あいまいまいんの生物学

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高校生物「ハーディ・ワインベルグの法則」計算問題を理解する その1

 

ハーディ・ワインベルグの法則に関する計算問題の質問をよく受けます

見出しの通りです。

めちゃくちゃよく質問されます。

が、質問してくる人が大体どこで躓いているかというと、

  • そもそも遺伝子頻度が何者なのかよくわかっていない
  • 計算式の意味がわかっていない
  • 自分が何を計算してるのか段階がわかっていない

というところに集約されてくる感覚があります。

で、毎回私は「日本語で立式できるようにしなさい」とか「今どこの部分を導いてるか、何を導いているかを文章で書きながら式を進めなさい」なんて指導するんですが、それでもまぁやらないですよね。めんどうくさいんだろうね。それが一番いいのに。

そのめんどくさいの行為故に、本番でちょっと捻られた問題出されると焦って崩れちゃたり、雰囲気で式当てはめてドボンしたりするのにね。

 

そういう悲劇がなくなったらいいなという想いと、

本気で困っている人を助けたいという気持ちから、

どうにかしたい!と思う人のためにブログで解説を書いてみることにしました。

ブログだったら、当人が困った時に何回も戻ってこれるし、

言葉で説明するとあっという間に忘れたり、紙に書いたら紙ごと紛失したりするけど、ブログならそうはならないからね。

ぜひ、ハーディ・ワインベルグの法則を雰囲気でこなしていて、ちょっと困っている人の助けになれたらと思います。

 

この記事は誰のためにあるのか?

ということで、上でも述べたようにこの記事は、

  • ハーディ・ワインベルグの法則というものがあるのを知っている
  • 高校の授業で習った
  • けど計算がなんとなくよくわからない

そういう人のためにあります。

ので、ハーディ・ワインベルグの法則の学術的意味とかには言及しません。

中身についても、高校生物の教科書に書いてあるレベルの話しかしません。

 

基本的にこの記事では、計算問題が解けるようになることを目標とします。

というか、計算式を理解できるようになることを目標とします。実はこれが一番大切だと私は思っています。

 

生物学として考えると、計算だけができるようになったところで……と思うところもあるかもしれませんが(特にその道の専門の人にとっては)、実際の大学入試問題ではハーディ・ワインベルグの法則を絡めた計算問題は頻出なので、どうにかしなければならないものだと思います。

そういうわけで、割り切って読んで頂けると幸いです。

 

 

約束事。

  1. 飛ばさずに一個ずつ確認しながら進めることを約束してください。
  2. ハーディ・ワインベルグの法則が絡む計算問題を手元でやるとき、独力で「文章で立式できる」ようになることを目標にしましょう。
  3. ハーディ・ワインベルグの法則が絡む計算問題を手元でやるとき、独力で「今何をしているか文字で説明できる」ようになることを目標にしましょう。

 

 

ハーディ・ワインベルグの法則の基本を確認しておく

ハーディ・ワインベルグの法則とは、ざっくりいうと「以下に示す性質を満たす集団は遺伝子頻度が変化しない=進化しない」という法則です。

  1. 十分に大きい集団である。
  2. 個体の移出や移入が生じない。
  3. 突然変異が生じない。
  4. 自然選択が生じない。
  5. 自由交配が起こる。

 

ハーディ・ワインベルグの法則は上のように小ざっぱりとしていますが、用語の意味がわからなければ計算問題も理解はできません。

下の用語の意味は最低でもわかるようにしておきましょう。

  • 対立遺伝子
  • 突然変異
  • 遺伝子プール
  • 遺伝子頻度
  • 自由交配
  • (自家受精)

 

一応これらもざっくり、必要イメージが得られる分だけの解説をしていきます。

今後の理解の素地になる部分でもあるので、怪しいところがある人もない人もなるべく確認をしてください。

 

説明のため、適当な2倍体生物を設定します。後で計算問題でも活躍してほしいので、ハーディ・ワインベルグの法則を満たすような生物であるとしておきましょう。

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2倍体生物は、身体の細胞の核内に相同染色体を2本ずつ持っています。

