あいまいまいんの生物学

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2022年度大学入試共通テスト 生物 所感

本試共通テストの生物を解いたので、感想なりなんなりを書いていこうと思います!

 

生物基礎はこちら↓

i-my-mine.hatenablog.com

 

2022年度共通テストの問題はここに掲載されていますので、興味あればご覧ください↓

www.asahi.com

 

 

第1問 進化、分子系統樹

霊長類の系統関係を調べるためにアミノ酸配列を比較する……という問題です。これ系の問題は問題集でも当たり前に載っていますし、受験勉強をした人であれば出会ったことのない人はそうそういないでしょう。分子系統樹の処理は受験の世界ではほぼほぼお決まりパターンで、誰しも一度は真面目に勉強するものです。

とはいえ、それだけ頻出で知れ渡っているということは、同時にそれだけ大事なものでもあるということ。特に昨今はDNAに準拠して系統樹を書き直したり分類をやり直したりが盛んになっていますので、こういう知識は欠かせないもの、大学生には必須で求められるものでもあります。

そういう意味で、突出もしてない典型問題だけど、手堅く、大事なものを持ってきた……という印象ですね。

問1 ヒトの進化で獲得された形質の話。知識問題ですね。

でも一応、「直立二足歩行に伴い獲得された特徴」という出題方法にはちょっと捻りがあります。

色んな知識を丸呑みするんじゃなくて、関連付けて把握せよというメッセージかも。

問2 アミノ酸配列比較から系統樹を作る問題です。

正直、題材が霊長類なのでちょっと知識があれば表を処理しなくてもわかっちゃいますよね。系統樹の形状もストレートなタイプだし。

問3 分子時計の知識を用いて各種の分岐年代を考えると同時に、推定値と実測値が異なる現象(分子時計のズレ)についてどんな原因が想定されるか問う問題。

計算問題はありがちです。とはいえ大事な能力ですね。

ズレについても、そもそも分子時計というものがどういう想定で使用されるかが分かっていれば問題はないわけで、そういう意味で「ただ丸暗記するな、何かテクニックを使う時には『何を想定しているか』『何が現実と乖離していてどういう可能性も潜んでいるか』を考えろ」というメッセージにも感じられます。

理由の文章たちについては、少々文章読解力が必要ともされていました。生物学をやる上で文章読解力は必須なので、そこも測りたかったのでしょうか。

 

総評

上でも述べたように普通で、手堅く、でも大事なところが問われました。昨年度も第一問から進化・分類が出題された背景を考えると、初手進化・分類は共通テストで割とありがちパターンになっていくのでしょうか。

生物の教科書についても、進化・分類の比重を大きくし、学び始める最初の段階から進化・分類を意識づけて全課程を勉強していくスタイルに切り替えられようとしています(実際今もその傾向は少々あるのですが、もっと強くなると言われています。キャンベル生物学を想像してもらうといいと思います)。

だから最初から進化・分類なんでしょうか?そういうわけではないと思いますが。

問3については新傾向寄りというか、新傾向で出てくる「あるテクニックや技法について何が前提とされているか把握していなければならない&その前提と現実との差においてどういう可能性が存在しうるかを考え出せなければならない」という思考がある気がします。

生物学では様々な技法を用いて実験を行うわけですが、研究する際には常にその技法の穴を知っておかねばならず、出てきた結果についても常に疑いの目ーこういうことが起きる可能性もあるのではないかーを持っていなければなりません。なんでもキットを使えば「正しい」ものが見える、「必ず」わかると思ってはいけないのです。

そういう姿勢を育むためには問3は重要な問題でしょう。

とはいえ問2はストレートすぎてボーナス問題状態でした。どうせなら、もっと意外性のあるあまり知られていない生物の系統樹を描かせたりしてほしいし、もっと言うなら変な形の系統樹を描きだしたりしたいですよね。

 

 

第2問

A 植物の生態系での振る舞い

キク科の草本Rに存在するA型株とB型株について、AはPに感染してBは抵抗性を持つ……というところから発展させて、Pがある場所とない場所でAとBを混ぜて育て、各地区での個体数や乾燥重量を見てみる……という実験からスタートになります。

与えられた乾燥重量の図については、一見層別刈り取り方による生産構造図に見えなくもないのですが、実は全然違います。ので、ちゃんとリード文を読み、かつグラフの縦軸横軸を読んで、何が表現されているか理解する必要があります。

こういう「あまり見たことのないグラフや図を提示されたときに、その場で情報処理が正しくできる能力」も共通テストで測られようとしている能力です。中々考えられた問題だと思います。

