あいまいまいんの生物学

あいまいまいんの生物学

生物教員の端くれが勉強したりプログラミングしたり。

日頃感じたこと思ったこと、出来事など

勉強したプログラミングなどの話

授業で使えそうな生物学の知識・雑談・小ネタ

などなどを紹介していきたいと思います

コメント大歓迎!気軽にコメントして下さい

生物教材共有のためのサイトはこちら

科学系デイリーニュースを英語で喋るPodcastはこちら

質問箱運用について

今日は私が生物の授業にて実践している「質問箱」という制度について紹介をしたいと思います。

 

 

何を思って始めたか(動機)

私が「質問箱」という制度を始めようと思ったきっかけは、以下のような生徒の事例を観測したからです。

  • 質問するタイミングや時間がなくて質問に来れない、または質問できずにそのまま忘れてしまう
  • 質問するのが恥ずかしくて質問ができない(本当は確かめたいことがある、分からないことがあるがそのままにしてしまう)
  • 疑問を抱いたタイミングが家庭学習時であったりふとした瞬間であったりと、質問したい時に教師が傍にいない

1つめについてはよくある話で、割とやきもき自分でしていた部分がありました。学校内で質問をしなきゃいけないとなると、授業の後、休憩時間、放課後などになりますが、生徒も教員も忙しく割とすれ違ってしまうことが多いです。せっかく疑問を抱いたのに、確認できないまま流すことになるのはお互い不利益です(生徒は理解できないまま終わるし、教員は何を理解させられていなかったのか分からないまま終わる)。

2つめについても実は沢山いるということが分かってきました。「分からない」と素直に言えるのって実は勇気がいることになってしまっているのかもしれません。私は「分からない」と素直に言える方が偉いと思っているのでどんどん言ってほしいのですが、生徒は往々にして「分かったような気がする」ことにして分かったふりをしたがるように思います。風潮があるので仕方ないのかもしれませんが、それによってせっかく抱いた疑問が意図的に消されてしまうのはもったいないですよね。

3つめについてはかなり大切で、時間が経つと何が分からなかったか分からなくなる所もあるので、疑問や質問は鮮度が重要だと個人的には思うわけです。しかも、大抵家庭学習中とかふとした時に持つ疑問というのは、些細なれどとても重要な疑問だったりし、教員としても是非収集したい一品です。

 

こういう事例を解消するにはどうしたらよいのだろうか?と考え、導き出したのが「質問箱の導入」という解決法でした。

 

質問箱システムの概要

質問箱を設置するにあたり、自身が目指したのは以下の性質を持つシステムです。

  • 自身が担当している生徒から質問文や図を教員に届けられるもの
  • 生徒から質問を送る際個人情報が収集されないもの
  • 生徒から匿名で質問文が届けられるもの
  • いつでも、何回でも質問文が送れるもの
  • 教員からの回答が生徒に提示できるもの
  • 教員から回答する際資料添付できるもの
  • 良い質問に関しては教員からの回答がすべての担当生徒にも提示(共有)できるもの
  • 教員からの回答の際こちらの個人情報(連絡先等)が生徒に伝わらないもの

動機の章でも話しましたが、私にとって大事なのは生徒が匿名で、いつでも、何度でも、気軽に質問できる環境を作ることでした。

加えて、教育関係者ですので、生徒と個人的なやりとりをしたり、連絡先を入手して連絡したりというのは禁止ですので、返答は個人宛でする方式をとれません。

ですので教員からの回答が関係ある生徒全員に提示されるような形式にしようと考えました。

というかそもそも生徒から来た質問は他の生徒も疑問に思っている可能性が高いので、共有すれば同じ質問を何度も捌く手間がなくなりますし、良い着眼点の質問ならなおさら皆に知ってほしい!というのもあります。

 

そんなわけで、結局とった形式は以下のようなものです。

  • 匿名で質問投稿できるGoogleフォームを作る
  • Googleクラスルームを開設する
  • 担当クラスにGoogleクラスルームのコードを示しクラスルームに入ってもらう
  • Googleクラスルームに匿名質問用GoogleフォームのURLを置いておき、生徒が常にアクセスできる状態にする
  • Googleフォームを通して質問がきたら、Googleクラスルームでその質問と回答を公開する

Googleフォームなら質問時個人情報を収集せずにやることができますし、Googleクラスルームを通じれば招待されている人のみに質問・回答を提示することが可能です。

ですのでこの形態をとることにしました。

 

結果

個人的な感触・概況

私が質問箱制度を開始したのは今から2年前くらいの時期で、そのころはまだコロナなんて全然関係がない時でした。

質問自体は思ったより頻繁に投稿されることはありませんでしたが、それでもちらほらと投稿があり、一部かもしれませんが生徒には活用されている印象でした。

コロナのせいで休校が発生した時には、少し質問箱利用が増えた気がしますが、そこまで顕著な変化ではありませんでした。休校が発生した当初は、「休校対応のために質問できる環境を作る」という流れが世間でも顕著になりましたが、私の質問箱をやった感触的には休校関係なく設置してあってもいいものではないかなと思います。

 

現在までで質問箱には120に上る投稿がされました。

内容は、

  • 基礎的なことの確認質問
  • 授業内容をより掘り下げた疑問に関する質問
  • 自分が気になったことに関する質問
  • 授業等に対する意見

の4つが主です。

基礎的な確認質問については、授業でこういうことがうまく伝わっていないんだなぁと、自分の中で反省に繋がり、授業改善に繋げられるのでこちらが大変助かっている印象です。

