久々になってしまったまいばいおです。
最近、作りすぎて、最新の情報を記事にしたと思ったのに
発行できずに遅くなっていく現象に困っています。
前倒しで発行するしかないな…
今回は脳の話
✿脳は均質ではない
皆さんは脳において物事を考えたり、処理したりしています。
脳とは、主に神経細胞と呼ばれる細胞が沢山集まってできた構造で、脳全体では千数百億個の神経細胞が存在すると見積もられています。
聞いたことがあるかもしれませんが、脳は「機能局在」といって、脳全体で同じことを皆がするのではなく、複数の領域に分かれてそれぞれが各行為を担当するように分担制になっています。
✿脳機能局在が分かった経緯
元々脳はどの部位をとっても同じ働きをしているという主張の方が広く信じられていました。
しかし、1861年にブローカという医者が、ルボルニュという患者を解剖するところで転機がやってきます。
このルボルニュという患者は、言葉は喋れないがその他知能は良く保たれているという状態でした。
ブローカはこの患者の脳の左の下前頭回に脳梗塞を見出し、この領域に言葉を話す機能があると睨んだのです。
その領域は現在「ブローカ野」と呼ばれていますが、そこに損傷を抱える別の患者の例を挙げましょう。
ブローカ野損傷による失語症の具体例
典型例:David Ford。もともと沿岸警備隊のラジオ通信士。
私はFord氏に入院以前の仕事について尋ねた。
F: 「私は通…いえ,士…ああ,ええと,…いえ,もう一度」
私:「お手伝いしましょう。あなたは通信…」
F: 「通信士…そうです」
私:「沿岸警備隊にいたのですか?」
F: 「いいえ,いや,はい,はい…船…マサチュー…チューセッツ…沿岸警備隊…数年(両手を挙げて“19”という数字を示す)」
私「Fordさん,病院でどのようなことをしているのか,話していただけますか?」
F: 「ええ,もちろん。私を行く,あのー,うん,理学療法9時,話すこと…2回,読む…うう…か…,えー,買う,あのう,書く…練習…うまくなる」
私:「週末家に帰ったことはありますか?」
F: 「もち,はい…木曜日,ええと,あのう,その,いいえ,ええと,金曜日…バー・バ・ラ…妻…それと,ああ,車…運転…パーンパイク…わかるでしょう…休息…それとテレビ…」
私:「あなたはテレビを見ていて内容をすべて理解することができますか?」
F: 「おお,はい,はい…ええと…だいたいは」
ブローカの発見後、1870年にフリッチュとヒッチッヒが、ごく弱い電流で大脳皮質を刺激するとごく限局された筋肉群のみが活動することと、
電極をわずかにずらすと別の筋肉群が動くことを確かめました。
これらの知見から、脳の機能局在が明らかになったのです。
✿複数領域のはたらきが一つの行為を作っている
私たちは何気なく話したり、運動したり、考えたり、呼吸したり・・・
それら日常行為に対し難しさを感じたことも、どういう風に形成されているのかも気にしたことがないでしょう。
実際はそれら行為は全て複雑なものであり、脳機能局在について学ぶと「そんな風に分解されるのか・・・」という驚きの連続です。
脳は、複数領域で細かい役割分担を行っており、それらが正しいタイミングで協調しなければ普段の行動というものはできないのですね。
ブローカ野を損傷された患者は、言語理解やその他の認知機能は比較的保たれていたものの、喋ることがとにかくできなかったですね。
だからブローカ野は「言葉を話す」ための領域であると推察されました。
ここで別の「ウェルニッケ野」と呼ばれる脳領域が損傷された患者の例を出しましょう。
ウェルニッケ野のはたらきが推察できるでしょうか?
ウェルニッケ野損傷の具体例
患者名:Philip Gorgan。
私:「どうして病院にくることになったのですか?」
G:「おい,私はひどい目にあっているんだ。私はとても緊張している。ほら,時々私は巻き込まれちまって,私はタリポイについては言えないね,1か月前,ほんのちょっとだけどね,私はたくさんのことをうまくやったんだ,私はたくさんだましたんだ,でも,反対にね,私が何を言いたいかわかるだろう。私は付き合わなくちゃならない。もう一度見てみろ,トレビンとそのようなもの全部を」
私:「(肩に手を置いて一時休止させてから)ありがとうGorganさん。あなたにちょっと聞きたいのですが…」
G:「おお,もちろん,さあどうぞ。聞きたいならなんでもいいよ。もし私にできるならやりましょう。ああ,私は間違ったやり方で言葉を選んでいる。このすべての散髪屋はあなたを止めるときはいつもそいつはぐるぐる回っている。もし私の言いたいことがわかるなら,それはリピューサーと互角で同点だ,リピューサレーション,ええと,私たちは別の時に一番の方法を試していた,それは向こうのベッドで同じことが…」
一度話し出すと止まらず、合いの手が入れられないほどに喋る。
ウェルニッケ野の損傷患者は、流暢に発話はできますが、言い間違いも多く、他者の言葉も理解できていないようです。
つまりウェルニッケ野は他者言語理解に必要なんですね。
他にも、音声情報と語彙意味情報の統合を担う部位、読字処理を担う部位、書字を担う部位、談話・ユーモア・皮肉・比喩の理解を担う部位、発話のための筋肉活動を担う処理など言語関係だけでも本当に細かく分かれています。
ただ、最近は逆に、脳の機能局在を強調しすぎていたのがおかしかったのではないか、
やはり脳の機能には冗長性があったのではないか、という議論も上がってきていますね。
まだまだ脳については未解明な部分が多いので、続報を待ちたいところです。