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相同染色体どうしは持つ遺伝子座が共通していて、対応する場所に共通の遺伝子座があります。特定の遺伝子座には、特定の対立遺伝子の中からいずれかが乗ります。

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難しいなと思ったら、スマホのカスタマイズなどを想像してみてください。カスタマイズでは、「本体のカラー」、「カバーの種類」、「壁紙」などの遺伝子座があります。

「本体のカラー」という遺伝子座の選択肢(対立遺伝子)は、赤、青、ゴールドなど……

「カバーの種類」の対立遺伝子は手帳型、なし、枠のみのものなど……

という風に、それぞれの遺伝子座はそれぞれの対立遺伝子から選んではめ込むのです。2倍体の場合は、「本体のカラー」の遺伝子座が2つあるので、2色選んではめ込むわけですな(こんなのでわかるのか?)。

 

実際の遺伝子の話に戻して、対立遺伝子というものを確認しましょう。対立遺伝子は、塩基配列がちょっと違っていて、そのバリエーションがそれぞれ異なる名前で呼ばれます。メンデルの法則のとき、Aとaが対立遺伝子、Bとbが対立遺伝子……なんてやったと思いますが、Aとaはちょっと塩基配列が違うのでつけられた名前なわけです。

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対立遺伝子は突然変異という、塩基配列変更イベントで新規に発生してしまいます。そうすると、ある遺伝子座を占める対立遺伝子の候補(選択肢)が増えてしまう。ハーディ・ワインベルグの法則ではその「対立遺伝子の増加」がない、というのを宣言しています。

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現状までで大事なところを一回確認

  • 2倍体生物では相同染色体が2本ずつあるので、ある特定の遺伝子座も2個あり、その遺伝子座には対立遺伝子のうちどれかが選んではめ込まれる
  • つまり、ある特定の遺伝子に着目した場合、どの個体も遺伝子を2つ持っていることになる
  • ただし、個体ごとにその2つの遺伝子の持ち方は違う。対立遺伝子のうちどれを選ぶかで持ち方が変わる。

ここまでは理解できたでしょうか?実はこれがわかってないと、ハーディ・ワインベルグの法則は理解できません。頑張って理解してください。

 

 

次。遺伝子プールと遺伝子頻度を確認します。

遺伝子プールというのは、個体の集団を遺伝子の目線で見たものです。

だから、遠目にこういう見える集団がいたとして……

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遺伝子Aまたはaの遺伝子プールという捉え方をすると、こう見えるようになります。

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遺伝子がわらわらいますね。わらわらたまってるので、遺伝子プールです。

遺伝子プールで見たときも、特定の遺伝子について「1個体に遺伝子は2つある」ということを忘れないようにしましょう。

 

では、この遺伝子プールにおけるAとaの遺伝子頻度を計算してみようと思います。

遺伝子頻度は名前の通り、「遺伝子の頻度」。つまり、遺伝子プールのAまたはaの遺伝子座すべてに対して、Aやaがどれくらいの確率で乗っているのか(出現しているのか)が遺伝子頻度です。

まずはAの遺伝子頻度を考えてみましょう。

上の集団で、Aまたはaの遺伝子座は総計幾つあるかというと、

個体の数9×各個体がもつ遺伝子座2=18個 です。

じゃあ、Aはどこにあるかというと、

  • 遺伝子型AAの個体2個体(これは、各個体がAを2つ持ちます)
  • 遺伝子型Aaの個体2個体(これは、各個体がAを1つ持ちます)
  • 遺伝子型aAの個体2個体(これは、各個体がAを1つ持ちます)

になるので、計算式としては

(遺伝子型AAの個体数2×各個体がもつAの数2) + 

(遺伝子型Aaの個体数2×各個体がもつAの数1) + 

(遺伝子型aAの個体数2×各個体がもつAの数1) + 

=4+2+2=8個 ということになります。

よって、

Aの遺伝子頻度= Aの個数/Aとaの遺伝子座の総数 = 8/18 = 4/9 ということになりました。

同じくaの遺伝子頻度も求めてみましょう。答えが5/9になったら正解です。

 

ここで気づいて欲しいのですが、Aの遺伝子頻度とaの遺伝子頻度を足すと1になりますね。これはなぜ1になるのか説明できますか?

