あいまいまいんの生物学

あいまいまいんの生物学

生物学が好き。勉強したり遊んだり。

日頃感じたこと思ったこと、出来事など

勉強して面白かった話

授業で使えそうな生物学の知識・雑談・小ネタ

などなどを紹介していきたいと思います

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本を読んでも知識が抜ける

身体が怠くて重くて辛い休日を送っている私です。

2日間のほぼ大半をベッドの上で過ごした。

なるべく寝ているけど中々良くなる兆しがありません……。

 

自分の場合、過度に疲れるとまずは呂律が回らなくなります。

人の名前や語彙等の想起に時間がかかるようになり、普通に喋ろうとしても言葉がうまく流れていきません。

末端神経感覚も鈍くなり、手先で感じる寒いとか熱いが減るというか、反応が鈍くなります。

そして、夢の数とディテールが格段に上昇します。普段からめちゃくちゃ夢を鮮明に見るタイプなのですが、それが更に数が増えるし解像度が上がる。

もっと酷いと寝床について目を瞑ったときから、頭の中に謎の思考?文字?がいっぱい流れてきて、五月蝿くて寝られなくなります。物凄く五月蝿い。音がするのではなくて、存在が五月蝿いというか……

あからさまに脳がおかしくなっているのを感じるので、頭ってちゃんとキャパあるんだな~とか、それを超えるとおかしくなるんだな~とかぼんやり思ったりしています。

 

さて、話は戻りましてここ二日間ずっと寝てばかりだったのですが

時々起きては本や雑誌(ナショナル・ジオグラフィック)を読んだり、さかなクンyoutubeを見たりしていました。

雑誌は特に面白く、自分がもともと知っていることに加えて、へぇ~ってなること、新しいことが多くありました。

……が、一回読んだだけだと、読み終わった時に、

すぐならばその面白ポイントや新たな知識は分かるのですが、時間が経つと完全に消えてしまうのです……

何が面白かったのかもわからなくなっちゃうし(よっぽど印象的ならそんなことないけれど

ヒントが完全に無になってしまうというか。

自分にとっておきたい知識だったのになぁ、となります。

これは、疲れた時はかなり発生する現象で、普段でも割と頻繁に生じます。

しかも、読んだ本自体忘れることもあるのです。

「忘れた」ことを自覚すると、途端に物凄い虚無感に襲われるというか。「あんなに面白いと思ったのに忘れるなんて……しかもこんなに綺麗さっぱり忘れるなんて、自分の脳はなんてキャパがないんだろう」とか「あまりにも低能なのではないか?」とがっくしきます。情けねえ……

この現象が、自分だけに起こってるんじゃないかとも思っています。周りの人は、案外本のことや中身についてよく覚えているようで、一度読んだだけでよく頭に入ったままになるなぁ……と驚いています。

 

一時期はかなりこの忘却構造に対して凹んでおり、自分は無能だと落ち込んでいましたが

これはもう自分の脳の構造の問題であって、しょうがないんじゃないかと思うようになりました。

だとしても、やはり面白い知識はとっておきたいわけで、どうしたらよいか考えて……

結果、自分的には、手間はかかるものの「Scrapboxかnotionに書く」「ブクログに読んだ本の記録と本の感想を書き留める」という方法で解決するようになりました。この方法でだいぶ定着します。要するに再想起と、目に見える形で抜き出して整理しておけばどうにかなるという感じです。

 

Scrapboxとnotionは非常に使いやすいオンラインサービスで、かつ自由度も割とあるので、よく使っています。通常の本……雑学本とか、ブルーバックスとかの場合はScrapbox、もうちょっと知識の体系を作りたい教科書などの場合は、notionで整理をしています。

書き留めることは基本的に、本の中で欲しい知識やアイデア。あと自分が考えたこと思ったことも書くことがあります。

また、検索することもかなりあるので、そのリンクも一緒に貼っておきます。有用そうな画像があれば、それも貼っておきます。

こういう整理の過程を通して、自分が得たかった知識が入ってくるし、

たとえ得られなかったとしても、後からぼんやりとでも「こんな知識を整理したような……」と、断片が思い出せるようになりました。

断片だけでも出てくれるのはありがたいです。迷子感がない。

何度も想起して確認する内に自分の頭に入りますし、

何よりScrapbox上などで整理した知識は正確度が高い(自分がなんとなく覚えているものは間違っていることがある)ので、助かっています。

ノートだと手で書くスピードやインク量に律速されるので、自分はタイピングのほうがいいか……とそれらのサービスを使うことにしました。

本等の記録の場合は、案外「最小限」を抜くよりも、がばっと大きく拾ってきたほうが大事だったりする気がします。無駄っぽい所が無駄じゃないというか。

 

あとはブクログですね。ブクログは、私が何を読んだかを想起するのに非常に役立ってくれました。ありがたい……。

しかも、本と本の中身を紐付けられるのが良いです。

「おすすめの本ないですか?」と聞かれた時に、「あの内容の本のタイトルはどれだっけ?」と思っても、それっぽいタイトルの本が沢山世にはあるので判別ができなかったりする。

でもブクログなら自分が読んだ本がピンポイントで分かるし、中身もそれぞれ自分が書いた感想で想起できるので、本当に良い本を薦められるようになりました。

もっと早くから使っていたかったなと思います。

 

まぁ、こんな悩みで困っている人はそうそういないのかもしれませんが、自分なりの解決法の紹介でした。

ちなみに、昨日今日で読んだ雑誌の中身はまだまとめていません。10箇所もないくらいだし、今からサクッと抜きたいところ。

2021年度大学入試共通テスト追試 生物 所感

追試終わりましたね!

全国の受験生の皆さんお疲れ様でした。

 

本試の所感はこちら

i-my-mine.hatenablog.com

 

第二日程も、既に問題が掲載されています。仕事が速い! 

2021年度 大学入学共通テスト速報 第2日程(1月30日・31日) | 大学入試解答速報 | 大学受験の予備校・塾 河合塾

 

早速生物基礎・生物を解いてみました。

問題と答えはこちらからどうぞ。

生物基礎 問題

生物基礎 解答

生物 問題

生物 解答

 

生物基礎

今回はゆるゆると解いたので時間はかかっていませんが、大体第一日程と同じくらいで解けたと思います。

もっと早かったくらいかも。

 

第一日程と変わらぬ難易度?

中身的には、新傾向的な新規題材も一部取り上げつつ、それでも基礎知識に基づけば解けるかなという、生物基礎らしい難易度だった気がします。

知識と思考のバランスもいいかな。

しかし、第一日程ほどストレスなく解けるものではなく、なんというか、「この文変じゃない?」とか、「これ答えでいいのか……?」とちょっと不安になるぐらつきも少々ある。これ皆さらっと解けるのかな。そういう意味では第一日程の方が完成度が高かった気がします。

加えて第一日程では出ていた実験デザイン系の問題がなかった。簡単な計算問題に置換された感じですかね?

あとは、新規題材といいつつどこかで見たことがあるようなものが多かった気が。個人的には全てを総合して第一日程の方が好き。

 

大問ごとの所感

第1問

前半はサンゴの共生をテーマにとり、細胞構造と代謝について聞くやつ。

後半はDNAについて。

もしかして第一日程と同じ構成?っていうくらい問題が被っている気がします。

何より一問目が「酵母は真核生物!」っていうのをまた答えるやつだったし。これ第一日程でも見た。共通テスト作る人酵母推しなのかな。第一日程解いてたら有利になっちゃうやつでは?

