あいまいまいんの生物学

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2021年度大学入試共通テスト追試 生物 所感

追試終わりましたね!

全国の受験生の皆さんお疲れ様でした。

 

本試の所感はこちら

i-my-mine.hatenablog.com

 

第二日程も、既に問題が掲載されています。仕事が速い! 

2021年度 大学入学共通テスト速報 第2日程(1月30日・31日) | 大学入試解答速報 | 大学受験の予備校・塾 河合塾

 

早速生物基礎・生物を解いてみました。

問題と答えはこちらからどうぞ。

生物基礎 問題

生物基礎 解答

生物 問題

生物 解答

 

生物基礎

今回はゆるゆると解いたので時間はかかっていませんが、大体第一日程と同じくらいで解けたと思います。

もっと早かったくらいかも。

 

第一日程と変わらぬ難易度?

中身的には、新傾向的な新規題材も一部取り上げつつ、それでも基礎知識に基づけば解けるかなという、生物基礎らしい難易度だった気がします。

知識と思考のバランスもいいかな。

しかし、第一日程ほどストレスなく解けるものではなく、なんというか、「この文変じゃない?」とか、「これ答えでいいのか……?」とちょっと不安になるぐらつきも少々ある。これ皆さらっと解けるのかな。そういう意味では第一日程の方が完成度が高かった気がします。

加えて第一日程では出ていた実験デザイン系の問題がなかった。簡単な計算問題に置換された感じですかね?

あとは、新規題材といいつつどこかで見たことがあるようなものが多かった気が。個人的には全てを総合して第一日程の方が好き。

 

大問ごとの所感

第1問

前半はサンゴの共生をテーマにとり、細胞構造と代謝について聞くやつ。

後半はDNAについて。

もしかして第一日程と同じ構成?っていうくらい問題が被っている気がします。

何より一問目が「酵母は真核生物!」っていうのをまた答えるやつだったし。これ第一日程でも見た。共通テスト作る人酵母推しなのかな。第一日程解いてたら有利になっちゃうやつでは?

あとはサンゴの方については、ネタや持っていき方は工夫されているけれども会話文に違和感が……アキラの「褐虫藻が共生したサンゴは、餌だけではなく、光合成でできた有機物も利用してるんだって。」という文がちょっと変な気がします。

伝えたいこととしては、サンゴは能動的に餌をとって食べる+褐虫藻が作る光合成産物も有機物源として使う、なんでしょうが

サンゴが自分で餌をとるイメージがない人からしたら、この文は「サンゴが褐虫藻を餌とするし、光合成産物も使う」みたいに見えませんか?私だけか……

ゲノムの方はなんかトンチみたいな問があって、聞きたいことは分かるけどもという複雑な気持ちになりました。

 

第2問

じんぞう と しんぞう。ダジャレか?

腎臓は非常に当たり障りのない普通の知識問題と普通の計算問題。真面目に普段取り組んでいれば解けないわけがなかろうよ。こんなレベルの計算問題を二つも出す?

後半の心臓はグラフと心臓構造と知識を結びつけるやつ。とはいえ既視感あり。どこかで見たことがあるだろうし、大抵初見ではう~んと少し悩むだろうなという感じ。

第2問は総じて普通なので、なんていうか、模試みたい。真面目にやった人にとらせる問というか。あんまり楽しくはないなぁ。

 

第3問

植生・バイオームと外来生物

放置林をテーマに植生遷移だの窒素循環だのを考えさせる。放置林にフォーカスするのは捻り方としてはいいよね。

個人的には「日本の海沿いで山火事も人為撹乱もなーんもないのに森林ができないところがある。こういうのはどういう場所?」っていう問題がなんとなく気持ち悪かった。誤答が外れるのは分かるんだけども、何を聞きたい……?というか。なんとなく選択肢の作り方が気持ち悪いと思うのは私だけ?

外来生物についてはオオクチバスが入った後の池がどうなるか考える問題だったのだけれど、選択肢に「栄養段階数が減った」というものがあってもやっとした。どの生物がどの栄養段階に属するか丸暗記しておけということか?(情報が一切載ってない)

外来生物の素材自体も新規性はない。

また、16の問題で「外来生物の定義」を聞いているのだが、「②国外から移入された生物で、同一国内の他地域から移入された生物を含まない。」は怪しいのでは?答えになってしまうのではないか?と思ったりした。私は④を選んだ(人間が移動させたもの)が、外来生物の紹介ページを見ると②は該当する気がする。

例えば環境省のHPにはこうある。

用語集 | 日本の外来種対策 | 外来生物法

外来生物

一般的には、「外来種」とほぼ同義で用いられている事が多い。

外来生物法では、「海外から我が国に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物」と定義されている「法律用語」。つまり、国外から日本に導入されるもののみを対象としており、いわゆる国内由来の外来種は含まない。

 しかし生物基礎の教科書にはこう書いてある。

人間の活動によって意図的に、あるいは意図されずに本来の生息場所から別の場所へ移されて定着した生物を外来生物という。

どっちも答えじゃない???????? と、少々混乱気味である。

昨今の情勢を見ていても、人々が「外来生物」と呼ぶときは大抵生物基礎の定義、すなわち人間の手による移動を想定しており、②が言うようにそれは海外からの時もあるが、同一国内の違う場所からの移動だとしても「外来生物」と言う気がする。

外来生物が全て有害なわけではないのでこう言うと誤解を招きそうだが、特に有害な生物に関しては国内の別の場所からくるパターンが増えていて(遺伝子汚染の話はかなり言われている。所謂別の場所にいた魚を放流するとか、植林するとか……とてもよくない)、その際「外来」という言葉も使われるのを耳にする。

そういうことを鑑みると、④が正解なのは分かる(すべてに共通することは「人の手で移動させる」ことだから)が……

定義として存在してしまう場合はその選択肢をはじくことはできないのではないか?

