あいまいまいんの生物学

あいまいまいんの生物学

生物学が好き。勉強したり遊んだり。

日頃感じたこと思ったこと、出来事など

勉強して面白かった話

授業で使えそうな生物学の知識・雑談・小ネタ

などなどを紹介していきたいと思います

コメント大歓迎!気軽にコメントして下さい

ゲームサイトはこちら

2024年度大学入試共通テスト追試 生物基礎・生物 所感

本試験はこっち↓

i-my-mine.hatenablog.com

i-my-mine.hatenablog.com

 

追試はすぐ問題でないなぁ……と思っていたらいつの間にかいつもの福島民友新聞さんが出してくれていた。ありがとうございます。助かります……。

www.minyu-net.com

 

答えはここに掲載されている↓

www.dnc.ac.jp

 

 

生物基礎

第1問

Aは2つの細胞小器官を取り出し色々実験し、それに関する問題を解くというもの。すぐわかるが細胞小器官Aは葉緑体、Bはミトコンドリアである。問3では湖表層のpHがどう日中変動するかをグラフで選ぶ問題が出る。この問題は新傾向だなぁと思うなど。

Bはセントラルドグマ。問6は6つ図を出されてどれが転写の正しい図か選ぶのだが、最初どこを見比べればいいか目がチカチカして解くのがちょっと大変だった。

第2問

Aは酸素解離曲線。からの立式。酸素解離曲線は改定後教科書では消えてしまっている内容なので、来年度以降どうなるのかなぁ……と思いつつ。式を立てるのは新傾向的だ。

Bは体温調節。結構ふつう。特に実験とかもないし。知識寄りかな。

第3問

Aは埋土種子の比較問題。ミズナラとシロザの種子の性質を簡単な実験で比較する。これは面白い。結構違うものなのだなぁ。

Bはトキとヒトデも高次消費者なのにどうして生態系への影響力が違うのか?を考える問題。いい疑問ではあり、問題の中でも一応の解が示されるのだが、本当にこれだけの要因なのだろうか……?そもそもトキ再導入前後で本当に生態系のバランスは変化しなかったのだろうか……。

 

 

生物

第1問

哺乳類の卵形成においてミトコンドリアの数が一時的に減少し、残ったミトコンドリアが増殖することでミトコンドリアDNAの塩基配列多様性が偶然の作用により失われやすくなる……という現象について取り上げられている。聞いたことがあるような気もするけれどどこで聞いたかも細かいこともはっきり覚えていない……。

基本的には知識だが問2、問3が分野横断的というか新傾向問題的というか。

第2問

ある昆虫の眼の原基細胞では色素Pが作られる。色素Pは眼の原基で物質1~4を経て作られ、その過程にタンパク質A~がかかわっている。それらの働きを失った突然変異体と野生型を用いて原基の移植実験を行い、移植片である眼の原基が色素Pを合成するかどうかを調べる……という導入。面白い。眼の原基だけ移すと眼の原基の細胞が持つ酵素の種類によって色素Pができてくるかどうかが変わるのが面白い。その上色素Pや途中の物質が宿主から移植片に移動するかどうかを考えないと結果がうまく読み解けないのもまた面白い。題材も目新しいし新傾向、といった感じ。〆の問題は遺伝。遺伝ちゃんとやらないとだめねぇ。

第3問

イネの野生型とタンパク質A突然変異体にジベレリンを与えてみるよ、というもの。その結果からタンパク質Aの働きを推測したり、ジベレリンに関わる受容体Rの変異体の挙動を推測したりする。大変シンプルな問題系だが受容体等生物の体内での情報伝達の仕組みをちゃんとわかっているかどうかが測れるいい問題だと思う。最後は仮説検証のための実験を考える(不適切なものを選ぶ)もので、これも新傾向だなぁと思うなど。

第4問

ミツバチの八の字ダンスと円形ダンスの問題。ワーカーがどのように飛行距離を知覚するかを調べる実験が提示される。縞模様を使ってやるのだが、「視覚なんだなぁ」「こんなきれいに結果が出るんだなぁ」と普通にびっくりした。そんな制御でちゃんとやっていけるのかい?と不安にすらなった。でも自分もなんの視覚的目印がない場所に入れられたら直線何m歩いたかなんてわからなくなっちゃうかもな。

第5問

生態系と物質生産の問題。最初の2問は知識、グラフ読み取り&考察なのでサクサクいける。

3問目から海水の物質生産を調べるために色んな温度、Fe添加orNOTでクロロフィルの量や海水中Nの量を調べる実験に入る。鉄があるとクロロフィルの量は増え(=植物プランクトン数が増え)、N消費が早くなるらしい。どうしてなんだろう。

ちなみに鉄を加えると海水中プランクトンが増える話といえばマーティンの鉄仮説だ。栄養塩類が十分あるはずなのに見合ったプランクトン数がいないHNLC海域において、鉄が頭打ちの原因になっていると考えて、検証のため鉄をまいたら増えた……というやつである。

http://www.metsoc-hokkaido.jp/saihyo/pdf/saihyo52/saihyo52-056.pdf

sci.kyoto-u.ac.jp

第6問

地球大気の変化と光合成をおこなう生物の進化について。最初は普通の問題だが、途中で色んな光合成生物のルビスコ活性のグラフが示され、それをもとに色々考えるものになる。植物のルビスコ活性ってこんなに違うのか、と驚いた。各光合成生物が出現した時期の大気中CO2濃度がルビスコ活性の最大値になる……というのが部分的にでも成り立っているならかなりロマンだけど、実際本当にそういう理由なのだろうか?(問題だと藻類はそれが成立していると言われているが)もっと違う要因でルビスコ活性が決まっている気もするけれどどうなんだろう。

 

完走の感想

教科書では見ないような新規題材が適切に使われており、面白い問題もあり、新傾向的問題もバランスよく含んでおり、良い問題だったと思う。自分の中で過去1面白いのは紛れもなくお茶会バソプレシンお嬢様だが。そのせいかそこまでの凄い興奮みたいなものはなかった。冷静に淡々と楽しんだ感じ。

個人的には生物基礎では埋土種子、生物では昆虫の眼原基とハチのダンスが好きだった。

あと生物に関しては本試よりも追試の方が簡単だったんじゃないか?と思う。捻りがほとんどない、というか……。考える問題にはなっているけれど、生物本試の方がより考える問題になっていた気がする(答えが本当にひとつに定まるか怪しい問題もあったが……。)。追試と本試で解きごたえが違うようになるのはよくないと思うので、その辺は是正されるといいなという気がする。