あとはサンゴの方については、ネタや持っていき方は工夫されているけれども会話文に違和感が……アキラの「褐虫藻が共生したサンゴは、餌だけではなく、光合成でできた有機物も利用してるんだって。」という文がちょっと変な気がします。

伝えたいこととしては、サンゴは能動的に餌をとって食べる+褐虫藻が作る光合成産物も有機物源として使う、なんでしょうが

サンゴが自分で餌をとるイメージがない人からしたら、この文は「サンゴが褐虫藻を餌とするし、光合成産物も使う」みたいに見えませんか?私だけか……

ゲノムの方はなんかトンチみたいな問があって、聞きたいことは分かるけどもという複雑な気持ちになりました。

 

第2問

じんぞう と しんぞう。ダジャレか?

腎臓は非常に当たり障りのない普通の知識問題と普通の計算問題。真面目に普段取り組んでいれば解けないわけがなかろうよ。こんなレベルの計算問題を二つも出す?

後半の心臓はグラフと心臓構造と知識を結びつけるやつ。とはいえ既視感あり。どこかで見たことがあるだろうし、大抵初見ではう~んと少し悩むだろうなという感じ。

第2問は総じて普通なので、なんていうか、模試みたい。真面目にやった人にとらせる問というか。あんまり楽しくはないなぁ。

 

第3問

植生・バイオームと外来生物

放置林をテーマに植生遷移だの窒素循環だのを考えさせる。放置林にフォーカスするのは捻り方としてはいいよね。

個人的には「日本の海沿いで山火事も人為撹乱もなーんもないのに森林ができないところがある。こういうのはどういう場所?」っていう問題がなんとなく気持ち悪かった。誤答が外れるのは分かるんだけども、何を聞きたい……?というか。なんとなく選択肢の作り方が気持ち悪いと思うのは私だけ?

外来生物についてはオオクチバスが入った後の池がどうなるか考える問題だったのだけれど、選択肢に「栄養段階数が減った」というものがあってもやっとした。どの生物がどの栄養段階に属するか丸暗記しておけということか?(情報が一切載ってない)

外来生物の素材自体も新規性はない。

また、16の問題で「外来生物の定義」を聞いているのだが、「②国外から移入された生物で、同一国内の他地域から移入された生物を含まない。」は怪しいのでは?答えになってしまうのではないか?と思ったりした。私は④を選んだ(人間が移動させたもの)が、外来生物の紹介ページを見ると②は該当する気がする。

例えば環境省のHPにはこうある。

用語集 | 日本の外来種対策 | 外来生物法

外来生物

一般的には、「外来種」とほぼ同義で用いられている事が多い。

外来生物法では、「海外から我が国に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物」と定義されている「法律用語」。つまり、国外から日本に導入されるもののみを対象としており、いわゆる国内由来の外来種は含まない。

 しかし生物基礎の教科書にはこう書いてある。

人間の活動によって意図的に、あるいは意図されずに本来の生息場所から別の場所へ移されて定着した生物を外来生物という。

どっちも答えじゃない???????? と、少々混乱気味である。

昨今の情勢を見ていても、人々が「外来生物」と呼ぶときは大抵生物基礎の定義、すなわち人間の手による移動を想定しており、②が言うようにそれは海外からの時もあるが、同一国内の違う場所からの移動だとしても「外来生物」と言う気がする。

外来生物が全て有害なわけではないのでこう言うと誤解を招きそうだが、特に有害な生物に関しては国内の別の場所からくるパターンが増えていて(遺伝子汚染の話はかなり言われている。所謂別の場所にいた魚を放流するとか、植林するとか……とてもよくない)、その際「外来」という言葉も使われるのを耳にする。

そういうことを鑑みると、④が正解なのは分かる(すべてに共通することは「人の手で移動させる」ことだから)が……

定義として存在してしまう場合はその選択肢をはじくことはできないのではないか?

 

 

生物

こちらは第一日程の時と比べて解くのにかなり時間がかかってしまいました。

そこまで難しいわけではないはずなのに悔しい。パソコンの画面で解くのが駄目。小さな処理に手間取ってしまう。

 

第一日程よりもまともな問題なのでは?

個人的な感想になりますが、第一日程がだいぶナニコレ感があったのに対し、

第二日程の生物は相対的に比較した場合ワンステップ以上の複雑な処理や知識の絡みがある問題群だったのではないかと思います。

第一日程より平均点は落ちそう。

ただ、持ってきたネタの面白みや新規性としては、第一日程の方が良かったのではないかという気持ちもありますね。「へぇ~」というものは第一日程では多くあったので(答えが丸見えなのはいただけなかったが……)。

あとは生物基礎同様、「この選択肢はあまりよくないのではないか」と思えるものがありました。

 

大問ごとの所感

第1問

前半は抗体の構造をメインにとったタンパク質の問題、後半はミトコンドリア葉緑体のDNAを使ったバイオテクノロジーと植物を絡めた問題でした。

抗体をパパインで切るのはもう常套手段というか。生物オリンピックでも出ていましたし、よく見るものな気がします。ちょっとした頭の体操で最初は面白かったけど、もう見慣れたな。

後半の問題は割と面白かったです!葉緑体がオス(花粉)由来なのには驚き。皆そうなのかな?

その読み取りを使うと謎のグラフが一気に意味を帯びて「うおー!」ってなりました笑。でもこれ、一問解けなかったら(泳動像の意味がとれなかったら)総倒れタイプ、所謂連動してるやつだけど大丈夫なんだろうか?

 

第2問

色々詰め込んだ小問+植生のやつ。第一日程での既視感を感じますね。全然違うけどさ……

個人的にはこの問4の選択肢が気に入らなかったです。森林において、日中で一番強い光があたる時間帯の各階層での光強度が先に与えられた上で、その植生に存在するある植物の光-光合成曲線が示されます。その際、②の選択肢では「一日を通して」の二酸化炭素吸収量を聞いていて、それ以外の選択肢は全て「一日のどの段階の話か」が明記されてないんですよね。まぁどの段階でとっても当てはまらないんだけどさ!!!!!!そうだとしたってなんかな!!!!!

 

第3問

サンゴ礁で生きる生物の物質収支

資料読み取りと計算、という感じでした。

生態ピラミッドが逆転するというオチはへ~ってなったけど、あんまり納得感がない。

 

第4問

「アリスさん、ルイジさん、メアリの三人は、お茶会で尿生成の仕組みについて話した。」 

?????????????????????

お茶会で何の話してんのこの人達……

作問者絶対可愛い女の子たち3人にお茶会しながら尿の話をさせたかっただけだろ。違いますか???

分かるよ?我々生物の人間はご飯食べながらうんこの話とか尿の話とか内臓の話とかガチでするもんね????好奇心だけで動いてる倫理がちょっと御暇しちゃうタイプだもんね?????

お茶会で尿生成の話がシュールすぎてもう今までの気合が全部吹っ飛んじゃったよ。

「そんなに甘いものばっかり食べていると糖尿病になるよ」に対してサラサラと糖尿病のメカニズムを語るアリス、

「飲みすぎるとトイレが近くなって困るのよね」というアリス、

利尿薬を飲んでいたルイジ、

そしてカフェインの利尿作用をペラペラと瞬時に話すメアリ……

そのあと三人の会話はバソプレシンの実験にヒートアップ!

どういうこと???????????

