憩時間、放課後などになりますが、生徒も教員も忙しく割とすれ違ってしまうことが多いです。せっかく疑問を抱いたのに、確認できないまま流すことになるのはお互い不利益です(生徒は理解できないまま終わるし、教員は何を理解させられていなかったのか分からないまま終わる)。

2つめについても実は沢山いるということが分かってきました。「分からない」と素直に言えるのって実は勇気がいることになってしまっているのかもしれません。私は「分からない」と素直に言える方が偉いと思っているのでどんどん言ってほしいのですが、生徒は往々にして「分かったような気がする」ことにして分かったふりをしたがるように思います。風潮があるので仕方ないのかもしれませんが、それによってせっかく抱いた疑問が意図的に消されてしまうのはもったいないですよね。

3つめについてはかなり大切で、時間が経つと何が分からなかったか分からなくなる所もあるので、疑問や質問は鮮度が重要だと個人的には思うわけです。しかも、大抵家庭学習中とかふとした時に持つ疑問というのは、些細なれどとても重要な疑問だったりし、教員としても是非収集したい一品です。

 

こういう事例を解消するにはどうしたらよいのだろうか?と考え、導き出したのが「質問箱の導入」という解決法でした。

 

質問箱システムの概要

質問箱を設置するにあたり、自身が目指したのは以下の性質を持つシステムです。

  • 自身が担当している生徒から質問文や図を教員に届けられるもの
  • 生徒から質問を送る際個人情報が収集されないもの
  • 生徒から匿名で質問文が届けられるもの
  • いつでも、何回でも質問文が送れるもの
  • 教員からの回答が生徒に提示できるもの
  • 教員から回答する際資料添付できるもの
  • 良い質問に関しては教員からの回答がすべての担当生徒にも提示(共有)できるもの
  • 教員からの回答の際こちらの個人情報(連絡先等)が生徒に伝わらないもの

動機の章でも話しましたが、私にとって大事なのは生徒が匿名で、いつでも、何度でも、気軽に質問できる環境を作ることでした。

加えて、教育関係者ですので、生徒と個人的なやりとりをしたり、連絡先を入手して連絡したりというのは禁止ですので、返答は個人宛でする方式をとれません。

ですので教員からの回答が関係ある生徒全員に提示されるような形式にしようと考えました。

というかそもそも生徒から来た質問は他の生徒も疑問に思っている可能性が高いので、共有すれば同じ質問を何度も捌く手間がなくなりますし、良い着眼点の質問ならなおさら皆に知ってほしい!というのもあります。

 

そんなわけで、結局とった形式は以下のようなものです。

  • 匿名で質問投稿できるGoogleフォームを作る
  • Googleクラスルームを開設する
  • 担当クラスにGoogleクラスルームのコードを示しクラスルームに入ってもらう
  • Googleクラスルームに匿名質問用GoogleフォームのURLを置いておき、生徒が常にアクセスできる状態にする
  • Googleフォームを通して質問がきたら、Googleクラスルームでその質問と回答を公開する

Googleフォームなら質問時個人情報を収集せずにやることができますし、Googleクラスルームを通じれば招待されている人のみに質問・回答を提示することが可能です。

ですのでこの形態をとることにしました。

 

結果

個人的な感触・概況

私が質問箱制度を開始したのは今から2年前くらいの時期で、そのころはまだコロナなんて全然関係がない時でした。

質問自体は思ったより頻繁に投稿されることはありませんでしたが、それでもちらほらと投稿があり、一部かもしれませんが生徒には活用されている印象でした。

コロナのせいで休校が発生した時には、少し質問箱利用が増えた気がしますが、そこまで顕著な変化ではありませんでした。休校が発生した当初は、「休校対応のために質問できる環境を作る」という流れが世間でも顕著になりましたが、私の質問箱をやった感触的には休校関係なく設置してあってもいいものではないかなと思います。

 

現在までで質問箱には120に上る投稿がされました。

内容は、

  • 基礎的なことの確認質問
  • 授業内容をより掘り下げた疑問に関する質問
  • 自分が気になったことに関する質問
  • 授業等に対する意見

の4つが主です。

基礎的な確認質問については、授業でこういうことがうまく伝わっていないんだなぁと、自分の中で反省に繋がり、授業改善に繋げられるのでこちらが大変助かっている印象です。

授業内容を掘り下げた質問や、日常生活で気になったことへの質問については、自分では思いもよらなかったものが多くあり、「なるほど 確かにそれは不思議だなぁ」と自分が勉強する機会を与えてくれています。これも大変助かっています。

授業等に関する意見については意外と寄せられており、生徒のおかげで改善された制度が沢山あります。例えば「質問フォームに画像も載せられるようにしてほしい」とか、「授業で使っているスライドやプリントをオンラインでシェアして欲しい」とか、私では分からなかった生徒の需要を伝えて貰えることで改善できた・対処できた点も沢山あります。これは当初予想していた使い方とは異なったのですが、個人的には良い活用法だったなぁと思っています。何より休校期間中のオンライン講義についてや、普段の授業について、時々感謝の気持ちを質問箱経由で伝えてくれる人がいて、それがかなり自分にとっては心の支えになりました。

 

生徒からの反応

生徒が質問箱に対してどう思っているのかはあまり調査するタイミングがなかったのですが、「休校期間中の対応に関するアンケート」を実施する機会があったので、それに便乗して質問箱についても生徒に向けてアンケートをとってみました。アンケートに回答してくれたのが一部の人なので、あまり正確な結果はとれていないのですが…

 

「質問箱を設置していることは自身の学習の助けになったと思うか?」という質問項目に対しては以下のグラフのような反応でした。

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思ったより助けになっているらしい!「なった」と「おおいになった」で70%近くの回答が得られたのは驚きでした。ごく一部の人しか使っていないかと思っていたので…

「質問箱に関し良い点または悪い点・改善方針等意見があれば教えてください。」という質問に対しては、以下のような意見が得られました。

  • 他の人の質問も見れるので、自分で気づかないところの知識が増え、内容を深められた
  • 皆が考えていることを知れて面白かったし刺激になった
  • 普段自分の質問が稚拙ではないかと声が掛けづらい部分があるが、匿名だと質問できるので良かった
  • 質問しやすくていいと思った
  • HPや資料などを回答とともに提示してくれるのが普段の質問よりも良い点だと思った

自分が最初「こういう需要があるんじゃないか」と思ってやったことが、生徒の需要にちゃんとはまっているようで、これらの回答を得られて本当に嬉しく感じました。

しかし一方で、

  • オンラインでの質問フォームでは表現しにくい質問や、長文の質問となると少々使いにくい

という意見もあり、確かにオンラインのフォームで伝えられるような質問や疑問ばかりではないよなぁという気もしました。やはり直接話して質問に答えるのも大事だな。

 

色んな意見を集約した結果の現在のフォーム

また、生徒からの意見によってフォームの形態も運営当初からかなり変更されました。

新しく実装したのは以下のような項目です。

  • 質問なのか意見なのか を選択するボタン
  • 質問の場合、皆に共有していいか それとも後日個別に回答してほしいか を選択するボタン
  • 意見の場合、回答が必要か を選択するボタン
  • 画像を添付できる仕組み

今の所はこれで回っている気がします!

