✿ちゃんと寝てますか?
「睡眠」って一体なんなんでしょう。
勉強時間が睡眠のせいでなくなってしまった・・・なんて睡眠のことを憎んだことがある人もいるのでは。
私もよく睡魔が襲ってきます。他の動物も睡眠しますよね。
睡眠って必要なものなんでしょうか。
✿睡眠の基本知識
一連の睡眠は2種類の睡眠からなります。
レム睡眠時は「目玉がキョロキョロ動く(rapid eye movement(REM))」からきています。
レム睡眠時 |
項目 |
ノンレム睡眠時 |
活動 |
脳 |
休む |
動く |
目玉 |
動かない |
不規則 |
心拍 |
減る |
変動 |
血圧 |
下がる |
休む |
身体 |
休む |
眠っている間、浅い眠りであるレム睡眠と深い眠りであるノンレム睡眠が交代していくのですが、
いきなり変わるわけではなく段階的に眠りの深さが変化していきます。
その状況は脳波の変化によって分かります。
一連の眠りの深さや他生体反応の変化は以下のようになります。
例えば成長ホルモンなんかは「ゴールデンタイム説(夜10時~2時に出る)」なんてのが昔流行りましたが
最近では入眠後3時間で出るという研究結果が出てますよね。
あとは、このグラフで面白いのはコルチゾールとメラトニン、そして体温の変化でしょうか。
私たちは起きる前から起きる準備をしているんです。面白いですよね…
✿睡眠は記憶固定化に重要
レム睡眠時にもノンレム睡眠時にも、覚醒時のリプレイ現象が行われることが脳波から分かっています。
ノンレム睡眠時は実際のタイムスケールを数10分の1に圧縮した形でリプレイが起こるのだそうです。
どちらも脳波を抑えたり乱したりすると、睡眠前の学習で獲得した記憶の減弱や、記憶の獲得レベルの低下が起こることが知られています。
いつ、どこで、誰が、何を・・・というのがエピソード記憶です。
更にレム睡眠には「嫌な記憶の消去」という役割があるらしく、安定で健康的な精神が保たれるにはレム睡眠が欠かせません。
ノンレム睡眠では技術やノウハウに関する長期的な記憶である「手続き記憶」の定着に寄与し、
例えば自転車の乗り方や、数学の公式の使い方など…いわゆる「解き方」やそのコツは睡眠時に脳内で復習され強化されます。
また、ノンレム睡眠時には「言葉で表せる記憶」の中でも特に、英単語と意味とのセット等の「意味記憶」の整理も行われます。
古典単語、英単語、専門用語・・・意味を覚えねばならないものは人生において沢山存在しますが、これらがごちゃごちゃと頭に詰め込まれた状態で寝た際、深いノンレム睡眠は記憶整理を勝手にやってくれるのです。
これは、私も高校時代とってもお世話になった効果でした。頭に寝る直前にめちゃくちゃ詰め込んでぐっすり寝ると、本当に綺麗に整理されます。効果は私のお墨付きです。
✿寝ないとどうなるの?
無理矢理断眠をさせたマウスは2週間で敗血病を発症し死んでしまいました。
睡眠しないと免疫系が弱まることや、神経細胞にダメージが貯まることが知られています。
また、覚醒時、脳では老廃物清掃機構がうまく働きません。
通常、生体内ではリンパ管というものが張り巡らされ、
筋肉の動きによってリンパ液が動き、リンパ管内を移動することで、老廃物清掃が行われます。
しかし脳にはそれがありません。だから普段老廃物を流せません。
そこで睡眠時、「グリンパティックシステム」といって、脳内を埋め尽くす細胞が縮むことによってリンパ液の流れを生み出し、老廃物を押し流すと言われています。
睡眠不足になるとこの掃除がうまくいかないため、脳内に物質の蓄積が生じ、結果としてアルツハイマー病になる可能性が示唆されています。
更に睡眠障害はホルモン分泌の異常も引き起こします。
オレキシンというホルモンは食欲推進のホルモンなのですが、同時に睡眠からの覚醒状態を引き起こすホルモンでもあります。
ということは睡眠障害が起こるとオレキシンはダイレクトに異常になるのですが、
結果として摂食障害に繋がります。
✿「寝ない」を習慣化しないこと
やっかいなのが「寝ない」ということは「やみつき」になることです。
動物は辛さを幸福に変える術として、エンドルフィンやドーパミンといった物質を持っています。
これらは辛い時に脳内で作られ、人に多幸感や精神ストレスからの逃避・全能感を与え、いわゆるハイな状態にさせるものです。
これら物質には依存性が存在し、もう一度味わいたいという気分にさせると同時に、普段の生活への物足りなさを与え、無気力・倦怠感を生み出します。
「徹夜しちゃったー」なんて自慢げに言ってては駄目!しっかり寝ましょうね!!