あいまいまいんの生物学

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「このシダ、PPG1だと何科なの?」ってなったときの話

シダアマチュアのまいんです。

シダをやり始めると必ずぶつかる壁があります。それは、

 

あるシダの種の科を知りたくてググると、ページによってこれだと言われている科が違う

というやつです。

何を言ってるんだと思うかもしれませんが、これはめっちゃあります。

例えばホウライシダを調べると イノモトソウ科、ホウライシダ科……

カニクサを調べるとカニクサ科、フサシダ科……

サトメシダを調べるとイワデンダ科、メシダ科……

ナナバケシダを調べるとオシダ科、ナナバケシダ科など!!!!

あげてったらキリない!!!!!!!!!

ってくらいめちゃくちゃこういうことが起こります。

ちなみにこの話はググった時以外でも普通に発生します。刊行されている図鑑でも本によって科名が違うぞとか、植物園のネームプレートでもこことあそこで言ってること違うぞとか。もちろん人でも発生します。あの人とこの人の言ってること違う!っていう。めちゃくちゃ頻発するんですね。本当にめちゃくちゃ!!!あるんです!!!!!

 

で、我々初学者は混乱してしまいます。「一体どれを信じればいいの~!?」という。

この記事では、

  • そもそもどうしてこういうことが起こるの?

ということをざっくり俯瞰しつつ、

  • PPG1での科名を知りたかったらどうしたらいい?

というのを、自分なりの方法にはなりますが紹介していけたらと思います。

あくまで自分なりの方法なので、もっと良い方法や正確性の高い方法が世にある可能性は大です!!!!!!!!!参考程度にしていただけたら幸いです。

 

 

どうして皆違う科名を言うんだ?

いろんな文献、いろんなページ、いろんな人……これらが同じ種に対し、違う科を述べる原因は様々です。

具体的には、

  • 参照している分類体系が古い
    • 分類体系が古いと、科名が異なる可能性はめちゃくちゃあります。この可能性は本やHPの場合は、出版年月や記載日時を見ることで解決することがあります。
  • 参照している分類体系が違う
    • シダの分類体系も色々あります。派閥みたいなもので、それぞれの分類体系では科の分け方や属の分け方が違います。参照している体系が異なれば、主張する科も異なる可能性は大です。今見ている文献等において「どの体系を参照しているか」が明言されていればスッキリすることがあります。

といった可能性が考えられます。あとは単純に間違っている場合もある。

個人のホームページ、および様々な人が情報提供する系のページでは、いろんな文献や植物園のネームプレートをそのまま信じて各々が記載するせいで、様々な分類体系や年代の情報が混じってしまっている場合があります。ので、あまり信用しすぎると困ることがあるなぁという印象です(もちろんちゃんとしてる人もいますよ!)。

ここから何が言えるかというと、

科がページや文献、植物園、人ごとにブレるのはしょうがねぇな!!!

ということです。諦めよう。

 

どの分類体系を使うかをまず決めよう

ここからは自分の話になります。自分が科を調べたい、または科を言いたいときに、混乱しないためにはどうしたらいいのか?

答えはひとつ。

どの分類体系を使うか決めよう。

要するに、初学者が科名で惑わされてしまう原因は、自分の派閥である分類体系がないからで、使用する分類体系を決めさえすれば、正しい調べ方も決まるし、もちろん科名もひとつに定まるし、惑わされることは減るわけです。

ですから皆さん、分類体系を決めましょう。

お前はどの道を行きたいんだ?

俺はPPG1でいく。

ということで、私はPPG1で考えるように決めているので、ここからは「PPG1でこの種がなんの科なのか知りたい!」ってなったときの検索方法をご紹介します。

 

本題!「このシダ、PPG1だと何科なの?」を調べてみよう(実践)

繰り返しになりますが、ここから紹介するのはあくまで独自の方法です!!!!!

ので、もっと良い方法がこの世にはあるのかもしれません。というかたぶんあります。

ですから、本当に参考程度にしていただければ……と個人的には思います。こんな強いタイトルなのにへっぴり腰でスミマセン。

 

さて、では早速やっていきましょう!

具体例としてホウライシダが、PPG1では何科なのかを調べてみましょうね。

 

1.学名を持ってくる

まずはホウライシダの学名をどっかから連れてきます。これは適当に持ってきても割と問題ありません。それっぽい信頼できそうなサイトから、ホウライシダの学名を連れてきましょう。

学名は斜文字のアルファベットで書かれているやつです。

ホウライシダの場合、ググると一番トップに出るのはwikipediaで、そこでは

Adiantum capillus-veneris L.

と出ます。取り敢えずこれを使いましょうか。

 

2 学名の「属名」を拾ってくる

1で得た学名から、属名をゲットしましょう。

学名は常に、「属名+種小名(+α)」という構造をしているので、先頭のアルファベットの並びが属名です。

つまり

Adiantum capillus-veneris L.

なら

Adiantum が属名ってこと!

この属名をコピーしておきます。

 

3 PPG1で検索

次に、下のリンク先を開きます。下のリンク先で、PPG1の分類体系を参照することができるのです!フリーアクセスありがとう。神。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jse.12229

で、ここで検索をかけましょう!ページ内検索ってやつですね。Ctrl+Fで検索窓が出るはず。

出たら2でつきとめた属名を入力!検索!太字でAdiantumが表示されているところまでいく!出たか!?するとAdiantumの場合は

Subfamily Vittarioideae……

みたいな文章から始まる段落に行く着くはず。

で、行き着いたらここから科名を探します!!!!科名は基本的に-aceaeで終わります。だからAdiantumからページを上にスクロールしていって、どの-aceaeに含まれているかを突き止める!(-aceaeが分からかなくても、PPG1の場合は科名の横に番号が振ってある!番号から始まる段落を見つけたらそれが科名だよ!!!たぶん!!!!)

すると

Family Pteridaceae……

とあるので、PteridaceaeがホウライシダのPPG1での科名になるわけ!!!

 

4 英語の科名を日本語に直す

しかしPteridaceaeと言われても何科かわからんが?と言って、Googleのページ翻訳機能を使うと……ドボン!

まじでGoogleの翻訳機能は当てにならないので気をつけてください。科名が全然違うように翻訳されてしまいます!しかもありそうな名前に翻訳される(別の科の名前とか)のでたちが悪い。

ここは科名をコピーして、Googleの新しい検索窓に「Pteridaceae シダ 科」なんかのワードを並べて検索をかけてみましょう!

すると「イノモトソウ科」と出ます。個人的には上の検索ワードに「nibb」と入れて、nibbのページで同じアルファベット列がその科で表示されるか確認したいところ……。

 

やったね!ホウライシダはPPG1だとイノモトソウ科だとわかったよ!!!

無事ゴールです。おめでとうございます。

 

 

上の方法でうまくいかないときもある!

で、こんなふうに調べるとPPG1での科名を確認できるわけですが、うまくいかない時があります。具体例と解決法を下に思いつく分あげておきます。

属名がPPG1でひっかからない

めっちゃあるパターンです。引っ張ってきた学名の属名が、PPG1では使用されていない場合があります。

こういう時、私はGBIFを使います。

www.gbif.org

GBIFの検索窓に、一応調べた学名をつっこむと、高い確率で近い学名がヒットします。ちなみにAdiantum capillus-veneris L.を全部入れると一発では学名がヒットしません。「L.」を消してAdiantum capillus-venerisで検索するとAdiantum capillus-veneris L.がヒットします。こういうこと、よくあるので、もしヒットしなかったら属名+種小名になるまで削るとか、和名で検索して出てくる別の学名を突っ込んでみるとかしてみてください。

で、ヒットしたページを開く。するとページの先頭の学名の上に、「種|アクセプトされた学名」とか、「種|同タイプシノニム」とか表示されるんですね。シノニムの場合は学名とかの下のところに「~のシノニム」という表示があって、その横に表示されている学名を押すとアクセプトされている学名のページに飛ぶことができます。

ちょっとまて、シノニムってなんだよ?

って思う人もいると思うので、シノニムについて説明すると、同一と見なされるものに付けられた複数の学名のことを指します。つまりは別称みたいなものかな……。

こう、別の場所で似たようなタイミングで種が発見されて、違う名前をつけられたけど、それらは同じでした!ってなったときに、ひとつの学名に収束すればいいんですが、どっちも使われ続けちゃうこともあるんですよね。それ以外の発生要因もありますが、とにかくシノニムっていうのがあるんです。

ちなみに「バソニム」っていう言葉もGBIFでは出てきます。バソニムは、今のアクセプトされる学名になる前の、変更基の学名のことですね。

とにかく!何が言いたいかというと、「自分が調べて引っ張ってきた最初の学名は、シノニムだったり、PPG1で使われてない属名の表記を用いた学名だったりしたかもしれない!」ってことです。なので、このGBIFの力を使ってPPG1で使われている表記を突き止めることができれば、科名を探ることも可能、ってわけです。

GBIFの「種|アクセプトされた学名」のページの下の方では、「GBIF のオカレンスに適用された名前の使用法」という欄があって、そこでシノニムの一覧を確認することができます。その属名を片っ端からPPG1で検索かけましょう。いや、片っ端からよりは、アクセプトされた学名から行くほうがいいとは思いますが。

ちなみにGBIFには各種ページの右下に「分類」というボタンがあって、押すと分類が確認できちゃいます。が、私はあまり信用せず、参考程度に使っています。最後はやはりPPG1ご本家で確認したい。結構あってると思うんですけどね。

 

科名が日本語でヒットしない

それはどうしようね。シダの科ってぜんぶ日本語の名前がついているわけじゃないので、そういうのを引いてるのかもしれません。そうじゃなくて単純に検索が悪いのかも。

そうなったらnibbの系統樹から頑張って同一文字列の科を探すのもありかもしれません。

 

シノニムの属名がふたつPPG1内でヒットする

これもあるんだなぁ……。

どういうことか軽く説明すると、1つの種があるじゃろ?シノニムが2つ以上あって属名が違うじゃろ?どっちの属名でも検索かけるじゃろ?PPG1でどっちもヒットするんじゃよ……。

でもこの場合は大抵(経験則的に)どちらも同じ科にはいると思うんで、科名はわかったということで……。

じゃあPPG1内での学名はどっちになるの?というのまで知りたくなったらもう一歩踏み込まないといけません。が、まぁ今回は科名の話なので置いておきましょう。

もし、万が一、シノニムのふたつの属が別の科でヒットしてしまったら、SOSを出してください……。いや、私が助けられるとは言い切れないけれど、一緒に頑張って探します……!!

 

他に使えそうだな~と思いつつ使えてないもの

他に、ゆるふわ生物学さんで以前ご紹介されていた下のサービスも使えるのかな?なんて思っていたりするのですが、自分は使いこなせていません。誰か使い方教えてください。

fernphy.github.io

今のところの上のサービスの理解は、下のエクスプローラーの検索窓に学名を_で繋いだ状態で入力すると情報が出てきて……

fernphy.shinyapps.io

で、Taxonomyからncbi-taxidの番号をクリックすると、その先のページのLineageで科名が見れるって感じかな???もっと手軽に使える感じだろうか。分からぬ。

 

他にももしかしたら、日本語で一発PPG1検索がかけられるようなサービスもあるのかもしれません。自分は知らないです。もし知っている方がいらっしゃったら教えていただきたいです。

というか上の方法も本当に個人的なやり方なので!!!!!!あまり信用しきらないでもらえたらと思います。一応PPG1のソースにあたってる分、正確性は高い……方だと……思っているんですが……。もっと良い方法があればいくらでも教えて頂けると幸いです。