最近、というか、ちょっと前からだと思うのだけれど
Tik Tokという動画共有アプリがある。
Twitterで頻繁にプロモーションが来るのと、若者文化っぽいなぁという理由で
なんとなく使うことのないまま素通りしてきたのだけれど、
つい先日その話をしたら相手に「Tik Tok面白いよ!」と言われた。
で、実際にインストールしてみると
なるほどアプリの加工技術が面白い、というか凄い。凄まじい。
トラッキング技術の高さが比類ないもので感心させられ、
こんなに簡単に動画編集でき、かつ「短くなければいけない」という制約が逆にダラダラと見続けなくて良いという楽さを作り出し
同時に作り手側にとっても敷居が低く
そんな動画アプリなら流行って然りであろうなぁという気持ちになった。
話は打って変わって自分の職場の話をしたい。
私は授業を全てPowerPointで作ったスライドで行っている。
というのも、PowerPointで作ってあると画像やイラスト、アニメーションや動画が示しやすいし、
何より板書に時間がとられることもなく、
授業の流れもPowerPointを作る過程でしっかり構想できるし、
何度も何度も同じ授業をやるのであれば非常に効率が良いと考えているからだ。
しかしそんな私の授業を一度も見ないままに
年配の先生は「PowerPointで授業をしている」というだけで眉をひそめる。
まぁ自由だけどね…という言葉の端に、なんで黒板を書かないんだ、教員としてどうなんだという含みを感じることが多い。
私はそういう目に合うたびに、
なんでこの人は便利なものの便利な部分を使おうとしないのだろう、
自分が守りたいものは勿論守れば良いけれど、
自分が成し遂げたいことがそのツールを使ってできるという話ならそれ「も」採用すればいいのに、
そしてそういう風に授業が作られていくものだという認識で多様な在り方を認めていけばいいのになぁ、ということを感じていた。
新しいものは害悪などではなく、
むしろ何かの需要をもってしてこの世に産まれてきたものなのだ。
その価値が欲する人には分かるし欲しない人には分からないので
欲する人は使えばよいし欲しない人は使わなければよかろうというそれだけで
ただ欲しない人がそのツールを否定する権利なんてどこにもないのだ、と思う。
そう思っていたはずなのだけれど、今回冒頭で述べたTik Tokについて
自分はどちらかというとPowerPoint否定派みたいな人たちに近い立ち位置をとってしまったのではないか、
とTik Tokを使ってみて反省した。
要するに、新しいものや一見「若者文化」に見えるものに踏み込みにくくなっているんだと思う。
それがもしかしたら今までのPowerPoint否定派の人たちも共通したことなのかもしれない。
試さずして足踏みして遠巻きに、自分の世界を崩さないままで生きているのだ。
それは、きっととても「勿体無い」ことだろうと思う。
自分は今まで色々新しいことをやってきたつもりでいた。
前任の学校では生物の実験が一切なされていなかったので一から実験カリキュラムを作ったし
休日に有志の生徒に発展実験の場を与えた。
Google Driveを使って授業で使用したスライドやプリントの共有も行い、どこからでも授業内容を確認できる体制も作ったし
Google Groupsを使って授業時の質問を常に受け付けられるようにもした。
また、希望者だけでキャンベル生物学の輪読会も行うことでよりディープな議論ができる場も設けたし
今は生物の広報を週一回で配布するという試みを行っている。
色々不便を感じることを、
色々不満を感じることを、よく変えていくことができる技術が時代と共に必ず産まれてくる。
だからその産まれてくる技術をうまく使いながら私達は
「痒いところに手が届く」を実現していかなければならないと思う。
そのためにも今回のように、新しいことをまるで拒むような
そんな姿勢を見せてはならない。
一見異分野、一見関係ないことも全部繋がっているのだから
やはり幅広く勉強していかなければならない。
そう改めて思い直せたので、Tik Tokには感謝したい。
あぁ、知らない内に老いていくところだった。
取り敢えず、今日科学部で悶々としていた部分を変えるために一歩踏み出してみることにした。
個々人がやっていることが不透明なので、
できる限り無駄を省いて機能的な中間発表会を設けることにした。
だらだらやらずに、でも生データを使いながらきっちり議論できて、
可能な限り誰かがメモをとらずとも発案者が文字で書き留めて回収できるような、そんな形を目指したい。
他にもやりたいことがある。
それは授業時の質問回収だ。
目安箱型とか、ノート型とか、授業時に浮かんだ質問をする場合は授業内でネットが使えないから紙媒体がいいかなぁとか考えつつ、
返答はオンラインがいいなぁという気持ちでいる。まだここは考え中。
ただ、ここに関しても学校は閉鎖的なので、オンライングループを作ることなどに批判的だ。どうにかしてほしいものだ。
変化を拒まず、新しいものを味方に!やり方を模索していきたい。