あいまいまいんの生物学

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Netflix版三体を観た

※この記事は三体原作とNetflix版のネタバレをおおいに含みます。

※原作も読みNetflix版も観た人でないと何を言っているかちんぷんかんぷんの可能性があります

 

三体という最高のSFがあります。

現在三体は三体、三体Ⅱ上下、三体Ⅲ上下、そして三体0が出版されており、全てつながったお話になっています。三体0が三体シリーズの前日譚で、三体~三体Ⅲが本編です。ほかに三体Xというものもありますが、これは著者が劉氏ではなく、三体ファンによる同人作品が公認となって出版されたものになります。

私は三体シリーズが大好きで、胸を熱くして読み耽った人間です。三体の分厚さを見て「こんなに長いの?」という人も多いのですが、正直足りません。もっと欲しい。読み始めたら分かると思うのですが、ストーリーというか展開が面白すぎるのです。キャラクターも良すぎる。常にジェットコースターに乗っているような気分で、文章を読んでいるだけだとは信じられないくらいのアトラクション感があります。心拍が変わりっぱなし、感情揺さぶられっぱなし、頭フル回転しっぱなし……みたいな。言葉通り「のめり込む」ような感覚があります。

特に三体Ⅱ!!三体Ⅱの羅輯(ルオジー)という登場人物が大好きなのです!!!どうしてそんなに好きなのか?答えは簡単、かっこよすぎるからです。

この記事をこの段階まで読んでいる方には大いに賛同して頂けると勝手に思っているのですが、羅輯は三体シリーズの中で最重要人物といっても過言ではないと思っています。羅輯がいなければ三体ⅡとⅢは成立しませんし、人間は滅んでしまう。切れ者で、でもか弱い人間で、面倒なことが勝手に寄ってきてしまう体質で、「俺が人間を守る!」みたいなアツさはなくて、等身大の人間の悩み方をしたり、かと思ったらすべてを放棄してしまったり……時に大胆で、時に繊細で、時に気だるげで、そのバランスが最高で!!あぁ、なんて素敵な人物なんでしょう。彼の性格、振る舞い、その他もろもろがすべて好きなのです。

 

 

で、三体最高!!ってなって読み終わっても満足できず、bilibili等で三体動画を漁りまくり、中国語版三体まで購入した私のもとにある日、Netflix版実写三体がくるという情報が来たわけで!!!!!!!これは観ないわけにはいかないですよね。満足度を上げるために敢えて前情報をほとんど入れないように遮断しまして、公開の日を今か今かと待ったわけです。すべては最高の羅輯と出会う日のために……。

 

ということで3/21の17時、遂にNetflix三体が公開されました。

これを観るためだけにNetflixに加入しました。

www.netflix.com

パッと見た時点で「あれ、もしかして舞台が中国じゃないのか?」と思ったのですが、それでもね……羅輯がいないわけがないので!!と思いつつ、早速どきどきしながら視聴を開始……!!!倍速視聴せず、じっくりと、2日間かけて鑑賞しました。

 

ということでここからは自分の、大変個人的な感想を並べていきたいと思うのですが……、

結論から言いましょう。

 

これは三体だけど三体じゃない。

いや本当に。三体だけど三体じゃないんですよ!!!一言で言うならこれしかない。

 

細かく色々言っていきましょうか……。

 

まず演出。これはすごいよ。ここぞという場面に関しては、三体という本を読んでいて頭に浮かんでいた情景が、頭に浮かんでいた以上にリアルに再現されています。例えばVRゲーム三体の様子、例えば船が切られていくシーン……文革の場面も、葉文潔が宇宙と交信する場面もそう。こういう所はすっごく再現度が高くって、本当に……言葉で言い尽くせないほど素晴らしい映像です。こんなに再現度高くできるとは。正直期待以上で、それ故かなり怖くて。でも三体ってそういうストレートな怖さがあるからこそ成立するお話でもあると思っているので、ここをオブラートに包まずストレートに恐ろしく表現したところは素晴らしいと思っています。色んな意見があるとは思いますが。

 

で、ストーリー。これが大改修されておりまして……前情報を断っていたせいで全然知りませんでした。三体~三体Ⅲの内容を組みなおして作られているんですね。その上最初にも触れたように舞台は中国ではなくイギリスとなっております。中国からイギリスに変えたことで今回の三体は成立している、そんな印象すら受けます。すごいバランス感覚で驚きです。国が変わって成立させられるなんて……。