問1 与えられたグラフと数字・情報から、また新たなグラフについてどのような線が引けるのかを導き出されるという多段階情報処理の問題です。

面倒ですね。大事だけども。

とはいえ割と勘で行ける気もします。

問2 与えられたグラフを解読することで現実世界のある具体例について考察を行うという問題です。

なんとこの草本R、1960年代オーストラリアでAが沢山生えて農業被害を出すという実例があるんですって。で、困ったので海外から持ってきたPをまいたら、今度はBが生えて困ったんだとか。面白い実例ですね。

問題文中の会話ではこの実例に大使、「外来の病原菌を移入する際には、慎重な検討が必要だ」という一文が出てきます。この文自体は問題にあまり関係はないのですが、外来種問題への意識をもたせたいという気持ちがにじみ出ている気もします。

この問題自体は簡単で何も苦にはならないのですが、実例と実験結果がぴったりくる構造は面白いですし、いい問題ですね。

 

B バイオテクノロジー(遺伝子組み換え)

Aでキク科草本を出したからか、Bもキクを用います。が、トランスジェニック植物作製技術によって病原菌抵抗性をつけようという方針で、問題内容自体はただのバイオテクノロジーの問題になります。

現在の生物学では研究の際バイオテクノロジーの知識は必須とも言えるほど大事になってきています。猫も杓子も遺伝子……という感じ。そういう意味では共通テストでバイオテクノロジーのことを問うのは大切です。

問3 ただのプラスミド作りの話。

とっても平凡な知識問題でした。単語を知っていれば答えられます。

問4 遺伝子導入処理をした後の細胞たちを培養する環境についての問題。

大腸菌の形質転換で言うと、プラスミド導入のための処理をした直後、集団をアンピシリンとかテトラサイクリンみたいな抗生物質を含む培地で育てますよね。どうしてそんなことするの?という問題です。

大腸菌の場合はプラスミドにアンピシリン耐性遺伝子とか、テトラサイクリン耐性遺伝子をもたせておくことで、培地上でプラスミドが導入されたもののみが生き残るようにしたいわけですよね。

その話を知っていればまぁ問題なく解けたのではないかと思います。

実験手法についてちゃんと理解してやってるのか(何が目的でこの動作をするのか)、を問う問題ですな。大事。

問5 DNAの図を見て転写関係の問題。

RNAポリメラーゼの進行方向を考えてアンチセンス鎖を選ばせる……というやつなんですが、まぁよく出ます。典型問題です。まぁ大事だから……。

問6 作製したトランスジェニック植物の自家受粉をさせた場合抵抗性個体が何割出るか?というメンデル遺伝の問題です。

一遺伝子か~、ぬるいな~と思いつつ。まぁでもメンデル遺伝の発想は実験計画でも絶対大事なので、確認しておくのが吉でしょう。

 

総評

グラフや数多の情報を処理させ、数学的に考える技能を測る問題は大事ですね。生物学を志す子、なぜか数学苦手な子が多めなんですよね……でも実際実験するとなると必要だよ、生きていく上でも必要だよ、ということで、こういう問題は世間にも需要があるものでしょう。

Bはただのバイオテクノロジー問題だったので、あまり個人的には面白みがありませんでした。そりゃあバイオテクノロジーの知識は現代っ子には必要ですよ?実験手法の把握も大事。でもね、もうちょっと題材が面白くなってもいいと思うんですよ……問い方も。Bはすべての問題が典型だったので、その点ちょっと残念でした。

解いてて面白いな~、何が起こってるんだろう、と考えさせるようなものが出ると楽しいですよね……。

 

 

第3問 Hox遺伝子(limb bud)

発生、肢芽、Hox遺伝子……ということで、これもまたよく見るなぁという題材です。

リード文では、Hox遺伝子がどの体節で働くかによって肢芽の形成場所が決まること、それ故鳥によって首の長さが違うことなどが話されています。そうなのかー。

自分は脊椎動物の頚椎がどんな首の長さでも7個(と言われている)なので、鳥も頚椎数が決まっているんだと思ってたら、そんなことはないんですね。学び。

問題自体はひたすら実験、実験を文章で説明されて、それを読解して頑張るだけになります。ボリューム大きいから効率よく処理しないと大変ですね。

問1 Hox遺伝子のことどれだけ知ってるの?みたいな問題。

正しい記述の組み合わせを選ぶわけですが、a~dの記述がなんか気持ち悪いなと思いました。

例えばaでは、「核に移動してDNAに結合するタンパク質の遺伝子である」になっています。そりゃ、Hox遺伝子は転写因子なのでaは正解ですよ?正解ですけど、こういう聞き方するんだなって……。

