あいまいまいんの生物学

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教員をしばらくおやすみします

だいぶバタバタとしていて、しばらくブログを更新できていませんでした。無念!

ちゃんと続けていきたいですね。

 

 

さて、今回のブログで伝えたいことはタイトル通りです。

一部の方々には既にお伝えしていましたが、2021年4月1日から私は休業に入ることになりました。

教員という身分は変わらないのですが、しばらく授業も業務もしないことになります。

 

休業に入る理由は、夫が今シンガポールにいるからです。

私もシンガポールに行って、一緒に人生を過ごしたいので、配偶者同行休業という制度を活用することを決めました。4月からはその休業に入ります。

実は2020年12月の時点で夫はシンガポールに旅立っていて、かれこれ3ヶ月離れて生活してるんですよね。

共通テストや二次試験のための特別時間割をこなしつつ、片道1時間半かけて職場と家を往復し、二人分の広さの家で家事をすべて一人でこなすのは、中々に大変でした。

なんとか生徒が卒業するまでやってこれてよかったです。

 

そもそも海外に行くかも?みたいな話と、それに伴うあれやこれやは2年前から始まっていて、水面下で色々頑張っていました。

今回の休業に至るまでも、表には出していませんでしたがかなり色んなことがあって、現在進行形でぐわんぐわんに揺らされている状況だったりします。

おいおいその話もブログで公開していきたいなと思っていますが……。

休業の決断や調整に関しても、職場や周囲の方々の協力無くては成立しませんでした。多くの方々にご迷惑をおかけしました。助けて頂いて感謝しかありません。

 

 

ということで、4月から私はおやすみです。

本業も兼業も全ておやすみに入らなければならなくなったので、私の手元にはなーんにも残っていません。

何をしていこうかな、という感じです。

あまりにも長い間教職から離れると、色んな感覚が鈍るのではないかという不安も沢山あります。

休業中勿論勉強はするわけですが……そうだとしても、現場で教えたり作問したりするのとはやはり積めるものが違うので。

休業しているときにしかできないことも沢山やりたい!と思っているのですが、一人で先が見えない中生活していて塞ぎ込んでいかないかなとかちょっと心配だったりします。

色んな人から「暇になっていいね」なんて言われたりしますが、実際はそんな事微塵も感じないです。生徒と接してられる授業や質問対応の時間が、私は好きだから……。

そういうのが失われた先に、自分が維持できるのかなってちょっと思います。

シンガポール行くのも、楽しみだけど不安も沢山という感じです。

大好きな夫と過ごす時間を、この有限の人生の時間の中で目一杯増やしたいので、迷いなく行くんですけど。だとしても、文化とか、言語とか、心配なことは沢山です。

しかもなにより問題なのが、VISAが出ないんですよね!!!!!!!!!!

現段階でVISA出ないんですよ。渡航許可が降りないです。なので休業に入るのに行けないんですね。これが一番きっついです。

誰かシンガポール入れてくれ……と毎日祈っています(無情にも増えるコロナ感染者数……

そんなわけで割と心はぐらぐらです笑

まぁこういう弱音もおいおい吐いていきます。

 

 

自分の感覚を鈍らせないためにも、また、生き続ける目標を立てるためにも、ブログやふじバイオ執筆は維持していこうと思っています。頑張って書いていくので、優しく見守って頂けると幸いです。

 

 

あと3日職場に行ったらしばらくは学び舎ともお別れです。沢山の卒業生が会いに来て、話に来てくれて本当に嬉しかったです!この場を借りて感謝を申し上げます。ありがとう。

 

 

ということで、報告でした!

遺伝子のマッピングを解説してみる

今年の名大と京大では、「遺伝子のマッピング」に関する問題が出題されました。

具体的には、

名大生物 Ⅳ 設問(3)

京大生物 Ⅱ 問5

がこれに該当します。

 

遺伝子のマッピングは、一応授業で解説されるような基本事項さえ知っていればできるものではあるんですが、多分一度解いてみないとあまり実感がわかないというか

そもそも表がかなり怖そうで怯んでしまうというか

そういう面がかなりあるのかなと思いまして。

今回の記事では、遺伝子のマッピングというのが一体どんなもので、

どういう風に考えればできるのかな、というのを、噛み砕いて紹介できたらなと思います。

かなり我流なので、間違っている点があるかもしれません。そういう場合はコメント等でご指摘頂けると幸いです。

 

 

今回理解できそうな単語

遺伝子のマッピング(gene mapping)

マーカー遺伝子

 

事前にあってほしい知識(キーワード)

遺伝子、染色体、遺伝子座、配偶子形成、減数分裂、連鎖・独立、表現型、乗換え、組換え

 

 

遺伝子のマッピングとは?

特定の遺伝子について、どの染色体の、どの位置にあるのかを決める行為です。

つまりは、遺伝子の「所在地」を知る行為ですね。

例えばヒトなら、染色体が24種類ありますね。第一染色体~第22染色体、X染色体、Y染色体ですが、それらは全て違う情報を運ぶ、異なる配列のDNAたちです。

ここで、「血液型を決める遺伝子はどこにあるんだろう」となると、先ほど挙げた24種類の染色体のどれかに必ず乗っているわけです。しかしそれはどこか分からない。

加えて、どの染色体に乗っているかが分かったとしても、その染色体中のどのあたりに血液型を決める遺伝子が存在するかは分からない。

そんなわけで、遺伝子の所在が分からなくて知りたいなという需要が出たら、マッピングをする必要があるわけです。

 

マッピングをしたくなる場面の例を出してみます。

例えばこういう時…

・マウスは白毛と黒毛のものがいる。

→「毛の色を決める遺伝子はどこにあるんだろう?」と疑問に思った。

マッピング

 

・ある変異体を得る

→「変異体の変な挙動の原因となる遺伝子はどこにあるんだろう?(=どの遺伝子がおかしくなっているんだろう?)」と疑問に思った。

マッピング

 

って感じです。雑な例ですが……。

要するに、遺伝子のマッピングは研究をしている時でもよく使う、大事な手法なんですね。

今回紹介したいと思っているのは、

「どの染色体上に目的の遺伝子があるかは分かってる」

「けどどの位置にあるのか分からない」

という時、交配を通してマーカー遺伝子というものを基準にマッピングする手法です。

大前提として、「乗換えは一度の配偶子形成で最大一箇所にしか発生せず、多重乗換えは生じない」とします。まぁこれはそういうもんかと思っておいて。

 

 

ちなみに、こういうことを言うと、

「それって全ゲノムシーケンシングして、塩基配列だして、違う形質のやつの配列を比べた時に、異なる配列になっている部位を特定すればいいんじゃないの?」

という疑問を持つ人もいるかもしれません。

それは勿論手法の一つではあるのですが、普通にお金がかかるし時間がかかるし無駄が多いです。

あと、もし複数の違う箇所が見つかった時、どれが求めている違いなのかを特定する行為をどうせその後しなきゃなりません。

だったら最初から雑なアタリをつけておいて、その近辺の遺伝子だけPCRかけてシーケンシングして、配列読んでやっぱり違う箇所あるねって特定していった方がいいのではないでしょうか!(いや、色々技術が進展したら、今から紹介するような古典的なマッピング手法なんて淘汰されるのかもしれないな……)

(でもテクいことを知ってることはどこかで役にきっと立つと思うんだよ、うん)

 

 

もしあなたが勇者なら

では早速、遺伝子のマッピングについて紹介していこうと思うのですが。

まずは考え方を知ってもらうのがいいのかなと思います。

そこで、こういう状況を考えてもらいます。いいですか?考えてみてくださいね?

 

……

あなたは勇者です!

目の前に、縦にひょろ長い棒状の敵が出現しました。

敵はひょろ長い棒状の胴体のどこかに、一点「コア」を持っています。

このコアを壊さないと、敵は死なないので、あなたはコアの位置を特定する必要があります。

ちなみにこの敵は、コアが残っている場合、ちぎられても再生します。コアが残っている方から再生をして、完全な状態に戻ってしまいます。コアがない側のちぎられた破片はなくなります。

再生は一瞬で行われるので、ちぎる攻撃は毎回完全長の敵に対して行われることになります。コアの位置は固定です。また、敵は常に縦に立っているので、上と下が分かりやすくなっています。

取り敢えずこの敵は反撃してこないとして、好き勝手に敵を弄って、効率的にコアを探して倒してください。

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……

 

なんの話だよ、と思うかもしれませんが、これがマッピングに活きる考え方なので真面目に考えてくださいね!

皆さんはどんな回答を出したでしょうか。

私の場合、「どんどんちぎってみて、どっちの破片から再生するかを見てみる」という手法をとります。

本当は二分探索的なものをしたいですね。なのでまずは真ん中でちぎります。ちぎると上の破片から再生したとしましょう。そうしたら、「コアは上側にあるな」ってわかります。

次に上から1/4の所でちぎります。下側から再生したら、「コアはこの敵の上から1/4~1/2の間にある」と分かります。次はこの狙ったパーツの半分の所でちぎればいいですね。そうやって「ちぎる」行為を繰り返し、ちぎってもちぎってもコアと連動して動くように見える部位を見出せれば、コアの位置は特定できるのです。

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では、もうちょっと難易度を上げます。

敵の上下が分からない としたらどうしましょう?

