あいまいまいんの生物学

あいまいまいんの生物学

生物学が好き。勉強したり遊んだり。

日頃感じたこと思ったこと、出来事など

勉強して面白かった話

授業で使えそうな生物学の知識・雑談・小ネタ

などなどを紹介していきたいと思います

コメント大歓迎!気軽にコメントして下さい

ゲームサイトはこちら

書きたいことが山ほどあったはずなのにいざ書こうとすると何も書けなくなる is 何

タイトルの通りです。

お久しぶりです。めっちゃ久しくブログを書くよ!

 

ここ最近素敵なニュースや喋りたい話題が山ほど出てきました。

上皇様のハゼ論文については勿論のこと、

人体の細胞がなぜ38兆個なの?みたいな話が出て原著論文案外知られてないのか、と思ったり、

ダーウィンが来た!やマツコの知らない世界でサメが取り上げられて大興奮したり……

中国語のことも色々変化があったし、

編み物を始めたことも報告したいし、

ゆるふわ生物学に協力して動画編集を始めたこともシェアしたいし、

元生徒から面白い報告が続々と来たし、

精神関係でも色々発見があったし、

改めて思うと周囲の人強い人ばっかりすぎんか??ってなって謎の哲学を展開したし、

とにかく色々あったと思うんですよね。

ブログに書きたいーーーー!!!!!!!!って気持ちがどれもこれも昂ぶってて、早く書きたいなーーーーーー!!!って思ってた。

 

思ってたはずだけど、書こうとすると何故か書けない。

なんでや。

 

やっぱりネタは鮮度が大事ですね。

書きたいと思ったら早めに概要だけでもアウトプットしておいたほうがいいなぁと改めて思いました。

 

 

ここから上でちょい出しした話題に触れてもなんか興ざめだと思うので、

今日は雑な話をしようと思います。(なんで?)

上でちょい出しした話題はいつかまた触れよう。きっと。多分。

 

評価って役に立つのと立たないのがありますよね。

ここでいう評価とは、自分の経験でいうと「授業アンケート」とかです。

私の授業どうですか~?って聞くやつですね。

あと最近だと動画のGOODとBADとか。

あの類、あからさまに役に立つのと役に立たないのがあるよなって前々からずっと思ってます。

 

良い評価と悪い評価に分けて話をします。

まず良い評価は、「良い!」って言ってもらえるだけでめちゃくちゃ励みになります。

うわー!がんばろ!!って気持ちになれます。だから、良い評価は「良い!」って表明するだけで、GOODボタンを押すだけで十分価値があると思います。

そこに更に文章を付けてもらえたらもはや狂喜乱舞です。本当に嬉しいですよね。

 

特に、「どういうところが良いか」というのが明確に表記してもらえると、こちらとしては今後アップデートしていくときに大変参考になります。私も授業アンケートをとったときには、そういう意見は大事に保存しています。

作り手は、正直どこが良くてどこが改善の余地ありなのかわからない状態なんですよ。

授業なんかだと自分でそうそう見れないし。

自分がこだわってるところや、採用している手法が、変えるべきものか変えないべきものなのか分かりません。細かい話になりますが、それこそ「授業中に例を挙げる行為は生徒たちにとって良いのか悪いのか?」「授業で黒板の代わりにパワーポイントを使うのは是か非か?」すらわからない、手探り状態です。

なので、「例を挙げてくれるのがすごくいいです!」とか、「パワーポイントを使ってくれるの分かりやすいです!」とか言われると、おぉーじゃあ保持していこう!と思うわけですね。

そういう声がない場合は、「変えてもいいかもしれないなー変えてみるか」という気持ちで変えてしまう可能性があります。

ですので、受け手は受け手で変えてほしくない!というところについては、強く作り手に発信していくのが望ましいと個人的には思っています。

こういうところがいいよ!好きだよ!っていう、超具体的な好みをなるべく開示してほしいんですね。

でも最初にも言ったように、とにかく良い評価については「良い!」と言うだけで十分力を与えられます。手探りの自分に「良い!」と言ってもらえたときの元気づけられ方といったら……。

本当にありがたいです。

 

 

一方悪い評価については、「悪い!」って付けられるだけだと激萎えします。

だって何が悪いのか全然分からないからです。改善したくてもできません。だって何が悪いか分からないもん。

何をどうすればいいのかわからないのに、自分の作ったものや提供しているものが「悪い」ということだけは分かる……これって辛くないですか?

何が悪いか本当に分からないので、全てが否定されているような気がして、物凄く落ち込みます。

99個良い評価があっても、1個悪い評価がつくとめちゃくちゃ心に響くんです。

なにを直せばいいか分からないので、次も出したくなくなります。

「悪い」の評価だけをつけるという行為は、下手すると相手の活動を完全に止めかねないものだなぁと思っています。

 

「悪い」の評価の時こそ具体が欲しいですよね。

授業全体の雰囲気?私の仕草?例え方?話し方?パワポで提示する方法?話し合わせる行為?私そのものが人間的に嫌い?それともただの嫌がらせ?

数多の「悪い因子」候補の中で、本当は何が駄目だと思ったのか、何が良くないのか。

それを詳細に書いてもらえたら、こちらも対処できて改善できます。すると作り手も良いものに近づけた気持ちになるし、受け手も悪いと思わなくなるしWin-Winじゃないですか?

最初から完璧に良いものを仕上げられる人なんてそうそういないので、全ては試行錯誤、改善の繰り返しだと思うんですよ。

その過程で「悪い」の具体的な指摘は大変重要だと思うんですよね。そういう意味で、「悪い」の評価は必ず具体(何が悪いと思っているのか)と一緒に出してほしいなぁと思っています。私はこれも大事にファイリングしています。

 

 

「良い」「悪い」に加えて「無反応」もあると思うんですが……(授業アンケートだと「普通」って答えるやつ)

無反応の場合は、見たときの心境によって及ぼす効果が違う気がします。

良い評価ばかり続いた後にみたら、まぁ問題ないんだろうな、と……所謂「声が出ないのは賛成の証拠」みたいに受け取れますが、

悪い評価ばかり続いた後にみたら、きっと良くないと思ってるんだろうな、良くないから「良い」じゃなくて「普通」にしたんだろうな、と思います。ちょっと凹みます。

「普通」「無反応」という回答は、そんな感じで揺れるのです。一言文章で「何も問題ありません。」と書いてくれれば安心しますが。

個人的には、少しでも良いと思うなら「良い」、思う所があるなら「悪い」+文章で回答して欲しいと思いますね。

 

 

まとめると、

良い:評価だけでやる気UP。具体もつくとそこは保持しようという気持ちになる(変えてほしくない所は申し出よう!)

悪い:評価だけだと凶器に近い。具体を必ずつけて改善の手立てを与えてほしい。

普通:心境で捉え方が変わる。どちらかというと良いか悪いに振ってもらったほうが良い。

というのが個人的見解です。

 

とはいえ、万人受けするものなんて作り手からすればできっこないし、

「嫌だなー悪いなー」と具体抜きに思うものもあるでしょう。

自分が改善を期待するもの(今後も付き合っていきたい・いかざるを得ないコンテンツ)に対しては上で言ったように悪いの評価+具体を提示していくのがベストだと思いますが、

もはや離れた方が早い・これは自分が関わりたいコンテンツではない、とか、諦めよう割り切ろう、と思うような相手なのだとしたら、「悪い」評価なんてつけずに去るのが一番良いのではないかなと思ったりします。時と場合によりますが。

 

あと、改善点について文章で書いてもらうことに関しては、

絶対直すべき(MUST) と

直したら良いかも(BETTER、SUGGESTION) で分けて貰うと一層ありがたいですね。

貰った側としては気持ちが楽です。

 

 

ということで、つらつら書いてきましたが要するに

良いものは良いと 伝えられるうちに伝えよう!

ということです。そしてお互いWin-Winになるようなお付き合いが作り手と受け手の間で(指導する側、される側もそう)できたらいいよね。

まいばいお29 キメラ胚

✿キメラ胚とは

皆さんは「キメラ」という言葉を知っていますか?

キメラ(chimera)とは、同一個体内に異なる遺伝情報を持つ細胞が混じっている状態や、その状態になっている個体のことを指す言葉です。

身体の細胞が全て同じ遺伝情報を持つのではなく、異なる遺伝情報を持つ細胞が隣り合って一つの身体を構成します。

この言葉は、ギリシア神話にでてくるキマイラ-ライオンの頭・ヤギの胴・ヘビの尾をもつ怪物に由来します。

「キメラ胚」は、胚の段階-つまり受精卵から成体まで発生する過程の段階でキメラになっているものを指します。

 

昨今、キメラ胚を作る試みは様々な研究分野でなされています。

ラットとマウスのキメラ、ニワトリとウズラのキメラ、そしてブタとヒトのキメラなど……その試みられた組み合わせは多岐に渡ります。

2021年5月15日には、科学雑誌Cellにおいて、「ヒトとサルのキメラ胚を作る研究が行われた」ことも発表されました。

 

では何故、なんのために私達は「キメラ胚」を作ろうとするのでしょうか?

キメラを作るには、どういった方法がとられているのでしょうか?