 

質問箱設置の際に気を付けたいなと思ったこと

ここまでは質問箱のプラスの面を沢山書いてきましたし、私自身も質問箱はいい制度だったのではないかと思っているのですが、実際やってみて「これは気を付けなきゃいけないな」と思うことも幾つかあったので書き留めておきたいと思います。

 

文章から勝手に口調を想像しない

質問箱に届く意見や質問は、どうしても「文章」のみであり、発言主の生徒がどのようなトーンで、口調で言っているのかは伝わりにくくなっています。

それに対し、勝手にこういう口調だろうなと推測すると、精神的にダメージを受けることがあります。

例えば「〇〇を改善してほしい」「〇〇が分からない」という文章が質問箱に来たとしましょう。「文章に口調はない」と思って受け止めれば文章のまま、その文章が表現したいことだけを受け取ることができます。

しかしここで「このたんぱくな文章は怒りがあるからでは?」「私に対する嫌悪感を持ちながら文を打っているのでは?」という風に捻じ曲げて捉えることもできてしまうんですよね。

このように、どうとでもとれるはずの文章、口調の情報がないはずの文章に対して、勝手に自分でマイナスなものを想像すると、まぁ精神的にきついです。つまりは勝手に憶測するなってことです。

これを意識できていないと本当、グサッとくることがある。ここは気を付けてほしいですね……

 

自分の負担にならない程度でやらなければいけない

質問箱にはcloseの時間帯がありません。いつでも生徒が質問できるのがウリですが、同時にいつでも質問が届いてしまいます。

更に、通常学校にいるときにはあまり質問箱対応に時間を割くことができません。業務が大変ですからね……そんなわけで、必然的に勤務時間外での対応が基本となってしまいます。

現在の質問箱の投稿頻度ではそこまでプライベートを侵食している感はないのですが、もっと増えたり、はたまた自分の生活基盤が変わったりしたら、考えものだよなとはやはり思います。ある程度の覚悟で質問箱は始めなければならないものかもしれません。

自分の負担にならないように、回答作成の時間を絞るとか、生徒にも回答タイミングについて周知するとか、そういう対策をするのがおすすめです。

 

 

まとめ

質問箱は私個人としては勉強になるし役に立っている感もあるので楽しいけれど

プライベートも大事にしような!~完~ (雑)

【質問】暗発芽種子ってなんなんだ?

こんにちは。私は最近、質問が多く舞い込んでくる日々を送っています。

それもそのはず、もうすぐ受験本番ですからね。皆本腰を入れてくる時期ドンピシャです。

 

それはそれとして、私はずっと前から「質問箱」という制度を実施しています。

質問箱についてもまた詳しく記事で書きたいのですが、ざっくり言うと生徒から匿名で質問が届けられる制度です。返答はclassroomを介して行います。

現時点で累計100個以上の質問が放り投げられ、なかなかに活用されている印象です。

 

生徒からの質問は考えさせられるものやハッとさせられるものが多く、私も勉強になります。特に、自分は疑問に思わなかったことを指摘されると、「なるほどそう言われてみればよくわからないな」と深く思考させられ、学び直すきっかけになります。

そんなわけで、普段の直接来る質問も質問箱も非常に役に立っているのですが、「これってシェアしたら他の人も学びになるんじゃない?」「ついでに私には得られなかった知識を指摘して貰えたらめちゃくちゃハッピーなんじゃない??」と思ったので、このブログでも少しずつ質問項目をシェアしていこうかなと思います。

 

 

今日の話題は「暗発芽種子」です。

 

前提:光発芽種子とは

生物の教科書では、光発芽種子について説明がなされています。

一応復習までにざっくり書いていくと、光発芽種子というのは「種子の発芽に光照射を要する種子」のことです。光発芽種子は光以外の条件-例えば水、温度-などが揃っても、光を照射されない限り発芽が起こらないとされています(条件によっては例外もある)。レタス、タバコ、マツヨイグサが代表例です。

教科書では、更に光発芽種子の光発芽メカニズムについても説明がされています。キーとなるのはフィトクロムです。フィトクロムというタンパク質は、赤色光吸収型(Pr)と遠赤色光吸収型(Pfr)があり、Prが赤色光を吸うとPfrに、Pfrが遠赤色光を吸うとPrになるという可逆的な性質を持ちます。光発芽種子はPfrによって発芽促進(発芽に必要なジベレリン合成やアブシシン酸の分解といった反応)、Prによって発芽抑制(抑制というか、発芽プロセスが進まない)という風に、どちらのフィトクロムを機能させるかで発芽を制御しています。ですから、太陽光のような白色光でなくとも、赤色光を照射すればPfrができて発芽し、遠赤色光を当てればPrができて発芽抑制がかかるのです。

なぜこんな仕組みを持つのか?それは植物の光合成と深い関係があります。植物は芽生えた後、種子に蓄えがない場合すぐさま光合成をしていかないと生命を営むことができません。種子の上に植物がいると、光合成に必要な光の色は上の植物に使われてしまい、発芽した種子は死んでしまうことになります。よって種子にとっては、上に植物がいるのか否かを検知できるセンサーが必要になります。

光合成では赤色光と青色光が使われるので、太陽光に含まれる赤色光は葉を通過する際減衰します。一方太陽光に含まれる遠赤色光はかなり透過してきます。つまり、葉を通過せず直接太陽光があたった場合の赤色光/遠赤色光の値よりも、葉を通過した光の赤色光/遠赤色光の値は小さくなるのです。

よって、光発芽種子は太陽光そのままが当たる=上に植物がいない場合は、赤色光たっぷりの光を浴びて発芽し、悠々光合成していけます。一方上に植物がいる場合、光発芽種子に当たる光は赤色光よりもうんと遠赤色光が多いため、Prばかりになって発芽抑制が生じ発芽しません。これで上に植物がいる場合は無駄に発芽しないで済むのです。逆に上の植物が枯れて死んだら、一気に赤色光が増えるので発芽促進され、発芽することができます。

光発芽種子が光発芽種子であることは、非常に有益であることが分かります。

 

本題:暗発芽種子とは

教科書で光発芽種子が扱われる際、一緒に紹介されるのが「暗発芽種子」です。

暗発芽種子は、「光によって発芽が阻害される種子」を指す場合と、「光がなくても発芽する種子」を指す場合があります。教科書がどちらの表記だったかを忘れたのですが…。

具体例として、カボチャ、ケイトウなどが挙げられています。

 

…しかし、教科書ではこれ以上の説明が記載されていません。

「こういうのもいるんだよ~」程度で終わるんですね。

「そういうのもいるんだな~」と思いながら自分では納得していたのですが、生徒にこう質問されたわけです。

「なぜ発芽後光合成はしなければならないはずなのに、光が発芽を抑制してしまうような仕組みを持っているんですか?なにか利点があるんですか?」

…確かに。でも分からぬ。

ということで、ちょっと調べてみましょうとな。

 

 

調べてみて分かったこと

まずはざっくり日本語で検索をかけてみました。

いくつかヒットするね。

https://www.takii.co.jp/flower/bn/pdf/20130145.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/11/1/11_1_2/_pdf

jspp.org

 

取り敢えず上の資料たちを見て分かったことを以下にまとめます。

まず分かったこととして、そもそも暗発芽種子は色んなタイプがあるらしいということ。光発芽種子のように、一筋縄では行かないようです。

①フィトクロムが発芽を強く支配していないタイプ

フィトクロムが支配していないので光量によって発芽が制御されない。よって暗い所でも発芽し、明るい所でも発芽する。エンドウ、インゲンマメ、トウモロコシなど。

栽培植物はどこででも容易に発芽することが求められて品種改良されてきたため、このような性質を持ったと考えられる。

 

②タネが作られる過程でPfrがつくられくるタイプ

光発芽種子などの場合、最初はPrが合成されてくるが、最初からPfrが作られてきているため、他の条件さえ揃えば光の量関係なくPfrによる発芽促進が起こる。これなら暗い所でもPfrがあるので、光発芽種子同様の仕組みで発芽する。トマトなど。

これらの種子の場合は、発芽が起こる際に遠赤色光を照射し続けるとPfrがなくなるせいで発芽が抑制されてしまうことが知られている。

利点は…よくわからない。


③フィトクロムとは異なる種子フィトクロムにより制御されているタイプ

キュウリなど。暗い中でもPfrが合成されるようになっているらしい?これも利点はよくわからない。

 

②と③についてはなぜそんな戦略をわざわざとるのか、納得できる理由を説明しているサイトはありませんでした。②や③の植物にとっては、光以外の要素の方が重要視されているのかもしれません。または、光発芽種子ばかり周りにいたときに、自身が暗発芽種子だと、あまり光がない状態でも一歩先に発芽して先をとることができるから、それがいいのかもしれないですよね…空想ですが。

個人的な考えでは、暗い=土の中という意味ですし、あまり光の有無だけにこだわって発芽条件を決めるのもマイナスな面があるのではないか?とか思ったり。栄養素などに余裕がそこそこあり、光合成をすぐさまする必要性もあまりないような植物なら、「暗くても発芽できる」の方が勝率がいい気がします。

実際の野生の植物を見ても、同一植物体の種子でも異なる光発芽性を示す種子を作るようなものもいるそうです。というのは、単一条件下でのみの発芽にしておくと、ある地域で絶滅しかねないからだそうです。そういう情報も併せて考えていくと、「光発芽種子は有利!」というイメージはやはりおかしいのではないか……

 

Pfrが発芽抑制?

