あいまいまいんの生物学

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まいばいお9 焼肉食べたら…

更新が最近不定期になりがちで困ったものです。

生活が一気に変わって中々やれてない…

色々話したい話題もあるんですが、取り上げきれず断念中。

更に今日新しく大きな仕事が舞い込んできたので、ここから一層忙しくなりそうです。

今年度は色々な意味で一層飛躍の一年になりそうだなぁ…

 

 

✿焼肉食べたい

皆さんは、焼肉を食べるとき、肉だけ食べる派ですか?

それとも白米をつけたくなる派ですか?

焼肉を食べる時にはだいたいその二つの流派が存在しますよね。

でも、どちらの方が身体にとって本当は良いのでしょうか。気になりませんか?
 
私達の脳内では、神経伝達物質と呼ばれる物質が情報伝達の要を担っています。

どの種類の神経伝達物質が脳内でやりとりされるかによって、私達の気分や状態が変化することが知られています。

そんな神経伝達物質のひとつに、セロトニンと呼ばれる物質があります。

セロトニンはヒトでは主に生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与する神経伝達物質であることが知られていて、

うつ病などの患者はセロトニン合成量が少ないことが知られています。

 

このとても大事なセロトニントリプトファンというアミノ酸を元手に脳において作られます。

アミノ酸はタンパク質の構成要素であることは皆さんもう学びましたね。

20種類あるアミノ酸のうちの一つがトリプトファンです。

このアミノ酸、実はヒトの身体では十分量合成できない必須アミノ酸の1つなのです。

ということは、タンパク質から得られるトリプトファンを摂取しないとセロトニンが十分量作られない、ということですね。

作られないと大変です・・・!

 

トリプトファンは食事から摂取すると、最初小腸において血液中に溶け込み、

その後「血液脳関門」と呼ばれる脳に入る手前の血液の関所のような場所を通って脳に至ります。

脳に至ったトリプトファンを材料にセロトニンは作られます。

 

さて、なるべく多くのセロトニンを脳内で作ってもらうには、トリプトファンをなるべく多く脳内に送り込めるようにしなければなりません。

 

 

ここで本題です。

 

トリプトファンをなるべく多く脳内に送りセロトニンを作ってもらうには

➀ タンパク質のみ多量に摂取する(つまり焼肉だけ!)
➁ タンパク質と炭水化物を同時に摂取する(焼肉+白米!)
どちらの方がよいのでしょうか???

 

~ 考えてみて・・・ ~

 

 

大抵の人が➀ に一票入れると思いますが、

実は研究の結果、➁ の「タンパク質と炭水化物を同時に摂取する」方が脳でのトリプトファンおよび合成されたセロトニンの割合が上昇することがわかっています。

なぜなのでしょう。

 

これは、炭水化物を摂ることによって体内で分泌される「インスリン」という物質がキーになっています。

 

そもそも、先ほどトリプトファン血液脳関門を介して脳に届く、ということを言いましたが、実際には血液中には他のアミノ酸が存在しています。

タンパク質を多く取り過ぎると、その分血液中のトリプトファン以外のアミノ酸も増加します。

すると、血液脳関門を通るのは誰か、という風に競合という現象が起きてしまいます。

競合が起きると、その分他のアミノ酸に道を譲った結果、トリプトファンの取り込まれる量は逆に少なくなってしまうんですね。

炭水化物を摂った時分泌されるインスリンは、この競合を解消する能力があります。

普通血中のアミノ酸は、各細胞でタンパク質合成や呼吸のための有機物として取り込まれて使われています。

インスリントリプトファンと競合する他のアミノ酸に対し、その経路を促進する能力があるのです。

細胞に使わせた分他のアミノ酸血中濃度はかなり低下し、結果、血液中にはトリプトファンが多く残る。

だから、より多くのトリプトファンを脳に届けることができるんですね!

 

ということは、焼肉を食べる時に肉だけではなく白米を一緒に食べることが、

実は自身の生活の安定性を生むセロトニンをより多く作ることに繋がっていた、ということになります。

私なんかはそういう知識もない内に、無意識に焼肉に白米を必ずセットで食べていましたが、

それはもしかしたら身体が「タンパク質と炭水化物をセットで食べるといいぞ!」と知っていて、それに自意識が影響されていたのかもしれません・・・?

 

この内容は以下のリンクでどうぞ。

Recent research on the behavioral effects of tryptophan and carbohydrate.
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6400041

 

 

✿食事の話ついでに「6番目の味」の紹介も

ヒトが受容できる味は5種類ある、というのを聞いたことがありますか?

甘味、塩味、酸味、苦味、そしてうま味です。

「辛味は??」という人がいるかもしれませんが、辛味は実は「痛い」という刺激の受容により生じる感覚で、味ではありません。

 

味覚というのは、細胞表面にある受容体というタンパク質に、液体中の化学物質がくっつくことよって生じます。

今までは5種類の味しかないと思われていたのですが、

最近新しく6番目の味として「脂味」が提唱されました。

だから焼肉は「霜降り」の方がおいしいのかなぁ・・・??

 

まだまだ新しい知見で研究段階ですが、将来教科書が変わるかもしれません。

味覚の分野も面白いので、興味があったら調べてみてね!

 

これについては下のリンクをどうぞ。

Oleogustus: The Unique Taste of Fat
URL: https://academic.oup.com/chemse/article/40/7/507/400784