今回はそれら疑問に注目し、解説していきたいと思います。

 

 

✿キメラ胚の作り方の例

Aの生物をベースにBの生物の細胞が混ざったキメラ胚を作る、その方法の一例を紹介しましょう*1

まず、Aの生物の受精卵を用意します。受精卵は細胞分裂を繰り返し、やがて多数の細胞からなる胚盤胞という時期を迎えます。

この胚盤胞の中には空間があるので、そこにBの生物の幹細胞((幹細胞とは、自己複製能(つまり増殖能力)を持ち、かつ複数種の細胞に分化できる能力を持った細胞を指します。を複数個注入します。

哺乳類の場合、発生過程は子宮内で進行し、体外で進められないので、大抵のキメラ胚はレシピエント側(今回でいうとA)の生物種の子宮に移植されます。

 

Bの幹細胞を注入された胚はその後、通常の胚発生と同じく細胞分裂・移動・分化という過程を経て一個体の身体を形成していこうとします。

その際たまたまBの細胞を使ってどこかのパーツを作ってくれれば、キメラ胚ができてくることが期待されます(つまりBの細胞が身体のどこを作るのか、何になるのか、そもそも使われるのかはランダムです)。

しかしBの細胞は、Aの細胞と同じ遺伝情報は持っていません。

ということは、Bの細胞があるパーツに使われそうになったのに、適切な遺伝子発現ができない……なんてこともあり得ます。

発生という過程は、適切な時期に適切な遺伝子が発現し、タンパク質が機能していくことがかなり必要とされるものです。

遺伝子発現がなければ、あるパーツができなかったり崩れたりするかもしれませんし、大事な過程が進められないが故に発生しないで死んでしまう(破綻する)ことがほとんどです。

 

そんなわけで、混ぜる生物種が離れすぎていると中々うまくいきませんし、近縁種でも成功する確率はかなり低いのがキメラ胚の現状です。

上でも述べたように、外部から入れた異種細胞がどこに使われるのか指定できないという難しさもあります(実はこの問題については、うまく回避できるように考えられた策が既にあります。後ほど説明します)。

 

 

✿キメラ胚を作るのはなんのため

今まで述べたような困難があっても尚、キメラ胚作出が研究されるのは何故なのでしょうか?

そこには様々な理由があります。

例えば、二種の近縁さを測るため、発生過程を解明するため、身体・脳の各部位の機能解明につなげるため……

そして、「臓器移植の可能性を探るため」。

特に臓器移植とキメラ胚は、大変強く結びついています。

 

ヒトの臓器移植について、臓器提供が追いついていないという話は一度は聞いたことがあるでしょう。

多くのヒトが助かるためにも、臓器提供のルートは確保したい。

しかし、臓器をヒトから持ってくることはそうそうできません。

臓器を取る専用のクローン人間を作るのも倫理的問題が大きいですし、現段階の技術では体外で一から立体的かつ各種組織が入り混じった臓器を作ることは不可能です。

今の技術では、生命にしか臓器構築を頼れない……そこで注目されたのが「キメラ胚」なのです。

 

例えばブタは、機能やサイズの面でヒトと臓器がかなり似ています。

ブタは生育も早いし、沢山子が産まれるので増やしやすく、短時間で多量の臓器が手に入ります。

肉も普段から食されているので、無駄なく活用できます。

しかしブタの臓器そのものをもってくると、拒絶反応によって臓器が定着しないでしょう。

ならば、ブタの身体の中で、ヒトの細胞でできた臓器を作れればいいのでは?……こういう考えで、ヒトのキメラ胚は試みられているのです。

もしこの方式で沢山のヒト臓器が手に入れば、薬効試験や研究にも使うことができ、医療はますます発展するでしょう。

 

キメラ胚を作ると聞くと、残忍な遊びだと捉える人も少なくありません。

が、実際には多くの人々の期待と未来を背負った、真剣な研究なのです。そこを履き違えてはいけません。

 

 

✿臓器移植に向けたキメラ胚研究の実情

では、ヒトに臓器移植するためのキメラ胚の研究は、どれくらいの所まで研究が進んでいるのでしょうか?

 

現在までで行われた、ヒト細胞とのキメラの作出事例で有名なものは2つだと私は考えます。

一つは2017年に行われた、ブタ-ヒトキメラの作出。もう一つが先にも紹介した、2021の年サル-ヒトキメラの作出です。

 

2017年の研究では、ブタの胚にヒトの多能性幹細胞を注入し、その胚をメスのブタの子宮に移植するという手順がとられました。

ヒトの細胞が3~10個ずつ入った約1,500個の胚が作成・移植され、28日段階まで発達し続けたのは 186個という結果でした。あまり高い成功率ではありません。

その上、注入する多能性幹細胞の状態、胚の発生段階など、キメラ胚を作るには様々な面で厳密さが要求されることがこの研究を通じてわかりました。

また、ヒトの細胞を多く含むほど胚発生が遅れていることも見出されており、中々難しい様子であることがわかります。

 

そもそもブタとヒトは、臓器は似ていても発生プロセスのスピード感がかなり異なる生物です。

ブタは妊娠期間が4ヶ月しかありません。ヒトと比べて速すぎます。

 

ブタよりも近縁だろうと思われるサルでなら、もっと上手く行き、かつキメラ胚作出のための知見も得られるのでは?

そのような動機に基づいて行われたのが、2021年のサル-ヒトキメラの作出実験です。

カニクイザルの胚に、ヒトの多能性幹細胞を注入し、培養皿で育てるという形で実験されました。

132個の胚に、約25個ずつヒトの細胞が注入されましたが、10日目で103、15日目で38、19日目で3の胚が生き残りました。

この研究では、胚が発生してもかなりヒトの細胞が残っていたことも報告されており、どの部位をヒト細胞が構成していたのか、細胞の遺伝子発現はどうなっていたのか等も追跡されています。

 

しかし、ただキメラを作るだけでは、できた臓器が使える可能性は低いと思われます。

何故なら、生物には「拒絶反応」があるからです。

もしヒトの体内に、ヒトとブタの細胞が混じった臓器を移植したら、恐らく拒絶反応が生じ生着はしないでしょう。

これを避けるためには、胚に外部から注入した細胞がランダムに各臓器に入るのではなく、確実に狙った臓器・狙った部位を構成するような仕掛けが必要です。

それを実現できる可能性を示唆する、ラット-マウスキメラを用いた研究が2017年に報告されています。

この研究ではまず、膵臓を作るために必要な遺伝子をゲノム編集技術で欠損したラット受精卵が作出されました。

この受精卵は単独発生させると、発生が途中で止まり死んでしまいます。

この受精卵に、マウスの多能性幹細胞を注入すれば、膵臓がマウス細胞で作られるようになるのではないか?そのように研究者は考えたのです。

実際にできたキメラ胚は胚発生し、膵臓はほとんどマウス由来の細胞でできていたことがわかりました。

この「仕掛け」を上手く使えば、ブタ-ヒトキメラ胚においても、どの組織をヒト細胞が構成するのか決められるかもしれません。

 

 

✿キメラ胚を取り巻く倫理の議論

ここまでキメラ胚について研究・目的を紹介してきましたが、恐らく読んでいる皆さんの中には倫理的な違和感・問題点を感じている人もいることでしょう。

実際キメラ胚は非常に曖昧な道徳的立場に存在する生物です。

一部はヒトという研究で扱わざるべきもの、そして一部は動物という研究で扱って良いとされているものになっています。

そのような生物をそもそも作出していいのか?という疑問点もあります。

 

また、繰り返しになりますがキメラ胚では、外部から入れられた細胞はランダムに組織を構成します。

もしヒト細胞で構成された脳を持つキメラができてきたら、私達はその生物をどう扱うのが正当でしょうか?

ヒトと同じように考え、感じる能力があるとしたら?

キメラの方が感受性・能力がヒトそのものを上回る可能性もあります。その時私達はどうやって、キメラと付き合っていくのでしょうか?

 

様々な倫理的問題から、ヒトキメラ胚の作出には資金が出なかったり厳格なガイドラインがあったりするのが現状です。

しかし研究が進まなければ、できないことも多くあるでしょう。

 

貴方はキメラ胚に対し、どう考えますか?

 

 

参考:Cell. 2017 Jan 26;168(3):473-486.e15. doi: 10.1016/j.cell.2016.12.036. Interspecies Chimerism with Mammalian Pluripotent Stem Cells. Jun Wu et al.
Cell. 2021 Apr 15;184(8):2020-2032.e14. doi: 10.1016/j.cell.2021.03.020. Chimeric contribution of human extended pluripotent stem cells to monkey embryos ex vivo. Tao Tan et al.

*1:実際には幾つかの方法が存在します。ここで説明したのは胚盤胞に対しインジェクション法を用いる方法の一種です。

Blenderで立体的なカエルの胚発生を作ろう!

生物教員として授業をやるとき、難しいなぁと常々思っていたのが「カエルの発生」のところでした。

カエルの発生は、所謂受精卵からカエルの形にどうやってなっていくの?という所なんですが

教科書の図は発生段階ごとに切り口や見る方向が変わっていて、立体的なイメージが掴みにくいんですよね。

授業でも、やっぱり生徒の中に立体イメージを作らせるのが難しくて、個人的にはかなり苦労しています。

頑張って余すところなく伝えた!と思っても、大抵最初から全て拾ってくれるわけないしね。

 

立体イメージを作るための工夫は色々世にあります。

例えば模型。これはドンピシャで便利です。粘土で自分で作る、みたいな試みもありますよね。

ですが、粘土をこねるのは時間がかかるし、準備も片付けも大変。

模型は大抵学校に一個しかないので、全生徒が見えるか……?というと、30人40人を一気に教えるときは難しい。コロナの時代ではクラス内で回すのも険しいです。

あとは動画や平面図で頑張るやつ。でもなんかイマイチ効果が低い。

色んな試みを自分もしてきましたが、説明下手だからなのか、全然生徒にうまく概念を形成させられませんでした。

 

 

そこで思った。

最近の3D技術を使えば解決するのでは!?

3Dでカエルの胚断面図を作っちゃって、それを定点カメラで同じ向きでずっと観察できるようにすれば、ちょっとはわかりやすくなるんじゃない!?