とまぁ、ここまでは良かったんです。上の情報は大体幾つかのページに書いてあって、重複していたので確からしいのかなと思える情報でしたし。

しかしここで大問題が発生します。

「暗発芽種子ではPfrが発芽抑制を担う」という情報が急に出てきたのです。

jspp.org

ここに書いてある情報を引き抜くと、

「乾燥地に生えるような大型植物では、赤色光=Pfrが発芽を抑制している形式の暗発芽種子になっていることが多い。なぜなら乾燥地では水の確保が重要であり、赤色光が当たる=上に何もない=乾燥しやすい場所なので、そこで発芽を抑えられることが役に立つ。」

ということらしいんですね。

説明はかなり納得できるものなのですが(しかも植物生理学会だし)、いかんせん他のサイトに全然この情報が載っていない。Pfrが発芽抑制なんて、本当に事例があるのだろうか…?俄に信じがたい。

気になったので更に調べるべく、英語で検索をかけてみました。すると。

books.google.co.jp

link.springer.com

情報出るね!!!!!!!本当にあるっぽいな。

Springerの方の情報によると、スズメノチャヒキ属のある植物は完璧に暗発芽種子で、赤色光で発芽が抑制されるらしい。そうなんだ。本当にあるんだなぁ。

SEEDSの方は沢山色んなことが書いてあるので種子についてしっかり学びたければ読んでもいいのかもしれない。しかし気力があまりなかったので取り敢えず情報だけ拾ったけれど、やはりPfrによって発芽抑制がかかる事例はあるらしい。そうなのかぁ……

Pfrによって発芽抑制がかかるタイプは、核内にPfrが移行した後に発現制御される遺伝子群が違うのかな。それとももはやPfrが核移行するという所から違って、Prが核移行して遺伝子発現制御をする(光発芽種子のPfr同様?)のだろうか。うーむ、謎。

 

調べたけどよくわからないこと

  • キュウリが持っているという「種子フィトクロム」ってなんだ?
  • カボチャやケイトウはどういうメカニズムで暗発芽種子化しているのか(情報が見つからなかった)

このあたりはうまく調べられず情報が掴めませんでした。もうちょっと調べてみたいな。

ケイトウについては以下の論文に載っているっぽい。でも論文読めない。アクセス権ないから……)

www.cambridge.org

 

加えて、調べている間に「私って光発芽種子についてもあんまりよくわかってなかったのでは…???(発芽条件とか…)」と思い始めたので、そこについてもちゃんと勉強し直したいですね…。

 

ツッコミや情報あればコメントいただけると幸いです。

ではでは。

中国語の勉強をし始めた

こんにちは!

あれやこれやと手を出すことに定評がある私です。

最近までは、ディープラーニングのお勉強を本を使ってやっていました。↓

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

  • 作者:斎藤 康毅
  • 発売日: 2016/09/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

ちょみちょみ実装しながらやっていたのですが、取り敢えず一段落?ついたので(まだやりたいことは沢山あるけれど…)次は何を勉強しようかなぁと思い。

なんとなく中国語はじめました。

 

自分は大学時代フランス語選択だったんですけど、まぁびっくりするほど全然できなくって全然身につきませんでした。

せいぜい身についたのは「分かりません」という文章くらい……???言う機会が多かったからね……「分かりません」を流暢に言えるフランス語受講者、不真面目過ぎるのでは……?割と反省しています。もっと真面目にやるべきだった……

大学時代から割と中国語にも興味はあって、興味はあったけれども皆が皆中国語やるので違うのにしようかなとフランス語にしたんですよね。

だからずーっと興味自体は引き摺っていました。

先日たまたま見た「イエスマン」という映画で、イエスエスと答えた結果身につけた韓国語が役に立つシーンを見て、いいなぁ!と思い、

良い機会なので中国語に取り組んでみることにしました!独学でどこまで行けるかは知らぬ。

 

 

取り敢えず何から始めればいいのかなぁと思い、「中国語 独学」で勉強して勉強法をざっくり見てみました。

すると、

  1. 発音の基礎を学びピンインを習得する
  2. 単語の意味と音の知識を増やす
  3. 文法を知る
  4. 短文暗記しまくる

という順番でやっていくのが良いという。

どのサイトにも同じようなことが書いてあり、どれを見ても最初は発音だと言うのだから王道なのでしょう。

 

ということで、取り敢えず自分も発音からやり始めています!

先週の木曜日から勉強し始めて、今一通り発音の基礎知識はさらい、文法や語の所に足を踏み込んだばっかりという所です。まだ全然音は安定していないですが、繰り返すことが重要だなぁと既に感じているので、とにかく数を稼ぎたいところ。

 

今のところ、どの教材がいいのかも分からない(独学だからどれを使ってもいいという自由がある……)ので、色々模索しながらやっています。あれこれ試してみていて、現在は3つの教材をメインで使って勉強しています。気になっているけどまだ試せてないものもあるので、これらが最適解かは不明。

 

一つめは、「中国語スクリプト」。これはホームページです。

chugokugo-script.net

完全に無料で、独学できるように作られているサイトです。こういうサイトが幾つかあるのを観測していますが、今の所取り敢えずこれを使わせて貰っています。

このサイトには特に、先程述べた最初の勉強法についての確認でお世話になりました。

また、最初に大事な発音のところでめちゃくちゃ丁寧&逐一しっかり音が確認できるのがとても良かったです。最初から割と詳しめに色々話してくれるのも嬉しいところ。

このサイトのノリだったらもはや本なんでいらないのでは!?と発音の勉強時には思っていましたが、文法に入ってからは音声データが少ないのでちょっと険しいかもしれないなと思い始めました。やはり文章も音声で聞きたい……

あとテストみたいなものもないので自分で確認する方法を工夫しなければならない部分もあります。どこを確実に身につけるべきか(本当は「すべて」なんですけど)があまり明確ではない初学者にとっては、テストで問われることで初めて「あぁ、これを覚えなきゃいけないんだ」「これを自分は覚えられていないんだなぁ」と把握していく部分もあるので、やはりテスト的なものはほしい。

私の場合は自分でテストを勝手に作りながら進めました。作る行為も学びになるかもしれぬ。

 

2つ目は「ゼロからスタート中国語」です。これは本。持ち歩けるサイズのライトなやつ。 

新ゼロからスタート中国語 文法編

新ゼロからスタート中国語 文法編

  • 作者:王 丹
  • 発売日: 2015/02/26
  • メディア: 単行本
 

正直サイトとか駆使するだけでも学べるんじゃね?という気もしたのですが、やはりサイトだと間違っていることもあるだろうし、取り敢えず確実な知識が体系的にまとまっているものが一冊くらいあってもよいだろうと思い、購入しました。

サイト頼りだと、スマートフォン・PCが弄れない時とか、 通信ができない環境下とかだと進められないというのもあります。本はあっても困ることはないのだ。

この本を選んだ理由は単純にamazonで評判が良かったからです。安直だね……

この本、音声データがCDでついてくると同時に、専用のaudiobookアプリでダウンロードしてスマートフォンで聴くことも可能です。私はアプリの方にしました。

早速音声データを聴きながら本の最初の「発音」に関する章に取り組んでみようとしましたが……正直発音の所についてはサイトのほうが良いなと個人的には思いました。

というのも、発音の所についてあまり多くは書いておらず、ざっくりとしたものしか掲載されていません。説明も一番基礎の基礎の所で止まっています。

また、音声データが1ユニットの中身全部をダーッと読んでいくスタイルなので、一語の発音のみを何度も繰り返し聴くということができません。これがちょっと険しい。一語一音を何度も繰り返し再生したい……上で挙げたサイトの方が、ここは優秀でした。