で、ここが一番大事なところなんですが、主人公たち含め主要な人物の名前がすべて変わっています。

変わっているだけならいいんですが、変わっているのに加えて本来三体でいたはずのキャラクターが分割されたり統合されたり……つまりは元々一人のキャラクターがしたことや仕事、行為が二人の人物に割り振られていたり、逆に別の人物がしたはずの仕事や行為が一人の人間の行為にまとまっていたりするんです。これには本当に驚きました。上では羅輯の名前をひたすら連呼しましたが、羅輯以外のキャラクターひとりひとりに自分の思い出というか、三体というストーリーをなぞって培ってきた愛や想いがあります。それが、その人自身の存在が消え、その人がしたことが別の人に配分されているという。最初は戸惑い、「あぁ、これ三体のそのもののキャラクターは消えちゃってるんだ」と気づいたときには物凄く切ない気持ちになりました。もちろん羅輯もいません。羅輯のやったことをしている人はいる、羅輯と同じ悩みを抱え同じ考えを辿る人がいる。でもそれは決して羅輯ではない。羅輯とまったく同じ行為をしているわけでもない(羅輯の役割+別の役割が物語の改修の結果ついてきているので)。この人は誰だ?私が愛した羅輯の「立ち位置」を持つ何者か、完璧に別のもの。それがとても悲しい。

……いえ、物語の改修の仕方や人物への割り振り方は本当に見事なのです。Netflix版三体で活躍するキャラクターたちひとりひとりにまた新たなストーリーがあり、苦悩があり、ちゃんと文脈があって成立していて。それはとてもすごいことです。これだけ元の三体の人物を解体してもちゃんと「キャラクター」として危ういながらも成立しているのだから。感情移入すらできてしまいます。出てくる人たちがちゃんと人間なので。それなのに「あのキャラクターのあの仕事だ」「あのキャラクターのここをとってるんだ」とはっきりわかる。そんな凄まじいことよくできるな、と本当に驚きです……だからこの改修力には脱帽せざるを得ません。

でも、それでも……私は三体のキャラクターを愛していたんです。汪淼を、史強を、丁儀を、雲天明を、そして羅輯を……。愛しきれなかったけれど程心のことだって一人の人間として共感できる部分があり、ともに悩んでいる気持ちになった時もあった。ささやかな役でもその感動や落胆をともにしてきた気持ちがあった。それこそその時代に生きた人々の気持ちや流れみたいなもので感じるものも多くて。なのにいない。ほとんどいない。私の愛した人々がいない。私の過ごした時間の流れがない。

これは間違いなく三体なのに、間違いなく自分が愛し自分が文字を追った三体ではないのです。

本を読んだときに似たアツさ、興奮、恐怖、こういうジェットコースター感が味わえる。素晴らしい再現度だけれど、三体ではないのです……。

 

人物がした仕事を解体されて別の人物に割り振られたとき、そこには何が残っているのでしょうか?そこに羅輯の影はあるのでしょうか。私は一切感じませんでした。羅輯はここにいないのです。欠片もいない、存在がない……。他の人がどう感じているかは分かりませんが、羅輯の「仕事」が、「役割」が垣間見えるたびに心がキュッとなってしまいます。私は三体には羅輯がいてほしかった。紛れもなく羅輯そのもの、その人がいてほしかった。ただのわがままですが。

 

加えて言うのであれば、本の場合は三体~三体Ⅲという順に読むため、それぞれの話を読む時間が被りません。その結果話が一方向で流れていくので面白く感じる仕掛け等もありましたが、Netflix版では同時進行で話が見えるせいでそこは失われているのかなという気もしました。本の三体は見かけ上とても長い(分厚い)もので(実際読めば一瞬なのですが)、その分じっくり時間が進む面もあるのですが(突然飛ぶこともありますが)、Netflix版はなんというかタイパ版といいますか、お手軽三体……という印象も若干受けました。三体のうまいところだけぎゅっと濃縮した感じ。うまいところだけぎゅっとするのが正解なのでしょうか。もっと苦しんで、考えて、じりじり進む技術や全然変わらないように見える世界に対してもがいて、そんな中対照的に光速で向かってくる三体艦隊に歯がゆい思いをして、……みたいな心の動き。科学の死への絶望の深さ。と、そこからどうにも脱することのできないもどかしさと更なる絶望。これも三体の本の面白みであり醍醐味だったんじゃないの?もちろん映像化するにあたって無限の時間は使えないので、切り捨てる等の工夫は必要でしょう。その時切り捨てる対象がそういう有象無象になってしまうのは仕方のないことだと分かっている。わかってはいるけれど三体にはそれが必要だ!と心のどこかで叫ぶ私がいる。

 

そんなわけで。Netflix版三体はすごいし、素晴らしいと思う。三体だとも思う。でも三体じゃないよということで。自分の心の中はそんな感じです。いつまでも受け入れられない……。