最高のお茶会ですね、私も混ぜて下さい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

問題も楽しかったよ。

 

第5問

ショウジョウバエとムカデとアルテミアの足形成の話です。

ショウジョウバエでは足形成をハラ部で抑制する遺伝子Yが、アルテミアではムネで発現しているのに全部足があるよ~という紹介から始まり、じゃあ遺伝子Yって何者なんだろうねという探求が始まります。

案外読み応えあって面白かった!ネタもよかったです。

分野もうまく横断させていて、発生や進化がつながり、まとまりがとても素敵。こういう問題好き。

 

第6問

メンフクロウがどうやって左右の音の差を認識するかという話で、

構造、計算、神経回路など結びつけておりこれもとてもおもしろかったです。

音速340m/秒とか出始めたので「まさかの物理か……???」と一瞬で心臓が高なりました笑 心臓に悪い。

 

ネタとして素直に面白い!勉強になる!と思ったのは第5問と第6問ですが、

第4問のなんとも言えないカオスな問題を作った人にも拍手をあげたいですね(よく作問会議通ったよなこれ……皆尿の話が大好きな生物大好き変態なんだろうな)。

 

 

今回はちょっと調べる暇がないので深堀れてないのですが、

可能ならアルテミアとフクロウの話は調べたいな~

生物広報誌 冊子化計画③

 この2つの記事の続き。

i-my-mine.hatenablog.com

i-my-mine.hatenablog.com

 

記事に手を入れる6日目(1/26)

表紙と裏表紙は決まったが中身が決まらない。 取り敢えず自分が載せたいかなと思うものを有力候補順に編集していく。

編集していくと気づくが文章が酷い。もうちょい読みやすく作れなかったのか……??特に未公開の方が酷い。

なので文から絵から、もはやイチから組むレベルで手を入れていく。これはちょっと予想外だ……ぺたっと貼れば終わりだと思っていたのに……。

 

他の部位作成も始めた。

目次とか、あいさつとか、編集後記になるページとか。

4コマ漫画などを載せてほしい、みたいな話があったが何を題材に描こう?今まで漫画は、ベンゼンの反応についての漫画しか描いたことがない(私はこの漫画を高校生のときに裏紙に描いてはクラスにばら撒き、そのおかげか有機定期テストはクラス平均点が異様に高かった)。

何があるかなと思って悶々と考えたが、

  • 教師生活について……生徒の個人情報が絡むから難しくない?
  • 結婚生活について……何か描くことあるか??

という感じで、なにをネタにすれば良いのやらと迷宮入りしている。うーむ。

いっそ漫画とか本とか音楽とかの紹介でもいいかなとか思ったけれど、興味持たれるんだろうか。

仕事があると、通勤中や帰ってからの時間だけで進めるのでどうしてもスピードが遅い。

 

どんどん進める7日目(1/27)

ほぼ確実に公開しようと思っている記事に手を入れる。

文を書き直し、絵を描く。これがなかなか大変。

私の手元にはiPadなどの絵を直接ペンで描き込める媒体がないため、紙に絵を描いては画像を取り込みwordに貼り付ける……を繰り返す。

地味にストレスフルな作業なので、直接描き込めたらいいのに……という気持ちでいっぱいになる。

 

引き続き記事に手を入れる8日目(1/28)

仕事終わりに作業を進めるので中々進まないが、確実に進捗を出している。

この時点で20ページ分に該当する中身(記事的には10本分)と、

目次とあとがきの2ページ、

表紙等計4ページ分の作成が完了した。おぉ、これで26ページの本が作れちゃう!もう作っちゃう?

……という気持ちに駆られたがイマイチ中身に自信もないし、記事ももうちょっと載せたい気持ちがある。

しかし、どれが面白いのかが分からない……

 

迷走、そして開放の9日目(1/29)

記事と向き合いすぎてあまりにもどれが面白いのか分からない状態に陥ってしまったので、

自分なりに面白いんじゃないかと思う記事と今まで仕立てた10本分の記事を含めて、夫に見てくれないかと縋り付いた。

そもそも自分は分子生物学系のひとなのでどうしたって記事が分子寄りになりがちなのだが、それだと生物の面白さがあまりにも限局されてしまうので、普段広報誌を作るときも色んな階層、色んな生物について取り扱えたらなと気をつけてやっていた。

ところが冊子化するとなると、謎の力が入ってどうしても分子を選びそうになる。上の階層のものが、リサーチ不足感が出て、なんとなく見劣ってしまう気がしたのだ。

しかし、夫に見てもらったことで、だいぶ整理され、記事も最終的に載せるものを選び切ることができた!あとは手を入れるだけ!!

夫よ、忙しい中で私の無理難題な要求を聞き、真摯に向き合ってくれて本当にありがとう……(めっちゃ議論してくれたの本当にありがたい)。

しかしここで一個まだ問題が残っている。

漫画のページどうするの?

中身が全然想像つかない。

更に、前にも述べたように、私はデジタルで描ける環境がないので、アナログで描かなければならない。

ちゃんとした漫画は描けない……!!!

もはや漫画の形態ではなく、ただ絵が沢山あるだけのページになるかもしれない。ごめんな。

 

ゴリ押しの10日目(1/30)

今日は休みなのでめっちゃ時間使える!……かと思いきや、部活動があり、そのため通勤で3時間とられるので、中々進まなさそう。

やれることをやるしかない!

午前中に原稿はほぼほぼ揃え、漫画の素案も描いた。

漫画が明日描けたらもう注文・入稿しちゃっていいんじゃない!?という気持ちになりながら、通勤中にぽちぽちと栄光の色んな注意点を見る(先に見ておけよという話だが……)。

そこで気づく。

「もしかして今までの原稿全部A4版で作ってない……???」

そう、今まで生物広報誌はA4二枚分をWordで作成し、それを印刷するときにB4一枚に並べて入る形で出力して配っていた。

そのままで文章をいじっているので、レイアウトはA4扱いなのだ。

しかし入稿では、今回B5の本を作ろうとしているのでレイアウトがB5のものをPDFにしなければならない……???

今から全部書き直すのか……???と眼の前が真っ白に。

 

家に帰ってから一生懸命B5のレイアウトに直す作業を行う。

ついでに1つのPDFファイルに収めたいので全てを一つのWordファイル内に連結しようと試みる。

画面を見続けると疲れてくるので途中で漫画にシフトチェンジ。自分で作った枠の中に絵を描いていくのは案外楽しい。

鉛筆で描いたものをスマホで撮影し、それをアイビスペイントに線画抽出して取り込んで文字入れや塗りをする。

そうしてなぜか漫画が出来上がってしまった。気づいたら3時だった。

 

遂に完成させたの11日目(1/31)

朝からひたすらB5レイアウトに直す作業をする。

レイアウトを直すと図がずれるわ文字があふれるわで中々修正が大変だった。

更に一通りできたなと思っても、見直すと誤字があるわ、フォントおかしくなってるわ、文字サイズ統一されてないわ、目次と章のタイトルが違うわ……大変辛くなってきた。確認する作業の人を雇いたいレベル。

奥付を書くという慣習も昨日の栄光さんHPで学んだので書く。ちょっとドキドキする。

原稿ができたっぽいので栄光さんに新規登録。

ここで思い出した。結局何部頼むんだろう……???

100部頼むと3万円である。1冊300円……。そんな価値があるのだろうか?ページ数は36ページである(表紙等の4枚を含むので、実質は32ページの中身)

めちゃくちゃ頑張って編集したので、なるべく沢山の人に見てほしいという気持ちはあるが、

一方で、「 お金を取らないとぞんざいに扱われるよ」という指摘も受けた。

無料で貰えるパンフレットとか全然大事にしないじゃん?でも多少なりともお金を出してたら大事にするよね、という理論らしい。それはそうだ。

それに、頑張って編集して時間を削っているのに、更に手持ちのお金まで削ってしまうのも如何なものかという。3万あったら書籍が無限に買えるので、次の記事作りの参考にもできる。

そういうことを考えていくと、やはり完全無料でばら撒くのは、自分の心が傷つきかねないので辞めたほうがいいのではないか、という気持ちになってきた。

そうなってくると、一冊300円を相手に負担してもらわなければならないわけで、これは売れるか?という感じになってくる。勿論私の利益はこの値段の場合はない。むしろマイナス。

ほしいよ!と言ってくれていた人たちも、お金を取るならやめようと手を引くんじゃないか。とも思ったり……

生徒にくばる分も入れて考えていたが、300円かかるとなると買ってくれる生徒はどれだけいるだろう。もはや10人もいないんじゃないか。

となると、50部発注しても、在庫を抱えるんじゃないか……というのが自分の今の気持ちだ。

皆よく発注数確定できるなぁ。今までで一番むずかしいかもしれない。

注文書を貰ってから決めればいいのだろうか?そりゃ確実だけども……学校で注文とるのも変な感じだし(一応教育の場なのだし、私的なことを入れるのはどうかという)

困ったなぁ……

 

と色々悩んだが、結局色んな人に相談して60部の発注にした。

一冊300円。

ということで……震える手を押さえながら注文!

