あいまいまいんの生物学

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脂肪分と糖分が高い西洋の食事は背側線条体のグルタミン酸・オピオイド・ドーパミン放出の様相を変える

自分が読んだ論文をすぐに忘れてしまうので、概要を(自分の確認も含めて)記録していこうと思います。


 


A High-fat, High-sugar ‘Western’ Diet Alters Dorsal Striatal Glutamate, Opioid, and Dopamine Transmission in Mice


 


背側線条体において、食事が引き起こす神経適応を観測しようという趣旨の研究。


5週目を迎えたC57BL/6Jマウス(最も一般的なマウス)を用意し、一方には脂肪と糖を多く含む「西洋の食事」を、もう一方には「スタンダードな食事」を16週間与えます。


その後、体重増加、糖耐性(ブドウ糖を摂取したとき、血糖値を一定に保つ調節能力のこと)、インスリン耐性などを測定し、マウスが肥満状態にあることを確認します。まぁこれで「西洋の食事」が肥満体型を作り出せることが確認できた、となるわけです。


実際、西洋の食事をとったマウスはスタンダードマウスよりも肥え、よく食べるようになり、糖耐性に障害も持ちました。見事な肥満状態です。


 


それらマウスに対し、次は電気生理的記録を背側線条体の背内側線条体(DMS)と背外側線条体(DLS)の一部にある中型有棘ニューロン(MSNs)でとります。神経の興奮しやすさや神経可塑性における食事の影響を見るために!!


更に、fast-scan cyclic voltammetryという応答電流測定技術を用いてこの領域でのドーパミン放出についても評価します。


電気生理的記録からは、西洋マウスにおけるMSNsでAMPA受容体からNMDA受容体への電流割合が上昇していることと、任意のグルタミン酸が媒介する活動電流が延長されていること(これは特にDLSにおいて)がわかりました。


ドーパミン放出量についても明らかに量が多くなり、更に再取り込みはゆっくりになるという現象が両方の線条体領域で見られました。つまりドーパミンでひたひたなのか・・・??


背側線条体MSNsはμオピオイド受容体が仲介する神経可塑性をあまり示さなくなることもわかったそうで・・・。


GABAの放出などはどちらの線条体領域でも食事によって影響を受けないようです。


 


これにより脂肪や糖を多く含む食事は、食事への動機づけや消費にとって重要な役割をする脳領域として知られている線条体を変えることがわかりました。


 


食事が脳に及ぼす影響が大きいということ自体は、以前からよく知られている話ではありますが、


肥満になっている人の脳がもはや平常状態ではないという理解は、肥満解決というか生活改善のために活用できる知識なのかもしれませんね。


 


 


なんとなく途中のAMPA-to-NMDA recepter current ratio という文がうまく訳せないまま消化不良です。


あとμオピオイド受容体が介する神経可塑性減少については結局どういう作用を及ぼすのかな。


と思ったので知識を貼り付けておく。


 


AMPA受容体・NMDA受容体


シナプス後膜に局在するイオンチャネルグルタミン酸受容体は、その薬理学的性質により、AMP型(GluR1-4)カイニン酸型(GIuK1-5)、及びNMDA型受容体(NR1-3)に分類される。どの受容体も陽イオン透過性チャネルであるが、機能的に異なり、カイニン酸受容体を介するシナプス応答はAMPA受容体を介するシナプス応答に比べてゆっくりとしており、持続時間が長い。AMPA受容体はリガンド結合に対してミリ秒相当の速い応答を示し、速い神経伝達を担う。NMDA受容体は、静止膜電位状態においてはチャネルポア近傍にマグネシウムが結合し、その活性化を阻害している。このマグネシウムは膜の脱分極に伴い受容体より解離し、NMDA受容体はイオンチャネル活性を示す。さらに、NMDA受容体はAMPA受容体と異なりカルシウム透過性も示し、シナプス修飾のスイッチの役割を担う。


 


μ受容体 (Mu-Opioid Receptor (MOP),OP3)

オピオイドμ受容体の構造。リガンドは細胞外ドメインに結合する。

μ受容体はモルヒネの鎮痛作用に最も関連がある受容体であり、モルヒネ(Morphine)の頭文字をとってμ受容体と呼ばれるようになった。内因性オピオイドペプチドであるエンケファリンやβエンドルフィンに対して高親和性を有する一方、エンドルフィンに対しては低親和性である。受容体の中でもさらに鎮痛や多幸感などに関与するμ1受容体と呼吸抑制や掻痒感、鎮静、依存性形成などに関与するμ2受容体が存在する。μ3受容体というものも報告されているが、その機能はよく分かっていない。

オピオイド性の鎮痛薬の多くはμ受容体に対して強く結合するものであり、薬物治療のターゲットとなる。オピオイド拮抗薬であるナロキソン (Naloxone) はμ受容体に対する親和性が高く、一方でδ受容体およびκ受容体に対しては親和性が低い。


 


 


 


ついでに


ホタルについて、東日本では4秒に1回、西日本では2秒に1回の点滅パターンを示すことが知られていて


ちょうど静岡県フォッサマグナが境目になるという話、知っていますか?


今日「蛍の光」を知っているか、という問いかけられ方をしたので、知ってるよ、発光パターンが違うんでしょ、と答えたら


顔を歪められてしまいました・・・


ホタルのついてももっと勉強しなければと思いつつまだまだ掘れていません。


 


次回は「脂味」についての論文を読もうと思います!