もはや別物として自分の中では存在させようと思っています。三体リスペクトの実写作品だと。三体そのものではないのだと。そう思えば普通に素晴らしい作品として楽しんで観続けられる。そんな気がします。あんなジョークで置き換えて、この先暗黒森林の話はどうなっちゃうの??原作をどう改変し、同時にどう再現するのか気になるので、きっとシーズン2も観ます。

 

 

想いの溢れるままに書き綴った文章なので読みにくいところも多かったかと思います。すみません。

ちなみに羅輯を観たい……!という方には前々から言っていますがこちらの同人作品を推したいと思います。中国語だけどすごく、すご~~~くいいです。羅輯がいます。羅輯がいるんだよ。羅輯ファンには観てほしいな。

www.bilibili.com

2024年度大学入試共通テスト追試 生物基礎・生物 所感

本試験はこっち↓

i-my-mine.hatenablog.com

i-my-mine.hatenablog.com

 

追試はすぐ問題でないなぁ……と思っていたらいつの間にかいつもの福島民友新聞さんが出してくれていた。ありがとうございます。助かります……。

www.minyu-net.com

 

答えはここに掲載されている↓

www.dnc.ac.jp

 

 

生物基礎

第1問

Aは2つの細胞小器官を取り出し色々実験し、それに関する問題を解くというもの。すぐわかるが細胞小器官Aは葉緑体、Bはミトコンドリアである。問3では湖表層のpHがどう日中変動するかをグラフで選ぶ問題が出る。この問題は新傾向だなぁと思うなど。

Bはセントラルドグマ。問6は6つ図を出されてどれが転写の正しい図か選ぶのだが、最初どこを見比べればいいか目がチカチカして解くのがちょっと大変だった。

第2問

Aは酸素解離曲線。からの立式。酸素解離曲線は改定後教科書では消えてしまっている内容なので、来年度以降どうなるのかなぁ……と思いつつ。式を立てるのは新傾向的だ。

Bは体温調節。結構ふつう。特に実験とかもないし。知識寄りかな。

第3問

Aは埋土種子の比較問題。ミズナラとシロザの種子の性質を簡単な実験で比較する。これは面白い。結構違うものなのだなぁ。

Bはトキとヒトデも高次消費者なのにどうして生態系への影響力が違うのか?を考える問題。いい疑問ではあり、問題の中でも一応の解が示されるのだが、本当にこれだけの要因なのだろうか……?そもそもトキ再導入前後で本当に生態系のバランスは変化しなかったのだろうか……。

 

 

生物

第1問

哺乳類の卵形成においてミトコンドリアの数が一時的に減少し、残ったミトコンドリアが増殖することでミトコンドリアDNAの塩基配列多様性が偶然の作用により失われやすくなる……という現象について取り上げられている。聞いたことがあるような気もするけれどどこで聞いたかも細かいこともはっきり覚えていない……。

基本的には知識だが問2、問3が分野横断的というか新傾向問題的というか。

第2問

ある昆虫の眼の原基細胞では色素Pが作られる。色素Pは眼の原基で物質1~4を経て作られ、その過程にタンパク質A~がかかわっている。それらの働きを失った突然変異体と野生型を用いて原基の移植実験を行い、移植片である眼の原基が色素Pを合成するかどうかを調べる……という導入。面白い。眼の原基だけ移すと眼の原基の細胞が持つ酵素の種類によって色素Pができてくるかどうかが変わるのが面白い。その上色素Pや途中の物質が宿主から移植片に移動するかどうかを考えないと結果がうまく読み解けないのもまた面白い。題材も目新しいし新傾向、といった感じ。〆の問題は遺伝。遺伝ちゃんとやらないとだめねぇ。

第3問

イネの野生型とタンパク質A突然変異体にジベレリンを与えてみるよ、というもの。その結果からタンパク質Aの働きを推測したり、ジベレリンに関わる受容体Rの変異体の挙動を推測したりする。大変シンプルな問題系だが受容体等生物の体内での情報伝達の仕組みをちゃんとわかっているかどうかが測れるいい問題だと思う。最後は仮説検証のための実験を考える(不適切なものを選ぶ)もので、これも新傾向だなぁと思うなど。

第4問

ミツバチの八の字ダンスと円形ダンスの問題。ワーカーがどのように飛行距離を知覚するかを調べる実験が提示される。縞模様を使ってやるのだが、「視覚なんだなぁ」「こんなきれいに結果が出るんだなぁ」と普通にびっくりした。そんな制御でちゃんとやっていけるのかい?と不安にすらなった。でも自分もなんの視覚的目印がない場所に入れられたら直線何m歩いたかなんてわからなくなっちゃうかもな。

第5問

生態系と物質生産の問題。最初の2問は知識、グラフ読み取り&考察なのでサクサクいける。

3問目から海水の物質生産を調べるために色んな温度、Fe添加orNOTでクロロフィルの量や海水中Nの量を調べる実験に入る。鉄があるとクロロフィルの量は増え(=植物プランクトン数が増え)、N消費が早くなるらしい。どうしてなんだろう。

