あいまいまいんの生物学

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腎臓と血液の実験実習

本日は、出張で

理科教員のための実験講座に参加させて頂きました。

 

題材は、

腎臓の実験と

血球観察の実験でした。

 

 

腎臓の実験については、動画や教科書では知っていましたが初めて見、取り扱いました。

腎臓は本当に握りこぶしより少し小さい?くらいの大きさで、見事なそら豆型でした。

一人ひとつを担当したのですが、色もだいぶ個々で違い、

赤黒いものは新鮮で、肌色に近いものは古いのだそうです。

冷凍しても使えるそうなので保管もしておけるそう・・・。

今回扱わせて頂いた腎臓は、食肉となる豚さんの、本来廃棄されるものなのだそうです。生き物の身体の一部は、必ず生きていたものから得られるもの。心から感謝して、無駄遣いのないよう、しっかり観察させて頂きました。

 

実際に扱ってみて思ったこと。

まず、皮膜は結構はがしづらかったです。

皆ピンセットで悪戦苦闘していましたが、思い切って手でやると一気に剥けました。

それでもやはり弾力もあり張力もあり・・・生き物の身体を作っているものは頑丈だと改めて感じさせられました。

 

次に、腎動脈と腎静脈は中々見分けられない、そして見失いやすい。そもそも見つけられないです。

輸尿管は分かります。とても太くて目立つから・・・けれど、輸尿管自体も結構脂肪塊がついていて予想と反する見た目。

腎動脈と腎静脈は、まず腎臓を準備してもらう際にどこまで深くカットされてしまっているかで見た目が変わってきます。3cm以上残されていれば、1本ずつ観察できます。が、それ以上短いと、腎動脈と腎静脈は腎門近くで二又に分かれているため、2本になってしまうのです。

更に、なんといってもその細さ。脂肪塊やら皮膜やらと混じるとほとんどパッと見では分かりません。爪楊枝でなんとか穴らしき空洞を見つけ次第マーキングして、やっと分かる程度です。爪楊枝一本入るくらいの太さです。

これには多くの人がかなり苦戦していました。予定時間より一番長くかかっていた部分じゃないかな。

説明してくれた先生によると、輸尿管→腎動脈→腎静脈の順に普通見つかるそうで。その後の行程では腎動脈が必要になるため、腎動脈を見つけ次第打ち切るのだそう。授業で扱う時は、やはりタイムマネジメントも必要です。のびのび色々なものを観察させたい・・・そういう気持ちはありますが、授業ですから・・・教員は、生徒を俯瞰して、時間内に終わるよう指示できる管理棟でなければね。

 

そしてシリンジによる腎動脈への墨汁注入。これは一発で綺麗に成功しました。腎臓表面が一部真っ黒になり、よく見ると点々に見える。感動します。あぁ、ちゃんと血管で、しかも糸球体に通ってるんだ!という。糸球体が案外大きいことも分かります。

 

その後切開し、腎臓内部を観察。教科書通り本当に綺麗に見えます。(腎乳頭については知らなかったです。今回初めて観察して知りました。)そして糸球体観察へ。

実際に切片を観察した結果がこちら。

すごい!沢山の糸球体と、本当に細かな毛細血管!!

ほんのちょっぴりの切片なのに、ここまでぎっしり詰まっているのには本当に感動しました。

ちゃんと墨汁が血管を流れたこともこれで分かった。

 

他にも、エオシン染色をするとボーマンのうらしき部分が見える(らしい?)とか

金網を使うと糸球体のみを濾し出すことができるとか

新たな知識を得ました。

加えて、この実験、実は1980年代に飯島先生という方が編み出された方法なのだそうです。

一介の理科教員で、ここまで普遍的になる実験を編み出せるということに改めて驚きました。

尊敬の意と、どうやったらそこまでなれるの?という気持ちしかありません。

自分は、教材内容を教えることで手一杯だし、実験なんて全然回せていないのに・・・

学校に設備がないと言っているのは甘えなのかもしれません。

いや、甘えなのでしょうね。

 

 

次に血球観察。

こちらはギムザ染色による観察です。

大学の時に、自身の血を用いて実験を行った経験があります。が、後で調べてわかったのですが、もう自分の血を使って観察っていうのは主流じゃないみたいです。むしろ危険視されているくらい?

高校の時も、血液型判定だーとか言って、休憩時間に生物室まで行って、自分の血を出して血清と混ぜていた記憶がありますが・・・

 

久々の観察でしたが、まず一番低倍率で顕微鏡を覗いた結果がこちら。

うーん、小さい!!!!!!!!!そして、多い!!!!!!!!!!!!!!

米粒の半分程度の血を、本当にうっすら引き伸ばしただけでこの量。

凄い量ですよね。

でもこの大きさの赤血球などだから、上で観察した腎臓の細い毛細血管も通れるわけで・・・。

地味に関連付けができる内容でした。

好中球はかなり見分けられます。あとリンパ球も。

好塩基球や好酸球は難しいかも?

ペアでやった方のプレパラートは、ほとんど血球観察ができませんでした。最初の塗布で運命が決まるようです。一回の染色に15分以上かかるので、成功させたいところですね。

ただ、気になったのは、赤血球のギザギザ具合。

端がギザギザになってしまっています。

収縮したのが原因かな?と思い、乾燥時に水が抜けていったのかなぁと思いましたが、だったら白血球も同じはず・・・

じゃあギムザ染色液のせい?とも思いましたが、具体的根拠がない。

家で調べてみたのですが、固定不良だとそうなるらしい?ということは、エタノールが問題?

塗布のせいだという意見もありました。でも、それなら溶血してそうだよね。

マラリア原虫に感染するとギザギザになるという話も。エッ、それじゃ今回観察したものはマラリア原虫に感染してたの?それは無い気が・・・

結局決定的な理由が見つからないまま・・・気になります・・・。

 

上二つの実験は、岩手県の実験紹介のページに非常に詳しく書いてあり、かつ発展内容についても記載がありました。発展は面白そうだなー。

http://www1.iwate-ed.jp/tantou/kagaku/h24_seibutsukiso/File/pdf/tangen/h24_0404_2_5.pdf#search=%27%E3%82%AE%E3%83%A0%E3%82%B6%20%E8%B5%A4%E8%A1%80%E7%90%83%20%E3%82%AE%E3%82%B6%E3%82%AE%E3%82%B6%27

 

自分も実験、どんどんやっていかなければ

このまま設備不足を理由に何もしていないのでは自身のレベルが上がっていかないことをひしと感じました。

また、生徒レベルにもよると思いますが、それでも私が実験授業を行わないことが教育格差になってしまいます。

効果的に実験を取り入れられるようにしていきたいです。

ゆくゆくは自身で実験を考案したいなぁ。