 

……今回着目した遺伝子座に乗る対立遺伝子の候補は、Aとaの2つしかありません。2つの対立遺伝子のどちらかが乗る以外の選択肢はあり得ないです。

ということは、事象としては遺伝子座にAが乗ること、aが乗ること しかないので、この起こりうる事象の確率全てを足したら1になる、というのは当然のことなのです。

逆にここで1にならなかったとしたら、遺伝子座にAとa以外の別の対立遺伝子が存在していることや、個体の移出入があることが想定されます。現実世界では普通にそういうことはあるんですが(複対立遺伝子も普通にあるし、突然変異もあるし、個体の移出入もある)、今回の仮定では、ハーディ・ワインベルグの法則の条件を満たす集団なのでナシです。

そんなわけで、Aの遺伝子頻度とaの遺伝子頻度を足すと1になるんですね。

 

現状までで大事なところを一回確認

  • ある特定遺伝子に着目した遺伝子プールにおいても、勿論1個体につき2つの遺伝子座があり、2つの遺伝子を持っている。
  • ある遺伝子の遺伝子頻度=ある遺伝子の個数/ある遺伝子がのることができる遺伝子座の総数
  • 対立遺伝子がAとaの2つしかないなら、Aの遺伝子頻度とaの遺伝子頻度の合計は必ず1になる(ハーディ・ワインベルグの法則を満たす集団なら)

 

最後の用語、自由交配と自家受精にいきましょう。

自由交配というのは、名前の通り皆が自由に交配することです。

先程出した遺伝子プールで自由交配が起こったらどうやって子供ができてくるのかを考えてみましょう。

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……と言うと、案外頭がこんがらがる人も多いようなのですが、こういうのは雑に考えましょう。

自由に交配する、ということは、もともと遺伝子プール内で沢山ある遺伝子は沢山生殖細胞に乗るし、少ない遺伝子は少なく生殖細胞に乗るだろうなって思うじゃないですか。

例えば、Aが集団内で10個、aが集団内で1個しかない集団で自由交配が起きたら?きっとAを持つ子孫が沢山生まれるんだろうなって思いますよね。

そんな風に、自由交配は、誰と誰が交配する……とか考えるんじゃなくて、遺伝子プールの中の遺伝子頻度を見て、その遺伝子頻度に基づいて集団としての生殖細胞ができると考えると簡単です。集団が生殖細胞を作って交配させるんです。

じゃあ、上の集団の状態をもう一度確認します。

上の集団では、Aの遺伝子頻度が4/9、aの遺伝子頻度が5/9でした。

だったら、生殖細胞という相同染色体のうち1本しか持たない=1つしか遺伝子座がない細胞のその遺伝子座においても、Aは4/9、aは5/9の確率で乗るんです。

よってこの集団が作る生殖細胞では、

Aをもつもの:aをもつもの=4:5で発生することになります。aをもつ生殖細胞の方が沢山できるんですね。

オスとかメスとか関係なく、この遺伝子頻度で卵と精子を作って交配させます。ので、便宜的にこういう表を描いて、交配結果、すなわち子孫の様子を推察することができます。

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Aの前の4、そしてaの前の5は、その遺伝子を持つ生殖細胞が出現する比率です。上でも述べたように、Aの遺伝子頻度4/9、aの遺伝子頻度5/9からこの数字は来ています。勿論、もっとシンプルにしたい人は、上の図において4ではなくて4/9、5ではなくて5/9と書いても構いません。やりたいこととしては、遺伝子頻度を生殖細胞の数に反映させたいだけなので、どちらでやっても同じです。

黄色い枠内に子供を考えていくわけですが、その際数字は掛け算、Aやaは従来通りどういう遺伝子型の子供ができるかを枠内に埋めていきます。子供も2倍体生物なのでAAとかaaといった風に遺伝子を2つもつわけです。

