あいまいまいんの生物学

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まいばいお1 サクラ

私は今年度、週一回のペースで

1年生の授業時に生物学の読み物をB4サイズで配布し続けてきました。

今後、その活動というか、集めた知識を共有していきたいなぁと思ったので

週一くらいのペースでUploadしていこうと思います!

 

ただ、もしかしたら間違いや誤字脱字があるかもしれないので

調べるなり何なり自己責任で読んで下さい・・・

あと訂正やコメント頂けると反映できるので嬉しいです。ご指摘下さい。

 

 

第一回はサクラについてです。

 

 

サクラについて知ってるか?

 サクラは、植物界・被子植物門・双子葉植物綱・バラ科バラ科・スモモ属(サクラ亜属)に位置する植物です。

 日本人はサクラが大好きですね。今年も既に開花予想が発表されています。

 皆さんも毎年春には、桜を見るのではないでしょうか。

 

 普段最も身近に植えられている桜の種名は知っていますか。

 ソメイヨシノといいます。

 ソメイヨシノは、エドヒガンを母、オオシマザクラを父とする雑種としてできた単一の樹を始原とし、全てのソメイヨシノがそのクローン(全く同じ遺伝情報をもつもの)であることが知られています。

 

 では、どうしてそんなことが分かるのでしょうか?

 

ソメイヨシノの両親を突き止めた理論

 そもそも、生物は ➀ 自身が分裂する か ➁ 自身と他個体で受精をする か、大きく分けて二つの方法で子供を作ります。

 植物の場合はどちらもできてしまいますが、新しい特徴をもつ子供を作る場合は➁ の方法を用います。

 ➁の方法を用いると、子供のもつ「核内の」遺伝情報は母と父の半分ずつを受け継いだ形になります。

 しかし、受精卵という一つの細胞は、実は母の作る未受精卵の細胞の土台をそのまま受け継ぎます。

 父が作る精子や精細胞は、「核内の」遺伝情報を子供に与えるだけで、たとえばミトコンドリアや、葉緑体などの細胞構造は全く子供に与えません。最小限の作りになっているんですね。

 イメージとしては、母が作る未受精卵が引っ越し先の部屋(家具付き)。父の作る精子はそこに運び込まれるたった1つの机?のような感じでしょう。

 ですから、私たちの細胞は実は母のみがくれた細胞小器官で構成されているのです。特にミトコンドリア葉緑体は独自のDNAをもつので、植物の場合は葉緑体のDNAを調べてやれば、誰がお母さんなのかはすぐに分かります。

 ソメイヨシノがもつ葉緑体のDNAは、エゾヒガンのもつ葉緑体のDNAと一緒だった・・・ということですね!

 

 その後ソメイヨシノの核内のDNAを調べれば、片親がエドヒガンだと分かっているならば、エドヒガンの情報を差し引いて残った遺伝情報が誰由来かは探せそうです。

 結果、オオシマザクラの核内のDNAを貰ったらしい、とわかったわけです。エレガントですね。

(ただ・・・実は、核内のDNAに関してはヤマザクラにも似てるぞ、となっていて、現在はエドヒガン × ヤマザクラオオシマザクラの雑種、の可能性が示唆されています。)

 

ソメイヨシノの未来とは・・・

 ソメイヨシノは皆クローン。クローンを作るときは➀ の方法を使います(接ぎ木、といいます)。

 人の手で全て接ぎ木した樹が現在日本中に生えているので、皆全く同じ遺伝情報。だから同じ時期に一斉に咲くんですね。

 

 実はこれって凄く「こわい」ことだということに、皆さん気付きますか?

 全てのソメイヨシノが全く同じ遺伝情報を持つということは、どういうことを意味するのでしょう。

 

~ 考えてみて・・・ ~

 

 全く同じように美しい、全く同じように咲く、と同時に、全く同じ病原体に対して抵抗力がない、全く同じ環境条件に対して弱い、ということも指しています。

 ということは、ある一種類のソメイヨシノの病原体が発生し、もし感染拡大したら、為す術なく一気に全てのソメイヨシノが枯れてしまうということになります。

 ある時突然全てのソメイヨシノが咲かなくなったら・・・それは想像してみるととても寂しい気持ちになりますね。

 

サクラと言えばあのお菓子

 サクラといえば「桜餅」なんて、食いしん坊な人は思い浮かべるでしょう。

 桜餅は、オオシマザクラの葉でお餅を包んだお菓子です。あれ、なんでオオシマザクラの葉で包んでいるか知っていますか?風流だからかな。

 

 本当は、オオシマザクラの葉には「クマリン」と呼ばれる毒(!)が含まれているからなんです。

 桜餅は独特の香りがすると思いますが、それがクマリンの香りです。

 クマリンは生きているサクラの細胞の中では、液胞内に大事にしまわれていて匂いません。

 しかし、細胞を潰したり乾かしたりすると外に出てきて、香るようになります。

 だから桜並木を歩いてもあの匂いはしないけど、桜の葉が散って雨が降るなどすると強烈に香るようになります。経験ないですか?

 

 さて、クマリンは先ほども言ったように「毒」なんです。抗菌作用があります。

 なんでそんなものを持っているんでしょう?しかも細胞が傷つけられた時だけ出てくるんですよ。

 

~ 考えてみて・・・ ~

 

 このクマリンは、オオシマザクラにとって「害虫や病原菌などに細胞を傷つけられた時のみ、それらを退治する」という仕組みに役立っていると考えられています。

 私たちはそのクマリンを、お餅が腐らないようにするために活用しているんですね。日本人は賢いなぁ!

 ちなみに君たちが食べたとしても、食べ過ぎなければ&毎日食べ続けなければ問題ない量なのでご安心を。おいしく桜餅を食べてくださいね。