そんなわけで、少なくともこの本の最初の発音ページはうまく取りかかれない印象を受けました。

しかし、文法の勉強に入って少しずつこの本の良さも感じています。この本では一章ずつ確認テストが入っているんですね。これがとても良い。自分で勝手に工夫して、読み上げやピンイン表記なども一緒にテストしています。

しかし結局文法のところについてもダーッと読んでいくスタイルは変わらないので、それがちょっと不満です。

 

3つめは、「HelloChinese」というアプリ。 

www.hellochinese.cc

これは割と軽い気持ちで適当に入れてみたものだったのですが、案外役に立っていて、とても良い教材な気がしています。

良さの一つ目はしつこいところ。何度も同じことを違う視点で、何度も何度も確認していきます。何度も発音を聞き、何度もしゃべる。これが物凄く印象に残るんですよね。

文章についても、文章まるごとを何回も再生できるのはもちろん、文章中の一語ごとに発音確認もできるようになっています。これは嬉しい。そして、複数の文章を急に提示されず、概念1つずつにつき丁寧な取り扱いをされます。良い…

2つ目はあまり冗長的な説明がなくいきなりトレーニングから入るところ。説明文がないんですね。ほとんど。確認しようと思えばできますが……。説明がない、なのに学べる。良いテンポです。

3つ目は自分の発音をテストできるところ。同時に録音ができるところ。これは大きいなと思います。わざわざ発音を録音するためにアプリを用意しなくていいし、アプリが判定もしてくれるのが嬉しい。自分でテストし答え合わせできるのはせいぜいピンインと文字、文法くらいなんですよね。でもこれを使えば発音もテストできる。

 

そんなわけで、現在はこの3つの良いところをうまく使いながらやっています。

 

最初にも述べたように、まだ気になっているけど使えていないものが沢山あります。

例えばNHK中国語講座とか……いいらしい。

取り敢えず進めていってまた総括したいです。

胚芽で行うコメの品種判別(最終報告)

以前まで書いていた記事の最終報告です!

一応の決着が出たのでご報告させて頂きます。 

i-my-mine.hatenablog.com

i-my-mine.hatenablog.com

 

 

前回までのあらすじ

私は地方の高校生物教員です。

学校にて、4時間くらい連続で使ってPCR電気泳動を体験させる実験を組まないといけなくなりました。さぁ大変!

どうしたものかと調べていた所、第一学習社の教科書に載っている「コメの品種判別をPCR電気泳動でする」という企画が面白そう。早速取り組んでみたわけです。

しかし早とちり症のせいで予備実験は難航……紆余曲折あって岩手県教育委員会が紹介してくれている 精米からのDNA抽出→PCR電気泳動 という方法を採用しました。が、精米からDNAをとるのはとても大変で時間を食います。なんとかならんのか……

この気持ちをTwitterで嘆いたところ、なんと多くの研究者の方が反応して下さり、多くの情報が集まってきたのです!結果、

  • 胚芽を用いてコメの品種判別ができないか
  • より簡便化した方法でPCR電気泳動が実践できないか

ということを探求するに至りました。

 

前回までは、一連の実験の結果、

使っていた玄米をあきたこまちのものだと思い込んでいたが、実はあきたこまちではないせいでバンドが出ないのでは?

という可能性が出てきました。

そこで今回は、「本物のあきたこまち玄米」だとはっきりわかる玄米を改めて購入し、検討を進めました。

 

1st try

今回は、前回の反省を活かして以下の点を変えました。

  • DNA液の濃度が薄すぎる可能性がある。前回はエタ沈*1後のTE溶解の時点でTEの量を、精米5粒と胚芽5粒で同量(50μL)にしていた。胚芽に対してはより少量でいいはずなので、15μLに溶かすことにした。

  • 最初に貰った助言では「ダイレクトPCRでは胚芽10粒」と聞いていたので、ダイレクトPCRをはじめとし胚芽を使用する場合は5粒または10粒で検討をした。

  • ワンステップ法について試薬の再作成をかなり丁寧に行った。

  • 胚芽や玄米・精米について、吸水を10分程度させてから処理するようにした。
  • いずれの方法を使う場合も、胚芽をホモジェナイザーペッスルまたはチップ先でつつくことでしっかり磨り潰すことを心掛けた。

また、新たに紹介された方法があったため、そちらも実践してみました(今後「プロトコルK」とします)。プロトコールは以下の通りです。 

抽出Bufferは、

100 mM Tris-HCl(pH8.0)
20 mM EDTA
2% SDS
にしました。

また、本校には酢酸カリウムがなかったため、3M 酢酸ナトリウム(pH4.8)を調整し代わりに使用しました。

ツイートの中では1粒/100μLとありましたが、上でも述べたように「なるべく胚芽を増やそう」の機運があったので、やめればいいのに5粒/200μL と 10粒/200μL で検証しました。頭悪いですね。言われたとおりやればいいのに……

 

そんなこんなで今回のPCRチューブの中身はこんな感じです。

① 胚芽5粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

② 胚芽10粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

③ 玄米の胚乳部分5粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

あきたこまちの精米5粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

⑤ 胚芽5粒DNAから簡易エタ沈でDNA抽出しPCR

⑥ 胚芽10粒DNAから簡易エタ沈でDNA抽出しPCR

⑦ 胚芽3粒をチップ先でつついて破壊しダイレクトPCR

⑧ 胚芽5粒をチップ先でつついて破壊しダイレクトPCR

⑨ 胚芽10粒をチップ先でつついて破壊しダイレクトPCR

⑩ 胚芽5粒をホモジェナイザーで破砕しダイレクトPCR

⑪ 胚芽10粒をホモジェナイザーで破砕しダイレクトPCR

⑫ 玄米の胚乳部分1粒をホモジェナイザーで破砕しダイレクトPCR

⑬ 精米1粒をホモジェナイザーで破砕しダイレクトPCR

⑭ 以前抽出してバンドが出ることが確定している精米からのDNAを用いてPCR

⑮ プロトコルKで胚芽5粒を処理し得られたDNAを用いてPCR(buffer200μLに5粒溶かし、最後はTE15μL溶解)

プロトコルKで胚芽10粒を処理し得られたDNAを用いてPCR(buffer200μLに5粒溶かし、最後はTE15μL溶解)

 

結果

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おぉー!!!!!!!!!ちゃんとバンドが出ている所がある!!!!!嬉しい!!!!!!