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子供の遺伝子型の前に付いている数字もやはり比率です。

今回の次世代集団を考えると、

AA:Aa(AaもaAもAaとして一括する):aa = 16:40(20+20のため):25 になります。

よって、例えば次世代の子供が総計81個体生まれたならば、そのうちの各遺伝子型個体は

AA: 集団総計個体数81×比率16/81 = 16個体

Aa: 集団総計個体数81×比率40/81 = 40個体

aa: 集団総計個体数81×比率25/81 = 25個体

になるし、192個体生まれたなら、AAは32個体、Aaは80個体、aaは50個体になるってわけ。

ハーディ・ワインベルグの法則で手詰まりする人は、今触ってる数字が比率なのか個体数なのかわからなくなってしまうという人も多く見かけます。どちらもリンクしていると同時に、違うことなので、それをうまくおさえられると色んな計算が楽にできるようになります。見分けるの大事。毎回式に書き込むなり、文章で書いてから式を書くなりして道標を作りましょう。後から確認もしやすくなるよ。

 

現状までで大事なところを一回確認

  • 自由交配では「集団が生殖細胞を作る」と考える。誰と誰が交配とか考えない。なぜなら自由だから。
  • 生殖細胞のもつ1つの遺伝子座にどの遺伝子がどの頻度で乗るのかは、集団の遺伝子頻度が反映される。
  • 表の描き方、数字とアルファベットの意味をマスターする。
  • 比率、確率、個体数……見分けるの大事。

 

自家受精については、問題で出てきた時に触れることとしましょう。

 

これでやっと準備が整いました。計算問題に立ち向かえます。

 

ハーディ・ワインベルグの法則を証明する

ハーディ・ワインベルグの法則では、条件を満たす集団では世代を経ても遺伝子頻度が変化しない=進化しない、ということを言っていました。

それを証明する過程をちゃんと理解すると、計算問題もぐっと解きやすくなります。やってみましょう。

 

まず、前提を作っていきます。

  • 今から扱う集団はハーディ・ワインベルグの法則で提唱された条件を満たす。
  • 対立遺伝子Aとaのみが乗る遺伝子座に着目する。
  • 親集団でのAの遺伝子頻度はpとする。
  • 親集団でのaの遺伝子頻度はqとする。
  • 対立遺伝子はAとaしかないので、p+q=1である。

この集団の次世代集団を作ってみて、そこでもAの遺伝子頻度がp、aの遺伝子頻度がqだったら「遺伝子頻度は変化しない」を証明できますね。

 

では、上でやったのと同じく、この親集団の自由交配で次世代を作ってみます。

表を自力で書けそうですか?今回の遺伝子頻度は「p」と[q」で、数字ではないのでためらわれるかもしれませんが、やることは数字のときと同じです。

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子供を作っていきます。

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pとかqとかは数字だと思わないとおかしくなるよ!Aとかaの遺伝子と混合しないように注意しましょう。

さて、これで次世代の集団における各遺伝子型の比率が決定しました。

AA:Aa:aa=p^2:2pq(pq+pqなので):q^2

ここから、次世代でのAの遺伝子頻度とaの遺伝子頻度を出したいわけですが、人によって「個体数でやりたい!」という人と、「最初から比率でやれる!」っていう人がいると思うので、2パターン書きます。

 

個体数でやりたい人

個体数の方が触りやすいもんね。まず個体数に変えちゃいましょ。

次世代集団の総個体数を適当に決めます。数字でも、xでもいいです。私はxにします。

で、AA、Aa、aaの個体数を出しましょう。

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p+q=1だったのはなぜなのか覚えているでしょうか?忘れていたら確認してください。

とにかくこれで、個体数は出せましたね。

じゃあ、次はAの遺伝子頻度を出しましょう。Aの遺伝子頻度=Aの遺伝子の数/Aとaの遺伝子座の総数 でした。

ではまず遺伝子座総数から考えましょう。x個体それぞれが2つ遺伝子座を持つので、

遺伝子座総数は 2x個。

で、Aの遺伝子の数は、

AAがp^2x個体(1個体につき2個のA)