ですが、世の動画とかを調べてみると、今の所そういうのはなさそうなんですね。

なので、自分でやってみることにしました。

 

 

3Dモデリング完全初心者なので……

やってみるぞ!と思ったはいいものの、自分は全く3Dモデリングを触ったことがありませんでした。

そこでまずは3Dモデリングのソフトから検索。

色々あるらしいけれど、Blenderというものがいいらしいので、Blenderをダウンロードしました。

blender.jp

 

ダウンロードできたので、よっしゃ作るぞ!と思ったのですが……

全然操作方法がわからん!!!!!!!!!!!!

「なんか適当にやればできるっしょ!」と思ったのが大間違い。

Blenderは自由度が高い分、色んなことができちゃうんですが、その分色んなことが分離しているので、それぞれどうやったら実現できるのか考えなきゃいけないんですね。

加えてそれらに各々操作方法があるので、覚えないとたどり着けない……

つまり、完全初心者が「こんな感じ?雰囲気?にしたいな!」なんて思ってもそうはならんのじゃ。

 

てことで、Blenderについてまずは学ぶ必要がありまして。

検索したら、素晴らしい解説書が公開されていました。

forest.watch.impress.co.jp

最近は色んな大学で素晴らしい教材を無償提供してくれていてすごいね。

これを使ってまずは勉強しました。

ただ読むだけだと簡単そうなのに、実際同じように操作しようとすると全然うまくいかなくて笑う。

そういうところから新たな学びがあったりするのですが……

 

で、この基礎を参考にしつつ、最初に作ったのがこちら。

f:id:I_my_mine:20210512094640p:plain

カエルだよ。めちゃ苦労しながら作りました。粗いけど。

(本当はアフリカツメガエルぽくない方がいいんだろうけど、当時の技術では普通のカエルは作れなかったよ……)

 

胚についても、基礎を中心に自分が考えるようにまずやってみて、

やってみると大抵何かが駄目で、え~なんで~とか不便だな~ってなったら調べて、

調べると大抵知見がどこかにあるのでそれを参考に練り直して、

うまくいかなかったら違うアプローチで目的が達成できないかモデル作成手順から考えて、

実験もして……

なんてことを延々と5日間くらい繰り返してですね。

もう泣きそうだった。めっちゃ大変だったもん。

幾つもの胚らしきものが死んで葬られていきました。尊い犠牲だね。

 

特に困ったのが、「空洞がある断面図」の作成なんですね。

最初は、

  • 3Dの胚(完全体)を作る
  • 色んな面で切断できるようにする

というものを想定していたんですが、思ったように作れないんです。

そもそも中身が色々複雑に入り組んだ胚の完全体を無から作るのが険しい。

だから思い込み(これは生命体で胚なんだ!という気持ち)を捨てて、この物体を作るアプローチや手順を考える必要がありました。

もう毎日毎日隙間時間に常に考えました笑

お風呂に入ってるときも、布団に入ったときも、料理してるときも、「こうやったらいけるのでは」「こうやってみるか」「ここがだめだった理由は多分こういうことなのでは……」「あのBlenderの操作はこういうことを起こすものだったのではないか」みたいな……

特にBlenderが3Dモデルを作成するときや操作を施すとき、何にどういう作用を与えているかはめちゃくちゃ考える必要がありましたね。数多のHPにお世話になりながらBlender観が蓄積されていった気がします。Blender関係のHPを作ってくれている方々、本当にありがとうございました。

 

 

遂に一応の完成!

そんなこんなでヒイコラ言いながら、なんとかそれっぽい形にこぎつけました。下のリンク先でPDFをDLできます。

mimimine.booth.pm

今後の方針としては、

  • 原腸胚の時のつなぎがあらめなので、カット数を増やす
  • このままだと「どの切断面を見よう!?」という感じで初見の人は視野がぶれると思うので、一つの切断面に特化したビデオを作成する必要もある気がする
  • 部位の名称を書き込みたい(特に胞胚腔と原腸)
  • 水平面(横断面)の断面について下半身側しか見えていないので、上半身もあるといいかも?
  • おしり側の変化が見えないので、おしりに特化した動画もあるといいかも

などと考えています。あとは、大抵の教科書が原口を右側に置いていて、動画だと左側にしてしまっているので、逆転させてもいいかもしれないなと思ったり。

作るのめちゃくちゃ大変だったので、なんとかいい感じの物に作り上げたいです……(活用できそうなのか今の所わからないけれど……)。

 

 

Blenderについてのアドバイスや、胚発生について「こうしたらもっといいかも」という提案があれば送って頂けたらありがたいです。お気づきの点がありましたらコメント欄等で教えて下さい。

応援もしてくれると嬉しいです。割と辛いので(泣

あとは、他にこういう教材を作ってみたら?とか、こういうところが授業で難しいと思った、というような意見も募集しています(高校生~大人まで誰でも!)。

 

最近の中国語の勉強

 

言い訳から始めます。

4月1日から、3年日記というのを始めたんですね。

これは、つけてくと3年間、同じ日に何をしていたかが見通せるようになるというやつなんですが……

で、マスが小さめなので、加えてスケジュール帳も買ったんですね。自分がやったことの記録のために。

 これは、毎日がブロック型になっていて、日々やったことが割と大きめの空間に記録していけるという代物です。カメレオンが可愛いからこれにした。

そんなわけで、日記とスケジュール帳2つを組み合わせて日々の記録をとっています。日記は感じたことや考えたこと、スケジュール帳にはタスクとして何をしたか、次何がしたいか、何ができなかったか等を書き留めていきます。

2つの紙ベースで管理するだけで回るかなと心配だったんですが、まぁ割と上手く機能してくれちゃって、「自分が何をしたかを記録しておきたい」「自省してそれを次に活かすサイクルを作りたい」という欲求が満たされています。

ですが1つ問題がありまして……。これらの欲求は、元々自分がブログを書く動機に近いんですね。つまりどういうことかというと、スケジュール帳と日記で回してるとブログに何書けばいいかわからなくなる。ちょっと。

ということで更新があまり頻繁じゃなくてすみません。

 

 

でもブログは書きたいので、今日は最近の中国語勉強について軽くまとめてみようかなと思います。

ブログは色々まとめる用と、人への近況報告用に使えば良いのだ!と勝手に納得している。

 

本題:最近の中国語勉強について

中国語を12月から勉強し始めています。 

i-my-mine.hatenablog.com

中国語に真面目に取り組んでみたい!と思い、独学で頑張っています。

 

自分の手元にある本は元々下の3冊でした。

新ゼロからスタート中国語 文法編

新ゼロからスタート中国語 文法編

  • 作者:王 丹
  • 発売日: 2015/02/26
  • メディア: 単行本
 
新ゼロからスタート中国語 文法応用編

新ゼロからスタート中国語 文法応用編

  • 作者:王 丹
  • 発売日: 2020/07/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
本気で学ぶ中国語(CD BOOK)

本気で学ぶ中国語(CD BOOK)

  • 作者:趙玲華
  • 発売日: 2009/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

で、取り敢えず上2つは12月~3月の間で、夫がいない休日等にバーッと進めて終わらせました(読むだけだと頭に入らないから、notionにノートとりをしながらやった)。

自分は、語彙だけ提示されても上手く頭に入らないタイプの人間なので、この本の中で紹介されている基本の文法と、メインで文章中に使われている単語だけ覚えた感じです。

(発音練習などは上で紹介した前回の記事で書いた通り、別でやっています)

「本気で学ぶ」の方は、正直見た目がごついのでちょっと放置してました……笑 いつかやる時が来るだろう!と、まぁその時まで積んでおいてご利益を得ておこうという感じ。

 

上の本に加えて、アプリもやってました。

最初はHelloChineseってやつをやってました。これは、何度も発音してくれるし、テストもくどくていいんですね。

play.google.com

めちゃ気に入ってたんですが、ある段階(確かHSK2級レベル?)まで到達すると、「これ以上やるのは有料だよ!」ってなっちゃって、一切進められなくなってしまったんですね。

課金するか悩んだんですが、どうせなら一番良さげなアプリに課金したいし、とも思い、別のアプリを試すことにしました。HSK Onlineというのをやってみることに。

play.google.com

こちらも大変良いシステムで、かなり良い勉強ができます。加えて、テストがHSKに非常に近くて、実践的なのが良いなと思います。文法もゴリゴリやってくれます。HelloChineseではやれなかった所まで進められています。

しかし、無料の場合は1日5分しか勉強できません。

……が、これを逆手にとると、「1日5分ならやろう!」という気持ちにもなるというか笑 1日5分の権利が勿体ないから毎日進めよう!みたいな気持ちにもなるし、案外良いように働いている感もあります。物足りないですが……永遠にできる、となったらどれだけ続けられるかな、とちょっと不安に思ったりもします。とある保育園で罰金を課すと遅刻者が増えた……みたいな実験を思い出しますね(思い出すか?)

 

まぁそんなわけで、個人的にはHSK Onlineは初学者にかなりおすすめです。1日5分ならやる気出るでしょ。ちなみに日本語解説より英語解説の方が分かりやすいです。google翻訳による解説は英語verにしては如何。

 

 

自分のレベルが分からない

これらを最初は延々と回していた訳ですが、ふと気になったんですね。

自分は今どれくらいの力がついていて、これから何をしなきゃいけないんだろうか?