Web入稿!!!!!!!!

……と思ったら、表紙と裏表紙を連結していなければならなかったらしく、処理が通らず焦る。

慌てて探したらフォトコンバインなんていう素晴らしいサービスがあり、これで解決した。

photocombine.net

セルフチェック!!!(本の形になるから面白い)

クレカ決済!!!!

等の壁を超えて

無事入稿できました、ありがとうございました……。

冊子が届く予定日は2/13!!!!ドキドキ。

 

誤字とかあるんだろうな~って思ってたらいきなりQRコード不能っぽい。うおー!なんでや‼‼

生物広報誌 冊子化計画②

引き続き頑張り、かつその記憶を書き溜めたり整理したりするためにここを使っていきます!

メモ代わりに使っていた文口調がバラバラですが悪しからず……

 

今の所決まっていること:

  • 本文30ページくらいにする
  • 表紙カラー、マットPP加工、本文上質紙90kgモノクロ、オンデマンド印刷
  • 栄光さんで頼みたい かな!

 

 

具体を決めていく4日目

まずはフォントを確認

表紙には普段使ってる「Beagle Snake フォント」を使いたい。

beaglefont.com

私的な利用はOKらしいので、ありがたく使わせていただこう、ということになった。

表紙は文字に加えて、絵も載せたい。生物の絵かな…???

 

中身の記事候補の検討

中身は基本見開きで1ネタみたいな感じにしたいので、

1ページ目はご挨拶 と目次?(そんなに詰め込めるか?詰め込めなければ目次だけにして、つらつら書くのは編集後記に回す)

2ページ目から記事×13~15 で26~30ページ使って

残りのページは四コマ、編集後記、特別コーナー……?自分のサイトの紹介とかもどこかに入れたい。

記事は半分は既出、残り半分は未公開ネタにしようかと。既出のものをもうちょっと増やしてもいい。

各記事は普段のタイトル「まいバイオ」は外して、それぞれの内容に合ったタイトルに書き直す。で、中身を整理し、イラストを描き直す。今まで文字でゴリ押ししてた所もイラストで説明できちゃいそうならイラストに描き直してもいいなと思ったり。

 

中身候補としてどれがいいかな~と挙げてみたところ、下の感じになった。

既出:

  • シマウマの縞の意義・できる仕組み
  • 恋愛と脳の変化
  • 焼き肉を食べる時白米は必要か
  • 突然変異と自然選択の具体例
  • ゾウリムシの走性
  • 野菜の品種改良(植物の形態から)
  • ストレスと白髪の関係
  • 日本史と生物学(クリなど)
  • 細胞培養を液体のりで
  • ハエトリグサの開閉の仕組み
  • メダカと愛情
  • DNAコンピューティング
  • TRPチャネル
  • タンポポの繁殖干渉
  • 光発芽種子の実験の実際
  • myotoniaとはどんなものか
  • 接ぎ木の原理と研究
  • DNAorigami
  • カタプレキシーとレム睡眠の関係
  • サナダムシダイエットはできるのか
  • ウイルスの発見その他
  • 人工冬眠について
  • 色覚の進化
  • アサガオについて

絞れない……。どれがいいだろうか。

 

未公開:

  • 物理で生物事象を読み解く(血圧について)
  • 伝説と生物学
  • 病原体の知恵:免疫の逃れ方
  • 硫黄呼吸とはなにか
  • 利己的なDNA
  • アスパラ戦略
  • 3nの世界
  • 健康食品の設計と味覚受容体
  • 鏡像に対する自己認識
  • 土に還るまで 死体の変遷・有用性
  • 培養肉イントロ

こちらも 絞れない。

どれがいいか意見あったら頂きたいです。多数決で決めてもいいかもしれない。

 

表紙案作画

表紙の案も作った。

ここで4日目は終わり。なんとなく腑に落ちないまま終了。

 

表紙を描きまくる5日目

表紙案が昨日段階で全然気に入らなかったので更に試行錯誤した。

沢山の花と色んな要素をぶっ込んでいく。

もう表紙はこれでいいや!取り敢えず寝かせよう!

 

記事内容については、結局決まりそうにないので悩み中。

 

お金について

冊子の代金については送料だけ相手に持ってもらう形にしようかなと検討中。あまりにも高くなったら、製作費を下回る集金かな……一冊200円とか?

無料にできないかな~って個人的には思っているが……。

 

今日はここまで。明日は中身を詰めていきたいところ。

生物広報誌 冊子化計画①

ここ3年間、現赴任校でずっと書き溜めた生物広報誌「まいバイオ」なるものがあります。

実は自分のサイトでも細々とPDFを公開してたりするのですが……。

sites.google.com


 

最初はただ「生徒に面白いネタを提供しよう!」という目的でやっていたのですが、

最近色んな人からありがたいことに「書籍化しないの?」「一度本にしたら?」という声をかけて頂けます……

自分は「またまた~w」と冗談らしく受け流していたのですが、普通に見返してみると3年間で80回分以上、

自分のストックも含めると回は150を有に超え、軽く見積もっても合計300ページを超える文章を書いているんですよね……

これはさすがと冊子化してみてもいいんじゃないか?

っていうかここまで頑張ったんだし自己満足で本みたいにまとめて一個持っててもいいんじゃないか??

と思い、ちょっと真面目に検討をしてみることにしました。

 

 

思い立った1日目

とはいえ完全に初心者で、一度も本なんか作ったことないので、まずは調べる所からだな……と思い。

取り敢えず「本を作りたい」とか「同人誌 作り方」とかで検索した所、栄光さんとかOneBooksさんがヒットしました。

www.eikou.com

https://red-train.co.jp/

栄光さんの丁寧さが半端ない分、初心者には受け止めきれないほどの情報量がどわっと入ってきたので、軽くパニックになりました笑

そもそも印刷の種類もわからん、紙ってこんな種類あるの!?ていうかkgって何!?どれくらいの部数刷るか決めなきゃいけないの、CMYKってなんや、etc……

あまりにも混乱しましたが、まぁ大抵のことって慣れてこれば分かるようになるじゃないですか?

なので、栄光さんの資料取り寄せのサービスを活用させて頂き、紙の見本とか、はじめての入稿の仕方とか、加工のあれこれとか、取り敢えず何か役に立ちそうなものを注文させて頂きました。

www.eikou.com

2日後にはポストに届いてた。なんという速さでしょう。

資料を無料提供してくれるだけでも凄いのに、速さも凄いなんて栄光さんって凄いんだね(語彙力がない)。

 

体調ゲロゲロの2日目

次の日は完全に体調を崩し、ほぼ何もできなかったのですが、

Twitterで「本を作ろっかなって思ってて……」ということをぼそっと呟いたら、優秀なフォロワーの方々のご助言を大量に得ることができました。

 

 

ありがたや……

素晴らしい方々からの助言により、 

  • 紙のpp加工をかける場合標準のコート紙や印刷所のおすすめで大丈夫
  • 200p以上だったら重いので紙を軽めでいい感じのやつに変更しなければならない
  • 鈍器本(200ページとかの)をいきなり作るのはやばいので初回は取り敢えずちょこっとだけにした方がよい。一部の記事のみ取り上げたセレクション本にする。

等の方針が見えてきました!remonさんとAyaneさん、この場を借りてお礼を申し上げます……!!!!!やはり経験者は凄い。し、心強い。

 

あとはTwitter上で複数の方から「冊子読みたい!」という声も頂けて、これもありがたやありがたや……益々やる気になってきました。ていうかもうやらなきゃだめだ。引き返せねぇ。やってやるぜ。