Aaが2pqx個体(1個体につき1個のA)

ですから、(p^2x × 2)+(2pqx × 1)=2x・p^2 + 2xpq = 2xp(p+q)=2xpになります。またp+q=1を使います。

ということで、Aの遺伝子頻度= Aの遺伝子の数/Aとaの遺伝子座の総数=2xp/2x = p。親集団と同じく、Aの遺伝子頻度がpになりましたね!

aの方は自力で一度やってみましょう!遺伝子頻度qが導出できればばっちりです。

 

比率そのままでやりたい人

次世代の集団における各遺伝子型の比は

AA:Aa:aa=p^2:2pq(pq+pqなので):q^2

でした。ここからAの遺伝子頻度を出します。

AAという個体の比率がp^2で、AA1個体がもつAの遺伝子の数が2個。

Aaという個体の比率が2pqで、Aa1個体がもつAの遺伝子の数が1個。

その上で、この集団に存在する全ての遺伝子数を比で考えると、1個体につき2個もつため2×(p^2+2pq+q^2) = 2×(p+q)^2 = 2×1^2 = 2。

よって、Aの遺伝子頻度=(p^2×2 + 2pq ×1)/2 = 2p(p+q)/2 = p(p+q) = p×1 = p。

親集団と同じく、次世代でもAの遺伝子頻度がpになることがわかります!

aの遺伝子頻度は自力で出してみましょう。qになれば正解です。

 

結局何に気を使いながら進めればハーディ・ワインベルグの法則の計算問題は解けるのか

最初にも宣言したように、ハーディ・ワインベルグの法則に関する計算問題は、

  • 文字で式を表せること
  • 今何をしているか、何を導出しているかが言葉で説明できること

が一番重要だと思います。その中でも、特にちゃんと言葉で指し示せるようになりたいのが、

  • 今扱っているのは個体数なのか、遺伝子頻度なのか、比率なのか
  • 今扱っているのはどの集団の値なのか

だと思います。特に後者は超大事で、

親集団のAの遺伝子頻度はpです。

じゃあ次世代のAの遺伝子頻度はなんでしょう?

みたいに、自分はどの集団のどの値の情報を持っていて、どの集団のどの値を求めようとしている(どこがわからない状態)なのかを区別・把握しておかないと、ごっちゃになっていきます。

親のAの遺伝子頻度がpなら次世代の遺伝子頻度もp!みたいなのは、ハーディ・ワインベルグの法則をちゃんと満たす集団なら通用するのですが、自家受精になったり自然選択が入ったりするといきなり訳がわからなくなってしまうでしょう。

遺伝子頻度が世代に関わらず集団内で常に同じ値になるのはハーディ・ワインベルグの法則を満たす集団だけです。それ以外では世代と値の紐付けにセンシティブであらねばなりません。

 

あとは、「1個体が2つの遺伝子座ないし遺伝子を持っている」ということは大抵の人がすぐ忘れがちで、それによって式がおかしくなったり、読解できなくなったりします。2倍体なら1個体がもつ特定の遺伝子座は2つ、これはもう絶対忘れないようにしておいた方が良いでしょう。

 

 

今日はここまで

次回の記事では実際の問題を解きながら解説をしていくつもりですが、正直ここまでのことがちゃんとわかっていればかなりの問題が解けるようになるのではないかと思います。

ので、しつこい話ばかりで嫌になってしまうでしょうが、是非上に書いてあることや考え方はマスターして欲しいです。

 

最後になりますが、自分は集団遺伝学の専門でもなく、統計や数学の用語の感覚もかなり乏しいため、色々間違った表記や表現があるのではないかと思います(比と比率と確率と頻度がごちゃごちゃしてきたり、「ハーディ・ワインベルグの法則の条件を満たす集団」と書くべきところを省略したり……)。本当にすみません。自分の実力不足を書きながらかなり感じました。

間違っている点に関しては、もしお気づきであれば指摘して頂けると幸いです。誰かの役に立つ記事にできたらいいなと思うので、もしお手伝いしてくださる方がいらっしゃるのであればご指摘よろしくお願いいたします。