つまり、先ほどまでは縦に立っていてくれましたが、再生するたびに横になったり、反転したり、向きが不明瞭になっちゃうんです。

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あなたならどういう工夫をしますか?

 

答えは、「マーカー」をつければいいんですね!

まず敵の身体に、4か所くらいマーキングをしましょう。4つの印は全て違う色にします。すると、敵がくるくる違う向きを向いても、同じ位置がどこだったのか追えますよね。

で、やることは同じく「ちぎる」を繰り返す行為なのですが……

例えばマーカーが赤・青・黄・緑という風に、端から等間隔に塗ってあるとしましょう。

真ん中でちぎって、赤・青がある側から再生すれば、赤・青が塗ってある側にコアがあると分かります。

次に赤と青の真ん中でちぎります。青がある側から再生します。青近辺にコアがあることが分かります。

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これ、俯瞰すると、毎回青とコアが一緒に動いていくように見えるわけですよね。ここがポイントです。

ただし、切る試行が沢山あると青とコアの挙動が分かれることも勿論あります(下図)。

 

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が、一応コアに近いマーカーはよく挙動が一致し、遠いマーカーは別挙動が目立ちますね。

こういう情報から、コアの場所を絞っていけるわけです。

 

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さて、そろそろ気づかれていると思うんですが、この細長い敵が染色体のつもりなんですね。

コアは目的遺伝子です。

つまり、「細長い敵のコアの位置を知る行為」≒「染色体上の遺伝子の位置を知る行為」なんですよ!

まとめると、染色体上の遺伝子の位置を知るには、

  1. まず染色体上に目印であるマーカーをつける(マーカー遺伝子を決めることで可能となる)
  2. 染色体をちぎる行為をくり返し、どのマーカー遺伝子と目的遺伝子がよく一緒に動くのかを見る

ということでできそうだということになります!

 

じゃあ、「染色体をちぎる」ってなんだ?どうやるんだ……?

……そう、「乗換え」ですね!!!!!!!!

配偶子形成の際、減数分裂第一分裂で生じる「乗換え」では、一本の染色体=敵だったものがちぎれるイベントが生じる可能性があります。

ということは、目的遺伝子の位置を知るには、目的遺伝子と、その遺伝子が乗ってるはずの染色体上にあるマーカー遺伝子を把握した上で、

そのすべてが乗っている染色体を持つ個体に、配偶子形成をバンバンさせて、乗換えをおこさせればいいわけです!

その結果、どのマーカー遺伝子と目的遺伝子がよく一緒に動いているかを見つけられれば、遺伝子の位置が特定できるわけですね!

 

 

今回の名大の問題を参考にしながら実際のマッピングをやってみよう

上で十分理論の基礎については説明をしてきたと思うので、実践例を見ながら遺伝子のマッピング行為を確認していこうと思います。

今回は、名大の問題でも出てきたマングローブキリフィッシュを例に出します。

マングローブキリフィッシュは、メダカに近縁な生物なのですが、

発達した卵巣内に精巣をもち、体内で卵と精子を作って自家受精するというちょっと特殊な脊椎動物です。こういうのを雌雄同体生物といいます。

名大の問題では、以下の設定が与えられていました。

  • マングローブキリフィッシュにはP系統とQ系統という、互いに塩基配列が微妙に異なる系統が存在する(同じ遺伝子座に違う対立遺伝子を持っている)。
  • A~Dの遺伝子が連鎖する染色体上に体色を決定する遺伝子があるらしい。
  • P系統は茶色、Q系統はグレーで、茶色がグレーに対し優性である(茶色が顕性である)。
  • 体色遺伝子をマッピングしてほしい!

ちなみに、P系統とQ系統は純系のはずなので、茶色にする遺伝子を「茶」、グレーにする遺伝子を「グ」とすると、P系統の遺伝子型は「茶茶」、Q系統の遺伝子型は「ググ」ですね。

A~Dの遺伝子についても、PタイプとQタイプがあると説明されていますから、この染色体に着目すると

P系統ではAP, BP, CP. DP. 茶 が連鎖

Q系統ではAQ, BQ, CQ, DQ, グ が連鎖していることになります。

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ここで、例えば体色遺伝子がCD間の、D寄りの位置にあったとしましょう。

つまり、P系統ではCP-DP間のDP寄りに茶が

Q系統ではCQ-DQ間のDQ寄りにグが存在するわけ。

 

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先ほど、敵の例でも挙げたように、この遺伝子の位置を知るには「ちぎる」=「乗換えを起こさせる」しかないわけですが、

例えばP系統が自分の配偶子を作ったとして、その配偶子の様子から乗換えが起こったか否かが見えるか、というと、答えは……

見えません!

だって乗換えしても、一本の染色体内で AP, BP, CP, DPと茶 というセットになることは変わらないんだもの。

てことは、乗換えが起こったことを可視化するためには、相同染色体が二種類の異なる染色体で構成されているもので配偶子形成をさせなきゃだめだ。

なのでP系統とQ系統の交雑体を最初に作ります。

 

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さて、交雑体であるF1さんが作る配偶子の種類と、それが持つ染色体の様子を考えてみましょう。

乗換えが生じない場合は、マッピングにおいて参考になりません。まず、乗換えが生じない場合に出てくる配偶子の染色体構成を考えましょう。

 

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まぁ、こうなるわな。

一応、AとDの外側で乗換えが生じても、この配偶子が出るから、AP,BP,CP,DP,茶 が出たからといって「乗換えが絶対起こってない」とはいえないんだけどね。

もし、AP,BP,CP,DPという風にマーカー遺伝子は全部元の組合せで揃っているのに、「グ」を持つ配偶子なんかが出たら、それはA~Dのマーカー遺伝子より外に体色遺伝子があるという議論になってくるわけですが。

今回はC-D間にあるからマーカー遺伝子より外側で乗換えが生じても AP,BP,CP,DP,茶 および AQ,BQ,CQ,DQ,グの組合せは変わんないです。

 

次に、マーカー遺伝子A~Dの間で乗換えが発生する場合、つまり敵をちぎる場合を想定してみましょう。

ちぎりはどう検出できるのか?勿論、配偶子内で、A~Dについて、PとQがごちゃ混ぜになってたらこれはあからさまに「ちぎり」が発生しています!

とはいえ言葉で言っても分かりにくいので、具体例を出してみます。

乗換えは、染色体上のどの位置でも同確率で生じるはずなので、取り敢えず三か所それぞれで乗換えが起こった結果を考えてみます。

 

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一番上の矢印で示したA-B間で乗換えが生じると、出来る配偶子は表のようになります。AQ, BP, CP, DP, 茶 と AP, BQ, CQ, DQ, グ というのが新規に出現した配偶子です。これは、先の敵の例でいうなら、Aという一番上のマーカーをぶちっとちぎりとったら、残りの部分にコアがあった、というのと同じことですね。

 

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次はB-C間で乗換えさせるよ。

AQ, BQ, CP, DP, 茶 と AP, BP, CQ, DQ, グ が新規に出現した配偶子たちです。これが乗換えが起こったやつですね。

AとBに関わらずCやDと体色遺伝子が一緒にいるので、A-B間には体色遺伝子がないと分かりますね。

 

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最後にC-D間で乗り換えたら?

AQ, BQ, CQ, DP, 茶 と AP, BP, CP, DQ, グ が乗換えたやつ。

ここから、A-C間には体色遺伝子はないねってなるわけです。 

Dと体色遺伝子の挙動がよく一致してるね。

 

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一応俯瞰できるように今までの全パターンの配偶子例をまとめてみましたよ。

薄いだいだい色の網掛けした配偶子が乗換えがマーカー遺伝子A~Dの間で起こったやつです。

濃い黄色は茶・Pとグ・Qが一緒に動いているゾーンを提示しているつもり。

Dが一緒に動く感、分かりますか?所謂完全連鎖みたいなもんだよな。

 

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なるほど!配偶子のマーカー遺伝子がどっちなのかと目的遺伝子がどっちなのかが見えればいいのね!

ってなってきたと思うんですが、

じゃあ実際配偶子の遺伝子型なんて簡単に見えますか?というと、まぁそうはいかないですね。

基本見やすいのは子の表現型ですから、子を作らせて、その結果から配偶子の様子を見れればよい。

普通はここは検定交雑を使っていきたいところですが、自家受精するタイプの生物はこれが難しい。コマッタナ

面倒くさそうだなぁと思うかもしれませんが、F1自家受精でも普通にマッピングは可能です。さっきのF1を取り敢えず自家受精させてみると、多分こんな奴らが出てきます(下図)。ちなみに、マーカー遺伝子の遺伝子型は、何故か分かるという体で行きます。*1

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いや、難しいやん!どう見ればいいか分かんないよ!とか思うかもしれませんが、落ち着いて考えましょう。

まず、今までの議論を振り返ると、乗換えがA~D間で起こってない配偶子は、AP, BP, CP, DP, 茶 または AQ, BQ, CQ, DQ, グ なわけでした。

ということは、体色の遺伝子型が分かれば、ある個体を構成する染色体で乗換えが生じていたかどうかは見えそうです。

なので、体色の遺伝子型をまずは書き足してみます。

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次に、「乗換えを起こした配偶子でできた子供」を見つけてみます。

そんなのわかんないじゃん、と思うかもしれませんが、上でも何度も述べたように

AP, BP, CP, DP, 茶 と AQ, BQ, CQ, DQ, グ がもともと連鎖してるんです。

なので、子にその配偶子がありそうならそれを削っちゃえばいいんです。

まず子供をもとになった配偶子(誰と誰が受精したのか)に分解するじゃろ?