 

具体を決めだす3日目

午前中はやらねばならぬことがあったのでそちらに時間を割き、午後にゆるゆるとまた本作りについて考え始めました。

この時点でもうほとんど紙の種類などはご助言のおかげで決まっていたので(中身は90kg上質とかいうやつ、表紙はおすすめで!という雑な決定) 、あとは

  • 何部発注するか
  • 何ページのものにするか
  • 表紙をどうするか
  • 中身をどうするか(どの記事を選ぶのか、新たになにか書くのか)
  • どの会社にするか
  • どういう注文形態にするか(カラー、モノクロ、印刷手法etc……)

というくらいかなとこの時点で見えている課題点を挙げ。

何ページかと何部かと会社、注文形態について先に決めないと、中身を具体化することもできなさそうなので、取り敢えず取り寄せた栄光さんの資料なり色んな会社のHPを見るなりしてざっとどれくらいのお金でできるもんなのかを調べました。

まぁ表紙カラー、中身モノクロの標準タイプで……と検索をかけると、栄光さんのサイトで最初目に飛び込んできたのが

「50部 ○○○○円」という文字!!!!!!!!!

50部!?!?!?!?!?!?!?

50部から注文なん!?!?!?!?とびっくりしてしましました。

後から分かったことですがこれは「オフセット印刷」という種類の場合、沢山刷るのが前提だからなのであって、

「オンデマンド印刷」という少数部刷るタイプのものを選択すると全然値段も部数も違うものがちゃんと案内されます……笑

とはいえその時は分からなかったので、オフセット印刷版で栄光さんのを見ていて、

B5版本文30ページ程度の場合50部3万円くらい(送料・税込み)で注文できちゃうんだなぁ……とびっくり。

案外安い???気がします。

(後から気づいたオンデマンド印刷の場合は、17000円程度でできちゃいます。安い!)

まぁ30ページくらいでいいかな、とざっくり思いつつ、どれくらい発注すればいいか決めなきゃなぁ……と悩んでいた所、

またしてもTwitterで「ちょっと見本提示してアンケートとれば大体の部数が分かるよ!」とご助言を頂いたため、

アンケートフォームを作成して雑な目安にすることにしました。

 

中身に着手する4日目

部数はアンケートをそこそこ放っておけば分かるだろうということで、そろそろ表紙と中身を考えねばなりません(普通そこが先なのでは……?)。

今日が4日目なのですが、表紙作りと中身作りを頑張ろうと思います。

まず表紙はフルカラーで発注する予定なので、なにか描かないといけません(どうせならなにか描きたい)。今日そのイメージが作れたらいいなぁという感じ。

中身についても、学校で配布している時は色々なサイトから引っ張ってきた画像をそのまま掲載するなどしていましたが、これも本にするにあたって自筆の絵に描き変えようと思います。

というかそもそも「まいバイオ」のフォントがこういう場合に使用可能かとかも確認せねばならないし、原稿の選定と中身のブラッシュアップもしなきゃいけないし、案外やることある気がする……

 

ちなみに、今の所フォームに集められた意見に幾つか触れておく。

藁半紙はやめよう

やめます。最初からそれは思ってないよ(昔配ってた時は藁半紙だったなぁ)。上質紙にするよ。

なにか手伝えることあれば手伝います!

ありがとうございます!!

冊子版オリジナルの特別コーナー、4コマ漫画、編集後記とかあると面白そう

なるほど!ちょっと考えます。いかんせん30ページしかないので全部詰め込めるかは分かりませんが!

コロナ禍の今、PCRセントラルドグマの理解は義務教育のレベルだと思うのでそのあたりを重視して

そもそものまいバイオが「色々分かっている体でそれプラスアルファ」を意図して作成されているので、PCRセントラルドグマはこの冊子であんまり説明する気はないです。ごめんなさい。そういうのの理解のために出ている本も幾らでもあるし……

一年生で習った生物の知識でも楽しめる内容がいい

中々難しい注文じゃね!?でも頑張ってみます!

細胞培養と進化、睡眠については特に読みたい

その記事あるんで載せようと思います!睡眠はどういう系が求められているんだろうか。睡眠ってなんだ系か、睡眠の最新研究系か……

 

様々なご意見ありがとうございました!!

 

取り敢えず頑張っていこうと思います!

2021年度大学入学共通テスト 生物 所感

遂に実施されたぜ共通テストが!!!!!!!!

 

新傾向だのコロナだのと本当に振り回された一年でした。

記述式があるだのないだの、英語民間を使うだの使わないだの、範囲が変わるだの実施日が変わるだのコロナ対応直前でコロコロ変わるだの。……よくぞ実施までたどり着いたな……感があります。

教員側も大変な一年だったけれど、生徒からしたらもっともっと大変な一年だったろうな。まだ18年も生きていないような人たちが、こんな不安定極まりない中、モチベを維持して勉強し続けねばならない……そんな状況での精神状態は、経験していない人には想像するのすら難しい。

どんな結果だったとしても全ての生徒に「お疲れ様、よく頑張ったね」と言ってあげたいです。心から、お疲れ様。

 

自分も自分で共通テストが実施されるまでかなりヒヤヒヤの状態でした。

というのは、試行調査がかなり難しく、「こんなのが解けるようにするにはどう指導すればいいんだ……?」と頭を抱えていた所で休校やら何やらが重なったからです。真面目に目の前が真っ暗になりました笑

特別時間割で共通テストまでの対策を行うのですが、その時もどうやって、何をやらせるべきか、どういう教材を使うべきで、どういうフォローアップをすればいいのか……等々、かなり迷い考え、結局あまり行動にも移しきれなかったりして、もやもやの多いまま当日を迎える形になりました。

どんな問題が出るだろう、どれくらいの平均点になるだろう、どういう授業が必要だったのだろう……と延々考えて迎えた当日でしたので、問題もいち早く解きたくて、問題がアップロードされるであろうサイトを何十回とリロードしました笑

結局アップされたのが9時くらいからで、例年より遅かったのでかなり待たされましたね……

 

ということで今回は、初めての共通テストを実際解いてみて感じた感想なりを書き留めていこうと思います。

 

ちなみに問題はここら辺から拾えます。是非一度解いてみてください。

www.toshin.com

 

試行調査はここから見れますよ。

www.dnc.ac.jp

www.dnc.ac.jp

 

 

生物基礎

解くのにかかった時間は8分でした。

PDFで解いたので、紙への書き込みやめくりの簡単さがあったらもっと早かったと思う。時間とられたのも基本戸惑いから&書き込めなくてうんうん頭で計算したから、ちょっと遅くなっちゃったな感がある。

例年のセンター試験よりも傾向の変化がみられる?

生物基礎は、試行調査時点で「こういう問題が来そうだな……」と思っていたイメージにかなり近いものだなと個人的には思いました。

既習内容について今まであまり見たことがないような表現方法をとっている画像の処理、

実験組み立ての問、

グラフの「形状」に着目した問、

論理的矛盾がないものはどれ?という視点で選択肢をとる問、

知識について直接問うのではなく正しい知識を使えば解ける捻り問 etc……

まさにこういうのが出そうだと思っていました、という感じでしたね!