更にdは「バージェス動物群はまだ持っていなかったと考えられる遺伝子である」です。この根底には恐らく、

  • バージェス動物群は体節構造がある
  • 現生生物を見渡したときにHox遺伝子のシェアの仕方から考えるとバージェス動物群時点で原型を持っていた可能性が高い

という思考があるんでしょうが、でも、本当に持っていたんですか?????否定される可能性は一切無いんでしょうか。いくら体節構造があるとはいえ、Hox遺伝子群以外でそれが成立している「可能性もあり」ますし、遺伝子のシェアについても怪しいところが拭いきれない気がします。いや、そういう研究はあって、明言もされているのかもしれませんが、確定事項でしょうか?バージェス動物群の遺伝子そのものが見られたことはあるのでしょうか……?

バージェス動物群がHox遺伝子群を持っていることの真偽は置いておいても、これは共通テストで問わなければならない、選択肢に入れなければ入れないものだったのでしょうか?何を測りたくてこの選択肢を入れたの?という違和感が消えません。

サイエンスの姿勢を育むというのであれば、むしろこういう「可能性を否定しきれない」ものは積極的に入れないほうがいいし、なんなら教科書レベルの知識じゃないもの&当てずっぽうな推測に近いものでしか迫れないものを選択肢にするべきではないのではないでしょうか。

「可能性を否定しきれない で言ったらすべての選択肢が作れないし何も問えなくなってしまうじゃないか、生物学でわかっていることはすべて『確からしい仮説』でしかないのだから」という意見もあるでしょう。だとしても、その中でもグラデーションがあり、教科書に堂々記載していいものと、外した方が良いものがあります。丸暗記すべきものと、丸暗記せず疑いの目を保つべきものがあります。今回のdは疑いの目を向ける方が正当な対象ではないかと思うのです。

 

まぁ、誰かが確定的に言ってるんだからこれが選択肢になったんでしょうけど。共通テストとしてどうなの?という気持ちは私は拭えません。論理的思考力とかの範疇でもないだろう。

問2 会話内容と数多の実験結果から考察を導けという問題。

まぁ、ありがちなやつです。読解力必要。

問3 どういう実験をすれば仮説が検証できるか?という問題。

ストレートですが、実験を考えさせる問題は大事ですね。

問4 分裂細胞を標識するにはどの分子を目印にするか?という問題。

これも割と典型問題というか、よく出題されるのであんまり教育的効果が高いかはわからないんですが……ロジカルに考える必要があるものなので、需要はあるでしょう。

問5 読み取れたことが先にあって、そこから「この読み取った内容はどういう実験と結果から来たんでしょう」を想像するやつ。

ストレート。ですが、教科書とかを読んでいるときに、「これどうやって検証したんだろう」「この検証で十分だろうか」みたいなのを考える能力はあったほうがいいですよね。それこそ疑う力というか。

 

総評

難しくない。典型ですし、ネタは面白いとかではないです。

難しくないですが、やはり個人的には問1の選択問題が嫌でした。

実験デザインを問われる問題は年々二次でも増えている気がします。実験デザイン力を磨こう。

 

 

第4問 アリの道標フェロモン

いいな……と思いました。古き良き古典行動学的な匂いがします(別に現代でもいいんですよ。メカの香りとか分子の香りとかがしないという意味です)。ある種泥臭く、ある種発想力勝負で、その場にあるものでできる実験。いいですね。分子だ、バイオテクノロジーだ、遺伝子だ……という中で、こういう純粋な実験問題が出るとなんだかホッとします。実家に帰った気分だよ。

何がいいって図の道が謎にくねってるがいい。加えて結果の表の作り方が簡素なのがいい(0-20%が○回、20-40%が□回……っていう区切り方、良い)。ちゃんと読み取り能力を問われているのも良い。問題は簡単ですけど、いいですね~。

問1 実験の結果読み取り。

難しくないです。表解釈力を磨いていけ。

問2 実験結果読み取り+考察問題です。ここで自身が持っているフェロモンの知識とアリの行動(実験結果)がピタッとハマります。気持ちいい!アリ可愛い!!!

