今週も生物雑学を更新~
生物雑学広報誌、本誌の方はあと少しで100到達なんですが、100目前にしてネタに詰まるという状況を迎えております・・・
今までは知ってたこととかなんとなく出会ったものを記事にしてきたけれど、だいぶ枯渇してきたんだなぁ・・・
なんだか自分のキャパシティを示されているようできつい。
ちょっとこの後で「普段どうやってネタを集めるか」を記事にしてみようかなぁとか思う。うん、一回整理しよう。
本題。
シマウマのしまはなんのため
皆さんはシマウマを知っていますか?
シマウマは哺乳綱ウマ目ウマ科ウマ属、身体に白黒の縞模様を持つ動物です。
アフリカに生息する生物ですが、とても特徴的な見た目ですよね。
進化は、生物の形態や生理的特徴を、その環境で生きるのに有利にするようにはたらきかけます。
あの縞には一体どんな利点があるのでしょうか?
昔から「シマウマの縞模様の効果」は議論の題材として扱われてきて、その過程で仮説が幾つも作られました。
代表的なものを➀ ~➃ に示します。
➀ 捕食者が狩りの獲物とする個体を識別しにくくするため
シマウマが群れていると各個体の縞模様が複雑に重なり、一個体を見分けにくくなる。(巨大生物に見える?)
捕食者が狙いを定めにくくなるのではないか。
➁ 仲間同士を見分けるため
特徴的な模様なのですぐに仲間を見つけ、はぐれても群れに戻れるのに役立つのではないか。
➂ 体温調節のため
アフリカはとても暑く、サバンナは日よけの場所が少ない。
白と黒は太陽熱の吸収度合いが異なり、温度の上昇しやすさが異なるので、二つの温度が接する間に微細な空気の流れができる。
体表面で空気の流れを作ることで、体温を下げるのではないか。
➃ 虫除けのため
アフリカに生息する吸血昆虫であるツェツェバエの吸った血液を見てみると、シマウマの血はほとんど吸われていない。
縞模様が虫除けの効果を果たすのではないか。
さて、確からしいのはどれなのか。仮説を立てたら検証です。皆さんならどう検証しますかね。
自分だったらこうする、と考えてみながら実際の検証を読んでみてください!
➀ の検証
➀の検証は、2016年にMelinらによって行われました。
彼らはライオンやハイエナといった捕食者によって実際にはシマウマがどう見えているのかを知るために、ライオンやハイエナの視覚能力や特徴を反映させた加工を様々な距離や状況のシマウマ画像に対して施しました。
その結果、ヒトの視覚系では縞が様々な視覚的混乱を引き起こしますが、捕食者にはほとんど縞は捉えられておらず、他の似たような体格の動物と同じように見えているらしいことがわかったのです。
画像はその論文に掲載されている、16.4m離れた位置からシマウマを明るい時(Photopic)、薄暗い時(Mesopic)、暗い時(Scotopic)に見たイメージです。
ライオンの視点になると、縞はほぼ見えていませんね・・・。
➂ の検証
熱を可視化できるサーモカメラを使った結果、白と黒では温度が異なることは分かりました。
更に、シュレーリン法と呼ばれる見えない空気の動きを可視化する方法を用いた結果、黒では温度が高いために上昇気流、白では温度が低いために下降気流が発生し、白と黒の縞の間には確かに空気の微細な流れが生まれていることも観察できました。
しかし、アフリカのサバンナは猛暑地帯で、実際の冷却効果は自然に吹く風の方が大きいらしい、ということが分かっていて、
縞模様が絶対に必要である、というわけではなさそうだと考えられています。
続きは次回!!