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A~Dについては比較的簡単にいけますが、体色の遺伝子については注意が必要です。一応、A~Dよりも外側に体色遺伝子がある可能性も考えながら普通は表を見るのでね。

なのでPPPPだったら茶、QQQQだったらグ とは安直に言えないわけです。

 

絶対確定できる!ってところから決め打ちします。例えば「ググ」の場合は確定が可能ですよね!

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そんなわけで③④⑨⑩⑬⑭が確定したから引っこ抜いてみよう。見にくいからね。

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④を見ると、QはDのみで、他はPのタイプになっています。もしA-C間に体色遺伝子があったら、こうはなりません。C~Dの末端のどこかにいそう。
⑭ではC, DがQの型でA, BはPの型です。やはりA-B間には体色遺伝子がないよというのが推されていますね。

⑳では、Dの所がPになっているのに体色遺伝子がグになっています。ということは、Dより外側には体色遺伝子はないということになる。

これらの推論から、C-D間にあるのではないか、という予測を立てることができます。

 

てことは、もうPPPPときたら茶、QQQQときたらグ としていいよね。

C-D間にあるという仮説に則って本当に全ての個体が生じることが説明つくかな?と試してみる。

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つきそう。

茶だったらP、グだったらQの領域を配偶子内で塗ってみたよ。

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C-D間っぽいね!

CとDめっちゃ挙動一致してるやん、の気持ち。

 

ということで、なんとなく遺伝子のマッピング、伝わりましたかね?

 

 

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*1:雑な説明ですが、本来はPCRをかけて電気泳動した結果でP型かQ型か見分けられたり、表現型で判断できたり、そういうことができる遺伝子をマーカー遺伝子とするんですね。なので『分かる』ということで。

私と夫のあれこれ③

前回:

i-my-mine.hatenablog.com

 

前回のachivement:

Oさんは告白して恋人になったと思い、私は告白に気付かずごはん友達としての自覚を強めた 

 

はい。書いてても意味分かんないなこれ。

では早速続きを書いていきましょう。

 

もやもやし始めた2ヶ月間

Oさんに「ご飯行きたいので付き合ってください!」と言われ、やったー!まだご飯行けるんだなー!ってなった私。

宣言通り、件の電話の後も何度かご飯に誘われ、美味しいご飯を食べ、楽しくお喋りし、そして帰る という非常に健全なご飯会がしばらく続きました。

 

これが2ヶ月続きました。

 

……え?普通すれ違いに気付かない??と思われるかもしれませんが、残念ながらお互い気付きませんでした。

だって、Oさんなんにも恋人っぽい言動とか行動とかないし!

普通恋人になったら、「好きだよ」とか言いそうですよね?一回も聞いてないですよ。

ハグとかキスとかありそうですよね?ないんですよ!!なんて健全なんだ。

 

ただですね、ちょっと変だなぁと思うことは幾つかあったんです。

例えば、Oさんがちょいちょい変な言動をすること。早く会いたい、とか。待ち遠しい、とか。

そんなにお喋りを楽しみにしてくれてるんだ!って嬉しくなっちゃうよね。純粋に喜んでたわ。

他だと、今までになかった「手を握る」「頭を一瞬撫でる(褒めるとき)」「軽く小突く(つっこみのとき)」がOさんから極稀に、本当に極稀に発生したこととか。

……こっちはさすがとなんだ??って警戒しました。

だって付き合ってないのに手握るなんてチャラくないですか!?

私が好きなのか?好きだから恋愛感情を持ってタッチしているのか?

それとも、もしかして、親密度が上がってきたからズッ友的なノリでタッチしているのか?Oさんは男子校だったし、女性の友人との距離感が分からないタイプなのか……?

それともそれとも、見た目に反して本当はチャラチャラ系で、女をその気にさせては「そういう気なかったんだけどw」みたいな感じでバッサバッサと切っていくタイプなのか!?Oさんは「今まで付き合った人がいない」みたいなことを言っていた気がしたけれど、それは嘘なのか!?

……と、こんな具合に自分の中で、

Oさんは何を考えてんだ????

という気持ちがぐるぐるもやもやし始めました。

上に挙げた3つの仮説を検証したくても、そうそうできるものじゃないし、言動や行動といった証拠でもはっきりしないし……

本当に、この人は何を考えているんだろう?ともやもやを感じていました(※Oさんは恋人同士だと思っています)。

 

 

もやもやしたのは、Oさんの行動の不可解さも勿論あるのですが、自分の好意にも一因がありました。

一応、自分もこの頃にはOさんに惹かれつつあったんですね。

だってこんなに沢山楽しい話ができて、楽しいと思うポイントが被ってて、会う度に幸福感と学びがあるんだもの……。

Oさんが自分の人生にとってかけがえのない存在になってきていて、これは多分、自分はOさんのことが好きなんだろうなともぼんやり思っていました。

だから余計に「チャラい」行為が出てくると戸惑うわけです!

「チャラい」行為=好きなら両想いなわけで喜んでいいけれども、

「チャラい」行為=遊びなんだとしたらこれはもうあれですよ、本気で好きになっちゃったら私が負けなんですよ。最後泣くのは私なわけ。

もやもやの中何度もOさんの各仮説について思考を巡らせるわけですが、

「え~!手握っただけで好きだと思われちゃったの?困ったなぁ、もう会うのやめようね笑」みたいにばっさり切られる想像も浮かび……

つら!!!!!!!!!!!そんなの耐えられんわ!

 

そんなわけで、どうしようかなぁと非常に悩みました。

そもそも自分に「好かれる自信」がないので余計、「自分が思い上がってるだけでは?」と思ってしまうんですね。

割と真剣に悩んでました(何人かの友人にも相談したくらい)。

 

 

何度も、何度も、何度も考え、シミュレーションし、また考え……

これを繰り返して、結局出した結論は、

「もう当たって砕けろでいいから直接本人にどういうつもりか聞いてみよう!!!!(=告白しちゃおう!)」

でした。いやそりゃそうだろ。

自分でもやもやしてても答えなんて出ないわこれ!と一周回って思ったんですね。

うじうじ悩んでるだけ馬鹿らしい。時間食うし。

何より、好きっぽいんだったらさっさと告白して、成就したら人生はっぴーな時間が長くなる!

告白して振られたら、さっさと恋人としては見限って次の良い出会いを探せばいいわけだから、自分の人生にはプラスだろ!

もし告白渋ってダラダラ関係続けてる間に、「彼女できたんでw」って切られても辛いし。

告白するのが一番ハッピーでは!?

考えるのが面倒くさくなったとも言う。

 

そう思い立った所に、大変良いタイミングで「一緒にお出かけしましょう」のお誘いが来たんですね!

なので、その提案を受け、お出かけの最後に告白すなわち確認をしよう、という風に決心しました。

お出かけ先は温泉(勿論男女別)と美味しいごはんがある施設で、私もOさんも温泉が好きなので、温泉入ってから美味しいごはん食べましょうということになりました。

いよいよ決戦だぜ!!!!!!!!!

(※Oさんは恋人同士だと思っています。)

 

運命の日、襲来!

お出かけ当日、Oさんの車で駅までお迎えにきて頂き、Oさんの運転でその施設まで連れてって貰いました。

Oさんの運転は丁寧なのと、車種が好きだったのでうきうきるんるんだったのですが、反面ぐるぐるもやもやも発生していました。

……もし、夜の確認(告白)で全てが壊れてしまったら、この楽しい会話も最後になってしまうよなぁ。

ご飯もなくなっちゃうんだな。

Oさんとの時間を失うのは、嫌だなぁ……

などなど。

告白しなければまだ続けられるのではないか、と、ちょっと決心が鈍りそうになりつつも、

やはり気になるので、もう聞くしか無い!と思い直しました。

同時に、この日を最後にしてもいいように、目一杯楽しもう!と思いました。

 

そんなわけで、めっちゃ温泉をエンジョイし、

ご飯が美味しいことで狂喜乱舞し、

面白い話を目一杯し。

「なんかやっているらしいので、これは俗な提案ですがイルミネーションでもこのまま見に行きませんか」と言われ、行きましょう!と受け入れ、

何故かめっちゃ綺麗なイルミネーションを一緒に見に行きました。

 

今思い返すとちょっと面白いのはですね、

そのイルミネーション会場で、「恋人同士で撮るスポット」みたいなのがあって(ハート型のイルミネーション?)。

Oさんが「あれ行きましょう!」と手を引っ張って言うので、びっくりして全力拒否しました。

だって付き合ってないじゃん!!!ってなったんですね(※Oさんは付き合ってると思っています)。

……今思うとあれはすれ違いの象徴だったのだな。

私は「なんでこんな、私が真剣に悩んでる時に、そんなお誘いをするんだ!プンスコ」とキレていました。真剣だったので。

 

そんなこんなでイルミネーションやらぜんざいやらを純粋に楽しんだわけですが……

帰りの車内。

まだ聞けてないぜ……

と、私は内心焦っていました。

そもそも運転中に聞いたら動揺する??高速道路だと危なくない??とか色々考えて、余計に切り出せずにいたんですね。

すると。

 

唐突にOさんから

「まだ気持ちを聞いてないんだけど、僕のことをどう思っているの?」

と聞かれ!!!!!

