NHK子ども科学電話相談でおなじみの川上先生が遂に連載に登場!
著書も拝読している方なので、記事が出た瞬間大喜びでした。
中身も大変素敵な連載でした。
特に生態系の話、後半戦が素晴らしい。授業で紹介したいと強く思うほど。
特に第三回は良かった。
ここで述べられていることは至極正しくて、本当にその通りだなと首をぶんぶん縦に振りたいほど。
「外来種の駆除」というものを目的化すると、生態系は狂うのです。
生態系はバランスでできています。様々な生物がそこに存在し、その場で担うべき役割を担って生きている。
むしろそういう風に作られていくものなのです。ある役割の生き物がいなくなったら、その場所を埋めるための似たようなニッチを持つ生き物が入ってくるのは当然のこと。それが近くにいなければ、今の状態から生態系は少し・または大幅に崩れて、またバランスを保てるところで新しいバランスで存在し続ける…
私たちの責任で生態系のパーツを入れ替えてしまったことや、バランスを変えてしまったことに対して罪の意識を感じるのは大切なことではあると思いますが、だからといって外来種を取り除けばもとに戻るだろうというのは本当に安直な考え方です。短絡的すぎる。
だから「池の水を全部抜く」というテレビ番組を初めて見た時は愕然としました。何をしているんだ?と。これを見て皆喜ぶんだろうか?と。危機感を感じずに、「やった、外来種を倒したぞ!目に見えて行動を起こせた!」って言ってるのかな。
そんなの人間の責任を外来種に転嫁してるだけじゃないか…
外来種が悪いんじゃなくて、人間が悪いんでしょ。
外来種は複雑な過程を経て生態系に「組み込まれて」いるのだから、単純に引っこ抜いたらジェンガみたいに崩れてしまうよ?と。
非常に嫌悪感を覚え、一度きりでもう見ていませんが…
外来種が既に組み込まれてしまっていて、生態系で大事な役割を担っている例は幾つも報告されています。
例えばアメリカザリガニなんかは、ある沼で駆除をした結果、その沼が綺麗になるかと思いきやドロドロの状態になってしまって、生命が死に絶えた例があります。
その沼は周りを木々で囲まれた場所にあり、常に落ち葉が供給される場所で、
アメリカザリガニは雑食性なのでその落ち葉を分解するのに役立っていたそうなのです。
いなくなった結果、落ち葉が大量に蓄積。有機物が一方的に供給過多になると沼は駄目になります。そんな事例があるのです。
この記事も良記事なので読んでみてください。
外来生物を駆除するな、と言っているのではなく
安直に駆除すると生態系の既にできているバランスが崩れて予想外のことが起こるぞ、と
だからちゃんと種間関係や生態系の構成を捉えてから熟考の後にやらなければいけないぞ、と言っているのです。
人間がちょっと考えるだけじゃ生態系のダイナミクスなんて捉えられない。
自分のちっさな行動がどれだけの引き金を引くか、考えるべきです。
あとは単純にこの連載、鳥についての見方を大きく変えてくれます。
特に島と鳥の関係性はとても面白い。
遷移の授業を高校でもしますが、島での遷移は扱いません。
鳥が一番早い遷移の要因になるというのは、なるほどと思う反面、驚きでした。
言われればそうだなと思うけど、そこまで考えたことがなかった。
物質循環において担う役割の大きさもですね。
生態系の授業をしている割には、どの生物がどういう立ち位置にあるのかを自分は詳しく認識しきれていなかった気がします。陸上の遷移においてだって、鳥は大きく役割を果たす。でも今までは有機物の除去と種子散布くらいでしか紹介していなかった。
自分もまだまだ学びが浅いなぁ…
この連載、荒木先生のものも大変面白かったのでぜひ。
研究室に行ってみた。気象庁 気象研究所 雲の科学 荒木健太郎
こういう研究に際する視点とか考え方とか、もっと生徒が触れていけたらいいなと思います。
学校の授業だけでは、中々得られないものじゃないかな…