ちなみに鉄を加えると海水中プランクトンが増える話といえばマーティンの鉄仮説だ。栄養塩類が十分あるはずなのに見合ったプランクトン数がいないHNLC海域において、鉄が頭打ちの原因になっていると考えて、検証のため鉄をまいたら増えた……というやつである。

http://www.metsoc-hokkaido.jp/saihyo/pdf/saihyo52/saihyo52-056.pdf

sci.kyoto-u.ac.jp

第6問

地球大気の変化と光合成をおこなう生物の進化について。最初は普通の問題だが、途中で色んな光合成生物のルビスコ活性のグラフが示され、それをもとに色々考えるものになる。植物のルビスコ活性ってこんなに違うのか、と驚いた。各光合成生物が出現した時期の大気中CO2濃度がルビスコ活性の最大値になる……というのが部分的にでも成り立っているならかなりロマンだけど、実際本当にそういう理由なのだろうか?(問題だと藻類はそれが成立していると言われているが)もっと違う要因でルビスコ活性が決まっている気もするけれどどうなんだろう。

 

完走の感想

教科書では見ないような新規題材が適切に使われており、面白い問題もあり、新傾向的問題もバランスよく含んでおり、良い問題だったと思う。自分の中で過去1面白いのは紛れもなくお茶会バソプレシンお嬢様だが。そのせいかそこまでの凄い興奮みたいなものはなかった。冷静に淡々と楽しんだ感じ。

個人的には生物基礎では埋土種子、生物では昆虫の眼原基とハチのダンスが好きだった。

あと生物に関しては本試よりも追試の方が簡単だったんじゃないか?と思う。捻りがほとんどない、というか……。考える問題にはなっているけれど、生物本試の方がより考える問題になっていた気がする(答えが本当にひとつに定まるか怪しい問題もあったが……。)。追試と本試で解きごたえが違うようになるのはよくないと思うので、その辺は是正されるといいなという気がする。

2024年度入試問題 生物 所感まとめ

東京大学版はこちら↓

i-my-mine.hatenablog.com

 

 

タイトル通り、毎年恒例のぷち大学入試全国行脚を慣行した。良い問題あり悪い問題ありでこのアツい気持ちを新鮮な内に放り出したい。ので放り出す。

あまり詳しい分析や解き方などは期待しないでほしい。

 

 

北海道大学

例年と変わらぬ雰囲気。

大問2

土壌中の無機窒素化合物は不均一分布だけど、それに対して植物はどういう風に応答し対処するのだろう?根を左右で分けて違う条件にさらす「根分け」実験をしてみよう!というやつ。この題材はまぁぽろぽろ入試問題で見られるとはいえ、毎回見る度に植物偉いなと思う。問2-2で

次の(A)~(D)を分子量が小さい順に記号で答えよ。

(A)100アミノ酸が連結してできたタンパク質

(B)グリシン

(C)100ヌクレオチドが連結してできたRNA

(D)ATP

という問題が出てきて一瞬びびった。

接ぎ木実験も行い、どのタンパク質が地上部や地下部で必要かを考えるところまで発展させている。パズルチックで楽しい。

大問3

前半は非還元性配偶子について。非還元性配偶子ができるパターンふたつについて紹介をされ、それを活かして考察をする。非還元性配偶子について授業ではめちゃくちゃ詳しくはやらないだろうから、こういうところで勉強できるのはいいなと思う。

後半はまた木原均先生だ!北海道大学といえば木原均、木原均といえばパンコムギ。北大受けるってなったら絶対勉強しないといけないのではないか?というレベルで入試問題に登場する。

大問4

これは面白い問題だった。スズメにパンをまくと、どういう風に撒くか&パンを最初見つけたのがオスかメスか、によって集合声を発するかどうかが違うというものだ。細かくくだいた場合と塊であげた状態では声の発し方が異なる。なるほどそりゃそうだよな、と言われてみれば思うけれど言われるまで考えたことがなかったので非常に興味深かった。ちなみに細かく砕いた方が集合声を発することが多くなる。面白い行動だなぁ。

昔イヌにおやつをあげようとしたとき、「イヌは餌のサイズは気にしていないが個数は気にしているので細かく裂いてあげた方が満足度が高い」ということを誰かに言われたことがあり、未だにそれが正しいのかウソなのか分からずにいるが、今回の実験に少し通じるところがある気がする。動物によって数の概念とか量の概念とかって違いそう。餌を何にするかによっても違うのかな?