それを確かめるにはHSKを受ければいいかな、と思いまして、HSK3級の教材を購入してみました。

中国語検定HSK公式過去問集3級 2018年度版

中国語検定HSK公式過去問集3級 2018年度版

 

この本には過去問が5回分入ってるので、取り敢えず第1回を、時間を守って実施してみることにしました。

 

取り敢えず一回解いてみて分かったこと:

  • リスニングが全然聴けてない。聴けてないくせに雰囲気(そこはかとなく聴けている単語からヒントを得て選択肢を選んでる状態)で当たるのですっきりしない。 
  • 読解・文法・字はほぼ満点とれる。基礎文法があれば分かってしまう文章らしい。
  • 今の実力でもHSK3級は合格しちゃうみたい。もっと高い壁だと思ってたのに……。

そっか、HSK3級はこんなに何も分かっていないのに受かるのか、という、なんとなく虚無感を感じました。HSK3級は本当にもっと高い壁で、自分は全然足りないというオチだと思ってたんですね。ところがあっさりできちゃったわけ。

よくよく後から「ゼロからスタート」の帯を見たら、「HSK4級合格!」って書いてあるやないかい!てことは、ゼロからスタートの2冊程度の文法と単語が入ってたら、3級なんか余裕なんだね、本当はね。納得しました。帯なんて知らなかったよ。

 

とはいえもやもやとするので、より詳細な分析のために第一回の復習として、リスニングを全て聞き取って書いてみる&読解の所も何が分からなかったか詳細に抜き出してみる、というのをやってみました。すると分かったのは、

  • リスニングで「聴けてない」と思っていたが、実際はかなり音は聴けている。音は聴けているけれど語彙数がないからどの語彙なのかが分からない、つまり知らない語彙の音を聴いて「知らないぞ」と反応しているだけなものが大多数である。分からない原因は語彙数不足。あとは語彙と音の対応がまだ強固ではない部分があるからぽい。
  • 読解でもほとんどの文法は分かっている。分からない文法は2,3個しかない。やはり足りないのは語彙で、単語が分からないから文章の意味が分からないものが間違いの原因になっている。

ということでした。

(ちなみになんですが、この過去問集、ピンイン表記がないんですね。私はgoogle lensを使いました。

google lensで文章を写して、選択して、「読む」というボタンを押すと、読み上げてくれます!

しかも単語を選ぶと、すぐに検索結果が出てきて、ピンインも意味もわかります!強い。

是非google lensをご活用下さい。)

 

と、語彙数の不足ばかり目立ちましたが、

いやいや文法だってまだまだ足りないはずでは?と思い、謎の中国語のテスト(レベル分析用のやつらしい)をやってみた所、やはり文法から全く意味不明のものがぽんぽん出てくるんですね。やっぱり足りないやん!

 

結論、私に足りないのは、

  1. 圧倒的に語彙数(音、意味の理解も含む)
  2. 応用的な文法(まだまだ出会ってない文法があるぜ!)
  3. 自分で文章を作り上げる能力

だと思いました。勿論、リスニング力(音の聞き分け)とかも足りないんですが、上で挙げた物たちの足りなさが圧倒的なので、まずはそっちをどうにかしてからかなという気がします。

ついでに、HSK3級は、おそらく1の語彙数だけが点数ととれるか否かの鍵を握っていて(基礎文法なんてそうそうネックにならないだろうから)、語彙数さえ増やせば楽に乗り切れちゃうんじゃないかな という気がしました。

そうだとしたら、自分は3級をわざわざ取得する必要はないかなぁ、という気持ちになりました。

 

自分は中国語を勉強してどこに到達したいんだろう?と思ったんですが、

やはり言語を勉強しているからには自分が表現したいことをその言語である程度表現できるようになりたい!と思っている気がします。

だから試験に受かって資格を得るために勉強するというよりは、受かる実力が元々あるから勿論試験も受かる、みたいな感じになりたい(伝わりますかね?)。

表現したいことを表現できるようになるには、語彙は必須で、語彙がなければ何も伝えられません。語彙is重要。なので語彙は絶対増やしたい。

加えて応用的な文法も知っておきたい。何故なら、会話する時は相手の言葉の理解が必須だからです。相手が基礎文法ばかり使うとは限らないので、聞く時・読む時のために知識を得ねばならぬ。

したがって自分は、語彙数をひたすら増やし、かつ、一層の文法知識を得るぞ、という方向性に定まりました。あとは耳慣れ。作文。

 

どうやってやるか

やりたいことは決まりましたが、どうやるかという所を決めないとやれません。

ので、取り敢えず、語彙数を増やすために、「テキストやラジオといった色々な媒体を通して単語と出会い、出会う度に単語帳を作って反復練習(聴く・意味確認する)しよう」となりました。

媒体として、

  • ゼロからスタート中国語 で放っておいた単語達
  • 本気で学ぶ中国語
  • NHK ステップアップ中国語(ラジオ)
  • ゴガクル
  • HSK Online

などを採用することにしました。

で、出会った単語たちの反復練習用には、wordholicというサービスを使うことにしました。

www.langholic.com

これはアプリで、スマホで使えるんですが、いいところとして

  • パソコンでSpreadsheetを組むとデータを入れられる
  • 中国語で読み上げてくれる
  • テスト機能が充実している
  • 無料

等が挙げられます。いいですね。しつこく練習させてくれそう。

なので、上で挙げた媒体たちで単語と出会う度に、Spreadsheetに簡体字の中国語のコピペして貼り付けています。スマホだとちょっとデータ作るの大変だから、ありがたい。

 

文法については、本気で学ぶ中国語を真面目にやっていこうかなぁと思っています。あとはゴガクルかな。

いい感じに限界が見えてきたら、HSK5級とか6級の本を買ってやってもいいのかもしれない。またはテレビやラジオで中国語を聴くとか。

 

耳慣れはwordholic、NHKのラジオ、HSK Online、あとはゴガクルのリスニングテストを活用しようと思っています。

ゴガクルのテスト機能を使うと、作文力も磨けるので、ゴガクルはしっかり使っていきたいですね。

 

 

HSK3級の過去問取り組んでみてよかったなと思うのは、「この表現めっちゃ使うな」という感覚がちょっと芽生えたことです。例えば好的。とかね。やっぱりさらっと言う言葉はちゃんと身につけていきたいね、と思いました。

 

 

ということで、今後もがんばりますよ!いいサービスとか本があったら、是非教えて下さいな!

遺伝子のマッピングを解説してみる

今年の名大と京大では、「遺伝子のマッピング」に関する問題が出題されました。

具体的には、

名大生物 Ⅳ 設問(3)

京大生物 Ⅱ 問5

がこれに該当します。

 

遺伝子のマッピングは、一応授業で解説されるような基本事項さえ知っていればできるものではあるんですが、多分一度解いてみないとあまり実感がわかないというか

そもそも表がかなり怖そうで怯んでしまうというか

そういう面がかなりあるのかなと思いまして。

今回の記事では、遺伝子のマッピングというのが一体どんなもので、

どういう風に考えればできるのかな、というのを、噛み砕いて紹介できたらなと思います。

かなり我流なので、間違っている点があるかもしれません。そういう場合はコメント等でご指摘頂けると幸いです。

 

 

今回理解できそうな単語

遺伝子のマッピング(gene mapping)

マーカー遺伝子

 

事前にあってほしい知識(キーワード)

遺伝子、染色体、遺伝子座、配偶子形成、減数分裂、連鎖・独立、表現型、乗換え、組換え

 

 

遺伝子のマッピングとは?

特定の遺伝子について、どの染色体の、どの位置にあるのかを決める行為です。

つまりは、遺伝子の「所在地」を知る行為ですね。

例えばヒトなら、染色体が24種類ありますね。第一染色体~第22染色体、X染色体、Y染色体ですが、それらは全て違う情報を運ぶ、異なる配列のDNAたちです。

ここで、「血液型を決める遺伝子はどこにあるんだろう」となると、先ほど挙げた24種類の染色体のどれかに必ず乗っているわけです。しかしそれはどこか分からない。

加えて、どの染色体に乗っているかが分かったとしても、その染色体中のどのあたりに血液型を決める遺伝子が存在するかは分からない。

そんなわけで、遺伝子の所在が分からなくて知りたいなという需要が出たら、マッピングをする必要があるわけです。

 

マッピングをしたくなる場面の例を出してみます。

例えばこういう時…

・マウスは白毛と黒毛のものがいる。

→「毛の色を決める遺伝子はどこにあるんだろう?」と疑問に思った。

マッピング

 

・ある変異体を得る

→「変異体の変な挙動の原因となる遺伝子はどこにあるんだろう?(=どの遺伝子がおかしくなっているんだろう?)」と疑問に思った。

マッピング

 

って感じです。雑な例ですが……。

要するに、遺伝子のマッピングは研究をしている時でもよく使う、大事な手法なんですね。

今回紹介したいと思っているのは、

「どの染色体上に目的の遺伝子があるかは分かってる」

「けどどの位置にあるのか分からない」

という時、交配を通してマーカー遺伝子というものを基準にマッピングする手法です。

大前提として、「乗換えは一度の配偶子形成で最大一箇所にしか発生せず、多重乗換えは生じない」とします。まぁこれはそういうもんかと思っておいて。

 

 

ちなみに、こういうことを言うと、

「それって全ゲノムシーケンシングして、塩基配列だして、違う形質のやつの配列を比べた時に、異なる配列になっている部位を特定すればいいんじゃないの?」

という疑問を持つ人もいるかもしれません。

それは勿論手法の一つではあるのですが、普通にお金がかかるし時間がかかるし無駄が多いです。

あと、もし複数の違う箇所が見つかった時、どれが求めている違いなのかを特定する行為をどうせその後しなきゃなりません。

だったら最初から雑なアタリをつけておいて、その近辺の遺伝子だけPCRかけてシーケンシングして、配列読んでやっぱり違う箇所あるねって特定していった方がいいのではないでしょうか!(いや、色々技術が進展したら、今から紹介するような古典的なマッピング手法なんて淘汰されるのかもしれないな……)

(でもテクいことを知ってることはどこかで役にきっと立つと思うんだよ、うん)

 

 

もしあなたが勇者なら

では早速、遺伝子のマッピングについて紹介していこうと思うのですが。

まずは考え方を知ってもらうのがいいのかなと思います。

そこで、こういう状況を考えてもらいます。いいですか?考えてみてくださいね?