知識と思考力のバランス的にもかなり良い問題だったのではないかと思います。

新傾向で出るぞ!と言われていた「実験器具や実験操作の正しい理解」については結局今回は出なかったですね。あとは「この中に当てはまる仮説はありません」と切っていく問題……。

次回の試験では出てくるのでは?と密かに思っていたりする。

 

大問ごとの所感

第1問

お父さんが高校生の頃やっていた教材が部屋から発掘されて「カビやバイ菌って原核生物だったよね~」などと言い始める生物教師にとってはホラーな物語。

こんな人間を世に送り出してはあかんぞよ……!!!!!!!!!!!!!!!!背筋凍っちゃいますね。

そんなホラーな導入からの一問目が「酵母は真核生物だよ♡」というもう何千回と授業で言った内容だったので笑いました。本校生徒は即答してくれてればいいが。ちなみに酵母は菌界の住民なので「菌」ってついてます。原核生物原核生物界細菌類に分類されているから「菌」ってつくよ。日本語だからこうなるだけで英語ならこんな混乱はないんだけどな。

提出されなかった宿題プリントもまぁひっどいですね。授業全然聞いてなかったんだろうなお父さん。でもこの時代の人なのにラン藻じゃなくてシアノバクテリアって書いてる辺り謎の最先端を行っている。

問3のパズルが「見覚えがない」タイプの図でした。でもさー、酸素・二酸化炭素・水の矢印はここじゃなくない?感ないですか?私はちょっと戸惑いました。

後半Bの問題はまぁ普通だね。問4、問6が新傾向かな?という感じだけれども、そこまで酷いものではない。あっさりした問題でした。

 

第2問

Aはゾウリムシの収縮胞問題でしたが、これ実は私実力テストで出題したんですよね。じかも自分で問題作ったやつ。まさに「色んな濃度の液に突っ込んだ時に収縮胞の収縮回数調べよう!」という問題。綺麗に当たると嬉しいなぁ。

グラフを選ばせるのいいですね。今回は理解しやすかっただろうけれど、読解の方向じゃなくて自分でこういうグラフになるはずだとロジカルに導けるのも大事だな。

Bの免疫は問1で足が引っかけられないか不安ですね。生徒はNK細胞が指令なしで動けること、キラーT細胞が獲得免疫の一連の流れの後で動くこと、そしてそれらがウイルス感染細胞を攻撃することは知っているとは思うのですが……。混乱して前半をマクロファージとか選んでないだろうか。

残りの問題は典型でしたね。

 

第3問

Aはバイオームの問題でしたがまぁ簡単だったのでは、と思います。正直問3は地中海性気候で硬葉樹林ができると知っていれば読解なしで即答できちゃうし。地球温暖化問題も頻出ですよね。

Bは中々面白い題材でした。生態系の繋がりを感じるというか……。適度に考えさせられる良い問題だったと思います。

特に問4については一般の人々でも正答率が低いんじゃないか、と思う所で、ワクチンについての誤解やウイルスについての誤解ってよくあるんですよね。このコロナの時代を生きる人々には、教養として付けていてほしい知識だなぁ……としみじみ思いました。

 

 

生物

解くのにかかった時間は16分でした。

光合成の所で特に行ったり来たりして頭痛くなってしまった。13分くらいで本当は解けるんじゃないか?と個人的には思っています。

思考力偏重、知識はあんまりなくても解けるかな

まずね、試行調査より圧倒的に簡単!!!!!!!!!!!!ここにびっくりでした。試行調査見てびびってたのに……。

とはいえ思考力重視という傾向は反映されていましたね。思考力重視が反映されすぎて、知識がなくても考えたり読み取ったりすれば解けちゃう問題が多かったです。

生物基礎ではそこらへんの知識確認がうまいこと捻って入れてあったのですが、生物はあんまりでした。あったとしても、割とストレートというか、誤答があからさまというか……。素直な出題だった気がします。

でもな、そもそもマーク式、選択式というのが知識確認との相性が悪すぎるんですよね。紛らわしい用語とか間違えやすい認識があれば誤答の選択肢として混ぜやすいんですが、まぁそういうのって大体皆擦り切れるほど使いまくっちゃってるし、「どっかでこの問題見たなぁ」っていうのが多くなりがちなんですよね。演習量こなしてれば解けちゃうから、ひっかけにもならない、そもそもその選択肢で問うたところで本当の理解ができてるかは測れない、みたいになっちゃう。悩ましいところです。

とはいえ思考力だけあれば、読解力だけあればあんまり知識がなくても解けちゃう問題は良くない気がします。バランスよく出題して、受験生の努力が相応に報われる出題にしてほしいなぁ……。

 

という感じに、作問者の産みの苦しみを感じさせられる面もありましたが、題材は楽しいものが多くていいな!と私は思いました。ネタは楽しいよ!

 

大問ごとの所感

第1問

来ましたラクトース分解酵素

ラクトース耐性については、過去に生物広報誌でも扱ったので、読んでくれていた子は有利だったのではないだろうか。

SNPはアツいテーマなので出るかなと思っていましたが、綺麗に進化や遺伝と絡めた問題だったかなと思います。

それにしたって2問目からハーディ・ワインベルグが出るとは。勢いやべぇな。早すぎんか?分野横断だから仕方ないね。


第2問

グリーンアノールとブラウンアノールは実は中間試験に出題したんですよ。いや~、あの論文はいい論文ですからね。

生態系(すみわけ)と進化の分野横断問題として元々の論文の質が高く、各大学でも出題テーマとしてここ数年よく採用されている印象を受けます。岐阜大とか、岡山大とか。岐阜なんか今回の問題まんまじゃなかったかな?

ちなみに論文はこれ↓

science.sciencemag.org

 

「進化のスピード感」がこの題材の一つの面白みですよね。かつて進化はウン千・万年という途方もない時間をかけないと進行しないと思われていましたが、様々な題材を用いた研究により「もっと短い時間で進化は進む」ということがどんどん明らかになってきています。

具体例として大腸菌グッピーショウジョウバエカッコウなど。特に大腸菌の進化については面白い研究ですので、また生物広報誌で配りたい。リチャード・ドーキンスの「進化の存在証明」にもあるし、検索すれば出てくるので興味あれば是非。

進化の存在証明

進化の存在証明

 

 進化の存在証明楽しいよ☆


第3問

生産構造図はただの読み取り訓練ですね……。


第4問

鳥のさえずり学習きた!

鳥のさえずり学習については授業内で紹介をしました。

授業ではキンカチョウが聴覚はく奪されたり社会的孤立を経験したりすると歌が歌えなくなることをサンプル音声を用いて伝えました。下のリンク先から聴けるので皆さんも是非聴いてみてください。私は割と感動した。

www.brh.co.jp

キンカチョウは学習によってさえずりができるようになる鳥ですが、最近の研究ではそれに関わる脳回路なども解明されてきています。ホットな研究分野です。

対してウグイスなどは学習が不要な鳥で、遺伝的にさえずりがプログラムされています(と言われていますが、年齢とか場所とかで多少変わるともいう)。

最後の問「なぜ近縁種の歌が混じらないのか?」は自身の進化の知識と絡めて理解できる面白い問題でしたね。

京大では最近シジュウカラのさえずりの文法やらの研究結果がばんばん出ていますね。そろそろ東大あたりで問題になるんじゃないか?と睨んでいる。

www.kyoto-u.ac.jp

www.kyoto-u.ac.jp

www.kyoto-u.ac.jp

 

第5問

Aの茎頂分裂組織の問題は単なる読解に近いものでした。

対してBは生徒たちが通常疑問に思うような題材である「根でも光合成できるのか?」を取り上げていて、中々着眼点としては面白いなと思いました。

オーキシンとサイトカイニン、茎と根の話は出るんだろうなと思っていたのでブログでも触れていたのです……。出てくれて嬉しい……笑

実験考える系、どんな実験がいらないか系は絶対一つは出るだろうと思っていましたが、ここで出ましたね。

 

第6問

オタマジャクシの問題は分かりやすく、かつ面白い楽しい題材でした。

オタマジャクシがグロいという声も散見されましたが、2014年度山形大学生物の第2問では「変態を始めたオタマジャクシの尾部に同時期の別のオタマジャクシの眼球を移植して飼育した」という凄まじい実験が取り扱われています。