 

 

生物

こちらは第一日程の時と比べて解くのにかなり時間がかかってしまいました。

そこまで難しいわけではないはずなのに悔しい。パソコンの画面で解くのが駄目。小さな処理に手間取ってしまう。

 

第一日程よりもまともな問題なのでは?

個人的な感想になりますが、第一日程がだいぶナニコレ感があったのに対し、

第二日程の生物は相対的に比較した場合ワンステップ以上の複雑な処理や知識の絡みがある問題群だったのではないかと思います。

第一日程より平均点は落ちそう。

ただ、持ってきたネタの面白みや新規性としては、第一日程の方が良かったのではないかという気持ちもありますね。「へぇ~」というものは第一日程では多くあったので(答えが丸見えなのはいただけなかったが……)。

あとは生物基礎同様、「この選択肢はあまりよくないのではないか」と思えるものがありました。

 

大問ごとの所感

第1問

前半は抗体の構造をメインにとったタンパク質の問題、後半はミトコンドリア葉緑体のDNAを使ったバイオテクノロジーと植物を絡めた問題でした。

抗体をパパインで切るのはもう常套手段というか。生物オリンピックでも出ていましたし、よく見るものな気がします。ちょっとした頭の体操で最初は面白かったけど、もう見慣れたな。

後半の問題は割と面白かったです!葉緑体がオス(花粉)由来なのには驚き。皆そうなのかな?

その読み取りを使うと謎のグラフが一気に意味を帯びて「うおー!」ってなりました笑。でもこれ、一問解けなかったら(泳動像の意味がとれなかったら)総倒れタイプ、所謂連動してるやつだけど大丈夫なんだろうか?

 

第2問

色々詰め込んだ小問+植生のやつ。第一日程での既視感を感じますね。全然違うけどさ……

個人的にはこの問4の選択肢が気に入らなかったです。森林において、日中で一番強い光があたる時間帯の各階層での光強度が先に与えられた上で、その植生に存在するある植物の光-光合成曲線が示されます。その際、②の選択肢では「一日を通して」の二酸化炭素吸収量を聞いていて、それ以外の選択肢は全て「一日のどの段階の話か」が明記されてないんですよね。まぁどの段階でとっても当てはまらないんだけどさ!!!!!!そうだとしたってなんかな!!!!!

 

第3問

サンゴ礁で生きる生物の物質収支

資料読み取りと計算、という感じでした。

生態ピラミッドが逆転するというオチはへ~ってなったけど、あんまり納得感がない。

 

第4問

「アリスさん、ルイジさん、メアリの三人は、お茶会で尿生成の仕組みについて話した。」 

?????????????????????

お茶会で何の話してんのこの人達……

作問者絶対可愛い女の子たち3人にお茶会しながら尿の話をさせたかっただけだろ。違いますか???

分かるよ?我々生物の人間はご飯食べながらうんこの話とか尿の話とか内臓の話とかガチでするもんね????好奇心だけで動いてる倫理がちょっと御暇しちゃうタイプだもんね?????

お茶会で尿生成の話がシュールすぎてもう今までの気合が全部吹っ飛んじゃったよ。

「そんなに甘いものばっかり食べていると糖尿病になるよ」に対してサラサラと糖尿病のメカニズムを語るアリス、

「飲みすぎるとトイレが近くなって困るのよね」というアリス、

利尿薬を飲んでいたルイジ、

そしてカフェインの利尿作用をペラペラと瞬時に話すメアリ……

そのあと三人の会話はバソプレシンの実験にヒートアップ!

どういうこと???????????

最高のお茶会ですね、私も混ぜて下さい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

問題も楽しかったよ。

 

第5問

ショウジョウバエとムカデとアルテミアの足形成の話です。

ショウジョウバエでは足形成をハラ部で抑制する遺伝子Yが、アルテミアではムネで発現しているのに全部足があるよ~という紹介から始まり、じゃあ遺伝子Yって何者なんだろうねという探求が始まります。

案外読み応えあって面白かった!ネタもよかったです。

分野もうまく横断させていて、発生や進化がつながり、まとまりがとても素敵。こういう問題好き。

 

第6問

メンフクロウがどうやって左右の音の差を認識するかという話で、

構造、計算、神経回路など結びつけておりこれもとてもおもしろかったです。

音速340m/秒とか出始めたので「まさかの物理か……???」と一瞬で心臓が高なりました笑 心臓に悪い。

 

ネタとして素直に面白い!勉強になる!と思ったのは第5問と第6問ですが、

第4問のなんとも言えないカオスな問題を作った人にも拍手をあげたいですね(よく作問会議通ったよなこれ……皆尿の話が大好きな生物大好き変態なんだろうな)。

 

 

今回はちょっと調べる暇がないので深堀れてないのですが、

可能ならアルテミアとフクロウの話は調べたいな~