バンドが出たのは

① 胚芽5粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

② 胚芽10粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

③ 玄米の胚乳部分5粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

あきたこまちの精米5粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

⑪ 胚芽10粒をホモジェナイザーで破砕しダイレクトPCR

⑫ 玄米の胚乳部分1粒をホモジェナイザーで破砕しダイレクトPCR

⑭ 以前抽出してバンドが出ることが確定している精米からのDNAを用いてPCR

でした。簡易エタ沈とダイレクトPCR、そしてプロトコルKでは総じてバンドが出現しませんでした。

 

バンドが出た方について

まず、今回買ってきてもらった玄米はあきたこまちであることがかなり裏付けられました。それだけでもだいぶ嬉しいです。

①②をはじめとし胚芽から抽出したDNAでバンドが出るようになったことから、「胚芽からPCRができる」という説も裏付けることができました。しかし、5粒よりは10粒の方がPCRの時用いるには安心感がありそうです(ワンステップ法の際5粒使用ではバンドが出ていない)。吸水させてからやったのが良かったのかもしれない。今まで使っていた怪しい胚芽も、吸水・胚芽量・最後の溶解TE量を変えればもしかしたらバンドが出るのかもしれません(もう試す気力がないけれど……)。

今回試した中でダントツに簡便なのはワンステップ法ですね!とても簡単ですし、何よりPCR溶液作成と並行してできちゃいます(基本待ち時間ばかりなので)。私の場合、まず胚芽or胚乳をエッペンチューブに入れ溶解Buffer 100μLを入れる→ホモジェナイザーペッスルで砕く→ボルテックスで浮き上がらせる→ホモジェナイザーペッスルで更に砕く→ボルテックスの十分混ぜる の後は、95℃のヒートブロックに放置しながら横でPCRのマスターミックスを組み始め、ヒートブロック10minが終わったら遠心分離機に移して5分回す間マスターミックスが完成し、遠心後の上清をPCRチューブに入れたらマスターミックスを分注する……という感じで、これなら生徒も1時間のうちにDNA抽出とPCR溶液作成ができてしまうのではないかと感じられました。もし1時間の授業内でDNA出せる&PCR始められるとなると、2時間目は電気泳動、3時間目は結果を見て反省……なんてさくさく進められるわけです。操作も簡単ですし、ミスも少ないのではないかと思います。

 

バンドが出なかった方について

一番残念なのはなぜか今回胚芽・玄米胚乳で成功したワンステップ法が精米では成功していない所です。精米でもしワンステップ法が成立したら最高ですよね。だって玄米集めてくるの大変だし……。精米なら手軽に手に入ります。精米がワンステップ法でバンド出なかった理由は、おそらくDNA量が少ないからではないかと思います。胚芽にはもちろんDNAが沢山あり、玄米の胚乳部はアリューロン層等のDNA豊富な部位が存在します。精米はただの胚乳細胞たちで、かなりDNAが壊れたり消失したりしているはずです。もう一度やってみても駄目で、更に2粒に増やしてみても駄目でした。精米ってそんなにDNAないんだろうか、それとも夾雑物が多すぎるんだろうか……。

 

ダイレクトPCRについてはバンドが出なかったどころか、胚芽がPCR溶液を吸収しきってしまっていて、全く溶液を回収することができませんでした…。そのため完全吸水させた胚芽(12時間と1時間の吸水)で試してみましたが、結局うまくいくものを見つけることはできませんでした。ダイレクトPCRをしたい場合は、不純物に強い酵素を使わないといけないかもしれません。


プロトコルKが駄目な理由はやはり1粒/100μLを順守しなかったせい、あるいは酢酸ナトリウム調整ミスではないか、と思い…1粒/100μLを遵守した上で、3M酢酸ナトリウムはpH5.2にして再挑戦してみました。結果、うまく行きました!さすが研究者の方が実践していらっしゃる方法です。

 

 

ということで、結論

  • 胚芽10粒をよく破砕したワンステップ法
  • 玄米1粒をよく破砕したワンステップ法
  • 胚芽1粒をプロトコルKで処理する方法
  • 胚芽5粒~or米粒5粒を用いたエタ沈

で抽出してきたDNA液に対してはPCRがかかります!!!!!!

ただし気をつけてほしいのは、本校で今回用いた酵素諸々のPCR周りの溶液は「1年以上古いものを家庭用冷凍庫(何度も開けられる)で保存していたもの」を用いていたということです。正直何年前のものか分からない酵素ばっかりだった……。

おそらくかなりへたっていて、酵素濃度が通常のPCR用の組成だと全然PCRがかからなかったため、今までの実験も酵素濃度を増やした条件で行っていました(一番安心感あったのはPCRチューブ1本につき1μLの量……多すぎる。0.5μLでも不安。)。つまり何が言いたいかというと、良い酵素を使えば他の方法でもPCRがかかる可能性は十分あるということです。古い酵素たちを使っても出た方法たちはかなり信頼できるのではないかと個人的には思います。

 

授業と並行して空き時間にちまちますすめるの大変だった……。なんだかとっても疲れたよパトラッシュ……。

 

一連のことに関して多くの人々からご助言を頂きました。本当にありがとうございました!

*1:岩手県教育委員会が紹介する「やってみよう!遺伝子実験」のp.27~30を参照

最近の身体事情

皆さんこんにちは。

ここの所このブログでは、ノーベル賞のことやら実験のことやら書いてばかりですね。

それ自体は別にいいことだと思うのですが、あまりにも真面目な内容ばかりだったので、今日は久々に自分の近況をつらつら書こうかと思います。最近の自分は面白いことばかりだったので。

 

まず正直に言います。最近身体がぼろぼろです。

若い時は一年に一度大嘔吐デーがあっただけでそれ以外はピンピンしていた自分ですが、最近はもう歳に負けてきているみたいです。まぁな、甲状腺も退化する一方だしな。

ここ2ヶ月でなんと2回も病院に行きました。凄くないですか?私にとっては大記録です。

なんでこんなことになったのやら、少し振り返ってみたいと思います。

 

 

 

教育実習ウィーク

まず9月を思い出してみます。

9月最初は教育実習がありました。

教育実習は本当に大変です。実習生も大変だと思いますが、受け入れる側の教員も大変です。特に指導教官はもうびっくりするほど大変です。授業をちゃんとやってもらえるかなという心労、指導する時の心の辛さ、単純に仕事量が増える労力……こういうのを考えると、本当に指導教官は凄いなぁと感じます。

私は指導教官ではなかったので、指導教官やってる人に比べたらよっぽどちゃらんぽらんな生活を送っていた人間です。しかし、一応1教員として教育実習に関わる所は関わりました。例えば授業を見学されたり、逆に見学に行って様子をチェックしたり、教育実習生に助言をしたりと……そんな感じですかね。脇役ですが一応働いたんです。

教育実習生と関わることは私自身の勉強にもなります。どういう授業がわかりやすいとかわかりにくいとか、生徒目線だとこう見えるんだなとか、どういう所を普段自分が大事にしてるんだなとか、本当に沢山のことを実感させられます。そういうわけで、良い機会だったなとはもちろん思っているのですが……ちょっと自分の頭が悪いせいで、一日中全部の空きコマに見学や指導を入れ込み……1週間ほど昼休憩時以外一切座れないみたいな日が続いてしまいました。さすがと自分馬鹿だなと思いましたね。純粋に身体のダメージが蓄積しました。

 

予備実験ウィーク

さて、教育実習生がいなくなったらちょっとはゆっくりできそうですよね。そう思った瞬間、今度は2ヶ月前に発注していたプライマーが届きました。プライマーが来たということは、予備実験しなきゃいけないということです。一日中朝イチから夜遅くまで、生物室に閉じこもり、空きコマのたびに足繁く生物室に通う日々がスタートしました。

実験授業の前にしなければならないことは、予備実験はもちろんですが同時に実験計画を練ること、使う教材(プリントなど)を作成することなども該当します。とにかく1授業がちゃんと成立するように作っていかねばならないのです。スライドも作らねばならないですね。しかもこれらの準備が今回は「一週間分の連続実験授業分」です。慌ただしい日々が続きました。

そんなわけで肉体を酷使し続ける二週間が続きました。でも精神もぐっと来ました。なぜなら予備実験が失敗続きだったので……。このまま実験授業できなくなっちゃうんじゃないかって、本気で怖くて……肉体的にも精神的にも良くない二週間が過ぎていきました。

 

中間試験準備ウィーク

どうにか実験計画ができた!予備実験も成功した!と思ったら今度は中間試験目前。予定されている実力試験も作らなければなりません。試験を作るのはかなり気を遣いますし、良い問題が見つからない・思い浮かばないとストレスが溜まります。うお~!と言いながら試験をもりもり空き時間全部突っ込んで作っていく。

そんな頃に、……まぁきっと精神がやられてるせいで免疫が薄くなったのでしょう。一回目の体調崩しに見舞われました(泣)。トイレから出られなくなったのです。排泄がうまくいかなくて。ただのお腹壊したとかならともかく、ちょっと信じられないくらい酷い状態になりました。つらすぎて自宅トイレで籠もって泣きました。でも仕事はやり続けました。

 

突然の体重減少

その後謎の腹痛がずっと続き、おかしいな~試験週間中に病院行こっかな~とか軽く考えていたら、ある日某先生に「先生、なんかすごく痩せた?」と声を掛けられました。「えぇ~そんなわけないですよ~痩せてたら嬉しいけど笑」とか言って笑ってたんですが、本当かもしれないなと思って何気なく帰宅後体重計に乗ったんですね。

そしたら、なんと、9月当初から4kg痩せている……!!