 

東北大学

めちゃくちゃバランスがいい問題だった。

大問1[Ⅱ]

生物はグルコースを解糖系で分解するが、逆にグルコースを合成する反応もやっていて、ひとつの細胞内で同時に行うことの意義を考えようという問題。良い。一見意味不明な反応の必要性が分かるのがいい。心地よい誘導でそれもまたよい。

大問2問(2)

エキソサイトーシス制御について調べるために実験系を組み、考察するというもの。純粋に見たことがなかった系だったので「へぇーこんな系でできるんだ」と勉強になった。ちなみにこんな系だよ。

  1. 細胞(物質Xを含む小胞を持つ)を細胞質基質に似た溶液中に懸濁する(ただしタンパク質はなく低Ca2+濃度)
  2. 試薬を用いて細胞膜のみに小さな孔を作り、細胞質基質のタンパク質やATPを濃度依存で拡散させて細胞内濃度を薄める
  3. 調べたい薬剤や物質が含まれた溶液を加え、Ca2+溶液を加え、30℃加熱し1分後に反応を止め、細胞を取り除いた後の溶液中物質X濃度を測定する

この大問中に含まれる問(3)で、唐突に「平均的な体格の健康なヒト成人の空腹時の血しょう中に含まれるグルコース総量を概算せよ」と問われてちょっとびびった。与えられる値は

  • 心臓の左心室は一回収縮あたり約60mLの血液を大動脈に送ること
  • 安静時1分間に心臓が送り出す血液量は全血液量と同程度であること
  • 血液の体積約50%は細胞成分が占めること

だ。ヒトの血液が5Lくらい、その半分が血液で血糖値は100mg/100mLを知っていれば概算はできるが、導き方はこれでいいんだよな……?一個目の情報を使うとしたら、1分間の心拍の大体の値を知っていて総血液量を概算するという感じか?なんだか若干不安になる。

ちなみに問(5)ではインスリンが51アミノ酸からなるが分子量はどれくらいかという問題も出ている。1アミノ酸を大体分子量100で計算すればいいだけだが、この値も覚えることが必須なんだなぁとしみじみ。

大問3

個人的にはこれが一番推し。ライオニゼーションの仕組みを活用した探求問題だ。設定としては

  • 軸索の突起の退縮は突起を取り囲む複数の細胞が出す特定タンパク質を神経細胞が認識することが引き金となる
  • X染色体上にある遺伝子Pを欠損すると退縮せずに長いまま突起が残る
  • 遺伝子Pは退縮する突起側の細胞と周囲の細胞、両方に発現しておりどちらで遺伝子Pが働くことが退縮につながるのか不明

という状況だ。そこで遺伝子PとGFP遺伝子をX染色体上で連鎖させて、GFP遺伝子なし突然変異遺伝子PもちX染色体とのヘテロメスマウスを作成すると、そのマウスの中では遺伝子Pを発現している細胞が蛍光を発し、そうでないものが蛍光を発しないという可視化が可能になるのだ。すると

  • 軸索が退縮しない突起側の細胞はどれもGFPを発現していない
  • 残っているどの突起もGFP発現細胞とGFP非発現細胞両方に囲まれている

という観察がなされ、結果軸索側で遺伝子Pが働くことが退縮に必須だと判明する……というまい!巧みすぎる。賢い。

何がいいって最後の問(7)がまた良い。X染色体上にGFP遺伝子+遺伝子Pのオスマウスと、GFP+遺伝子PのX染色体と突然変異遺伝子PのX染色体をヘテロでもつメスマウスをかけ合わせ、その子供から遺伝子P欠失変異とGFP遺伝子両方もつメスマウスを選んで実験に使おうとすると指導教官から「だめ」と言われるのだ。なぜ?というもの。いいね。見かけに騙されちゃだめだよ。ちゃんとそれがわかるのがいいよね。本質を理解できているか問えていてとてもいい流れだと思う。

 

 

名古屋大学

相変わらず腑に落ちない問題が出る。

大問Ⅰ

プラスミドのセレクションの話からのクロラムフェニコールの副作用の話。クロラムフェニコールの話は最初聞いたとき「めっちゃおもしろい!なるほど!」と思ったなぁ。今はもう既知なので感動があまりないが……。

大問Ⅱ

とあるシグナル分子XとYはどちらも細胞増殖のために必要な酵素Aの活性化等を生じさせるはずなのに、X投与では細胞増殖が起こるのにY投与では起こらないよ。どうして?というのを探求するという問題。リン酸化動態みたいなものが見られて題材は結構面白い。

大問Ⅲ

植物の道管が作られるまでの過程と、それについての実験。こんな感じで進んでいくんだな、という面白さはある。あまりすっきりしないところもあるが。

大問Ⅳ

トカゲの移入等の話なのだが、最後の問題に違和感しかない。「トカゲCからトカゲBへの間接的な負の影響」のサイズはどう判断すればいいのだ?変わらない、という風にも判断できそうだし、小さくなる、という風にも判断できそうだし。うまくまとまりきらないけれど、これは問題がある気がする……。

 

大阪大学

訂正が多すぎてびびったし、問題が消えたり完全に変わったりしていてびっくりしてしまった。何?