しかも飼育した結果尾はなくなりますが眼球はそのまま残って、お尻に眼球がくっついているカエルになります(イラスト付き)。

実験から導かれることは面白い問題なのですがイラストの見た目は中々のインパクトです。ということでこんなものは日常茶飯事な気がします。

ちなみに身体中に眼、といえばショウジョウバエのeyeless遺伝子過剰発現体。見たことがないという人は一度eyelessで検索をしてみてはいかがでしょうか(注!中々の画像が出てきます)。

試験の最後でもありましたが「新規にできた眼は機能するのか?」という疑問は非常に素直で良い疑問ですよね。eyeless遺伝子過剰発現体は神経が繋がっているので機能しているらしく、光をあてられた向きが分かるんだって。つょぃ。

自分が一番疑問に感じたのは、「ノーアイはどうやって赤色光と青色光を照射された状況を感じ分けているのか?」というところでした。今回の問題からはそれが分かりません。気になりすぎて論文まで引っ張ってきた(なんでや)。論文見るとノーアイとテイルアイの実物が見れるの嬉しいね(上のリンクで図と説明文がざっくり見れる。下のPDFの方で全文が見れる。)

jeb.biologists.org

https://jeb.biologists.org/content/jexbio/216/6/1031.full.pdf

論文のFig.3にあたる実験が今回のノーアイ照射実験なのですが、研究者たちは「赤と青の光のせいで温度変化は生じてないよ」「だから眼以外の光センサーがきっとあるんだよ」で終わってますね。気になる……どこで感じてるの……?????これ実験できないだろうかね。

 

 

進化が好きなんですか???

今回の共通テストを見返すと、かなり「進化」について積極的に取り入れた考察を行っているなぁという印象です。

進化は現在の生物学でもホットな領域であるため、興味深い論文も沢山出ており、それを反映した結果であると思われます。

 

特に進化について出題される時は、一般的な感覚と少し食い違うようなものを取り上げて考察させるようなものが最近多い気がします。今回の試験でも、「15年で進む」というのは驚くべきポイントですよね。

個人的に思うその最たる例が2019年度東京大学生物の第3問です。東京大学の問題は良問が多く、どれをとってもストーリー性と意外性、あとは学びがある所が私の推しポイントなのですが、こと2019年度東京大学生物第3問は進化について面白い知見を与えてくれます。

ざっくり概略を紹介すると、この問題では「獲得形質って本当に遺伝や進化をしませんか?」ということが最初の問いかけとして設置されており、

・環境条件に応答して表現型を変化させる性質は「表現型可塑性」と呼ばれること

・表現型可塑性はほぼすべての生物に備わること

・表現型可塑性にも環境応答の様式に変異があり、そこに選択がかかることで可塑性そのものが進化する事例があること

が紹介されています。つまりは、「どんな状況にどういう応答をするか」というその応答性を作る遺伝的回路中の因子に変異が生じた場合、そこに自然選択が発生し、環境に対する応答様式が変化する方へドライブされることがありますよ-その結果として獲得形質が遺伝・進化をするように見えることがありますよ、ということです。

この後続く問題が非常に面白く、新たな視点を与えてくれるものばかりなので、是非一度は解いてみてほしい題材です。4月までなら下のリンク先から解けるはずなので……どうぞ……

www.u-tokyo.ac.jp

 

 

で、結局対策ってどうするの?

そんなわけで、共通テスト第1回が終わったわけですが、これを踏まえて次からの対策指導を考えていかねばならんわけです。どうしようね。

取り敢えず基本やりことは今までとあんまり変わらないと思うんですよね。

基礎知識の確実な定着

やはり知識は大事。基礎知識および現象の流れをしっかり定着させることは必須です。授業では正しい理解ができるような説明やアクティビティを作っていくことが今後も引き続き重要かと。

事例を収集させる

今までもやっていることですが、色んな題材になりそうなネタを提供していくことは生徒の興味関心のためにも大事ですね。とにかく色んなテーマに触れ合える機会を作っていくのは続けたいと思いました(問題演習なり、広報誌なり、授業の雑談なり)。全部の知識をちゃんと記憶するのはそうそうないとは思いますが、「見たことある気がする!」ってだけでも解くときの印象が違うだろうし。

教科書のコラムや図説のコラムを積極的に引用するのもそうですが、教員自身が興味を持って新しい論文なり問題の題材なりを引っ張ってくるのも大事かなと思います。大変だけどやるしかないよね~。

グラフ・資料の読み取りは最初丁寧に指導する

グラフや資料の読み取りは肝要なので、授業内で生物学のスキルとしてしっかり磨かせるのは大事でしょう。「勝手に放っておけばできるだろ」は禁物です。

グラフは最初に縦と横を見るのだよ、という指導から始めて、授業内で出てくる様々な典型グラフを生徒に読ませるトレーニングをすべき。

 

これらの従来の指導をやっていけばいいかなと思うのですが、「今までもやってきたけど一層気合を入れてやっていきたいこと」もあるかなと思います。

分野横断的な思考をさせる、分野間の繋がりを作る

今までも生徒になるべく思考させる・知識を使わせる機会を作ってはきました。ある題材を提示して問いかけをしたり、グループで話合わせたり、調べさせたり。しかし、今後は一層そういう機会は大事になるかと思います。

加えて取り上げる内容についても、分野横断的な題材を提供できるといいですよね。どうやってうまく思考させるか、その仕掛けをしっかり作っていくことが必要かと思いますが……。過去に学んだことと今習ったことを横断する題材を提示し、毎回分野間のつながりを意識させるのが良いと思います。

素直な疑問を取り上げる

生徒が普段感じる素直な疑問が出題題材になっていくのではないかと思います。素直な疑問を拾ってシェアしていくのは大事かも。「どうやったらその疑問解決できるかな?」「どういう実験をしたらいいかな?」とワークテーマに変えてしまってもいいかな。

実験器具・操作の本質理解をさせる

今までだと、実験は授業で学んだことを実体験する場であったり、新たな発見をする場であったりしたわけですが、より器具や操作に関する本質的理解ができるようなワークを考えるべきかなと思います。それがどうやったらできるかはまた考えねばならないところ……。「自分で実験を立てる」とかだと、統率立てにくくて運営が難しいので、うまい導入なり誘導を考えねばならぬ。

授業で実験について説明する場合も、理解に繋がる問を立てていけたらいいなと。

 

こんなところかなぁ。

問題演習については、色んな会社が頑張って模擬試験なり対策問題集なり作っているので、それらとセンター過去問を活用すればいいのかなという気がします。生物基礎も生物も、二次の問題で良さそうな難易度のものがあれば活用していくとより良いかなという感じ。

ちなみに本校では対策として、ベネッセラーンズの直前演習と数研のチェック&演習を主に使っていましたが、色々新傾向問題のことを考えて作問しているなぁ……という作問者の苦労を感じました(泣)

何がどう出るか分からないのに作問した方々、本当にお疲れ様でした……皆本当の「新傾向問題」が分からず、アイデア大賞みたいになっていたのが個人的には楽しかった笑

 

私も生徒のために「新傾向問題」作問できるように頑張らねば……(今の所スキルが無)

 

 

ということで、共通テストの振り返りでした!

 

 

追記:

「知識がなくても生物の共通テスト解けたのでは?」という疑問解消のため、

本校の物理選択の子に解いてもらった所、80点とれました。

勿論生物の知識はほぼ皆無のはずの子です(論理的思考はできる子です)。

……やっぱりな!

青いカーネーション

昨年末のことになるんですが、同じ職場で働いているある先生から「青いカーネーション」を頂いたんですよね。

「これ欲しいですか?」って見せられた瞬間に、「わぁぁぁ!?!?!?!『あの』青いカーネーションだ!?!?!?!!!!」って大声で反応してしまいました。

それくらいびっくりしました。

f:id:I_my_mine:20210107205722j:image

 

なぜそんなにびっくりしたのかというと、青いカーネーション遺伝子組換えによって作られた自然界には存在しない色のカーネーションだからです!