えぇ!?!?!?!?!?!?

咄嗟に

「私も聞いてないんですけど!?!?」

って返しちゃいました。なんだこの人たちは。

するとOさんは、

「僕が今聞いてるんだけど!僕の質問に答えてから聞いて!」と言うんですね!

なんやそれ!と思いつつも、「好きですよ!?」「僕も好きです!?!?」みたいな雑なやり取りで、なんと一応好意が向こうにもあることが明らかになってしまいました。

普通Oさんから気持ちを伝えてから聞くものじゃないの!?ってなりましたが……(※Oさんは恋人になったはずなのに2ヶ月間私が好きの一言すら表現しないことに我慢ならなくなっています)。

 

とはいえ、好意の確認は交際の確認ではないので、一応後で恐る恐る

「……あの、恋人として付き合うってことでいいですか……?」

と確認したところ、

「え、そうでしょ……」

と返されたので、無事恋人という認識がここで擦り合う形となりました。

やったね!

 

 

今回のまとめ:

人は2ヶ月認識がずれててもなんとかなる。

 

 

……これ、誰が読んでるの……?

2021年度入試問題 生物 所感まとめ

今日までで気になっていた大抵の大学の入試問題が出揃いまして、全て解くことができました!

解いたのは北海道、東北、東京、岐阜、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、そして慶應です。

 

解き終わった証として(?)、毎度誰に需要あるのかはわかりませんが、解いた各大学について簡単な所感と、

あとは総まとめみたいなことをしていこうかなぁと思います。

東大と名大については過剰な力量で書いた記事がありますので気になる人はそちらを参照してください↓

i-my-mine.hatenablog.com

i-my-mine.hatenablog.com

 

 

各大学 所感

東大と名大は記事があるので、それ以外の大学の所感を軽く書いていきます!

北海道大学

ネタとしては、

1 血糖濃度調節(チャネルと電位を絡めた話)、腎臓

2 カエルの発生、ガードンの実験、ショウジョウバエの発生(分類含む)

3 マイクロサテライトで親子鑑定(進化含む)

4 樽前山のバイオームと遷移

という感じでした。

難易度はそう高くなく、どこかで見たなという問題が集まっている感じです。

北大と言えば木原均からのゲノム問題!という感じだったのに、今年はそれはなかったですね。一応ゲノムと進化の話はありましたが……

3では、親候補の大人たちと、その子ども候補の幼少個体たちのマイクロサテライトPCR電気泳動の結果を提示され、

今回の子どもたちに関して、親は決まった配偶者としか交配してないのか、それとも自由交配してるのか、どちらなのかを見極める、みたいな問題は良かったですね。そうか、そういうことも読み取れるなぁという。

いつもほどの綺麗さや感動はなかったかも……?

 

東北大学

ネタは、

1 異化経路の調節

2 ヒトデの卵成熟とホルモン

3 腎臓と循環系(血液・心臓)

でした。

東北は毎年ちょっと解きにくい、堅い問題を出すイメージがあるのですが、今年もそんな感じがあります。

とはいえ2と3はどこかで見たことがある典型的な問題で、特に2は易しいなと思いました。経験のせい?

ちなみに2はろ胞細胞とGSSの話ね。これ知ってるわ〜って思いながら解きました。問題文読まなくても分かっちゃう……(あかん解き方だ)。

しかし、個人的には1のグラフ選択問題とかが、なんかこう、腑に落ちない……綺麗さに欠ける気がします。

河合でも別解が出ていますし、別解出る生物の問題(しかもグラフ選択問題)ってどうなん?という……

あと、「化学浸透圧説」は単語として問うていいのか?という疑問もある。

教科書をあまり逸脱しすぎないで欲しい……。

 

岐阜

ネタは、

1 体内の恒常性、性ホルモン周囲の濃度調節

2 植物の光周性、春化に関する実験

3 ALDH2PCR電気泳動(プライマー設計から)、ALDH2の各国遺伝子頻度に対する考察

4 C4植物とC3植物の比較

5 正のフィードバック機構による遺伝子発現調節、マウス筋芽細胞の分化と調節タンパク質

という感じでした。

ネタはまぁ、どこかで見たことあるなぁというものが多いのですが、聞かれる形があまり見慣れないというか、

「これって本当にこれが答えでいいの……?」と不安になるような聞かれ方だったりして……

ちょっと解くのが険しい気持ちになりました。ウーム。

自分の解く力が足りないだけかもしれないが……一部が所謂「日本語ムズカシイ」状態な気がします。

 

静岡

ネタは

1 性決定と選択的スプライシング(明言はされていないが、ショウジョウバエのSxl周りの話だと思われる)

2 呼吸の分子機構

3 血糖濃度調節と糖尿病の種類

4 植生の遷移と光量(光周性)

といった感じ。

中身は何も迷わず解ける、順当に正統派な問題という感じで、ストレスなくさらっといけます。

程よい応用問題が差し込まれているのも好感が持てます。

2の呼吸の所なんかはくどい程基礎基本を聞いてくれるので、これは問題集で標準問題として重宝されそうな問題たちです。

 

京都

ネタとしては、

1 転写開始点選択とフィトクロム

2 疾患遺伝子のマッピング

3 イネの品種改良と栽培環境、受容器の情報処理と応答

4 植物の根を食べる昆虫と葉を食べる昆虫の関係性(食害応答)、生態系中のエネルギー

という感じです!各テーマごと使う知識が横断的なものになっている、所謂京大の生物といった感じの問題たち。

ネタも程よく馴染みがなく、かつ「へぇ~!」となるものを織り込んでいて素敵ですね!転写開始点選択とか、イネの品種改良とか、根食昆虫と葉食昆虫の関係とか……興味深いです!

ただ、今年はあまり凶悪なものはなくて、割と素直な気がしました。なので解けちゃいます!これは嬉しいですね。

教科書逸脱も、一箇所怪しいけれど無かったのではないか……?という気がします。過敏感反応……じゃなくてファイトアレキシンで答えればいいから、きっとだいじょうぶ……。

 

大阪

ネタは

1 プラスミド作成(制限酵素選択など)とセレクション

2 免疫とシグナル伝達

3 動物の発生過程(分化、アポトーシス、基礎知識)

4 LDH活性測定法

5 増殖因子のシグナル伝達と抗がん剤設計

といった感じ。1と3(2も?)は基本に忠実な標準問題ですが、4と5はちょっと楽しい題材ですね。全く見たことはない、という訳ではないですが……(特にLDHのやつは一回見たことあると簡単に解けちゃうんじゃないかな)

解くのはストレスなくさらさら解けます!良い問題構成だと思います。

 

神戸

ネタは

1 赤血球と酸素と呼吸

2 遺伝子の基本(発現、スプライシング、コドン、突然変異)

3 光発芽種子の基本

4 進化の総合説と血縁度(包括適応度)

という感じ!

基本的な問題が多いですね。問題も、1がちょっとムムムとなる以外は(日本語とか計算とか)、基礎基本なのでサラサラ解けるのではないかと思います。

 

慶應

ネタは

1 視覚、HubelとWieselの視覚野に関する研究

2 毒を持つ生物の進化、抗毒素抗体の作成

3 アメーバに感染する細菌類とミミウイルス

でして、いや~これは良いですね!!!

慶應は毎回ネタが良いです。歴史的変遷とか、権威ある実験とか、真新しい未知の事象とか持ってきてくれます。

古典実験が題材になると、授業でも使えてハッピー!

出題される問題自体も、聞かれることはちょっとオーバーキルなものが入ることがあるんですが、基本は良い意味で「難しい」ものが多く、ほどよく頭を使います!基礎のしっかりした理解も必要です!好きです!

特に今回のネタの中でも2と3はいいですね!1はそこそこ他大学でも過去に出題されているので。個人的には3が好きでした!

アメーバとマクロファージの関連性を考えると両方でレジオネラが増えることを解釈できる……というあたりは、おぉってなりました。

(私がミミウイルス大好きなだけというのもある)

 

 

個人的なおすすめ良問大学

今年の問題だと、まぁまずはやっぱり東大ですよね!

東大はずば抜けて今年も良かったです。

次は京都、名古屋、慶應 かな!

完全に個人的な趣味ですが。学びがあるし、面白いという意味で、これらをおすすめします!

