植物系の話が少ないことを反省したので、今日はアサガオの話をします。
専門でもないのであんまり細かい話ができないけれど…
✿違う植物に見えるけど…
取り敢えずまずは下リンク先の花の画像を見てください。
ここに写っている花は、どれも違う種類に見えますが…
実はこれ、全て「アサガオ」です。
ここに写っているアサガオは、アサガオの中でも「変化朝顔」と呼ばれるものたちです。
アサガオは、奈良時代末期にその種が薬として遣唐使により持ち込まれたことで日本にやってきたらしい。
その後、江戸時代にアサガオの栽培ブームが起き、花を愛でられるようになりました。
栽培過程でこれらの変わった形のアサガオが突然変異によって生まれ、大事にされ、今も残っているようです。
しかし、実はこれら突然変異によってできた変化朝顔の多くは「不稔」といい、種子を作ることができません。
種子を作ることができないアサガオが、一体どうやって現代まで残ってきたのでしょうか・・・?
✿種子のできない変化朝顔を維持する方法
変化朝顔の一種に、おしべやめしべが全て花弁になり花弁の数が増える「八重咲き」というものがあります(先ほどの写真の左下がそれです)。
普通の一重咲きアサガオと、この八重咲きを例にとり、維持の理論を説明したいと思います。
生物の形質は遺伝子により決まっています。
一重咲きアサガオを作る遺伝子をA、八重咲きアサガオを作る遺伝子をaで表すとしましょう。
親個体の細胞は、ひとつの形質に対して2つの遺伝子をもち、その組み合わせで形質が決まります。
一重咲きの遺伝子を持っていると、八重咲きの遺伝子の効果を隠してしまうことが分かっていますから、親の形質と持つ遺伝子の組み合わせは以下のようになります。
一重咲き : AA または Aa
八重咲き : aaのみ
一重咲きであれば、種子を作ることができます。
種子を作る際、植物は卵細胞(動物でいう卵)と精細胞(動物でいう精子)という細胞を作り、それらを受精させます。
卵細胞と精細胞には、親がもつ遺伝子の半分が入るようになっているので、一重咲きであるAaの親が作るaをもつ卵細胞とaをもつ精細胞が受精すれば、aaの種子・・・つまり八重咲きの種子が得られます。
つまり、一重咲きのアサガオから八重咲きの種子がとれるのです!
つまり八重咲きのアサガオを維持したい場合は、八重咲きの遺伝子を持つ一重咲きのアサガオを維持することで実現できるということになります。
言われてみればできるなと思うけど、中々発想しないよ…と個人的には思う。
✿アサガオのつる、つぼみのねじれ、寿命
他にも面白い話がいくつか。
まず、アサガオの蔓って、どっち向きに巻いているか皆さんご存知ですか?
アサガオの蔓は、実は必ず左向きに巻き込むように伸びていきます。
アサガオの茎は支柱に巻き付いていないとき、左回りに首を振り回す「回旋運動」を行い、結果支柱に触れると巻き付いていきます。
巻き付くときは蔓の中でも接触刺激がある側の伸長が抑制され、逆に接触刺激がない側の伸長が促進されるため、結果として巻くような形になります。
この分子的メカニズムはまだ未解明な部分が多く、実は謎深き領域です。
ではつぼみはどうでしょう?つぼみもねじれていますよね。
つぼみのねじれは右巻きです。
ねじれているのは、アサガオの花弁の部分が折りたたまれているからです。
アサガオの花には、白く分厚い星形の部分が存在しています。
この部分は「曜」といって、まるで傘の骨のような役割をしています。
曜は開花する時一番に、かつ急激に成長します。
曜の内側の成長速度が外側の成長速度よりも速いため、曜は外側に反り返りながら成長します。
そのとき花弁を構成する細胞には水が入り込み、細胞容積が急激に増加するため花弁が広がることができるようになります。
一説によると、花弁の細胞内ではデンプン粒が急激に分解され糖になり、細胞内の濃度が濃くなる結果水の移動が生じるようです。
閉じる時には逆に細胞から水分が抜けることで、一個一個の細胞が小さくなり萎れます。
あと、アサガオの寿命について。
アサガオって一日しか咲かない…って言われて、そうだなぁって思う人どれくらいいるんだろう…
とにかく一日しか咲かないんですよ。
でも
「アサガオの寿命を延ばした実験がある」んです!
これは2014年に発表された研究で、花の寿命を調節する遺伝子EPHEMERAL1の話です。
ephemeralとは英語で「儚い」という意味で、この遺伝子の働きを抑えるとアサガオの寿命は2日間に延びるんです・・・!
私はあんまり生物個体そのものに興味がない(生物の普遍性の方に興味がある気がする)ので、こういう知識は中々持っておらず
知ると驚くことが多くあります。
皆にとっては当たり前なのかもしれませんが…
こういう感じの情報(ゆるめなやつ)も今後は発信していきたいですね~