 

……

あなたは勇者です!

目の前に、縦にひょろ長い棒状の敵が出現しました。

敵はひょろ長い棒状の胴体のどこかに、一点「コア」を持っています。

このコアを壊さないと、敵は死なないので、あなたはコアの位置を特定する必要があります。

ちなみにこの敵は、コアが残っている場合、ちぎられても再生します。コアが残っている方から再生をして、完全な状態に戻ってしまいます。コアがない側のちぎられた破片はなくなります。

再生は一瞬で行われるので、ちぎる攻撃は毎回完全長の敵に対して行われることになります。コアの位置は固定です。また、敵は常に縦に立っているので、上と下が分かりやすくなっています。

取り敢えずこの敵は反撃してこないとして、好き勝手に敵を弄って、効率的にコアを探して倒してください。

f:id:I_my_mine:20210308134248p:plain

……

 

なんの話だよ、と思うかもしれませんが、これがマッピングに活きる考え方なので真面目に考えてくださいね!

皆さんはどんな回答を出したでしょうか。

私の場合、「どんどんちぎってみて、どっちの破片から再生するかを見てみる」という手法をとります。

本当は二分探索的なものをしたいですね。なのでまずは真ん中でちぎります。ちぎると上の破片から再生したとしましょう。そうしたら、「コアは上側にあるな」ってわかります。

次に上から1/4の所でちぎります。下側から再生したら、「コアはこの敵の上から1/4~1/2の間にある」と分かります。次はこの狙ったパーツの半分の所でちぎればいいですね。そうやって「ちぎる」行為を繰り返し、ちぎってもちぎってもコアと連動して動くように見える部位を見出せれば、コアの位置は特定できるのです。

f:id:I_my_mine:20210308134809p:plain

 

では、もうちょっと難易度を上げます。

敵の上下が分からない としたらどうしましょう?

つまり、先ほどまでは縦に立っていてくれましたが、再生するたびに横になったり、反転したり、向きが不明瞭になっちゃうんです。

f:id:I_my_mine:20210308135143p:plain

あなたならどういう工夫をしますか?

 

答えは、「マーカー」をつければいいんですね!

まず敵の身体に、4か所くらいマーキングをしましょう。4つの印は全て違う色にします。すると、敵がくるくる違う向きを向いても、同じ位置がどこだったのか追えますよね。

で、やることは同じく「ちぎる」を繰り返す行為なのですが……

例えばマーカーが赤・青・黄・緑という風に、端から等間隔に塗ってあるとしましょう。

真ん中でちぎって、赤・青がある側から再生すれば、赤・青が塗ってある側にコアがあると分かります。

次に赤と青の真ん中でちぎります。青がある側から再生します。青近辺にコアがあることが分かります。

f:id:I_my_mine:20210308135810p:plain

 

これ、俯瞰すると、毎回青とコアが一緒に動いていくように見えるわけですよね。ここがポイントです。

ただし、切る試行が沢山あると青とコアの挙動が分かれることも勿論あります(下図)。

 

f:id:I_my_mine:20210308144612p:plain

 

が、一応コアに近いマーカーはよく挙動が一致し、遠いマーカーは別挙動が目立ちますね。

こういう情報から、コアの場所を絞っていけるわけです。

 

f:id:I_my_mine:20210308144720p:plain

 

さて、そろそろ気づかれていると思うんですが、この細長い敵が染色体のつもりなんですね。

コアは目的遺伝子です。

つまり、「細長い敵のコアの位置を知る行為」≒「染色体上の遺伝子の位置を知る行為」なんですよ!

まとめると、染色体上の遺伝子の位置を知るには、

  1. まず染色体上に目印であるマーカーをつける(マーカー遺伝子を決めることで可能となる)
  2. 染色体をちぎる行為をくり返し、どのマーカー遺伝子と目的遺伝子がよく一緒に動くのかを見る

ということでできそうだということになります!

 

じゃあ、「染色体をちぎる」ってなんだ?どうやるんだ……?

……そう、「乗換え」ですね!!!!!!!!

配偶子形成の際、減数分裂第一分裂で生じる「乗換え」では、一本の染色体=敵だったものがちぎれるイベントが生じる可能性があります。

ということは、目的遺伝子の位置を知るには、目的遺伝子と、その遺伝子が乗ってるはずの染色体上にあるマーカー遺伝子を把握した上で、

そのすべてが乗っている染色体を持つ個体に、配偶子形成をバンバンさせて、乗換えをおこさせればいいわけです!

その結果、どのマーカー遺伝子と目的遺伝子がよく一緒に動いているかを見つけられれば、遺伝子の位置が特定できるわけですね!

 

 

今回の名大の問題を参考にしながら実際のマッピングをやってみよう

上で十分理論の基礎については説明をしてきたと思うので、実践例を見ながら遺伝子のマッピング行為を確認していこうと思います。

今回は、名大の問題でも出てきたマングローブキリフィッシュを例に出します。

マングローブキリフィッシュは、メダカに近縁な生物なのですが、

発達した卵巣内に精巣をもち、体内で卵と精子を作って自家受精するというちょっと特殊な脊椎動物です。こういうのを雌雄同体生物といいます。

名大の問題では、以下の設定が与えられていました。

  • マングローブキリフィッシュにはP系統とQ系統という、互いに塩基配列が微妙に異なる系統が存在する(同じ遺伝子座に違う対立遺伝子を持っている)。
  • A~Dの遺伝子が連鎖する染色体上に体色を決定する遺伝子があるらしい。
  • P系統は茶色、Q系統はグレーで、茶色がグレーに対し優性である(茶色が顕性である)。
  • 体色遺伝子をマッピングしてほしい!

ちなみに、P系統とQ系統は純系のはずなので、茶色にする遺伝子を「茶」、グレーにする遺伝子を「グ」とすると、P系統の遺伝子型は「茶茶」、Q系統の遺伝子型は「ググ」ですね。

A~Dの遺伝子についても、PタイプとQタイプがあると説明されていますから、この染色体に着目すると

P系統ではAP, BP, CP. DP. 茶 が連鎖

Q系統ではAQ, BQ, CQ, DQ, グ が連鎖していることになります。

f:id:I_my_mine:20210304214608p:plain

 

ここで、例えば体色遺伝子がCD間の、D寄りの位置にあったとしましょう。

つまり、P系統ではCP-DP間のDP寄りに茶が

Q系統ではCQ-DQ間のDQ寄りにグが存在するわけ。

 

f:id:I_my_mine:20210304214650p:plain

 

先ほど、敵の例でも挙げたように、この遺伝子の位置を知るには「ちぎる」=「乗換えを起こさせる」しかないわけですが、

例えばP系統が自分の配偶子を作ったとして、その配偶子の様子から乗換えが起こったか否かが見えるか、というと、答えは……

見えません!

だって乗換えしても、一本の染色体内で AP, BP, CP, DPと茶 というセットになることは変わらないんだもの。

てことは、乗換えが起こったことを可視化するためには、相同染色体が二種類の異なる染色体で構成されているもので配偶子形成をさせなきゃだめだ。

なのでP系統とQ系統の交雑体を最初に作ります。

 

f:id:I_my_mine:20210304214709p:plain

 

さて、交雑体であるF1さんが作る配偶子の種類と、それが持つ染色体の様子を考えてみましょう。

乗換えが生じない場合は、マッピングにおいて参考になりません。まず、乗換えが生じない場合に出てくる配偶子の染色体構成を考えましょう。

 

f:id:I_my_mine:20210304214724p:plain

 

まぁ、こうなるわな。

一応、AとDの外側で乗換えが生じても、この配偶子が出るから、AP,BP,CP,DP,茶 が出たからといって「乗換えが絶対起こってない」とはいえないんだけどね。

もし、AP,BP,CP,DPという風にマーカー遺伝子は全部元の組合せで揃っているのに、「グ」を持つ配偶子なんかが出たら、それはA~Dのマーカー遺伝子より外に体色遺伝子があるという議論になってくるわけですが。

今回はC-D間にあるからマーカー遺伝子より外側で乗換えが生じても AP,BP,CP,DP,茶 および AQ,BQ,CQ,DQ,グの組合せは変わんないです。

 

次に、マーカー遺伝子A~Dの間で乗換えが発生する場合、つまり敵をちぎる場合を想定してみましょう。

ちぎりはどう検出できるのか?勿論、配偶子内で、A~Dについて、PとQがごちゃ混ぜになってたらこれはあからさまに「ちぎり」が発生しています!

とはいえ言葉で言っても分かりにくいので、具体例を出してみます。

乗換えは、染色体上のどの位置でも同確率で生じるはずなので、取り敢えず三か所それぞれで乗換えが起こった結果を考えてみます。

 

f:id:I_my_mine:20210304214741p:plain

 

一番上の矢印で示したA-B間で乗換えが生じると、出来る配偶子は表のようになります。AQ, BP, CP, DP, 茶 と AP, BQ, CQ, DQ, グ というのが新規に出現した配偶子です。これは、先の敵の例でいうなら、Aという一番上のマーカーをぶちっとちぎりとったら、残りの部分にコアがあった、というのと同じことですね。

 

f:id:I_my_mine:20210308163152p:plain


次はB-C間で乗換えさせるよ。

AQ, BQ, CP, DP, 茶 と AP, BP, CQ, DQ, グ が新規に出現した配偶子たちです。これが乗換えが起こったやつですね。

AとBに関わらずCやDと体色遺伝子が一緒にいるので、A-B間には体色遺伝子がないと分かりますね。

 

f:id:I_my_mine:20210304214807p:plain

 

最後にC-D間で乗り換えたら?

