あいまいまいんの生物学

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まいばいお2 運動と脳

生物学の雑学シリーズ第2弾です。

授業でも割と話すネタを、グラフ読み取り能力育成も兼ねて効果的に伝えられるように練ったつもり…

ちなみにちゃんと論文のデータ使ってます。英語読んでます。読んでるんですよこれでも。

ということで運動と脳の関係の話。

 

 

「運動は学習効率を高めるんだ!!」?

 ドラ○ン桜、なんていう超有名受験漫画を皆さんはご存知でしょうか。東京大学に挑戦するための色々な学習方法が指南されている漫画でして、中々参考になる・・・かも?

 さてさて、そんな漫画の中でも出ていたのですが、「身体を動かしながら学習すると学習効率が高まる」という勉強法が世の中でまことしやかにささやかれています。

基本こういう知識は「本当か・・・?」と疑うことが大切です。こんな疑うしかない題材、是非検証してみましょう!

 

◎ 運動が学習効率を高めるか 検証実験

準備:

  • 均質な数匹のマウス
  • 滑車のないゲージ、滑車つきのゲージ
  • 透明な足場があるプール(水を張ると足場が水と一体化し見えなくなる)

方法:

  1. 各ゲージにマウスを入れ、生活させる。
  2. マウスを準備したプールで泳がせる。
  3. マウスはプールで溺れまいと足場を求めて泳ぎ、最終的に足場にたどり着くことができる。この「泳いで足場にたどり着くまでの時間」と「泳いだ距離」を記録する。 
  4. 1~3を6日間行う。

※ 足場の位置を「学習」できると二つの値は小さくなるはず!

    

結果:

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足場に着くまでにかかった時間

 

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足場に着くまでに泳いだ距離

「Runner」は滑車つきゲージのマウス、「Control」は滑車なしゲージのマウス

 

 

 皆さん、この結果から「運動は学習効率を高めるか否か」、考察できますか・・・!?!?

「グラフを見たら縦と横」、しっかり考えてみましょう!

 

~ 考えてから・・・ ~

 

今の結果を見る限り、RunnerとControlは0日目では同じくらいの時間と距離をかけて足場にたどり着いています。

しかし、日が経つとRunnerの方がControlよりどちらも短縮されていますね。ここから、「運動した方が学習効率は高い」と推測することができます。

 

さらに、もう一つの指標として、水槽を4区画に区切り、各区画での滞在時間を表したデータもあるので見てみると・・・(これが何を意味しているか分かりますか?)。

 

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水槽を4区画に区切った時の滞在割合(足場のある区画は白バーで示されている)

 

足場の位置を記憶していれば、足場がある区画での滞在時間が長くなると考えられるので、ご覧の通り、Runnerの方が良く記憶していたと考えらます。

 

 

「運動は学習効率を高めるんだ!!(おそらく)」

私達は脳を使って学習しています。

脳の中でも、学習において特に重要なのが海馬で、ここで記憶が形成されています。

加えて、脳はニューロンという細胞から作られており、ニューロンが沢山の他ニューロンとネットワークを作る事で「思い出す」「考える」といった作業が滑らかになると考えられています。

ラットやマウスを使った実験では、ストレス負荷が少々かかる程度の運動によって

・海馬を活発にする

・脳が活発になる栄養素が多くできる

ニューロンが新たに作られる

ニューロンのネットワークが増える

などが別研究の結果から報告されています。

ここでは詳しく紹介しきれませんが(もし気になるなら研究を調べてみてください!)、運動をすることは学習効率を高めるだけでなく、免疫を強くする効果、生活リズムを改善する効果も研究結果から示唆されているんですよ。

 

運動って大切なんですね・・・!!