急に4kg落ちるの怖!!癌とかじゃないだろうな!?とさすがと恐ろしくなったので思い切って病院へ行きました。業後ダッシュで駆け込み診察ですよ……。結局ただの腸炎が長引いてるだけっぽく、薬を貰って終了。いや~怖かったですね。血液検査されましたが、白血球が異常値でした。白血球頑張ってる。もっと頑張ってくれ。

 

中間試験~実験ウィーク

そうしてテストの日がやってきました。テストが終わったら次は解説作成や採点業務に追われます。加えて今年はノーベル賞発表が同時期に被っていました。ですので、発表に合わせて情報集めて広報誌を一生懸命作成し、ノーベル賞解説広報誌もしっかり間に合わせていきました。

中間試験直後から実験が始まりました。自分がやる分には何も苦労がないことでも、他人がやることを指導するとなると本当に疲れます。まず予測ができないし。思ってもみない突発的なイベントが発生するし。すべての生徒を見回らなければならないし……なかなか大変なんですよね。目が回るような大変さだなぁと疲弊しきっていたと思います。

 

実験ウィーク中に教員研修

更に不運なことに、この忙しい実験ウィーク中に元々オンラインの教員研修が予定されていました。オンラインの研修を受けるのは自分だけだったので、誰もいない生物準備室で受講するよう教頭に指示されました。一日に渡る長い研修です。ずっと集中していると段々疲れてきます。それでも一生懸命頑張りました。ディスカッションの時には率先して司会役を務めて場を円滑に回せるよう働きかけ……本当頑張ったんですよ(泣)誰も見てないけど(泣)

そんなこんなで15時ごろ、20分間の休憩に入ることになりました。司会役を務めきった私は疲れ果てながらも、少々満足感もあって、よくがんばった、休憩するぞ、と勢いよく立ち上がろうとしたんですね。

その瞬間!!!!!!!!!

自分がいままで腰掛けていた丸椅子、かなりバランスが悪いものだったのですが、そのタイミングでぐらついて。

自分も対応しきれずに、そのまま椅子から転がり落ちて……お尻を強く床に叩きつけられました。

……思わず「うおーーーーーーーー!!!!!!!!!!」って痛すぎて咆哮してしまいました。めっちゃめちゃに痛かった。痛すぎてしばらく立ち上がれませんでした。休憩時間が20分間あったので画面に復帰できましたが、もし10分ならやばかったですね。倒れたままだったかもしれません。

しかも生物準備室他に人いないし。誰にも気付いてもらえないし。打ち所が悪かったら死んでたよ……?本当に辛い。

そのせいで走るのも歩くのも座るのも当日は痛く、かなりブルーな気分でした。

 

尾てい骨の激痛、からの…

尻強打の翌日。少し楽になり、痛みも少々引いた気がしました。よかったよかった、こうやって治っていくんだな……と思っていたんです。

ところが更にその翌日、なんだか時々ぐわんぐわんと足元が揺れる気がするようになってきました。なんだこれは??と思いつつ、時々だからと軽く見ていたんですね。

 

その翌日、びっくりするぐらい完璧にひどくなりました。

所謂浮動性めまいというものでしょうか、立ってても座ってても寝っ転がっても、ずっとふわんふわんと揺れ続けるのです。何かが。視野は揺れていないはずなのに感覚だけが揺れるんです。

自分はこの感覚を知っているぞ?と思いました。というのは、小学生のときに腕を複雑骨折して、神経全部切れた状態でグーチョキパーした時の状態に似ていたんです。意識と実際がずれている感覚。これはおかしい。脳か受容器がおかしい。

 

おかしい、と思いつつ、まぁでもこれぐらいのふわんふわんなら授業できるやろ、と割と軽く考えていたら、周囲の先生からのストップがかかって休養をとらせてもらえることになりました。生徒に申し訳ないなぁ……でも居ないほうが自分の勉強できていいかもしれんよな……とかぼやぼや考えながら休ませてもらい、午後は多少マシになったので実験授業をしました。

 

帰ったら本格的に悪くなってきて、次の日も朝起きた時点で「これは駄目だ」と分かりました。頭が割れるように痛いし、ふわんふわんするし、吐き気まで出てくるのです。食道が焼けるような感じの吐き気。もうダメだ、病院に行こう、と、多大なる迷惑が生徒や学校にかかることは分かっていましたが、さすがと休みをとらせてもらいました。

 

病院に行くと、内科に案内されました。先生は指を追う目の動きや、指をまっすぐ移動させられるか等を見て、内耳異常だろうと判断されました。メニエール症候群というものだそうで、これはストレスとかでなるらしいんですね。「メニエールは初めて?」と、まるで「ビールは初めて?」みたいなノリで聞かれたのが辛いながらも妙におもしろかったです。

また、病院に行ったのはたまたま金曜日だったのですが、

先生「今週は今まで出勤はしたの?」

私「はい、してました」

先生「え…???」

……しばらくして

先生「その症状抱えたまま、今週全部出勤してたんだよね?」

私「はい」

先生「えぇ……」と、出勤していたことに完全にドン引きされたのも面白かったです(面白くないだろ

 

あと頭の異常がないか一応調べるためCTを撮ってもらいました。撮ってもらったのに画像は見れませんでした。見たかった……

その後病院では吐き気と頭痛と内耳に効く点滴をしてもらい、内耳異常に効く薬を貰って帰ってきました。びっくりするくらい症状がなくなりました。薬って偉大だね。逆に私の内耳どうなっちゃってるんだよ。

薬がどんな効き方してるのか気になって調べてみたら、「作用機序は不明」とのことでした。どう効いてるかわからないんだね…?でも劇的に効いているのは分かります。すごいね。

私はあまりないのですが副作用がえげつないみたいです。幻覚、めまい、発疹、散瞳、食欲不振など。完全に目や耳あたりに来てるよね。散瞳だけは自分も感じています。初日に薬飲んでからスマホ注視したら死にそうになりました。頭割れるかと思うくらい痛くなりました。絶対やめましょうね(ちなみに今これを打ち込むディスプレイの明かりは小さくしてあります)。

 

まとめ

ということで、色々ありましたが取り敢えず今は元気です!!!!!!ご迷惑をおかけした皆様、本当にごめんなさい。ちゃんと自分の身体は制御しなきゃ駄目だなと反省しています。

というか、色々振り返って思うのは、ここまで来ても「自分が忙しすぎてストレス溜め込んだ」という実感がないのがやばいのかもしれないなぁと思ったりします。周りの人には皆から働きすぎだとか、過労だとか言われました。でも自分は自分が無理し過ぎてることなんて全然ないと思っているんですよね。抜くところはきっちり抜いてるし、適当なところは適当だし、学校も18時半までには出るし。

でもおそらく、私の認識は「できる」範囲の行動なら無理ではない、みたいなものさしで測っていて、これがいけないんだろうなと今回ちょっと思い始めました。できる分には無理じゃないよなって言って、自分のストレスはきっとこんなもんあるんだろうとか、かかる負荷はこれくらいだろうとか、そういうことを考える癖が足りなすぎたんですよね。これはある種の怠慢である。自分を管理するのも大事なことなので、今後は気をつけていきたいと思いました。

胚芽で行うコメの品種判別(中間報告)