AQ, BQ, CQ, DP, 茶 と AP, BP, CP, DQ, グ が乗換えたやつ。

ここから、A-C間には体色遺伝子はないねってなるわけです。 

Dと体色遺伝子の挙動がよく一致してるね。

 

f:id:I_my_mine:20210304214821p:plain

 

一応俯瞰できるように今までの全パターンの配偶子例をまとめてみましたよ。

薄いだいだい色の網掛けした配偶子が乗換えがマーカー遺伝子A~Dの間で起こったやつです。

濃い黄色は茶・Pとグ・Qが一緒に動いているゾーンを提示しているつもり。

Dが一緒に動く感、分かりますか?所謂完全連鎖みたいなもんだよな。

 

f:id:I_my_mine:20210308163839p:plain

 


なるほど!配偶子のマーカー遺伝子がどっちなのかと目的遺伝子がどっちなのかが見えればいいのね!

ってなってきたと思うんですが、

じゃあ実際配偶子の遺伝子型なんて簡単に見えますか?というと、まぁそうはいかないですね。

基本見やすいのは子の表現型ですから、子を作らせて、その結果から配偶子の様子を見れればよい。

普通はここは検定交雑を使っていきたいところですが、自家受精するタイプの生物はこれが難しい。コマッタナ

面倒くさそうだなぁと思うかもしれませんが、F1自家受精でも普通にマッピングは可能です。さっきのF1を取り敢えず自家受精させてみると、多分こんな奴らが出てきます(下図)。ちなみに、マーカー遺伝子の遺伝子型は、何故か分かるという体で行きます。*1

f:id:I_my_mine:20210308203934p:plain
いや、難しいやん!どう見ればいいか分かんないよ!とか思うかもしれませんが、落ち着いて考えましょう。

まず、今までの議論を振り返ると、乗換えがA~D間で起こってない配偶子は、AP, BP, CP, DP, 茶 または AQ, BQ, CQ, DQ, グ なわけでした。

ということは、体色の遺伝子型が分かれば、ある個体を構成する染色体で乗換えが生じていたかどうかは見えそうです。

なので、体色の遺伝子型をまずは書き足してみます。

f:id:I_my_mine:20210308203958p:plain

 

次に、「乗換えを起こした配偶子でできた子供」を見つけてみます。

そんなのわかんないじゃん、と思うかもしれませんが、上でも何度も述べたように

AP, BP, CP, DP, 茶 と AQ, BQ, CQ, DQ, グ がもともと連鎖してるんです。

なので、子にその配偶子がありそうならそれを削っちゃえばいいんです。

まず子供をもとになった配偶子(誰と誰が受精したのか)に分解するじゃろ?

f:id:I_my_mine:20210308204320p:plain

A~Dについては比較的簡単にいけますが、体色の遺伝子については注意が必要です。一応、A~Dよりも外側に体色遺伝子がある可能性も考えながら普通は表を見るのでね。

なのでPPPPだったら茶、QQQQだったらグ とは安直に言えないわけです。

 

絶対確定できる!ってところから決め打ちします。例えば「ググ」の場合は確定が可能ですよね!

f:id:I_my_mine:20210308204019p:plain

そんなわけで③④⑨⑩⑬⑭が確定したから引っこ抜いてみよう。見にくいからね。

f:id:I_my_mine:20210308204052p:plain

④を見ると、QはDのみで、他はPのタイプになっています。もしA-C間に体色遺伝子があったら、こうはなりません。C~Dの末端のどこかにいそう。
⑭ではC, DがQの型でA, BはPの型です。やはりA-B間には体色遺伝子がないよというのが推されていますね。

⑳では、Dの所がPになっているのに体色遺伝子がグになっています。ということは、Dより外側には体色遺伝子はないということになる。

これらの推論から、C-D間にあるのではないか、という予測を立てることができます。

 

てことは、もうPPPPときたら茶、QQQQときたらグ としていいよね。

C-D間にあるという仮説に則って本当に全ての個体が生じることが説明つくかな?と試してみる。

f:id:I_my_mine:20210308204920p:plain

つきそう。

茶だったらP、グだったらQの領域を配偶子内で塗ってみたよ。

f:id:I_my_mine:20210308205134p:plain

C-D間っぽいね!

CとDめっちゃ挙動一致してるやん、の気持ち。

 

ということで、なんとなく遺伝子のマッピング、伝わりましたかね?

 

 

f:id:I_my_mine:20210308210801p:plain

*1:雑な説明ですが、本来はPCRをかけて電気泳動した結果でP型かQ型か見分けられたり、表現型で判断できたり、そういうことができる遺伝子をマーカー遺伝子とするんですね。なので『分かる』ということで。

2021年度入試問題 生物 所感まとめ

今日までで気になっていた大抵の大学の入試問題が出揃いまして、全て解くことができました!

解いたのは北海道、東北、東京、岐阜、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、そして慶應です。

 

解き終わった証として(?)、毎度誰に需要あるのかはわかりませんが、解いた各大学について簡単な所感と、

あとは総まとめみたいなことをしていこうかなぁと思います。

東大と名大については過剰な力量で書いた記事がありますので気になる人はそちらを参照してください↓

i-my-mine.hatenablog.com

i-my-mine.hatenablog.com

 

 

各大学 所感

東大と名大は記事があるので、それ以外の大学の所感を軽く書いていきます!

北海道大学

ネタとしては、

1 血糖濃度調節(チャネルと電位を絡めた話)、腎臓

2 カエルの発生、ガードンの実験、ショウジョウバエの発生(分類含む)

3 マイクロサテライトで親子鑑定(進化含む)

4 樽前山のバイオームと遷移

という感じでした。

難易度はそう高くなく、どこかで見たなという問題が集まっている感じです。

北大と言えば木原均からのゲノム問題!という感じだったのに、今年はそれはなかったですね。一応ゲノムと進化の話はありましたが……

3では、親候補の大人たちと、その子ども候補の幼少個体たちのマイクロサテライトPCR電気泳動の結果を提示され、

今回の子どもたちに関して、親は決まった配偶者としか交配してないのか、それとも自由交配してるのか、どちらなのかを見極める、みたいな問題は良かったですね。そうか、そういうことも読み取れるなぁという。

いつもほどの綺麗さや感動はなかったかも……?

 

東北大学

ネタは、

1 異化経路の調節

2 ヒトデの卵成熟とホルモン

3 腎臓と循環系(血液・心臓)

でした。

東北は毎年ちょっと解きにくい、堅い問題を出すイメージがあるのですが、今年もそんな感じがあります。

とはいえ2と3はどこかで見たことがある典型的な問題で、特に2は易しいなと思いました。経験のせい?

ちなみに2はろ胞細胞とGSSの話ね。これ知ってるわ〜って思いながら解きました。問題文読まなくても分かっちゃう……(あかん解き方だ)。

しかし、個人的には1のグラフ選択問題とかが、なんかこう、腑に落ちない……綺麗さに欠ける気がします。

河合でも別解が出ていますし、別解出る生物の問題(しかもグラフ選択問題)ってどうなん?という……

あと、「化学浸透圧説」は単語として問うていいのか?という疑問もある。

教科書をあまり逸脱しすぎないで欲しい……。

 

岐阜

ネタは、

1 体内の恒常性、性ホルモン周囲の濃度調節

2 植物の光周性、春化に関する実験

3 ALDH2PCR電気泳動(プライマー設計から)、ALDH2の各国遺伝子頻度に対する考察

4 C4植物とC3植物の比較

5 正のフィードバック機構による遺伝子発現調節、マウス筋芽細胞の分化と調節タンパク質

という感じでした。

ネタはまぁ、どこかで見たことあるなぁというものが多いのですが、聞かれる形があまり見慣れないというか、

「これって本当にこれが答えでいいの……?」と不安になるような聞かれ方だったりして……

ちょっと解くのが険しい気持ちになりました。ウーム。

自分の解く力が足りないだけかもしれないが……一部が所謂「日本語ムズカシイ」状態な気がします。

 

静岡

ネタは

1 性決定と選択的スプライシング(明言はされていないが、ショウジョウバエのSxl周りの話だと思われる)

2 呼吸の分子機構

3 血糖濃度調節と糖尿病の種類

4 植生の遷移と光量(光周性)

といった感じ。

中身は何も迷わず解ける、順当に正統派な問題という感じで、ストレスなくさらっといけます。

程よい応用問題が差し込まれているのも好感が持てます。

2の呼吸の所なんかはくどい程基礎基本を聞いてくれるので、これは問題集で標準問題として重宝されそうな問題たちです。

 

京都

ネタとしては、

1 転写開始点選択とフィトクロム

2 疾患遺伝子のマッピング

3 イネの品種改良と栽培環境、受容器の情報処理と応答

4 植物の根を食べる昆虫と葉を食べる昆虫の関係性(食害応答)、生態系中のエネルギー

という感じです!各テーマごと使う知識が横断的なものになっている、所謂京大の生物といった感じの問題たち。

ネタも程よく馴染みがなく、かつ「へぇ~!」となるものを織り込んでいて素敵ですね!転写開始点選択とか、イネの品種改良とか、根食昆虫と葉食昆虫の関係とか……興味深いです!