[1]

制限酵素で切断する箇所を見つけるのがあまりにも面倒すぎて辛い気持ちになった。受験生だったらやってられないぞ。とはいえSNPによってサイトカインAの動態が変わるのは面白いし、それが細胞質内輸送や細胞膜外部分切り取りなどの過程に落とし込めるのも結構面白い。と思う。

[4]

ハタネズミのオスのメスに対する選好性、絆形成についての実験。皮下にポンプを埋め込んで連続的に脳内に物質を突っ込んであるはずのない絆を形成させたり消したりするのほんとにこう……。

 

京都大学

ステムループ構造、リボスイッチ、ウッ頭が……。現象としてはもちろん面白いのだけれど。

問7ではショウジョウバエの分節遺伝子が出題された。東大でも出題されてたのに京大でも!?!!?人気!!!?!?!?なぜ!!!?!?!?!?!?!?

 

(B)の島ごとのコオロギ変異の話が面白い。メスを誘引するためにオスコオロギが鳴くはずだったのに、諸島に移入後鳴かないオスという変異タイプが出現して、島ごとにその割合が違うんだって。その挙動とかを実験で見ながらいろいろ考察していくわけだが、変異コオロギの戦略がなかなかよかった。

 

褐色脂肪細胞じゃん!!!!!うれしい。褐色脂肪細胞好きなので。

実験も面白かった。褐色脂肪細胞へのグルコース取り込みってこうやって調節されてるんだな、って勉強になった。

 

九州大学

[3]

問2、またもショウジョウバエの発生!!?!?!?!?!?どうして!!!?!?!?!?!?!?流行ってる!!!?!?!?!??!?!?!?!?!?なに!!?!?!?!?!?!?

 

慶應義塾大学看護

[Ⅰ]

一遺伝子一酵素説のよく見るやつの応用ver。パズルチックで楽しい。

 

[Ⅱ]

問6がおすすめ。いわゆる「結合するタンパク質があると電気泳動のバンドが変わるよ」のやつなのだが、抗体とどういう風に結合しているのか等考えるので楽しい。

 

[Ⅲ]

ニューラルネットワーク遺伝的アルゴリズムについて紹介したリード文。わぁ、と思ったけれど中身はなんというか……情報処理ゲー?でも楽しいからよい。こういうものがある、という紹介だけでも意義があるもんね。

ちなみに問5では人間の質問にAIが答えるやりとりがあり、間違って答えられた文章を直す……というくだりもある。なんとタイムリー(?)な……。AIに頼り切らない、大事だね。

 

慶應義塾大学

酵素Xは2量体×2で形成されるが、一塩基多型によって生じる別のタンパク質が混じった四量体はどういう性質を示すだろう?というのを探求していく問題。ミカエリス定数が出てきてうぉっと思ったけれど凄まじいものではなかった。

核の大きさを規定する要因を探そうぜ!というもの。色んな大きさの空間に突っ込んだり、いろんなものの阻害剤を入れたりモータータンパク質を与えたりする。楽しいし面白い。そういう風に決まるのか~と素直に勉強になった。

マツカサウオに住む発光バクテリアと同じ菌(ただし系統が違う)を住まわせる小型発光イカについての問題。そもそもイカの存在が面白い。し、発光バクテリアが発光器になぜいるか?という疑問に対する答えが見えてくるのが面白い。海水中の発光バクテリア濃度が一日の中で変化しているのもすごく良くて、「こんなことしてるんだ」と感動した。完全に知らない話だったので非常に興味深かった。

2024年度東京大学入試問題 生物所感

前期終了!受験生の皆様お疲れ様でした!!!

東大の問題はすぐ出るからありがたいね……!!!!下のリンク先で見ることができます。ぜひ解こう。

www.sankei.com

 

 

概要

大問数は例年通り3問。

論述の量……はあんまり変わらない気がするけどどうなんだろう。はちゃめちゃ難しいことは聞かれていないと思う。

今年の問題は(当たり前だろ!というツッコミは置いておいて)リード文をちゃんと細かい所まで注意して読んでいないと、問題を解く時に細かい所で躓く感じの構成だったな~と思った。「ここがfixされないと答えが定まらないんだけどここについて書いてあったっけ……あ、書いてあるわ」みたいなことが何回かあった。情報の取捨選択がうまくできていないのかもしれない。自分の衰えか……。