 

出題分野の状況

各大学を解いて、国公立大学9校における今年の出題分野の傾向をざっくりですが出してみました。

割とメインを張っている出題のみに注目しています。

とはいえ個人的な価値観でラベリングをしているので(ラベル項目も自己流で立てているので)そこまで情報として価値があるとは思えないが……。

とてもよく出たもの(今回4大学以上で出たもの)

  • 性決定・生殖・受精
  • 遺伝子発現調節
  • 異化
  • 植物の光周性(長日、短日、発芽etc)
  • ホルモンと恒常性
  • 進化(そのものを問われる場合もあるが、最後の締めとして使う場合が多い)

よく出たもの(今回3大学で出たもの)

  • 遺伝(連鎖・独立・複対立)
  • 植物ホルモン
  • バイオテクノロジーPCR、泳動、制限酵素、遺伝子組み換えetcそのものに対する基本問題) ※手法としてはバリバリに使われるので無視

そこそこ出たもの(今回2大学で出たもの)

  • 発生
  • 遺伝子のマッピング
  • 酵素(グラフ、阻害剤など)
  • 植物の屈性
  • 植物の食害応答
  • ハーディ・ワインベル
  • 光-光合成曲線
  • 腎臓(濃縮率などの計算)
  • 植生・遷移・バイオーム
  • 遺伝子・ゲノム
  • 生態系

という感じ。

 

ほか 解いた感触的な話

上で出てきていないのですが、「神経」の所で学ぶイオンの移動と膜電位の変化が、神経ではない細胞において発生するものを用いた出題が多数ありました。

神経のことは知ってて当然、って感じかな……?

とはいえそれらの出題は一応現象自体を知らなくても解けるようになっているのですが。神経の所でイオンの移動と膜電位の変化の原理を知っていれば大丈夫です!

 

あとは分類と地質時代の話全然出なかったな!?ってなりました。

進化は出てたけど。なんならいい感じの締めの問題としてめちゃくちゃ使われてたけど(最近流行りですよね)。

分類と地質時代が出なかったのはなんでだろう?昨年度出したから?それとも今年の配慮?わからないですね。

 

遺伝はちゃんとやらなきゃ駄目だな~。マッピングも、授業で一回実践してもいいかもしれないな。うおー、大変だなぁ……。

 

なんにせよ、生物基礎からも生物からもちゃんと出るねという印象です。どちらもまんべんなく出ます。

ちゃんとどっちも勉強しようね!

 

東大・京大だけで見ると……?

これは完全に個人的興味なのですが、東大と京大を解いていてなんか被ってない??って印象が強かったのでどれくらい分野が被っているか見てみました。

東大・京大で被っていたのは

  • 遺伝
  • 遺伝子発現調節
  • 植物の食害応答

の所でした。

遺伝、遺伝大事だよ!遺伝やらなきゃ駄目ですわ。

あとやっぱり問題を多段階で発展してくような組み方をしようとすると、どうしても遺伝子発現調節とかシグナル伝達みたいなのは出るのかなという印象ですね。

たくさんの資料を組み合わせて考えるには都合良いからね……。

植物の食害応答が被ったのは意外でしたが、ホットトピックだったからかなぁ。

 

 

ということで、大学入試問題にずぶずぶに浸った3日間でした。

お疲れ様!!!!!!!

2021年度東京大学入試問題 生物 所感

待ちに待った東大の問題が出た!!!!!!!!!!!

早速解きました!

ここから見れる&解けますので興味有る方は是非。

東京大学 前期 | 国公立大二次試験・私立大入試 解答速報 | 大学入試解答速報 | 大学受験の予備校・塾 河合塾

 

せっかく解いたので、毎回誰に需要があるんだかよくわからないけれど所感を書きます。

 

概要

大問数は例年通り3題。

問題文の分量は例年より少なめ?な気がしました。感覚だから違うかもしれません。

ただ、前回は論述たくさんだったのに今回は総指定行数が減った気がします。例年並みに戻ったかな。

東大といえば毎年、良い題材がって、それを基に幅広い分野を横断しつつ、考察力を問うというものなんですが、

今年もまさにそんな感じの出題でした!大満足。

毎年東大凄いなぁと思うのは、その文章の読みやすさと回答のブレを作らせない誘導なんですが(答えがバチッと決まる!)、今年もその能力はいかんなく発揮されていましたね。

考察問題も昨年同様物凄く難しいものはなくって、リード文や実験状況を正しく落ち着いて読み取ることができれば答えが導ける問題で構成されていました。

 

最初にも述べたように論述指定行数が減っているため、時間に余裕をもって回答ができたのではないかと思ったり。

難易度は総合的に見て昨年度並みかやや易化、というところかな?

 

各大問ごとの所感

第1問

使う知識の分野としては、生体膜、遺伝子発現、シグナル伝達、呼吸……といったところ?

実験考察を中心とした問題です。

リード文に書いてある情報を丁寧に拾って整理できれば問題はないわけですが、複数の資料や実験が絡むので、まぁちょっと大変かもしれません。

個人的にはとてもいい塩梅な気がするが!

もはや論文読み取りに近い気がします。普段から論文読んでる人には楽なのではないか。

Ⅰ 水と生命、クマムシの乾燥ストレス耐性

水が生命活動維持に必須の存在であり、多くの陸上生物がそれを確保することを最優先課題とすることを述べた上で、

「水をほぼ完全に失っても一時的に生命活動を停止するだけで生きられる生物」としてクマムシを例に挙げる……という導入。

クマムシ!!!!!!!!!嬉しいね。テンション上がるわ。

クマムシ博士とか、昔流行ったけど今どうなってるんだろうなぁ。

 

さて、問題では、乾燥ストレス耐性の耐性度合いが異なるクマムシに関し、遺伝子発現との関連性を見ながら実験が行われます。転写阻害剤で処理したり~翻訳阻害剤で処理したり~……。

Aでは、水が生体膜安定化に果たす役割の説明を求められます。これってすごく基礎的な内容だけど、色んなことの意義を考えてみたり、なぜ?を普段から感じたりしながら生物の授業受けてないと、あんまり考えないだろうな。

教科書でもキャンベル生物学でも、「生物は化学物質だ!水が大事だ!」から入り、生物を組成する化学物質から理解する所を求めてくる訳ですが

そういう化学的視点というか、生物の素材を知った上での論理展開ができるのは大事だなぁと思ったり……。

Cは少々捻った実験解釈問題。乾燥耐性に関係ありそうな3つの遺伝子について、転写阻害剤と翻訳阻害剤暴露後乾燥を経験させ、それでmRNA量を見るという。

このグラフから、ストレス情報伝達経路の初期遺伝子がどれかを見極めるんですね。

シグナル伝達経路と転写調節の多段階的な繋がりのイメージを構築できないと答えられないなぁという印象でした。

簡単だけど、試験会場で焦ってたら「どゆこと!?」ってなりそう。良問。論文ですよ。真面目に。

Dは比較的単純なグラフ予想。「遺伝子がある」ことと「遺伝子が発現している」ことが別物だと分かっているかが問われている感じですかね。

Eは各薬剤がどのシグナル伝達段階を阻害する可能性があるかを結果から考えるもの。Cが理解できていればこれは答えられます。過不足なく答えられる正確さが肝ですわ。

特にEは、色んな議論をするときに大雑把な人だと難しそう。グループディスカッションとかやっても、雑に「ここらへんに効いてそう」で終わらせる人っているんだよな。

でも実際はそうじゃなくて、資料から厳密に「ここからここまでの間で効いてそう、これより後だと○○という結果になるはず……」って深く考えるのが大事なんだよ。


Ⅱ 線虫の乾燥耐性

線虫のトレハロース蓄積の話は自分が大学生の時には既に聞いた気がするな~と思って軽く調べてみると、2010年代までには分かってたことっぽいですね。

今回の問題では、線虫の乾燥耐性にはトレハロース蓄積が関わること、

トレハロースを作る基になる物質は呼吸経路の中で作られることが述べられています。

加えて、糖新生の話にも少々触れ、異化経路が逆方向に進められることを提示するなどしています。

このリード文に含まれる、乾燥耐性とトレハロース合成と呼吸と糖新生が全て最終的に問題で繋がってくるから、めちゃくちゃ良い!!!!!!アトラクションみたいな興奮があります。

さて、このあと耐性が低い変異体について実験を提示していくわけですが。ここで乾燥耐性が駄目な二種類の線虫株を用意し、さらに二重変異体の結果まで出してくるんですね。

結局問題を解くにはこの二重変異体の結果まで含めて細かく吟味しないといけなくなります。丁寧な検証作業が要されます。

いやぁ、でもね、本当にそれ大事な能力だから……!!!!!東大はいい問題作るなぁ……。


第2問

使う知識は、植物の環境応答(屈性、食害)、植物ホルモン、細胞膜の性質、チャネル……あたりかな?

こちらも実験考察を中心とした問題です。

またリード文の丁寧な読み込みと、たくさんのの実験データを整理・関連づける必要があります。

特に今回のグラフは、「屈曲角」の定義といった前提条件の把握が必要になるので、一筋縄ではいかないかも。

縦軸なんだこれ、と調べながらやるのって、もはや論文……。

Ⅰ 屈性とオーキシンオーキシンの酸成長説

Ⅰでは屈性やらオーキシンやら酸成長説やらが丁寧に説明されています。酸成長説の歴史的変遷とか、知ってるけど東大で説明されるとは。

この問題ではBがなかなか試される感じでした。問題としては、実験と結果の情報を見て、(1)~(5)の各記述に対し支持されるか否定されるかを答え、否定の場合根拠となる結果を提示しなさいよ~っていうやつなんですけど。

……なんと、(1)~(4)まで×が続くんですよ!怖くないですか?何を試されているんだ??

自分の思考に自信がないと正しく回答できないね。当てずっぽうな人や、やはり雑な人を削ぎ落としたいのだろうか。

Cは、IAAの極性輸送でなぜ排出輸送体の制御だけが重要になるのかを考えて説明せよという問題なのですが、これね、目からウロコでした!