授業内容を掘り下げた質問や、日常生活で気になったことへの質問については、自分では思いもよらなかったものが多くあり、「なるほど 確かにそれは不思議だなぁ」と自分が勉強する機会を与えてくれています。これも大変助かっています。

授業等に関する意見については意外と寄せられており、生徒のおかげで改善された制度が沢山あります。例えば「質問フォームに画像も載せられるようにしてほしい」とか、「授業で使っているスライドやプリントをオンラインでシェアして欲しい」とか、私では分からなかった生徒の需要を伝えて貰えることで改善できた・対処できた点も沢山あります。これは当初予想していた使い方とは異なったのですが、個人的には良い活用法だったなぁと思っています。何より休校期間中のオンライン講義についてや、普段の授業について、時々感謝の気持ちを質問箱経由で伝えてくれる人がいて、それがかなり自分にとっては心の支えになりました。

 

生徒からの反応

生徒が質問箱に対してどう思っているのかはあまり調査するタイミングがなかったのですが、「休校期間中の対応に関するアンケート」を実施する機会があったので、それに便乗して質問箱についても生徒に向けてアンケートをとってみました。アンケートに回答してくれたのが一部の人なので、あまり正確な結果はとれていないのですが…

 

「質問箱を設置していることは自身の学習の助けになったと思うか?」という質問項目に対しては以下のグラフのような反応でした。

f:id:I_my_mine:20201217122357p:plain


思ったより助けになっているらしい!「なった」と「おおいになった」で70%近くの回答が得られたのは驚きでした。ごく一部の人しか使っていないかと思っていたので…

「質問箱に関し良い点または悪い点・改善方針等意見があれば教えてください。」という質問に対しては、以下のような意見が得られました。

  • 他の人の質問も見れるので、自分で気づかないところの知識が増え、内容を深められた
  • 皆が考えていることを知れて面白かったし刺激になった
  • 普段自分の質問が稚拙ではないかと声が掛けづらい部分があるが、匿名だと質問できるので良かった
  • 質問しやすくていいと思った
  • HPや資料などを回答とともに提示してくれるのが普段の質問よりも良い点だと思った

自分が最初「こういう需要があるんじゃないか」と思ってやったことが、生徒の需要にちゃんとはまっているようで、これらの回答を得られて本当に嬉しく感じました。

しかし一方で、

  • オンラインでの質問フォームでは表現しにくい質問や、長文の質問となると少々使いにくい

という意見もあり、確かにオンラインのフォームで伝えられるような質問や疑問ばかりではないよなぁという気もしました。やはり直接話して質問に答えるのも大事だな。

 

色んな意見を集約した結果の現在のフォーム

また、生徒からの意見によってフォームの形態も運営当初からかなり変更されました。

新しく実装したのは以下のような項目です。

  • 質問なのか意見なのか を選択するボタン
  • 質問の場合、皆に共有していいか それとも後日個別に回答してほしいか を選択するボタン
  • 意見の場合、回答が必要か を選択するボタン
  • 画像を添付できる仕組み

今の所はこれで回っている気がします!

 

質問箱設置の際に気を付けたいなと思ったこと

ここまでは質問箱のプラスの面を沢山書いてきましたし、私自身も質問箱はいい制度だったのではないかと思っているのですが、実際やってみて「これは気を付けなきゃいけないな」と思うことも幾つかあったので書き留めておきたいと思います。

 

文章から勝手に口調を想像しない

質問箱に届く意見や質問は、どうしても「文章」のみであり、発言主の生徒がどのようなトーンで、口調で言っているのかは伝わりにくくなっています。

それに対し、勝手にこういう口調だろうなと推測すると、精神的にダメージを受けることがあります。

例えば「〇〇を改善してほしい」「〇〇が分からない」という文章が質問箱に来たとしましょう。「文章に口調はない」と思って受け止めれば文章のまま、その文章が表現したいことだけを受け取ることができます。

しかしここで「このたんぱくな文章は怒りがあるからでは?」「私に対する嫌悪感を持ちながら文を打っているのでは?」という風に捻じ曲げて捉えることもできてしまうんですよね。

このように、どうとでもとれるはずの文章、口調の情報がないはずの文章に対して、勝手に自分でマイナスなものを想像すると、まぁ精神的にきついです。つまりは勝手に憶測するなってことです。

これを意識できていないと本当、グサッとくることがある。ここは気を付けてほしいですね……

 

自分の負担にならない程度でやらなければいけない

質問箱にはcloseの時間帯がありません。いつでも生徒が質問できるのがウリですが、同時にいつでも質問が届いてしまいます。

更に、通常学校にいるときにはあまり質問箱対応に時間を割くことができません。業務が大変ですからね……そんなわけで、必然的に勤務時間外での対応が基本となってしまいます。

現在の質問箱の投稿頻度ではそこまでプライベートを侵食している感はないのですが、もっと増えたり、はたまた自分の生活基盤が変わったりしたら、考えものだよなとはやはり思います。ある程度の覚悟で質問箱は始めなければならないものかもしれません。

自分の負担にならないように、回答作成の時間を絞るとか、生徒にも回答タイミングについて周知するとか、そういう対策をするのがおすすめです。

 

 

まとめ

質問箱は私個人としては勉強になるし役に立っている感もあるので楽しいけれど

プライベートも大事にしような!~完~ (雑)