例年通り基本は美しい問題群。解けるのでね。題材も良いと思う。でも生物学全然知らない人に「東大の問題面白いよ~!」って紹介はしにくいかも。あまりにも前提が長すぎて……。生物学やってる人にだけ分かるおもしろさかもしれない。

 

各大問ごとの所感

第1問

I RNAポリメラーゼの種類とリン酸化による挙動変化

RNAポリメラーゼのCTDで2番目および5番目のリン酸化がなされることでRNAポリメラーゼの挙動が変わるよって話。で、実際どう変わるの?どういう順で転写は進行していくの?というのを実験を通して考えるというやつ。

最初の方ではRNAポリメラーゼの種類と各々の役割の違いについても触れている。大学で勉強するやつだ。

……入試問題としての既視感はないけど、この記事知ってるなぁ……ってなるやつだ。RNA PolⅡ-CTDでしょ?これじゃん。これを読もう(読まなくても解けるけど)。

https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/10/82-03-07.pdf

しかも最終問題はRNA PolⅡの液-液相分離?これじゃん。

seikagaku.jbsoc.or.jp

ということで今話題の(?)最先端研究領域でもある(?)RNAポリメラーゼⅡ-CTD修飾と、液-液相分離について組んでくるというハイインパクトな1問目。うーん、しびれるぜ……。ある程度生物学を齧った人間や流れを追っている人間なら「あ~そんな話もあったな」とか思いながらサクサク読めるんだろうが、受験生は一体どれくらいのスピード感でこの知識みちみちの文章を読めるんだろうか……。(というかそもそもRNAポリメラーゼが一時停止するとかしないとか、その時点で受験生的には???なのではないか。一時停止なのかバックなのかの議論はおいておく。)

 

とりあえず問題そのものに戻る。上でも言ったようにRNAポリメラーゼのCTD領域のリン酸化と挙動の関係性を調べるために、実験をやっていく。

てことで実験1への導入が始まるのだが、いきなりChIP-Seqをサラッと、さも当然のように実験手法として突っ込んでくるあたり強い。

ChIP-seq法
クロマチン免疫沈降法 (chromatin immunoprecipitation: ChIP) と次世代シークエンサーを組合わせた新技術.免疫沈降で回収したDNA断片に,機種に応じたサンプル調整を施し,超高速シークエンシングを行う.ヒストンメチル化などクロマチン構造変化のエピジェネティックな修飾や転写調節因子(DNA結合タンパク質)のゲノム上での結合部位を,ゲノムワイドかつ網羅的に解析することができる.マイクロアレイを利用した従来のChIP-on-chip法と比べ,1回のランで全ゲノムを対象とした膨大な量の解析が行えるため効率がよく,さらに感度,解像度ともに優れている.

引用元:

ChIP-seq法:バイオキーワード集|実験医学online:羊土社

 

正直上の引用文よりも、問題文の中での説明の方が分かりやすい気がする。

結局やってることは

目的:RNAポリメラーゼⅡがどの位置にどれくらいいるかを知りたい!

やること:

RNAポリメラーゼⅡ用の抗体を作る→

抗体を使って核内にいるRNAポリメラーゼⅡを回収する→

RNAポリメラーゼがくっついてるDNAの配列を全部次世代シークエンサーで読んで集計する

って感じ。で、それを2番目セリン(Ser2)リン酸化RNAポリメラーゼⅡ用抗体と、5番目セリン(Ser5)リン酸化RNAポリメラーゼⅡ用抗体も用いてやるよと。するとリン酸化の様子によってどの位置にどれくらいいるかが分かるわけ。それがエンハンサーYというやつが働いているときと働いていないときで並べて提示される。グラフを見て何が起こってるかを判断する。

実験2では薬剤を使い、2番目または5番目のリン酸化を妨げる。その結果が記述されている。

実験3ではリン酸化されていないCTD領域をちぎってくると、液滴が見えるよ!という。Ser5をリン酸化する酵素BとATPをそこに突っ込むと液滴が消失するよ!という。液-液相分離!!!はい。知っていればタンパク質が「散!!!」する様子が想像できるんだろうけど。

 

では問題に突入。

Aは適語補充。rRNAは核小体で転写されることを忘れるなかれ。ちなみにrRNAの合成に関わるRNA Pol Iも液-液相分離があって、その振る舞いが遺伝性疾患に関与しているらしいと最近わかったんだよ、とせっかくなので紹介しておく。

www.nig.ac.jp

 

BはrRNAとtRNAの役割の記述。簡単すぎる!ボーナス問題!!