与えられた情報から論理的に導けるんですけど、自分で導いて自分でなるほどね!って感動しました。勉強になるなぁ。

 

Ⅱ 植物の食害応答とカルシウムイオン

食害応答について述べ、食害応答をはじめ様々な入力に対しシグナル分子として機能するカルシウムイオンについて実験を行うというものです。

カルシウムのウェーブみたいなやつ、Twitterで動画が上がってたよね。去年かな?と思ったら、もはや3年前でした。年……

ちなみに動画はこういういやつな。

www.youtube.com

www.youtube.com

この問題自体も一応実験解釈問題なんですが、個人的には色んな事例とか知識を結びつけて考えれる面白い題材だな~と思いました。

例えば「細胞小器官にカルシウムイオンチャネルがあって、それを阻害すると風刺激時に細胞内カルシウムイオン濃度が上がらなくなりますよ」って伝えられます。これどういう仕組みでカルシウムイオン濃度上がってるの?って聞かれるんですが、ぱっと思いつく類似現象って多分「筋小胞体」なんですよね。

筋収縮のとき、細胞質基質のカルシウムイオン濃度を上げるのは、筋小胞体に蓄えられているカルシウムイオンが、小胞体膜上のチャネルが開くことで生じるじゃないですか。

それを連想すれば「じゃあ植物もそんな感じじゃね?」となるかな……と。

もともと全ての仕組みを知っていることも大事なのかもしれませんが、ある現象から「仕組み」「仕掛け」として何か特徴を抽出してきて、

他のことを考える時にそれを適用できるのって、大事ですよね。

……そういえばグルタミン酸の話は出なかったな。植物と神経を絡めるように発展しそうだったのにな……。


第3問

使う知識は性決定、発生、ホルモン、生態系、遺伝、脳のあたり。

性決定を題材にしながら、様々な視点で問いが立てられている楽しい問題です!*1

ただの知識暗記ゲーではなく、論理的思考力を要される問題になっています。

でもね、とにかく誘導がジェントルだから。そのまま引っ張ってって貰えれば答えれちゃうから。東大のエスコート力は半端ないぜ。

Ⅰ 脊椎動物の性決定

「皆、生物はオスかメスかの二者択一みたいに思ってるけど、本当はそんなことないよ?脊椎動物には様々な性決定や表現型が発生するんだよ?」というリード文。

この中身が単純にまず面白いですね。

色んな例を挙げてくれるんですが、それがどれも嫌味なく、しかも問題を解くのに過不足もなく、

読みやすく、わかりやすく、感動と驚きがある!

東大の文章力、凄いですよねぇ。大抵こういう例示どんどん挙げていく系って、後で「ほぼ無駄じゃん」みたいに思われるんですが。それを感じさせないんですね。

ちなみに性を取り上げるだろうことはなんとなく予想していました。ここ最近ずっと話題だからね。

Aでは雌雄モザイクのキンカチョウの発生原因を考察します。

私の頭の中では完全にミツバチの雌雄モザイクの話を思い浮かべながらやってました。ミツバチって、オス×オスでできた子とかおるんやで。

Bは、雌雄モザイクという存在によって、「全身の性は性ホルモンで規定される」という考えが疑問視される理由を論述します。いや~、いいですね!

Cは、外見メスで精子を作るオス個体が、繁殖戦略上どんな利点があるかを考えます。

つまり……女装するけれど男性生殖器を持ち女性を生殖対象とする生物?

そういう形態に利点があるのかなんて今まで考えたことなかったんですが、この問題で考えるきっかけになりました。そうか、オス同士の闘いに巻き込まれずに配偶者を獲得できるんだね!面白いですね。

Dは雌雄同体生物であるマングローブキリフィッシュを用いた遺伝の問題。ただの一遺伝子の問題なので簡単ですが、題材は楽しい。

ちなみにマングローブキリフィッシュは今年名大も出していました。大人気!

i-my-mine.hatenablog.com

 

EとFでは、制度と性決定のリンクを鮮やかに見せる問題になっています。

  • 一夫多妻ハレムの場合、大きい個体がオスに性転換する例がある
  • 一夫一妻の場合、大きい個体がメスに性転換する例がある

これらはそれぞれ利点があるのですが、制度によって性決定の方向性が全く変わるのは面白いですよね。

 

Ⅱ ヒトの男性脳と女性脳

「ヒトの性が二者択一で捉えられがちで、脳機能についても男性脳と女性脳と言われるけど、実際はどうかちゃんと考えたことある?」という、世間に疑問を投げかけるような問題でした。

中身自体はロジックパズルなんですが、大変おもしろく、また考えさせられる題材でした。

何より自分としては、男性脳女性脳のいわゆる俗な話題がまさか「生物の大学入試問題」という非常に高尚なものに昇華できると思っていなかった面があり……

「こんな風に問題にできちゃうんだ!!しかも凄くちゃんとしてるし、サイエンスの立ち位置から吟味できてるし、凄い……」という感動がありました。

こういうナイーブだったり揺れ続ける話題だったりを、例年東京大学は割と取り上げて平気で素晴らしい問題に昇華してしまうわけですが。

もうさすがだなぁとしか言いようがありません。凄いっす。

 

総評

題材も調理も最高に素晴らしい、まさに東京大学の問題といった感じの問題でした!

私は大満足です。今年もこんな良問に出会えてよかった。

やはり生物の問題の面白さは、一つは題材、もう一つは調理なわけで、

どれだけ面白い題材を持ってきても、問題がショボいとあまり盛り上がりませんし

良い問題を作ってみても、題材が並だとそこまで興奮できません。

しかし東大はそのどちらも完璧なので、もう大変興奮します。解いていて常に楽しいです!

加えて、丁寧さですね。作りがとても丁寧で、文章が「読める」、問題がすんなり「解ける」。これって凄いことですよ。

大抵の大学入試問題では、「何語を喋ってるんだ?日本語変じゃない?」ってひっかかったり……

向こうの聞きたいことが伝わってこなかったり……

「これ答え一意に決まらなくない?」ってもやっとした気持ちになったり……

そういうストレス源が絶対あるんですが。

東大はこれがないんですね。一切ないんです。

教科書準拠で、逸脱した知識問題とかもないんです!これも凄いです。大抵の大学は、難易度上げるよ~ってなると大抵逸脱してくるからな。愚かなり。

  • 教科書に載っている基礎知識を理解するとともに確実に身に着け、それを用いて丁寧な論理的思考を展開できる。
  • 複数の資料や情報を取りまとめ、整理・解釈する力がある。

そういう力を持っていれば東大の問題は解けちゃう!素晴らしい!

やはり東大は神です。

そして問題解くの純粋に楽しすぎる。毎月出してほしい。タダで味わえるアドベンチャーみたいで最高ですよ。

 

 

真面目に、一度でいいから東大の作問会議に立ち会ってみたいですね。

または作問してる人の作問中の頭の中を覗かせて頂きたい。

一体どういうブレインでどういう思考回路をしてどういう会議をしたらこんな良問ができてくるんだろう……と不思議でなりません。

私の中には美学があっても、それを実現できる作問力がないので……

生きている間に一回でいいから、東大の問題作りを側で取材とか勉強とかしたいなぁ……

*1:Twitterつながりの方から、「新学術領域じゃない?」とご指摘を頂き、確認したところ、それだー!ってなりました!!

新学術領域研究「性スペクトラム」トップ

もしかして過去の問題も新学術領域から出されているのかな……?

2021年度名古屋大学入試問題 生物 所感

2/25、26は大学入試二次試験前期日程の日!

まだ東大や京大は生物の問題が出てきていませんが、現時点で出ている名古屋大学(名大)の問題を解きましたので、所感を書き留めたいと思います。

 

ちなみに問題や回答はここから見れます。

名古屋大学 前期 | 国公立大二次試験・私立大入試 解答速報 | 大学入試解答速報 | 大学受験の予備校・塾 河合塾

 

概要

大問数は例年通り4題。

問題文の分量は例年並みですかね。

例年よりも、考察力を問いたいという意図の出題を軸に据えている気がします。とはいえ考察問題が極端に難しいというわけではないのですが……

リード文や実験状況を正しく落ち着いて読み取ることができれば答えが導ける問題で構成されていると思います。

例年だと、「これ本当に答え出るか?一意に決まるか?」と微妙な気持ちになる問題が時々あるのですが(これ事象丸暗記してないとここに提示してある実験からだけでは導けないのでは?みたいな気持ちになるのとか)

今年はきれいさっぱり解けました!すっきり。

 

題材も、全てではありませんが面白いものも取り上げていて、個人的には楽しい気持ちになりました!