ただ、今年はあまり凶悪なものはなくて、割と素直な気がしました。なので解けちゃいます!これは嬉しいですね。

教科書逸脱も、一箇所怪しいけれど無かったのではないか……?という気がします。過敏感反応……じゃなくてファイトアレキシンで答えればいいから、きっとだいじょうぶ……。

 

大阪

ネタは

1 プラスミド作成(制限酵素選択など)とセレクション

2 免疫とシグナル伝達

3 動物の発生過程(分化、アポトーシス、基礎知識)

4 LDH活性測定法

5 増殖因子のシグナル伝達と抗がん剤設計

といった感じ。1と3(2も?)は基本に忠実な標準問題ですが、4と5はちょっと楽しい題材ですね。全く見たことはない、という訳ではないですが……(特にLDHのやつは一回見たことあると簡単に解けちゃうんじゃないかな)

解くのはストレスなくさらさら解けます!良い問題構成だと思います。

 

神戸

ネタは

1 赤血球と酸素と呼吸

2 遺伝子の基本(発現、スプライシング、コドン、突然変異)

3 光発芽種子の基本

4 進化の総合説と血縁度(包括適応度)

という感じ!

基本的な問題が多いですね。問題も、1がちょっとムムムとなる以外は(日本語とか計算とか)、基礎基本なのでサラサラ解けるのではないかと思います。

 

慶應

ネタは

1 視覚、HubelとWieselの視覚野に関する研究

2 毒を持つ生物の進化、抗毒素抗体の作成

3 アメーバに感染する細菌類とミミウイルス

でして、いや~これは良いですね!!!

慶應は毎回ネタが良いです。歴史的変遷とか、権威ある実験とか、真新しい未知の事象とか持ってきてくれます。

古典実験が題材になると、授業でも使えてハッピー!

出題される問題自体も、聞かれることはちょっとオーバーキルなものが入ることがあるんですが、基本は良い意味で「難しい」ものが多く、ほどよく頭を使います!基礎のしっかりした理解も必要です!好きです!

特に今回のネタの中でも2と3はいいですね!1はそこそこ他大学でも過去に出題されているので。個人的には3が好きでした!

アメーバとマクロファージの関連性を考えると両方でレジオネラが増えることを解釈できる……というあたりは、おぉってなりました。

(私がミミウイルス大好きなだけというのもある)

 

 

個人的なおすすめ良問大学

今年の問題だと、まぁまずはやっぱり東大ですよね!

東大はずば抜けて今年も良かったです。

次は京都、名古屋、慶應 かな!

完全に個人的な趣味ですが。学びがあるし、面白いという意味で、これらをおすすめします!

 

出題分野の状況

各大学を解いて、国公立大学9校における今年の出題分野の傾向をざっくりですが出してみました。

割とメインを張っている出題のみに注目しています。

とはいえ個人的な価値観でラベリングをしているので(ラベル項目も自己流で立てているので)そこまで情報として価値があるとは思えないが……。

とてもよく出たもの(今回4大学以上で出たもの)

  • 性決定・生殖・受精
  • 遺伝子発現調節
  • 異化
  • 植物の光周性(長日、短日、発芽etc)
  • ホルモンと恒常性
  • 進化(そのものを問われる場合もあるが、最後の締めとして使う場合が多い)

よく出たもの(今回3大学で出たもの)

  • 遺伝(連鎖・独立・複対立)
  • 植物ホルモン
  • バイオテクノロジーPCR、泳動、制限酵素、遺伝子組み換えetcそのものに対する基本問題) ※手法としてはバリバリに使われるので無視

そこそこ出たもの(今回2大学で出たもの)

  • 発生
  • 遺伝子のマッピング
  • 酵素(グラフ、阻害剤など)
  • 植物の屈性
  • 植物の食害応答
  • ハーディ・ワインベル
  • 光-光合成曲線
  • 腎臓(濃縮率などの計算)
  • 植生・遷移・バイオーム
  • 遺伝子・ゲノム
  • 生態系

という感じ。

 

ほか 解いた感触的な話

上で出てきていないのですが、「神経」の所で学ぶイオンの移動と膜電位の変化が、神経ではない細胞において発生するものを用いた出題が多数ありました。

神経のことは知ってて当然、って感じかな……?

とはいえそれらの出題は一応現象自体を知らなくても解けるようになっているのですが。神経の所でイオンの移動と膜電位の変化の原理を知っていれば大丈夫です!

 

あとは分類と地質時代の話全然出なかったな!?ってなりました。

進化は出てたけど。なんならいい感じの締めの問題としてめちゃくちゃ使われてたけど(最近流行りですよね)。

分類と地質時代が出なかったのはなんでだろう?昨年度出したから?それとも今年の配慮?わからないですね。

 

遺伝はちゃんとやらなきゃ駄目だな~。マッピングも、授業で一回実践してもいいかもしれないな。うおー、大変だなぁ……。

 

なんにせよ、生物基礎からも生物からもちゃんと出るねという印象です。どちらもまんべんなく出ます。

ちゃんとどっちも勉強しようね!

 

東大・京大だけで見ると……?

これは完全に個人的興味なのですが、東大と京大を解いていてなんか被ってない??って印象が強かったのでどれくらい分野が被っているか見てみました。

東大・京大で被っていたのは

  • 遺伝
  • 遺伝子発現調節
  • 植物の食害応答

の所でした。

遺伝、遺伝大事だよ!遺伝やらなきゃ駄目ですわ。

あとやっぱり問題を多段階で発展してくような組み方をしようとすると、どうしても遺伝子発現調節とかシグナル伝達みたいなのは出るのかなという印象ですね。

たくさんの資料を組み合わせて考えるには都合良いからね……。

植物の食害応答が被ったのは意外でしたが、ホットトピックだったからかなぁ。

 

 

ということで、大学入試問題にずぶずぶに浸った3日間でした。

お疲れ様!!!!!!!

2021年度東京大学入試問題 生物 所感

待ちに待った東大の問題が出た!!!!!!!!!!!

早速解きました!

ここから見れる&解けますので興味有る方は是非。

東京大学 前期 | 国公立大二次試験・私立大入試 解答速報 | 大学入試解答速報 | 大学受験の予備校・塾 河合塾

 

せっかく解いたので、毎回誰に需要があるんだかよくわからないけれど所感を書きます。

 

概要

大問数は例年通り3題。

問題文の分量は例年より少なめ?な気がしました。感覚だから違うかもしれません。

ただ、前回は論述たくさんだったのに今回は総指定行数が減った気がします。例年並みに戻ったかな。

東大といえば毎年、良い題材がって、それを基に幅広い分野を横断しつつ、考察力を問うというものなんですが、

今年もまさにそんな感じの出題でした!大満足。

毎年東大凄いなぁと思うのは、その文章の読みやすさと回答のブレを作らせない誘導なんですが(答えがバチッと決まる!)、今年もその能力はいかんなく発揮されていましたね。

考察問題も昨年同様物凄く難しいものはなくって、リード文や実験状況を正しく落ち着いて読み取ることができれば答えが導ける問題で構成されていました。

 

最初にも述べたように論述指定行数が減っているため、時間に余裕をもって回答ができたのではないかと思ったり。

難易度は総合的に見て昨年度並みかやや易化、というところかな?

 

各大問ごとの所感

第1問

使う知識の分野としては、生体膜、遺伝子発現、シグナル伝達、呼吸……といったところ?

実験考察を中心とした問題です。

リード文に書いてある情報を丁寧に拾って整理できれば問題はないわけですが、複数の資料や実験が絡むので、まぁちょっと大変かもしれません。

個人的にはとてもいい塩梅な気がするが!

もはや論文読み取りに近い気がします。普段から論文読んでる人には楽なのではないか。

Ⅰ 水と生命、クマムシの乾燥ストレス耐性

水が生命活動維持に必須の存在であり、多くの陸上生物がそれを確保することを最優先課題とすることを述べた上で、

「水をほぼ完全に失っても一時的に生命活動を停止するだけで生きられる生物」としてクマムシを例に挙げる……という導入。

クマムシ!!!!!!!!!嬉しいね。テンション上がるわ。

クマムシ博士とか、昔流行ったけど今どうなってるんだろうなぁ。

 

さて、問題では、乾燥ストレス耐性の耐性度合いが異なるクマムシに関し、遺伝子発現との関連性を見ながら実験が行われます。転写阻害剤で処理したり~翻訳阻害剤で処理したり~……。

Aでは、水が生体膜安定化に果たす役割の説明を求められます。これってすごく基礎的な内容だけど、色んなことの意義を考えてみたり、なぜ?を普段から感じたりしながら生物の授業受けてないと、あんまり考えないだろうな。

教科書でもキャンベル生物学でも、「生物は化学物質だ!水が大事だ!」から入り、生物を組成する化学物質から理解する所を求めてくる訳ですが

そういう化学的視点というか、生物の素材を知った上での論理展開ができるのは大事だなぁと思ったり……。

Cは少々捻った実験解釈問題。乾燥耐性に関係ありそうな3つの遺伝子について、転写阻害剤と翻訳阻害剤暴露後乾燥を経験させ、それでmRNA量を見るという。

このグラフから、ストレス情報伝達経路の初期遺伝子がどれかを見極めるんですね。

シグナル伝達経路と転写調節の多段階的な繋がりのイメージを構築できないと答えられないなぁという印象でした。

簡単だけど、試験会場で焦ってたら「どゆこと!?」ってなりそう。良問。論文ですよ。真面目に。

Dは比較的単純なグラフ予想。「遺伝子がある」ことと「遺伝子が発現している」ことが別物だと分かっているかが問われている感じですかね。

Eは各薬剤がどのシグナル伝達段階を阻害する可能性があるかを結果から考えるもの。Cが理解できていればこれは答えられます。過不足なく答えられる正確さが肝ですわ。

特にEは、色んな議論をするときに大雑把な人だと難しそう。グループディスカッションとかやっても、雑に「ここらへんに効いてそう」で終わらせる人っているんだよな。

でも実際はそうじゃなくて、資料から厳密に「ここからここまでの間で効いてそう、これより後だと○○という結果になるはず……」って深く考えるのが大事なんだよ。


Ⅱ 線虫の乾燥耐性

線虫のトレハロース蓄積の話は自分が大学生の時には既に聞いた気がするな~と思って軽く調べてみると、2010年代までには分かってたことっぽいですね。

今回の問題では、線虫の乾燥耐性にはトレハロース蓄積が関わること、

トレハロースを作る基になる物質は呼吸経路の中で作られることが述べられています。

加えて、糖新生の話にも少々触れ、異化経路が逆方向に進められることを提示するなどしています。

このリード文に含まれる、乾燥耐性とトレハロース合成と呼吸と糖新生が全て最終的に問題で繋がってくるから、めちゃくちゃ良い!!!!!!アトラクションみたいな興奮があります。

さて、このあと耐性が低い変異体について実験を提示していくわけですが。ここで乾燥耐性が駄目な二種類の線虫株を用意し、さらに二重変異体の結果まで出してくるんですね。

結局問題を解くにはこの二重変異体の結果まで含めて細かく吟味しないといけなくなります。丁寧な検証作業が要されます。

いやぁ、でもね、本当にそれ大事な能力だから……!!!!!東大はいい問題作るなぁ……。


第2問

使う知識は、植物の環境応答(屈性、食害)、植物ホルモン、細胞膜の性質、チャネル……あたりかな?

