本試はこっち↓
追試は毎年公開が遅い&どこが公開するか分からない(大抵福島民友新聞さんが頑張ってくれてる)という問題があるが、今年は高校生新聞ONLINEが最速っぽい。恐らく。掲載してくれてありがとう……(しかし欲を言えばPDFで欲しい)
一応答えはここ↓
取り敢えず生物基礎だけ今回はやっていく。生物は次回に回す。
第1問
Aは代謝や細胞構造に関する問題。基本的には知識だが、問2では「細胞質」という言葉の定義がちゃんと分かっていないと若干戸惑いそうな気がした。問3はパスツール効果を題材にしているが、基礎の教科書に扱いはあるのだろうか?進学校なら恐らく授業で触れられるので問題文をあまりちゃんと読まずとも答えられてしまいそうなものだが、教わらないと読む分&理解する分若干ロスになる気がする(そこまでひどい問題だとは思わないが、思考を試す共通テスト的問題にしようとして実際は授業で習ったかどうかで有利さが変わってしまっているのではという印象)。
Bはタンパク質と遺伝情報。問5の計算は「おおよそ」と言っているのでまぁいいのかなという気もするが、アミノ酸数×3=mRNAのヌクレオチド数や遺伝子の塩基対数 というわけではないので一言必要だったのではという気がする(遺伝子の塩基対全体がアミノ酸を指定するとして、的な?)。生物基礎で学ぶ範囲内だけでも、開始コドン終止コドンのことがあるのでアミノ酸数×3=mRNAのヌクレオチド数にならないことは自明のはずだ。「おおよそ」だから良いのだろうが……。
第1問はA,Bどちらもリード文が非常に簡潔な上、新規題材もなく、面白い事象を紹介するわけでもなく(パスツール効果がそれにあたるのか?)という感じだった。問われていることも基本知識で、強いて言うなら問3と問6が思考……なのだろうが、なんだかとてもセンター試験に近い印象を受ける。
第2問
Aは体内環境の維持。リード文は血糖値についてで、これも新規性はない。
問2でグルカゴン(ホルモンA)とインスリン(ホルモンB)に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題があるが、②「グルカゴンは、インスリンによって分泌が抑制される」は正解にならなくて大丈夫なのだろうか?例えば下のPDFには以下の説明がなされている。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/55/11/55_841/_pdf
近年,膵島内パラクリン効果を介したグルカゴン分泌調節の重要性が明らかとなってきている.前述のごとく,α 細胞は膵島内血液微小還流を介した β 細胞分泌の直接の標的となっていることが示唆されているが,β 細胞からのインスリン,GABA,亜鉛はグルカゴン分泌を抑制することが認められている.特にインスリンはその作用によりグルカゴン分泌を抑制する一方,分泌低下時など α 細胞に対するその効果の消失時にはグルカゴン分泌を促進すること(スイッチ・オフ作用)も報告され,β 細胞は α 細胞からのグルカゴン分泌を抑制刺激と能動的に調節していることが伺われる.
自分はインスリン・グルカゴンの専門家ではないので詳しいことはわからないのだが、インスリンとグルカゴンの間に調節関係があるらしいというのは聞いたことがあり、正直②が正しい文章なのか否かが判断できない。とはいえ、「グルカゴンは、インスリンによって分泌が抑制される」だけで詳細な設定等がないので、結構あり得そうな現象に思えてしまう。勿論①があからさまな正解であり、②は授業でも習わない&教科書に記載がないだろう……と言われてしまえばそれまでなのだが、授業云々は別にして生物学として事実かどうかを考えたうえで選択肢は作らなければならないと個人的には思っている。完全に間違いならいいのだが……果たして……。
Bは免疫。Zさんの具体的な体験(インフルエンザ家族感染、ハチによるアナフィラキシーショック)をリード文とし、問題が展開されている。問4,5と細かめな知識、という感じだが、問6が思考的な問題になるのだろう(とはいえそこまで難しいものではなく、組み合わせるだけなのだが)。
ということで第2問も新規題材……という感じはなく、リード文は平凡で、問題内容にもそこまでひねりはなかった。知識重視な印象を受ける。上でも述べたように問2に疑問が残る。
第3問
Aは遷移とバイオーム。問1ではある草本に対するササ刈りの影響を調べる実験と結果を見て考察するようになっているが、なぜこのような結果になるのだろう……と純粋に不思議(刈り取られた方が個体数は減って花の総数は増える。花が増えたら個体数も増えそうなものだが……)。問2は平凡な知識。
Bは生態系。探究活動を題材とし、土壌動物に影響を与える条件を探究している。問3は単純な資料読み取り、問4は実験デザイン。共通テスト的な問題という面では別にいいのだが、問4の実験は若干稚拙な気もする。いや、正解になるのはわかるのだが。「林床の光環境の影響で土壌動物の分類群の数が変わる」ことを調べるために、ただ単に明るい林床で一部を覆って暗くして動物の比較をしたとしても、その場所と明るい場所で動物の行き来があるだろうからな……と思ってしまうのだ。じゃあどういう実験が良いのかと言われると難しいが。完全に同じ森を別の場所にコピーして明暗だけ変えられたらいいのにね(?)
第1,2問のリードや題材があまり目新しくなかったのに対し、第3問は共通テスト的な問題だなぁという印象を受けた。知識が全く無くても資料が読み解ければ解けてしまう問題だらけの構成は若干危うさを感じないでもないが。
本試験に比べたらほぼセンター試験かも
ということで一通り見てきたが、本試験に比べると圧倒的に面白みがなく、知識に傾倒している印象だった。しかも若干細かい。細かい知識、正しい定義を身につけることは大事なのでそれを問うことは問題だとは思わないが、問いすぎるのは若干息苦しさを感じないでもない。
そして違和感を感じるところが結構あったのもなんだかな……という気持ちだ。本試験でもそうだったが、どうして今年度の生物基礎では遺伝子発現のところの出題が若干粗くなるのだろう?もうちょっと厳密にするために注意書き等ちゃんとして欲しい気がする。そして特にインスリンとグルカゴンのところはどうなんだという気持ちが残る。教科書を読んで絶対ない、と思える選択肢ならまだしもなぁ。
追試が本試に比べてめちゃくちゃ難しいとかそういうわけではないので受験生的には別に良いのだろうが。うーん、という気持ちだ。