以前ここで暴露した失敗連続ポンコツ実験をやっと授業で実践しました。

i-my-mine.hatenablog.com

一週間という長期戦で、かつ自分の配分などが正しいかどうか時間内にうまく収まるかどうか毎回心配でしたが、なんとかやりたいことは収めることができました。よかったよかった。(金曜日内耳が狂って学校行けず、授業できなかったので予定は狂ってしまったのだが……)

ので、反省してみたり、気づいた点を書き留めておいたりしたいと思います。

加えて、以前の記事でも述べた「胚芽からのダイレクトPCR」の検討も行ったので、中間報告をしたいと思います。

 

 

授業について

授業配分

1コマ目:マイクロピペットの使用訓練、バイオテクノロジーの復習、コメの品種作成についての講義、これからの実験の概略説明

2コマ目:DNA抽出前半、DNA抽出液の組成についての講義、DNA抽出の技法の概略説明

3コマ目:DNA抽出後半

4コマ目:PCR原理の説明、PCRのセッティング

5コマ目:電気泳動の説明、電気泳動の実施

6コマ目:電気泳動結果の振り返り、これからのバイオテクノロジーについての講義

という感じにしました。

時間感覚としては、本校は1コマ50分なのですが、大体これで運営できちゃう感じです。毎回片付けの時間も入ってます。

でも余裕があるわけではなく、毎回急ぎ足で、押さえるべきところを押さえるのに必死になりながらの運営でした……授業が終わると毎回安堵(無事済んでよかった)と疲労でぐったりでした。

 

生徒がしがちなことで予見できなかったこと

色んなトラブルを事前に予想した上で臨んだつもりだったのですが(説明にも織り交ぜた)、実際やってみるとやはり「そうくるか!?」みたいな挙動が割と多く、大変でした。

  • チップラックをある一人の生徒が持ち上げ、蓋を外し、もう一人別の生徒がマイクロピペットのチップを付けようとする(なぜラックごと持ち上げる……?)
  • DNA液をマイクロチューブから別のマイクロチューブに移す時に何故かプッシュボタンを途中で押して机上にDNA液をこぼす
  • 「沈殿物に触らないように上清をとる」作業で、沈殿物が見えた方が絶対にいいのに何故かエッペン立てにエッペンを立てたまま上から覗き込んで上清を吸おうとする(エッペンチューブ持ち上げて沈殿見ながら吸おうよ…)
  • 「沈殿物を浮かせないでね」と再三言ったのに、一度上清の吸い上げに失敗(半端な量とれた)時その液をエッペンチューブ内に押し戻す。結果沈殿物が浮き上がる
  • PCR液を6チューブ分作らせ分注させると足りなくなる。二回同じチューブに分注するなど
  • マイクロピペットを傾けた結果液がチップコーンに到達する
  • コンタミしないように」と注意をしたのに廃液にチップ先を突っ込んだ後でそのチップをまたエッペンチューブに突っ込んでいく
  • PCRチューブの蓋がしっかり閉められない(どの状態が閉まった状態か分からない?)
  • ゲルを崩壊させる
  • ゲルのウェル同士を貫通させちゃう
  • ウェルアプライの動きがかなり不穏(無理な体勢でやろうとする)
  • ウェルアプライに30分以上の時間が余裕でかかる

などなど。あとはやはり的確な量がとれないとか。「500μLないでしょこれ…」とか、そんなのはザラでした。訓練時に1μL、10μL、100μL、500μL、1000μLくらいの代表量については、量の感覚を付けさせる必要があったかもしれないなぁ。液の種類によっては取りにくいものとか動きが異質なものもあるし、余計に気を使うべきだったかなと思ったり。

他にも色々、授業やるなら気をつけた方がいいな~と思うこととか沢山ありましたが、また余力があるときにまとめようかと思います……実際の運営の様子も含めてアップしたい。

 

生徒が試した米

今回の実験では、コシヒカリあきたこまち、ひとめぼれ以外に、生徒の各家庭からお米を持ってきてもらって、珍しい品種などにトライするというのもやってみました。

生徒が持ってきてくれて試したのは、

などで、加えてイレギュラーなものとして

  • インディカ米
  • もち米

などもありました。インディカ米にいもち病耐性遺伝子なんてあるんかな……??シェアしてたら面白いよね……。

(実はある班でインディカ米のところに今回のプライマーセットでバンドが出ているらしい。確かではないが。出ちゃうんだ……)

 

 

検証:胚芽からPCRはできるのか 

以前記事を書いた時から、色んな研究者の方に「精米したコメは無謀」とか「胚芽を使うべき」ということを言われていたので、胚芽を使ったPCR実験ができるか試してみたいとは思っていました。

上のツイートにあるように、胚芽については、胚芽をチューブに入れるだけでPCRにダイレクトにかけられる説があるらしいと教えてもらったんですよね……これは検証したいなと思っていました。

そしたら、たまたま生徒の中に、「あきたこまちの玄米を持ってきた」という子がいたので、その胚芽を使わせて貰ってちゃんとあきたこまちのパターンを出せるか試してみようと思いました。 

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見ろ!!胚芽が沢山のようだ!!

試すにあたり、まずは胚芽を使ったダイレクトPCRについて調べてみました。確立した方法があるならあやかろうと思ったのです。

しかし、全く情報を得ることができず、いきなり路頭に迷いました。そしてツイートしました(すぐツイートする癖よ……)。

するとそのツイートに対し色んな人から助言が頂けたのです。いや~Twitterってすごいね。

他にも多くの方々に反応して頂きました。情報ありがとうございました。

 

…ということで、じゃあやってみるかとセッティングしてみました。

まず使った玄米はこれ(双眼実体顕微鏡で撮影しました)。

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この画像の右上にあるのが胚芽。胚芽はピンセットで一生懸命削り落としました。案外簡単にとれるよ。


1st try

最初の実験は割と甘く考えていたので、とりあえず胚芽入れて試そう~という気持ちで以下のセットを試しました。胚芽はピンセットで落とすと大体ボロボロになるので、あえて粉砕過程を入れずに処理しました。

① 胚芽1個をダイレクトPCR

② 胚芽2個をダイレクトPCR

③ 胚芽1個をPCRチューブに入れ、電子レンジで10secチンしてから反応液入れてPCR

④ 胚芽1個をワンステップ法で処理後PCR(1μL使用)

⑤ 胚芽2個をワンステップ法で処理後PCR(1μL使用)

⑥ 胚芽3個をワンステップ法で処理後PCR(1μL使用)

 

ちなみにワンステップ法とは…

溶解Buffer 100μL(100mM Tris-HCl(pH9.5), 1M KCl, 10mM EDTA)を作成し、そこに試料(今回は胚芽)を入れ、Vortexし、95℃10minインキュベートし、更にVortexしてから遠心12,000rom 5minかけて上清を用いる方法です。Twitterで教えてもらいました。溶解Bufferは手製で作成しました。

 

結果

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左からラダー、①~⑥、以前抽出したひとめぼれDNAを同条件PCRにかけたもの

惨敗!!!!!!!

なんも出てなくね?