問3 フェロモンの知識問題。

なんとびっくりするほど定義問題です。定義をしっかりきっかり覚えている人は即答できるけど、生物の動きを味わう系の人には難しい。まぁ、定義を蔑ろにせずしっかり覚えることも大事な技能の一つなので、問われても仕方ないです。

ちなみに定義問題は昨年もありました(生得的行動と学習のところ)。これももしかしたら今後の共通テストで出続けるのかもしれないですね。

 

総評

良い実験問題でした。下手したら高校生でも、なんの特殊な器具もなくてもできそうなのが良いですね。

ありんこの動きも想像しやすいだろうし、それが分子の知識と繋がって面白いです。表も独特でちゃんと読解力を問えます。バランスのいい問題だと思います。

 

 

第5問 被子植物と昆虫の視細胞

リード文では、被子植物とその送粉者の話が語られます。「おぉ、てことは送粉の面白いお話か!?」と思いきや、裏切られて昆虫視細胞のお話です。昆虫の紫外線を感知できる視細胞のおかげで、ヒトには見えない花のシグナルを受け取ることができるという話ですね。そっちか~。送粉、アツいと思ったのになぁ。

問1 ただの被子植物の知識問題。

具体的には教科書後ろの方の植物の分類がわかっていればOKです。

ですが、ちょっと捻りたかったのか、進化の話(シャジクモ類)を入れてきています。進化と分類好きねぇ……。

個人的にはaの選択肢迷ったんですが、クチクラ層ない植物は本当にいないんですか???薄いのはいるけど、無いのはいないってこと???あとコケのクチクラと被子植物のクチクラって同一視していいやつですか????なんかちょっともやりがありました。

問2 ここに来てなぜか連鎖の問題、しかも配偶子の染色体の持ち方の問題です。

連鎖の中でも一番簡単な問題が出てきたので肩透かし気味です。ストレートです。

問3 ショウジョウバエの視細胞に関してタンパク質の有無と分化の話を聞いた上で、どういう実験をすればある考察が導けるか、という実験デザイン系の問題です。

誤答があからさま誤答なので考える力とかいりません。受容体-アンタゴニスト関係のXとYのはずが「XがYの転写調節領域に結合するか調べる」ってどういうことやねん。

問4 変異体と野生型で色んな光当てて実験して、結果を解釈する問題。

全然難しくないのでストレートな考察問題です。

 

総評

リード文で送粉出したので送粉の話かと思ったのに、裏切られたのでちょっと残念な気持ちでした。送粉もそろそろいい問題が出てほしいね。

とはいえ視細胞の分化の話は普通に面白い現象だと思います。面白いけど、あんまり考える力もいらなかったし、データ処理力もいらなかったなと。問題が面白くはないかな。

 

 

第6問 植物の低温応答

この問題のリード文、一文目見てびっくりしました。

なんと宮沢賢治から始まります。

科目を間違えたかと思いました。えぇ。しかも宮沢賢治関係ないです。

宮沢賢治、農業はやってたけど、生物の共通テストに自分が出されるとは思いもよらなかったでしょうね。

そして出題者は「分野横断、教養だ!」とか「この入りなら楽しいだろう!」とか思ったのかな。「身近な題材からスタートだ!」と思ったのかな……。宮沢賢治は身近なのか?身近なのか……。

 

問題内容としては、低温に対する植物の話になります。冷夏ではイネの種子が形成されにくくなる(成熟花粉が正常に形成されないから)という現象について前半は追求していきます。最後寒さ関連で凍結の話が出てきます。

問1 一般的な発芽の知識問題。

まぁ、普通に勉強してれば余裕でしょう。

問2 色んな発生段階で低温にさらしてどうなるか見るというもの。

グラフが与えられますが、捻られてもないし、あからさまです。ストレートな問題です。

問3 イネを水に浸しておくと低温の影響を受けない、という話を題材にしたものです。

私はそれを知らなかったので、面白いなと素直に感動しました。知恵がすごい!

問4 低温処理がジベレリンとどう絡むか考える問題。

これは面白いですわ!ジベレリンがここで出ると思ってなかったですし、その知識が現代の矮性イネ品種の開発に絡む懸念点につながるとは思いませんでした。いや~、たのしい……。

問5 植物を一気に低温に晒したらだめだけど、段階的に気温を落とすとアミノ酸と糖を作って耐えるよという話から、考察を検証するための追加実験を提案する問題。

答えは比較的ストレートですし、糖とアミノ酸の話もハクサイ甘い云々で一度は聞いたことがあり馴染みがあるでしょう。身近な題材でいいですね。

 

総評

入りが宮沢賢治で度肝を抜かれましたが、沢山学びと発見があり、解く快感があって面白い問題でした。良問!