これは高校生物を教えている教員にとっては垂涎ものですよ……

青いカーネーションが作られた経緯についても軽く知っていたので、こちらでもちょこっと紹介したいと思います。何はともあれ美しいよね……感動した……。

 

 

 

青いカーネーションは元々、サントリーで「青いバラを作るプロジェクト」があり、その派生として作成されました。

青いバラ作成ストーリーを詳しく知りたい方は、下のリンクから読むことができます。

www.suntory.co.jp

青いバラも青いカーネーション同様自然界には存在せず、またどんな交配を行っても現れることがありません。 

……そもそも青い花ってレアな気がしますよね。私のただの肌感覚なので当てにはならないのですが、普段から生活している時に「青い花」があまり目に入ってこない気がします。

と、思っていたら同様の考えをしている人が日本植物生理学会の「みんなのひろば」で質問してました。

jspp.org

これを読むと、青色素はアントシアニンの中でも、デルフィニジン系のものが担っている場合が多いようです。*1

デルフィニジンは下図で示すような経路で作られます。ついている官能基が違うと、色が変わるのね。詳しく知りたい人はこちらを参照してね。

f:id:I_my_mine:20210115091344p:plain

農研機構から引用。ペオニジンが赤系、ぺラルゴニジンが橙系、デルフィニジンが青系

ですが、デルフィニジン合成酵素遺伝子がなければ、デルフィニジンを作ることができない、と。

てことは、青いバラを作るにも、デルフィニジン合成酵素遺伝子なりなんなりデルフィニジン合成に関わる遺伝子セットを判明させなければならんということですね。

しかも、デルフィニジン合成の系をどこかから見つけてきたとして、その仕組みがバラの細胞でちゃんと機能するのかは分かりません。細胞ごとに使っている遺伝子・酵素、転写調節の系、周囲にある化学物質etc、全部違いますからね……だから入れてみるまで分からない。

中々大変な道のりです。

 

サントリーはフロリジン社と組んで、共同でデルフィニジン合成に関わる遺伝子群=青色遺伝子の探索を開始しました。

最初にターゲットにしたのは紫のペチュニアです。

サイトでも説明されているように、ペチュニアは青色遺伝子に関する色んな知見が溜まっていたのもあり、ターゲットにされたとのこと。

それら知見を基にペチュニアがもつ3万種の遺伝子候補の中から、青色遺伝子候補を300種まで絞りこんだそうです。凄いですよね。

方法として、最初はペチュニアに候補遺伝子を戻して花の色が変わるかのテストを行っていたそうなのですが、これだと花が咲くまで待たねばならず時間がかかるので、途中から酵母に候補遺伝子を入れて活性をテストする方式に変えたのだそう。

方法を途中から改良して時短をするのは、大隅良典先生のオートファジーの研究でも行われていましたが、やはり大事ですよね……!個人的にはこういう展開は胸アツです。

 

そんなこんなでやっと青色遺伝子を取得!

バラに入れてみましょうということで採用したのが組織培養とアグロバクテリウムの組合せ。

 

組織培養は、バラの一部の細胞を持ってきて、オーキシンとサイトカイニンで処理して脱分化させてカルス化させ、それにまたオーキシンとサイトカイニン処理を行うことで再分化させる方法ですね。

こうすることで最初に細胞を持ってきた元個体と同じ遺伝情報を持つ新個体を1から作ることができ、クローンを増やすことができます。

 

一方アグロバクテリウムは植物の遺伝子組換えによく使用される土壌細菌です。

アグロバクテリウムはTiプラスミドというでっかい環状DNAを持っていて(Ti = Tumor inducing)、その内の一部領域がT-DNA領域(transfer DNA)と呼ばれます。

アグロバクテリウムは通常、植物体に感染すると、自身のT-DNA領域の断片を対象細胞に注入します。するとこのT-DNAは相同組換えによって植物細胞のゲノムに挿入されます。

T-DNA領域にはオーキシンとサイトカイニンを作るための酵素が含まれているため、これを挿入された植物細胞ではオーキシンとサイトカイニンによって腫瘍化が発生します。そうやって本来は瘤を形成させ、アグロバクテリウムにとって都合のよい栄養素を作らせるのです。

しかし、遺伝子組換えを起こしたい時にそういうことをされては厄介なので、T-DNAのオーキシンやサイトカイニン合成遺伝子だの栄養素形成のための遺伝子だのというのを全て削って、T-DNAの相同組換えに必要な領域だけ残し、

取り除いた遺伝子たちの代わりにT-DNA領域中に「導入したい外来遺伝子」を入れておいて、

そのTiプラスミドを持たせたアグロバクテリウムを植物体にふっかけるわけです。

すると、入れたいと思っている外来遺伝子をT-DNAとして植物ゲノム中に挿入することができる、という仕組み。巧みですよね。

ただ、植物ゲノムのどの場所に入るかは割とランダムなので、細胞集団に一度に感染をさせたとしても細胞ごとに違うゲノム領域に挿入されてしまう可能性が高いです。

 

組織培養とアグロバクテリウムを組み合わせれば、少数細胞で構成されたカルスに対して挿入を行い、

一つの細胞由来で増えた細胞塊を一個体まで育て上げることもできるわけで、

ゲノム中に挿入された部位が同一の細胞たちから一個体を作ることも可能になります。

 

ということで実際遺伝子導入したバラを一生懸命作ってみたわけですが、花が青くならない……。

そんな折に、このペチュニアから取り出した青色遺伝子を導入して作られたのが、「青いカーネーション」だったのです。カーネーションでは、ペチュニアの青色遺伝子たちがうまく働いてくれたんですね。

(品種によってはパンジーの青色遺伝子が使われているものもあるらしい)

 

 

青いカーネーションができた流れはこんな感じです。

ちなみにバラについては、その後色んな青い花の植物の遺伝子を試し、遂にパンジーの青色遺伝子の導入で成功まで漕ぎつけたそうな。

pHの調整だのと色々大変な道のりで、読み応えがあるストーリーなので、是非先ほど紹介したURLを参照してくださいませ。

 

余談なんですが、青色遺伝子探索の時には「葉では働かず花弁で働く遺伝子」を基準のうちの一つとして行われたようなので、「本当に葉とかには青色が出てないのかな……」と観察もしてみました。
f:id:I_my_mine:20210107205736j:image
目視のみの確認にはなりますが、茎は緑で、青い色素はちゃんと花弁にのみ発現しているようです。なんならがくもちゃんと緑ですね。

 

 

せっかく頂いたので、商品ページになにか面白い情報ないかなと思い、ちょっと検索してみました。

moondust.co.jp

moondust.co.jp

これらサイトを見て初めて、色のバリエーションが6つもあることや、発色をよくするために高地栽培されていることなどを知りました。うーん、面白いなぁ。

6つの色のバリエーションはどうやって作っているんでしょうね?プロモーターが違って発現量が違ったりするのかな。それとも単純に照射UV量で遺伝的には同じものを変化させているのかな。

 

個人的に一番驚いたのは花言葉があることです。

ムーンダストの花言葉は「永遠の幸福」だそうな。

……うん、ちょっと大げさな気もするけれど、そう言っても差し支えないくらいには綺麗だったよ!!!!!!

 

明日・明後日は、私が3年間教えた子たちが共通試験に挑みます。

彼らに「永遠の幸福」が齎されますように……!!!!!!!と心から願っています。

ついでに自分も永遠の幸福に見舞われたい。永遠の幸福降ってきてくれ~!!!この記事を読んでくれてる皆にも降ってくれ!!!!!

*1:このQ&Aを読んで、「紫外線照射するとアントシアニン合成量が増えて色が濃くなる」というのを恥ずかしながら初めて知りました。が、かつて生徒たちがやっていた実験で、紫外線照射をした時植物の色が濃くなったのを思い出しました。こちらのQ&Aですっきり述べられていたので整理できた。本当に植物生理学会はすごい。