真新しい題材でも、理解しやすい説明がなされていていいですね。

一部でアクセントとなる難易度高め問題がいい感じの配置で入れられているのもポイント高い(大問1の3遺伝子ハーディ・ワインベルグ、大問4の遺伝子マッピングなど)。

 

名大といえば単純な穴埋め問題(語彙知識を問うもの)がかなり多いイメージがあるのですが、今年は少なめでした。この方がすっきりしてていいと思う。

論述問題数は昨年とほぼ変わらないですが、昨年度はかなりベースの知識を必要としたのに対し、

今年の論述は実験をちゃんと読み解けていれば解釈・回答ができそうな良問になっているように感じます。

また、実験デザイン系の問題が名大では毎年出題されていますが、今年は多め(3問)です。

 

一番の驚きポイントは、昨年消え去った遺伝の問題があっさり復活し、しかも大問1と大問4の二つでメインに据えるという大きな扱い方をされていたところですね。

名大はやはり遺伝の対策が必須ですね……。

難易度は総合的に見て昨年度並みか、ちょっとだけ難化?難易度はかなり安定してるんじゃないかなって思います。考察系や処理系が苦手だと厳しいかも。

 

各大問ごとの所感

問題Ⅰ 血液型(遺伝、ハーディ・ワインベルグ、酵素反応)

難易度は並ですね。入り口感溢れるほど良い難易度の問題が最初に配置されているなという印象。

血液型の遺伝子やその周辺の酵素がメインです。

 

基本は典型的な遺伝の問題ですが(家系図など)、

三遺伝子のハーディ・ワインベルグ計算や、酵素反応グラフについてちょっと捻った聞き方をするなど、「丸暗記をしているだけか否か」をチェックするような問題が見受けられます。

まぁ、自分が出題者でもそれは突きたい所だよな。

 

〔文1〕血液型を決める遺伝子と酵素

リード文はよく見る文章ですね。なんなら授業でやるのでは?めちゃくちゃ普通の血液型の話です。

(1)は難易度0の基本問題。

(2)は血液型を規定する三遺伝子について、ハーディ・ワインベルグ計算を行う(ただし使用するパーツが決まっている)もの。

難しくはないんですが、初見で焦るとできないかもしれません。

特にハーディ・ワインベルグの計算の仕方を覚えていない丸暗記型のタイプには厳しいですな。導出方法をちゃんと覚えていれば、なんてことはない。ただの数式遊びだよ!でもそういうのが皆できないんだよなぁ……。

 

〔文2〕酵素E変異による免疫不全の遺伝

リン酸化酵素である酵素Eの遺伝子が変異すると免疫不全になる、というリード文からスタート。

(3)は家系図を見て優性劣性や性染色体・常染色体を答えるもの。なんですが、ここで「顕性、潜性」を表に出していることにちょっと感動!こんな時代になってきた。

とはいえ問題自体は、単純・簡単です。

(4)はよく見る酵素のグラフです、が、縦軸が反応速度で、横軸は基質……ではなくATPなんですね。酵素Eはリン酸化酵素なので、ATPをひっ捕まえてリン酸を貰ってくるわけですが。

聞かれていること自体はよくある「なぜこのグラフでは横軸が大きくなっていくと反応速度が頭打ちになるのか」なんですが、ここ丸暗記受験生だと恐らく「全ての酵素酵素-基質複合体を作るため」という回答をするでしょう。

しかし今回の問題文では基質とATPは別物扱いをしているので、この回答ではいけないわけで……

これもやはり理解がないと正しく答えられない問題だと思われます。なかなか細かい問題だな。

(5)は競争的阻害剤があるときのグラフ。簡単簡単。典型よ!

 

問題Ⅱ 「植物ホルモン」

難易度は並か、ちょい難くらい?文1はただの知識問題なんですが、文2がかなり沢山の情報が与えられるので、そういうのを処理する人には難しいかな。

ただ、文2はリード文に書いてある情報を正しく読みとって、冷静に処理できれば実際は全然難しくないです。

受験で沢山の情報をどば!と与えられた時、どれだけ平常心でいられるかがポイントだろうな~。

 

〔文1〕馬鹿苗病菌の発見

馬鹿苗病菌の歴史みたいな話がリード文になってます。

(1)では、「馬鹿苗病菌が分泌する化学物質が異常伸長の原因」であることを導くための実験をデザインします。ほとんどヒントはあるので、空白を埋めるだけなのですが……

難しいものではないんですが、培養液のイメージ(培養液には菌と分泌物が入っている)がないと答えられないかな?ともちょっと思います。

そんなイメージは生物学の過去の実験(破傷風とか、タバコモザイクウイルスの実験とか?)を学んでいれば幾らでも着く気がするんですが。ちょっと実践的な問題だなって気がしました。

(2)はただのオーキシンと重力屈性の話。知識。

(3)も植物ホルモンの知識ですね。知識ばかりで易しいね。

 

〔文2〕ジベレリンとDELLAタンパク質による伸長制御

文2は実験フェーズなわけですが、ここで情報量が一気に増えるので冷静な整理・処理が必須です。

内容・実験は全く難しくないんですが処理数が単純に多いですな。

かなりリアルな実験イメージを与える文章だなぁとも感じました。

(4)は簡単な実験デザイン(結果まで入れる)。

このデザインは、人体のホルモンの所でインスリンの学習をしていれば思いつくんじゃないかという気がしました。Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病の違いを勉強するでしょ?

(5)はリード文や結果が正しく解釈できているかを試す論述ですね。

読み取れていれば普通に答えられます。読み取れていれば。

(6)、(7)は(5)ができていないと総倒れする連鎖問題でした。これ落とすと辛いなぁ。

 

問題Ⅲ 「細胞接着(密着結合)」

実験解釈問題に加え、馴染みがあまりない現象に関する生理的意義について考察させるなど、中々アクティブな問題でした。

こちらも第2問に引き続き情報量が多いです。

難易度は並または少々難かな。


〔文1〕小腸とカスパリー線

(1)で中学生レベルの単語を問われるので逆に戸惑っちゃいました。柔毛、根毛て!

中学校の知識を定着させておくのは大事ですね……。高校でわざわざやらないぞ?

(2)は細胞接着に関わるタンパク質の知識問題。難しくないですよ。

でも、ギャップ結合に関わるタンパク質って、コネキシン?コネクソン?どっちで答えればいいのかな?この問題文だと、どっちでもOKな気がするんですが。

チャネルだと言われたらコネクソンだけど……

(3)は実験デザイン問題に近く、「なぜこの方法でこの目的に沿う選別ができるのか?」という質問でした。ちなみに選別したいものは、カスパリー線を作るやつと作らないやつです。

前提を理解していれば難しいことはないのですが、類似の実験系を見る機会がそうそうないだろう特殊なケースなので、ちょっと発想が難しいかもしれません(が、前提をちゃんと読んで整理すれば分かるとも思う)。

解いてて私も「へ~なるほどね~そうやれば確かめられるじゃん、頭良いな」ってなりました。

(4)では、リード文で説明された、カスパリー線形成に関わるタンパク質の細胞膜上での配置について、生理的意義は何かを問うというものでした。

図2が大ヒントになっているので分かるといいんですけどね。図2があからさますぎてちょっと笑っちゃったよ。

とはいえ焦ってると気づかないだろうなぁ。発想できないと難しい。

この問題も「へぇ~、植物、賢いジャン」ってなる。

 

〔文2〕乳腺上皮組織での密着結合形成

ひたすら沢山の条件と実験と結果を処理する問題ですね。

放射性同位体を用いた実験なので、検出される=どういう現象が起こったと言えるか、を理解できないと解けません。

今回の名大、色んな物質や素材を使って、「これ使ってこうなるってことはどういう意味なん?君にこの意味分かるの?」って聞いてくるの多い気がするな。なんか新傾向的だな。

実際実験やるときはそういう考え方や発想は大事だからとてもいいんだけども……。

(5)は放射性同位体検出の意味が分かればなんてことはないっすね。

(6)は処理ゲーム。

ただし糖質コルチコイド=副腎のみ と思い込んでいると間違えるので、あくまで資料ベースで処理せねばあかんです。自分の知識だけで解いちゃだめよ!

(7)は(6)まで解けていれば間違えないっしょ。


問題Ⅳ 「遺伝(ちょっとだけ進化)」

マングローブキリフィッシュという雌雄同体生物(自家受精をする)を題材にした問題。

単純に面白い!良い題材を持ってきたなぁ!

とはいえ中身のほとんどは遺伝の問題ですので、特に連鎖について理解ができていれば解けるでしょう。

〔文1〕マングローブキリフィッシュの紹介、自家受精が続いた時のホモ接合体の割合

(1)は物凄く丁寧で優しい誘導ありきなので、慌てずやれば解けるでしょう。

もしできない場合は焦りすぎか、遺伝の基礎の基礎がぐらついているのです。

〔文2〕自家受精による4つの連鎖遺伝子の染色体地図作成、色素遺伝子マッピング

この問題が恐らく一番の山場!

この問題の概要としては、

  • 全ての遺伝子がホモ接合の系統Pと系統Qがいる
  • 系統Pと系統Q由来の対立遺伝子は見分けられる
  • PとQをかけて雑種F1を作る(全ての対立遺伝子がp型とq型でヘテロ
  • ある染色体上に連鎖するA~Dの4つの遺伝子について、F1の自家受精により得られた10個体を得て、A~Dまでがp型かq型かを見、遺伝子型を表1にまとめる

という感じ。

そんなわけで、表1には個体1~10について、各遺伝子についてpとqの遺伝子型がダーッと並んでいるわけですが……

これはもう表1の見方が分からないとまず手がつけられないですよね。

こういう表を書き出して、色々処理する系の類題は、稀ではありますがあるんですよね。例えば2016年の京都大学とか。それを経験していれば大丈夫?な気がします。

しかし未経験だとまず無理な気がするな。

(2)では表1を使って、各遺伝子間の組換え価を出し、染色体地図を作ります。

組換え価は二遺伝子間でしか出せないことを忘れていなければ、あとは表の見方が分かっていればできるはず。

※ 組換えが生じていない時の配偶子は、A~DについてPPPPまたはQQQQであるはず。組換えが生じている時の配偶子は、A~DについてPだけorQだけで揃っていない時だぜ!