 

 

昨年との比較、すべての振り返り

昨年の共通テスト生物は、論理的思考力を問うことと、真新しい題材を採用することに偏重した結果、知識がなくても解ける問題になってしまい、超易化という結果をもたらしました。

ロジックを問う問題になるとどうしても考えるための題材を与えなければならなくなりますし、真新しい題材となるとどこまで説明すればいいか……という塩梅が難しくて、「知識がちゃんとある」ということを確かめるような思考問題や知識問題が作りにくくなってしまうんですよね。

 

なので、あのある種すごすぎる問題に比べたら今年はかなりマシになり、共通テストらしい、またはセンター試験らしい堅さを取り戻したように感じます。

知識も必要になったし、多段階の情報処理も必要になったし、読解力も必要になったので、平均点は軒並みに戻るでしょう。いいですか、いくら今年の共通テスト生物が昨年生物から平均が下がったとしても、それは「当たり前」で「あるべき姿に戻った」というだけです。昨年が異常です。それだけは忘れずに。

 

とはいえ生物基礎ほど解いてて楽しくはないですし、ワクワクしない、面白くない……といったものが目立ちました。勿論良問もあるんですが、典型問題が多すぎて、問われているところも「どこかで見たな」というものが多すぎる気がします。

選択肢の作り方もところどころちょっと違和感があり、なめらかさに欠けるなというのが個人的な感想です。

 

ここからは本当にただの妄想ですが、昨年の結果を受けた作問会議はもうガチガチに堅い状態になったんでしょう。

「去年の失敗はできない……」「新傾向って何……」って苦しんで、悩んで、唸りながら作られたのではないかと想像します。

その結果、あまり挑戦的な題材は採用されず、このような問題に落ち着いたのではないかと感じます。

個人的には、入試問題=楽しく学べる試験、発見があって、感動があって、ストーリーがある試験であってほしい、というのがあるので、もう少しのびのびとしてくれたら嬉しいです。

同時に、答えの作り方と、何を問うべきかについてはあまりのびのびとはせず、しっかり考えて貰えたらいいなと思います。「これを聞いて価値があるのか?」「この思考に意味はあるのか?」「ここから何が問えるのか?」……生物学は本当に問題を作るのが難しい学問であるが故に、これは真剣に考える必要のあるところだと私は考えます。

 

あと気づいたこととしては、昨年顕著だった「進化を出題しまくりたい!」という傾向は今年は見られなかったですね。昨年の問題では、なんでもかんでも進化に結びつけて終わっていましたが。進化に結びつけるとまた知識が比較的要らなくなるので、昨年の悪化に一役買っていた要素だったんですが……でも進化って面白いんだよね。

で、そんな進化が今年はあんまりなくって、出すとしても過去の進化上の出来事や知識のみになっていました。反省があったんだろうか。すべては藪の中ですな。

 

 

なんの能力があったらいい?

今回の共通テストが今後の共通テストのほぼ標準形になるとして、必要なのは

  • 知識
    • 明確な定義
    • 関連付け(直立二足歩行→骨盤の変形、みたいな)
  • 実験手法理解(なんのために何をしているか)
    • 穴についても理解をする
  • 測定手法などの理解
    • 前提は何か
    • 現実と前提との乖離、そこで起こりうること
  • 実験デザイン力
    • 仮説を検証する実験
    • ある結果を求めるのに必要な実験
  • 「この実験・知である結論を出すのに足りるか」という過不足を認識できる力
  • グラフや表、図の読み取り力
    • 新規でも対応できる力
  • 複数の情報を同時処理する力(大量の実験、大量のデータ)
  • 論理的思考力(ロジックを組み立てる、矛盾を見つける)
  • 数学的処理能力
  • 典型を押さえていること
    • 身近な出来事に精通していること
      • かつそれを調べられている、疑問に思えていると尚よし

というところでしょうか。見落としあるかもしれないけど、ざっとこんな感じじゃないかな。

 

 

ということで、あくまで個人的な意見と感想を書き連ねさせて頂きました。違うことを思っていただいても全然構いません。「私はこう感じた」というだけなので、そこはご了承ください。

 

追試はどんな問題が出るか今から楽しみです!

 

P.S. Twitterのスペースで突発的にやった「共通テスト生物基礎・生物をみんなでながめる会」、めちゃくちゃ人が来てくれてびっくりしました。皆で楽しく共通テストや生物の入試問題に触れ合えるの、いいですね!またわいわいやりましょう。