こちらも実験考察を中心とした問題です。

またリード文の丁寧な読み込みと、たくさんのの実験データを整理・関連づける必要があります。

特に今回のグラフは、「屈曲角」の定義といった前提条件の把握が必要になるので、一筋縄ではいかないかも。

縦軸なんだこれ、と調べながらやるのって、もはや論文……。

Ⅰ 屈性とオーキシンオーキシンの酸成長説

Ⅰでは屈性やらオーキシンやら酸成長説やらが丁寧に説明されています。酸成長説の歴史的変遷とか、知ってるけど東大で説明されるとは。

この問題ではBがなかなか試される感じでした。問題としては、実験と結果の情報を見て、(1)~(5)の各記述に対し支持されるか否定されるかを答え、否定の場合根拠となる結果を提示しなさいよ~っていうやつなんですけど。

……なんと、(1)~(4)まで×が続くんですよ!怖くないですか?何を試されているんだ??

自分の思考に自信がないと正しく回答できないね。当てずっぽうな人や、やはり雑な人を削ぎ落としたいのだろうか。

Cは、IAAの極性輸送でなぜ排出輸送体の制御だけが重要になるのかを考えて説明せよという問題なのですが、これね、目からウロコでした!

与えられた情報から論理的に導けるんですけど、自分で導いて自分でなるほどね!って感動しました。勉強になるなぁ。

 

Ⅱ 植物の食害応答とカルシウムイオン

食害応答について述べ、食害応答をはじめ様々な入力に対しシグナル分子として機能するカルシウムイオンについて実験を行うというものです。

カルシウムのウェーブみたいなやつ、Twitterで動画が上がってたよね。去年かな?と思ったら、もはや3年前でした。年……

ちなみに動画はこういういやつな。

www.youtube.com

www.youtube.com

この問題自体も一応実験解釈問題なんですが、個人的には色んな事例とか知識を結びつけて考えれる面白い題材だな~と思いました。

例えば「細胞小器官にカルシウムイオンチャネルがあって、それを阻害すると風刺激時に細胞内カルシウムイオン濃度が上がらなくなりますよ」って伝えられます。これどういう仕組みでカルシウムイオン濃度上がってるの?って聞かれるんですが、ぱっと思いつく類似現象って多分「筋小胞体」なんですよね。

筋収縮のとき、細胞質基質のカルシウムイオン濃度を上げるのは、筋小胞体に蓄えられているカルシウムイオンが、小胞体膜上のチャネルが開くことで生じるじゃないですか。

それを連想すれば「じゃあ植物もそんな感じじゃね?」となるかな……と。

もともと全ての仕組みを知っていることも大事なのかもしれませんが、ある現象から「仕組み」「仕掛け」として何か特徴を抽出してきて、

他のことを考える時にそれを適用できるのって、大事ですよね。

……そういえばグルタミン酸の話は出なかったな。植物と神経を絡めるように発展しそうだったのにな……。


第3問

使う知識は性決定、発生、ホルモン、生態系、遺伝、脳のあたり。

性決定を題材にしながら、様々な視点で問いが立てられている楽しい問題です!*1

ただの知識暗記ゲーではなく、論理的思考力を要される問題になっています。

でもね、とにかく誘導がジェントルだから。そのまま引っ張ってって貰えれば答えれちゃうから。東大のエスコート力は半端ないぜ。

Ⅰ 脊椎動物の性決定

「皆、生物はオスかメスかの二者択一みたいに思ってるけど、本当はそんなことないよ?脊椎動物には様々な性決定や表現型が発生するんだよ?」というリード文。

この中身が単純にまず面白いですね。

色んな例を挙げてくれるんですが、それがどれも嫌味なく、しかも問題を解くのに過不足もなく、

読みやすく、わかりやすく、感動と驚きがある!

東大の文章力、凄いですよねぇ。大抵こういう例示どんどん挙げていく系って、後で「ほぼ無駄じゃん」みたいに思われるんですが。それを感じさせないんですね。

ちなみに性を取り上げるだろうことはなんとなく予想していました。ここ最近ずっと話題だからね。

Aでは雌雄モザイクのキンカチョウの発生原因を考察します。

私の頭の中では完全にミツバチの雌雄モザイクの話を思い浮かべながらやってました。ミツバチって、オス×オスでできた子とかおるんやで。

Bは、雌雄モザイクという存在によって、「全身の性は性ホルモンで規定される」という考えが疑問視される理由を論述します。いや~、いいですね!

Cは、外見メスで精子を作るオス個体が、繁殖戦略上どんな利点があるかを考えます。

つまり……女装するけれど男性生殖器を持ち女性を生殖対象とする生物?

そういう形態に利点があるのかなんて今まで考えたことなかったんですが、この問題で考えるきっかけになりました。そうか、オス同士の闘いに巻き込まれずに配偶者を獲得できるんだね!面白いですね。

Dは雌雄同体生物であるマングローブキリフィッシュを用いた遺伝の問題。ただの一遺伝子の問題なので簡単ですが、題材は楽しい。

ちなみにマングローブキリフィッシュは今年名大も出していました。大人気!

i-my-mine.hatenablog.com

 

EとFでは、制度と性決定のリンクを鮮やかに見せる問題になっています。

  • 一夫多妻ハレムの場合、大きい個体がオスに性転換する例がある
  • 一夫一妻の場合、大きい個体がメスに性転換する例がある

これらはそれぞれ利点があるのですが、制度によって性決定の方向性が全く変わるのは面白いですよね。

 

Ⅱ ヒトの男性脳と女性脳

「ヒトの性が二者択一で捉えられがちで、脳機能についても男性脳と女性脳と言われるけど、実際はどうかちゃんと考えたことある?」という、世間に疑問を投げかけるような問題でした。

中身自体はロジックパズルなんですが、大変おもしろく、また考えさせられる題材でした。

何より自分としては、男性脳女性脳のいわゆる俗な話題がまさか「生物の大学入試問題」という非常に高尚なものに昇華できると思っていなかった面があり……

「こんな風に問題にできちゃうんだ!!しかも凄くちゃんとしてるし、サイエンスの立ち位置から吟味できてるし、凄い……」という感動がありました。

こういうナイーブだったり揺れ続ける話題だったりを、例年東京大学は割と取り上げて平気で素晴らしい問題に昇華してしまうわけですが。

もうさすがだなぁとしか言いようがありません。凄いっす。

 

総評

題材も調理も最高に素晴らしい、まさに東京大学の問題といった感じの問題でした!

私は大満足です。今年もこんな良問に出会えてよかった。

やはり生物の問題の面白さは、一つは題材、もう一つは調理なわけで、

どれだけ面白い題材を持ってきても、問題がショボいとあまり盛り上がりませんし

良い問題を作ってみても、題材が並だとそこまで興奮できません。

しかし東大はそのどちらも完璧なので、もう大変興奮します。解いていて常に楽しいです!

加えて、丁寧さですね。作りがとても丁寧で、文章が「読める」、問題がすんなり「解ける」。これって凄いことですよ。

大抵の大学入試問題では、「何語を喋ってるんだ?日本語変じゃない?」ってひっかかったり……

向こうの聞きたいことが伝わってこなかったり……

「これ答え一意に決まらなくない?」ってもやっとした気持ちになったり……

そういうストレス源が絶対あるんですが。

東大はこれがないんですね。一切ないんです。

教科書準拠で、逸脱した知識問題とかもないんです!これも凄いです。大抵の大学は、難易度上げるよ~ってなると大抵逸脱してくるからな。愚かなり。

  • 教科書に載っている基礎知識を理解するとともに確実に身に着け、それを用いて丁寧な論理的思考を展開できる。
  • 複数の資料や情報を取りまとめ、整理・解釈する力がある。

そういう力を持っていれば東大の問題は解けちゃう!素晴らしい!

やはり東大は神です。

そして問題解くの純粋に楽しすぎる。毎月出してほしい。タダで味わえるアドベンチャーみたいで最高ですよ。

 

 

真面目に、一度でいいから東大の作問会議に立ち会ってみたいですね。

または作問してる人の作問中の頭の中を覗かせて頂きたい。

一体どういうブレインでどういう思考回路をしてどういう会議をしたらこんな良問ができてくるんだろう……と不思議でなりません。

私の中には美学があっても、それを実現できる作問力がないので……

生きている間に一回でいいから、東大の問題作りを側で取材とか勉強とかしたいなぁ……

*1:Twitterつながりの方から、「新学術領域じゃない?」とご指摘を頂き、確認したところ、それだー!ってなりました!!

新学術領域研究「性スペクトラム」トップ

もしかして過去の問題も新学術領域から出されているのかな……?