(3)はA~Dの遺伝子をマーカーとして、色素遺伝子をマッピングするというもの。

マッピングはねぇ……授業とかでどれだけやるかなぁ……かなりリアルな実験ぽいのでそりゃ知ってほしいけれど、中々伝わらないよ?

マッピング、今度ブログで説明しよかな。

だから今回も正答率低いと思う。

マッピングについて知らなくてもできるかもしれないけど、大抵は戸惑ってできないんじゃないかな……。

 

〔文3〕マングローブキリフィッシュは自家受精しかしないのか?

この文章では、マングローブキリフィッシュが自家受精だけを繰り返していくと、皆ホモ化しちゃって困るんじゃない?

本当に自家受精しかしてないの?という疑問を提示し、それを解明するための実験を行います。

X地点とY地点という2地点で個体を捕獲し、対立遺伝子の構成を調べてみるんですね。

その結果を見て何が起こっているかを考えるもの。

これは普通に楽しいわ。

(4)は進化的な背景というか、何がどうなってこうなったか、みたいなストーリーがばっちり見えていてとても面白いです。

 

〔文4〕マングローブキリフィッシュの雄性両性生殖

最後の文では、結局マングローブキリフィッシュにおいては、雄個体がまれに発生すること

そしてもしかしたら雄と雌雄同体との間で受精するかもしれない という話に発展します。胸アツ!

(5)では雄性両性生殖をしているか否かを確かめる実験をデザインさせます。

単純だけどいい問題です。

こういう「誰かと誰かを受精させて白黒はっきりさせようぜ!」みたいな問題、割と好きですね。*1

(6)は、雄性両性生殖が自家受精のみ生殖や雌雄別個体間での生殖に比べて良い点を挙げるというただの論述です。

これは普段から有性生殖と無性生殖のメリットデメリットが分かっていれば応用して答えられるでしょう。

 

 

総評

今回の名大は楽しかった!良い問題だったのではないかと思います。

個人的には、特に問題Ⅳでテンションが爆上がりでした。

だってこれ……

線虫じゃね!?!?!?!?!?

私線虫でこのロジック使って実験してたわ!!!!!!!!!

って気持ちになったんだもん。

線虫は雌雄同体なんで、放っておくと勝手にホモ化していくんですよ。そうやって純系を作るのは基本です。

が、線虫を35℃とかの高温でしばらく放置してから常温で育てると、X染色体不分離が起こるせいで子供にオスが出現するんですよね。割とレアなんですけど。

で、オスを見分けるポイントは基本しっぽの先がかぎづめ型になっていることなわけです。本当は慣れると太さとか長さも違うなってなってくるんですが。

で、線虫で狙ってヘテロや変異遺伝子を持たせるために、オスを出して交配させたり……

そのF1を大事に育ててセレクションかけたり……

マーカー遺伝子を基準に変異遺伝子をマッピングしたり……

もうなつかしさが半端ない!!!!!!!!!!!!!!

線虫の研究楽しかったなぁ……とはいえ実際はずぶずぶの沼なのですが。

まぁ何が言いたいかというと、私が線虫の研究で使っていた手法やロジックが、問題Ⅳにはてんこもりだったわけです。生物としての生殖形態も似てるし。

そんなわけでテンション爆上がりで解いてしまいました。公平なジャッジではないかもしれませんが、普通に面白いので良しとしてほしい。

というか今気づいたけど、つまりこの程度の問題を全て線虫に置き換えて出題できるってことだな?お、これは作問できそう……。

 

ということで、名大生物所感でした。

次は東大京大を解くぞ~、あとマッピングの記事も書く!

 

*1:どこの問題だったかは忘れてしまいましたが、イネが通常自家受精するのに、開花前一定時期低温に晒されると交雑率が上がるということについて、品種Xと品種Y(どっちかが純ウルチ、もう一方が純モチ、ウルチが優性)を使って実験するぞみたいな問題があってですね。品種X栽培区から離れた所に品種Yを置くみたいなセットを二つ作って、一方の品種Yは低温処理して、もう一方は放っておいて、品種Yにできたもみを収穫して交雑率を算出するぞという流れで、その場合XとYどっちがウルチ・モチならいいかな?という問題がありました。それも良問だなぁと思いました。

私と夫のあれこれ②

 前回:

i-my-mine.hatenablog.com

引き続き惚気ていくぞ。

案外書いてるとエネルギーだかなんだか良くわからないものを消費していく感がある。何より恥ずかしいので細切れに更新していく所存。 

 

前回のachievement:

友人の紹介でOさん(夫)と会ってご飯を食べて連絡先を交換した。

 

ごはんに行く仲になる

Oさんと初めて会ってから数日経ちまして。

この前の会は楽しかったな~次もやりましょうって言ってたけど本気かな、とかぼんやり思い始めた頃。

突如OさんからLINEが来ました。

「おそばを食べませんか おそばを食べたくなったので。」

一緒に送られてきたURLはなんとも美味しそうなお蕎麦屋さん。

これは食べたい!と思い、すぐにOKしました。美味しいものには目がないのだ!

 

そうしてなんやかんや2回目のご飯を食べることになりました。しかも今回は友人抜きです。

友人抜きだと違ったりするのかな、前回と同じように楽しめるかな、とちょっと不安でしたが、

実際会ったらなんてことはなくて、また楽しく時間を過ごすことができました。

勿論話す内容は「面白いと思っていること」ばかりです。

前回Oさん自身の生い立ち等ほぼ何も知らないままに終わっていたので、そういう話もしました。

Oさんから面白い話が色々掘れそうだな、と思ってめちゃくちゃワクワクしました。

 

この食事会をきっかけに、Oさんからよく食事に誘われるようになり、Oさんとの食事会が恒例イベントみたいになっていきました。

インドカレーだの、豆腐ご飯だの……とにかく紹介されるご飯の美味しいことよ!

お誘いを受ける度に色んな所で色んな食事とお喋りをしました。

大抵仕事の後の夕飯だったのですが、そのイベントがある日は頑張れる気がしました。楽しみだったので!

 

LINEやTwitterでも、時々面白いニュースをシェアするようになっていきました。

Oさんは唐突にURLを送ってくるタイプで、私が興味ありそうなこととかサクッと教えてくれるんですね。URLだけぽいと送ってくれることもしばしば。でもこれが割とワクワクするんですね。

とはいえこの頃はもう全然恋愛っ気なんかなく、純粋に楽しい関係でして……

この時間は貴重だなぁ、こういう時間や相手は失いたくないなぁ、と素直に思いました。

 

 

転機?

ある時、Oさんのお誘いで休日に食事をすることなりました。

食べに行ったのは鉄板で色々焼く系のお店だったのですが、これがまた非常にお洒落なところで、かつ美味しくて。

今までもそうだけど、Oさんは良いお店を沢山知っているんだなぁと思いました。

私はちょっとだけお酒も飲んでハイテンションで沢山喋りました。相変わらずおもしろいと思っていることを話しまくるわけです。

今回の食事も大大大満足でした。

 

ご飯を食べた後普通に別れて、帰宅した頃に、

Oさんから「今日はありがとう」のLINEが。

ついでに少し電話したいという連絡が来たので、なんだろうなと思いながら快諾し、電話をしたんですね。

 

初めてOさんと電話をするので、ちょっと緊張したものの、普通にOさんの声なのでなんだか安心し。

「今日は美味しかったですね~」みたいな会話をして、へらへら笑っていました。

すると、Oさんから「これからもこういう美味しいお店に一緒に行きたいから、今後も付き合ってくれるかな……?」と言われました。

なんで改めてそんなことをお願いされるのかはわかりませんでしたが、

「勿論ですよ!沢山美味しいご飯行きましょうね!」と食い気味に返答しました。

 

 

……この時は私は気付いていないんですが、

実はこれが告白だったらしいんですね!!!!!!

Oさんは「付き合って」を「交際して」の意味で言っていて、

私は「付き合って」を所謂一緒に行ってあげるのお付き合い だと思っていてですね。

 

Oさんは「勿論ですよ!」とか言われるから「ここからは恋人同士だ!それにしてもなんか軽い返事だな」ってなって、

私は「勿論ですよ!」って言って今後もご飯一緒に行くんだ!(ただし恋人とかではない)って気持ちなんですよね!なんでわざわざ頼まれたかわかんないけど確約されて嬉しい!!

 

完全にすれ違っている!!!!!!

後から考えるとめっちゃ面白い。

でもこのすれ違いに気付いたのはここから4ヶ月くらい後になってから。この時点ではお互い何も気付いていません。し、4ヶ月間なんと全く気付きませんでした。

鈍感過ぎるのでは……?と思われるかもしれないけど、だってそんな恋人っぽいムーブとかOさんから感じなかったんだもの……

 

 

 

今回のまとめ:

告白はむずかしい。

 

 

次回はこのすれ違いからの変遷を書く。気が向いたら!