本来、あきたこまちであれば1610bp(右端ひとめぼれの上側のバンドと同じ位置)のバンドが出るはずなんですが、一切なく、謎のスメアでいっぱいです。

ちなみに染色はUltraPower Safe dyeを使用しています。

正直めっちゃきつい。軽い気持ちで「出るって言われてるなら出るやろ~~」とか思いながらやってしまったので余計に辛い。そういう軽い気持ちでの検証系だったせいで、実のところなんにも検証ができていない(バンドが出なかった理由を考察するための材料が足りなすぎる)のも辛い。

とりあえず、なんでバンドが出なかったんだろうということに関して以下のことを考えました。

  • 胚芽をちゃんと粉砕しなかったから出なかったのでは?→ホモジェナイザーを使って次はやろう。
  • そもそも胚芽からDNAを回収できるか全く分からないぞ?→エタ沈で一度DNAを回収してみよう。
  • 胚芽やこのコメ粒自体が駄目になっててDNAが出ないとか、または実はあきたこまちではない可能性はないか?→胚乳からDNAをエタ沈すればPCRがかかることは分かっているので、玄米の胚乳部分から同様のエタ沈作業をしてDNA回収しPCRかけてみよう
  • PCR反応液が駄目だったんじゃないかな…→次は「PCRはちゃんとかかってる」ということがわかるような証拠を作る系にしよう

ということで、これら反省を活かし次の実験です。

 

2nd try

2回めの実験は色々検証可能なように、かなり考えてセッティングを作りました。

① 胚芽3粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

② 胚芽5粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

③ 玄米の胚乳部分5粒からエタ沈でDNA抽出しPCR

④ 「あきたこまち」だとはっきり分かっている精米5粒からエタ沈でDNA抽出しPCR(以降「あきたこまち」精米は「正米」とする)

⑤ 胚芽3粒から簡易エタ沈でDNA抽出しPCRエタ沈作業を1回のみにする)

⑥ 胚芽5粒から簡易エタ沈でDNA抽出しPCRエタ沈作業を1回のみにする)

⑦ 胚芽1粒をホモジェナイザーで破砕しダイレクトPCR

⑧ 胚芽2粒をホモジェナイザーで破砕しダイレクトPCR

⑨ 胚芽1粒をホモジェナイザーで破砕しワンステップ法で処理後PCR(1μL)

⑩ 胚芽2粒をホモジェナイザーで破砕しワンステップ法で処理後PCR(1μL)

⑪ 玄米の胚乳部分1粒をホモジェナイザーで破砕しワンステップ法で処理後PCR(1μL)

⑫ 正米1粒をホモジェナイザーで破砕しワンステップ法で処理後PCR(1μL)

⑬ 別種の玄米からとってきた胚芽2粒をホモジェナイザーで破砕しワンステップ法で処理後PCR(1μL)

⑭ さらに別種の玄米からとってきた胚芽2粒をホモジェナイザーで破砕しワンステップ法で処理後PCR(1μL)

⑮ 以前抽出してバンドが出ることが確定している正米からのDNAを用いてPCR

※ 簡易エタ沈:破砕→抽出液→ボルテックス→65℃10分→遠心10分→上清採取+100エタ→遠心→70エタリンス→TE溶解 というもの

 

なんでこれらにしたのかを一応書き留めておくと、

  • ③④の比較→同じ対象部位同じ抽出法で集めたDNAからPCRがかからない場合玄米が「あきこまち」ではない可能性が高くなると考えた
  • ①②⑤⑥→胚芽は夾雑物がかなり少なくDNA量も少ない可能性があるので米粒と同じエタ沈方法ではなく簡易な方がDNAを温存できる可能性があり、また簡易でできるならその方が都合が良いので試したかった
  • ⑫→ワンステップ法は米粒1粒でもできると書いてあったので本当にできるか試してみたかった
  • ⑬⑭→あきたこまちと思しき玄米があきたこまちじゃなかった場合、上の方法論が一つも検証できないまま終わるが、もし別種玄米を使ってバンドが出たらワンステップ法自体は正しいという証拠になるかもと期待したから
  • ⑮→PCR自体がうまくいっているかどうかの判断証拠になる

…と、こんな感じです。胚芽3粒5粒はもしかしたら少ないかもしれず、本当はもっと試すものを増やすべきなんだろうけど、気力がね……

 

ということで、とりあえず上のすべてを作って泳動してみました。

結果がこちら。

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左からマーカー、①~⑮、前作ってあったコシヒカリDNAからのPCR産物

すごい虚無感。ていうかなぜ右端をコシヒカリに私はしたんだ???

普通あきたこまちでしょうそこは。焦ってて間違えたんだな。

この写真をぱっと見る限り、玄米からエタ沈でDNA抽出してもバンドが出ていないことがわかります。つまりこやつ、あきたこまちじゃない可能性があるのでは???

バンドが出てるのは正米エタ沈と以前あきたこまちからとってきたDNAをPCRしたものだけ。正米のワンステップ法もうまくいっていないっぽいので、やはり本校の酵素ではワンステップが駄目なのではないかという気持ちになる。

よーく見ると胚芽からの簡易エタ沈の所にもうっすら???バンドが出ている気がする。ので、もう一度念の為残りの産物を使って泳動してみました。今度はちゃんと右端をひとめぼれにしました。あと⑮はもういらないなと思って外し、1st tryで作った3粒ダイレクトのPCR産物を代わりに流してみました。

急いでたせいでまたミスって、⑨の胚芽一粒ワンステップを入れ忘れて一個ずつ左に列がずれました。もうダメだ。ミスばっかりだ。(なので左からマーカー、①~⑧、⑩~⑭、⑨、3粒ダイレクト、ひとめぼれ である)

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簡易エタ沈バンドは気の所為だったっぽい

うん、簡易エタ沈のバンドは気の所為だったらしい。何も出てこなかった。

ただ、正米を使ったエタ沈もワンステップも、とても短い断片たちのバンドが最先端に集まってできていることがちょっと気になります。これは気にしなくていいのだろうか……???

何にせよ何故か毎回スメってしまいます。スメア消えてほしい。何が原因なんだ……思い当たる節が多すぎて限定しきれない(TAEは使いまわし、酵素は1年以上前のもの、dyeも割と古くなっているetc……)。これも色んな助言をTwitterで頂きました。本当にありがとうございます。

 

とりあえずここまでの結果から私が出した結論は……

これは品種が確定している玄米で試すしか無いな!!!

ということでした。はい。

品種確定玄米でやっても駄目なら何でやっても駄目でしょうという気持ちです。

ですので近々品種確定玄米で同じようにやってみるつもりです。

ついでに、次回やるときにはDNAの濃度もちょっと検討したいなぁと思っています。胚芽からエタ沈で出すとき、今は米粒5粒のときと同じ量同じプロトコルでやってしまっています。最後50μLのTEに溶かすのが多すぎるのではないか?20μLくらいが妥当なのでは?と思っていたり。

そもそも最初に貰った助言では「ダイレクトPCRでは胚芽10粒」とおっしゃっていましたし、純粋に胚芽量が少ないのかもしれません(手元のサンプルが少ないせいでケチケチやってしまったのがいけない)。米が沢山手に入ったら、ダイレクトは5粒と10粒で組んでみようかなと思っています。あとワンステップも同様に5粒10粒で行きたい。

あとワンステップ法については、試薬をもう一度作り直して試したいですね。正米で出なかったのがよくわからないので。ワンステップは不純物に強い酵素じゃないと駄目なんじゃないかな…???

取り敢えず今週はここまででストップ。続きを試したらまたご報告させていただきます。あ~うまくいってくれんかしら。

 

 

ここからはおまけ

おまけで今回胚芽3粒、胚芽5粒、玄米胚乳部分、精米胚乳部分からエタ沈でDNAをとってきた時の色んな資料写真を載っけておこうと思います。

まずすり潰し→DNA抽出液入れてボルテックス→遠心 の結果がこちら。毎回右から順に胚芽3粒、胚芽5粒、玄米胚乳部分、精米胚乳部分です。

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やはり胚乳部分は半端なく不純物が多いのがわかります。胚芽はほぼないですね。

次が上清とってきて99%エタノール入れたとき。

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胚芽の方は濁りがかなり少ないです。胚乳は恐ろしいほど濁ります。

遠心した結果

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胚乳はDNAと共にかなり不純物が交じるのかかなり白いペレットが出ます。胚芽の方は既にこの時点でペレットが見えません。

エタノール飛ばしてTEに溶かしたのがこちら。

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胚乳濁ってる…ひたすら濁ってる。

ここに更に99%エタノールを5M NaClと共に入れ、エタ沈させ遠心、70%エタノールでリンスして、更に遠心したあとがこちら。

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胚芽の方もほんのり透明なペレットがありますが、胚乳の方は本当に汚いです。DNAあるぞ!!って感じもします。やはり胚芽からとれるDNA量少なめなんですかね。10粒使ってエタ沈したら変わるだろうか。

ということで、おまけでした。

 

 

今回の実験にご助言をしてくださった方々にこの場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございます……