あいまいまいんの生物学

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2023年度大学入試共通テスト追試 生物 所感

基礎はこちら↓

i-my-mine.hatenablog.com

 

生物もやっていくわよ!!!!

問題はここ↓

https://www.minyu-net.com/nie/img/230129s-1.pdf

解答はここ↓

www.dnc.ac.jp

 

 

第1問 MHC抗原(タンパク質)

リード文は普通。MHC抗原についての紹介がさっぱりとされています。

問1は「生体膜に存在するタンパク質」を選ぶというもの。正答だけ妙に詳しい文章になっちゃっててちょっとおもしろい。ただの知識ではありますが、「どこで働く」というのは理解がないと選べないかもしれません?理解というか、意識して学ぶというか。

問2は物質Mとか受容体Nとかシグナル分子Pとか、とにかく免疫反応が生じるまでに起こる反応を謎の登場人物で説明した上で、実験の結果から考察をしなさいというもの。特に難しくはないですが、文章の読解、状況理解と、知識活用を要する問題ですね。

問3はヒトのMHCについてちゃんと理解してるか試す知識問題。ちょっとだけ細かいけれど、これくらいなら普通に二次試験とかでもありそうなレベル。

 

総評

特に複雑な実験などもなく、ただの知識と読解という感じでした。免疫の分野はやはり細かいところまで押さえないと今後は太刀打ちできなさそう。

 

第2問 卵膜と受精

卵膜や受精についての問題は二次試験でもよく見かける気がします。が、知らない受験生にとっては面白いだろうと思いますね。

今回は種A、種Bという二種から得たタンパク質X(卵膜に含まれる)を用いて実験が始まります。表1がめちゃくちゃストレート綺麗な結果になってて嬉しくなっちゃう。その後行われる実験2についても、大変美しい結果です。ノーストレスで解けそうですね。

問1は実験結果読み取り。ふたつの実験を合わせて考えますが、上でも述べたように今回の実験結果はかなり綺麗な上難しくないので、難なく応えられるかと思います。

問2は新キャラ:タンパク質Wなるものが出現し、実験3が行われます。ですがこれもまた綺麗な実験ですし、難しくありません。考察問題ではありますが、ちょっと知識を用いつつ、状況が理解できていれば難なく答えられるでしょう。

問3は卵膜を作るタンパク質Yについて述べられます。タンパク質Yを数珠つなぎにしないといけないけれど、「変異遺伝子と正常遺伝子とのヘテロ接合で、卵膜が形成されるものとされないものがある」と述べられるんですね。いいですね~変異の仕方で、ヘテロ接合でも結果が変わるの面白い……。問題自体は理解できれば簡単に解けちゃうものですが、こういう現象自体は楽しいなと思います。

 

総評

物凄く目新しい題材、というわけではありませんが、実験自体が綺麗な上、比較的ストレートで、ほんのちょっとだけ頭を使いながら解いていく感じが軽快でよかったです。そんなのもあるのか!そんな要素も関わるのか!ってだんだん分かってくる系好きなのかも。

 

第3問 トゲウオ科の棘と進化

初めて見た題材です!!!めちゃくちゃおもしろい。トゲウオ科のある種の魚は、海洋型と淡水型(海洋型から進化)がいて、

海洋型では腹びれが変化した腹棘と硬い鱗板があるけれど、淡水型ではどちらもないのだそうです。

で、これは淡水型で遺伝子Xが変化したせいじゃない?といって問が始まります。わくわくしますね!!!

問1は四足動物の後肢に関する問い。知識ですね。この問題の選択肢だけでめちゃくちゃ分野横断してる(発生、神経、地質時代、ヒト進化)。

問2は交配の問題。遺伝子についての理解があれば、即答できるものなので特に難しくはありません。

問3は実験デザイン!!!ちゃんと前提を理解し、問題文を読解し、実験を組んで何が観察できたらいいのか?を考えないといけない上、知識が必要……!かなりバランスがよく、新傾向的な問題でGOODだと思います。

問4では腹棘の喪失の原因である遺伝子Xと、鱗板の喪失の原因である遺伝子Yが、様々な淡水域にいる子を比較したときに変化の仕方が違うらしいということが述べられ、そこから考察を行います。これもなかなか面白い問題です。進化と遺伝子変化に関する理解や知識が必要ですね。読解力も必要です。

問5は遺伝子型Yyの交配によって得られた子を育て、なぜ鱗板を喪失した集団が淡水域で進化したのだろう?をその結果から考えるというものです。交配についての知識が必要、図の読み取り力も必要です。こういうことを考えるのは面白い!良い問題だと思います。

 

総評

概して自分が好きなタイプの題材と問題でした。知識、理解、活用すべてがどの問題でもうまいこと入っていて、その上難しすぎない、複雑さがひどくない。良問だと思います。若干気になる点としては、交配についての知識が何回も重ねがけで試される構造になってしまっているところかな?あとはやっぱり進化を最後に置くとちょっと楽しい問題になりますよね(とはいえ共通テスト1年目みたいな悲劇を繰り返してはいけないので、乱用はよくない……)。

 

第4問 ルビスコ二酸化炭素濃度、気孔分化

植物ってなんで毎回ちょっと重いんだろう?今回もリード文からなんとなく軽快さがありません。いや、言ってることは正統なことでしかないんだけど……。

問1は光合成と光エネルギーの関係についての知識問題。まぁただの知識でしょう。正答がわかりやすいから大丈夫。

問2はグラフからの考察。実は誤答がかなり明らかなのですぐ答えられる構造にはなっているんですが、誤答が④にあるせいで、上から順番に検討していくと時間を食いそう。

問3は実験結果のグラフを見て、モデル図を考えるというもの。難しいものではないのですが、落ち着いてやらないとこういうのって大変なんですよね。知識はいらないので、これは単純にその場の対応力だな。

問4は実験。気孔の分化を調べるものです。へーこんな感じになるんだ、と思ったり。この実験自体は難しくない上、問1~3も関係ないし、知識もいらないので簡単だと思います。

問5は問2~4を総合して、地球の二酸化炭素濃度が急に上がったらどうなるかを考えます。明らかな連動型じゃん。いいのこれ?本試験の植物分野で感じた苦しさよりはよっぽど簡単で楽な問題でしたが、なぜか心臓がきゅっとなる。

 

総評

なぜ共通テスト生物の植物分野で毎回私は微妙にストレスを感じるのだろう……。謎ですね。とはいえ今回のものはそこまで酷い複雑系でもなかったので、ストレスは軽めでした。途中知識全然要らない問題がふたつ連続した上、最後が連動型問題なのはどうかなぁ。

 

第5問 植物の受精

春の植物園を散歩するふたりの会話。すごい会話ですねこれ。春の植物園で高校生が散策しながらする会話じゃないと思うけどな。春の植物園で「重複受精」「性染色体」「ホメオティック遺伝子」「論文」「系統樹の作成法」って言葉出したことある人どれだけいるの????これが理想的な会話なのかな。

問1は植物の進化に関する問題。知識!「胞子」って言葉が出た瞬間「シダ問題じゃね!?!?!?!?!!?」って期待してたんですが、ここで若干シダ問題になってたので嬉しかったですね(シダ森林時代について触れていたり、胞子が発芽したら何体になるかが選択肢に入っていたりする)。

問2は被子植物の配偶子形成と種子形成。うん、普通に知識!!!

問3は重複受精後の各細胞の染色体数を答える問題。簡単!知識!!

問4は作った系統樹から考察をする問題。そんなにひねったものじゃないから、ちょっと考えて整理すればいける。知識不要。

問5は性染色体とホメオティック遺伝子を絡め、雄花と雌花の形成について考える問題!これは面白いかも。なるほどねってなりました。知識と理解、その上分野横断だね。

 

総評

このレベルの会話を春の植物園散策でする高校生がどれくらいいるかは別として、こういう会話がもし高校生の間で本当になされていたら私、自信なくなっちゃうなぁと思いました。

まぁそんなことは置いておいて、若干知識多すぎるのでは?ひねりもないし、ストレートだし。計算も大したものじゃないし。問4は知識いらないしね。

問5は面白かったです。こういうレベルの問題がずっと続くのが共通テストのイメージだったけど、これは途中までセンター試験って感じでした。

 

第6問 脊髄反射、骨格筋

問1がめちゃくちゃ「おもしろいじゃん!!!」ってなっちゃいました。筋繊維が多核なんですが、それが核分裂のせいなのか、細胞融合のせいなのかをジャッジする実験を考えるという問題です。よくないですか?しかもその方法として、複合体形成をするタンパク質(電気泳動法で種類ごとにバンドに差が出る)を用いるという。え~綺麗じゃん!!いい発想だなぁ!!!

問2はただの知識。神経に関する本当にストレートな知識。

問3は膝蓋腱反射の経路埋めと計算。って言ってもこれくらいの計算はきっと問題集で普通にやってるし、膝蓋腱反射の仕組みも勉強してる……わからなくてもちょっと考えればわかるでしょう。

 

総評

問1に感動しました。

それ以降は普通かな。

 

 

完走の感想

2週間前に本試験を解いたんですけど、(記事はこちら↓

i-my-mine.hatenablog.com

 

圧倒的に追試の方が簡単!!!!

いやもう絶対にそう。違ったらびびる。追試の方が難易度低いよ!!!!!!!

本試験はめちゃくちゃ頭使って、「うわ~受験生大変だなぁ」なんて感じることも多かったのに、今回はサクサク……共通テスト模試かな……ってレベルで解けちゃいました。なんだろう、まずは条件が込み入ってないのかな。本試験が複雑系が多かったのに対して、今回は割とあっさりした系が多かった気がします。あっさりしてるか、実験結果がかなり綺麗でストレスフリーなものか。

答える時の戸惑いもほぼなかったです。ちゃんと考えたらだめな選択肢とかもあるのかもしれませんが、さらっと解いた限りはむむむ!となるものはありませんでした。

計算も簡単だしね……ていうかグラフ選択とかもなかったな。そして妙にストレート知識問題が目立った。数問はなんのひねりもないストレートだったので、まさにセンター試験といった感じのものでしたね。

共通テスト的な良問もなかったわけではありません。特にトゲウオ科の話はよかった。ワクワクする題材が若干少ない気はしたかな。もうちょっと増えると嬉しいなぁ。

 

共通テスト生物、難易度が、年によって、そして本試験と追試という種類によって、本当にバラバラで、中身の組成も毎回かなり変わっているのでかなり厄介だなぁという気持ちになってきました。一体どこに収束するつもりなんだ。過去の共通テストの中で、大学入試センター側が考える「最も理想的な共通テスト生物」が一体どれだったのか示してほしいくらいです。そうしたら今後、どういう問題がどういう比率で出るか分かるじゃん……?

まぁ、そんな情報が出ることはないだろうな。数年間様子を見るしかないのかなぁ。