Cは実験結果を踏まえてRNAポリメラーゼⅡの転写過程の反応順序を考えましょうというもの。リード文をちゃんと読んでいれば、最初リン酸化されていない状態でプロモーターに呼び込まれることは明記されているので(2)が一番最初にくることは自明。あとは実験1の結果と実験2の結果をかみ合わせて考えればオッケー。

DはエンハンサーYがどうやって遺伝子Xからの転写を促進しているか考えて記述するもの。エンハンサーYがいないと明らかにRNAポリメラーゼⅡが転写領域に進行できていないので、ここの尻たたき、つまりはSer2のリン酸化を促しているのだなぁということが導ける。

Eはどうしてプロモーター近傍でRNAポリメラーゼⅡのピークが見られるか考えよう!用語を用いて記述してね!というもの。律速段階という言葉がもう答えをほぼ言っている。

FはエンハンサーYが働いてるところにSer2リン酸化酵素をストップさせる薬を入れたらRNAポリメラーゼⅡとDNAの結合状態はどうなるか考えよう!というもの。今まで正しく読めてたらまぁ問題ない。

GはCTD+Ser5リン酸化酵素だけだと(つまりATPいないと)どうなる?というのを理由付きで記述。リン酸化のためのリン酸を得る場所もエネルギーを得るもともないからリン酸化起きない。よって液滴のまま。リン酸化にはリン酸が必要というこのイメージ、受験生はちゃんと持っているんだろうか……?

Hは実験3の結果を踏まえて、転写開始前~転写開始点の一時停止の過程でどういう風にRNAポリメラーゼⅡの存在様式が変わりそうかな?という記述問題。Ser5がリン酸化されれば散!するので、集合→散!になるよね。

 

Ⅱ マウス胚肢原基におけるSHH発現とエンハンサーの関係

RNAポリメラーゼⅡつながりでマウス胚肢原基の遺伝子S活性化とそのためのエンハンサーZの話なんですが……、ウオォこんなの何も隠しきれてない頭文字やないかい!!!Sonic hedgehog(Shh)とZRSエンハンサーやないですか!!!発生好きなのでね、反応しちゃいますよね……へへ……。

とりあえず肢原基での遺伝子Sの転写活性化にはエンハンサーZ(ゲノム上では遺伝子Sから離れている)が必須で、これが欠損すると遺伝子Sの発現が消えて両手足のないマウスになるよと。そうですね。素晴らしいですね。

実験4ではエンハンサーZを色んな生物と入れ替えてみるということをしています。ニシキヘビエンハンサーZと入れ替えると、そのマウスは遺伝子Sが発現しなくなるんだって!ニシキヘビ、足ないもんな。そりゃそうなんだけど、エンハンサーZが関係してたのか……。で、配列見てみたら一部塩基配列がニシキヘビでは欠損してるよとな。ちなみにこの話の元論文はこれかな?と思う。↓

https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674%2816%2931310-1

実験5ではエンハンサーZの転写調節因子F結合部位で点変異が生じると、遺伝子Sの異所的発現が見られて多指症につながるよということが述べられている。

実験6は逆に無手足症の話で、ヒトの無手足症の細胞を解析したら遺伝子S、エンハンサーZは変異してなかったんだって。でもエンハンサーZ近傍のDNA領域(タンパク質G結合部位を含む)が特異的に欠損していて、かつ患者ではエンハンサーZと遺伝子Sの近接状態が低下していたよという。

正直リード文だけでストーリーがありありと見えて面白い。発生って楽しいなぁ……。

 

では問題へGO!

Iはニシキヘビ由来エンハンサーZを持つゲノム編集マウスの表現型を答えるもの。問題文読んでたらわかる。

Jは遺伝子Sの発現制御と手足形成における転写調節因子E結合部位の機能を実験的に検証するためにどういいう実験を組みますか?というもの。ニシキヘビ由来のエンハンサーZ持ちマウスにマウスのE結合部位配列を突っ込もう。なんだか結局マウスがもとに戻っていっている気がするのは気のせいか?まぁでもこうするしかないもんな。

Kは実験5の結果解釈。

Lは実験6の結果解釈。タンパク質GがDNAにくっついて、DNAをぐにゃってして、エンハンサーZと遺伝子Sが近づいて、転写が起こるんだね。

 

ということでⅠもⅡもいい問題だったな。Ⅰは盛りすぎでは?受験生がさらさら読めるのか?とは若干思ったけれど……。でもChIP-Seq法みたいな、「高校生の知識でも理解しようと思えばできるけど馴染みがない、でも理解するとおぉ~それを活用してそんなことできるんだ!とちょっと感動する」リアルな実験手法を活用してくるのはいいなって思う。なにより毎回思うけれど、東大はその手の実験導入がとても上手で、説明や持っていき方、使い方がとても巧みだなと思う。素人では受験生に対して馴染みのない実験系を、無理なく、スマートに、最小限で、しかもわかるように導入し、それをメインとせずに《活用》して問題を解かせるなんて中々難しい。というか無理。私なら無理だ。だからそういう点で東大ってやっぱりすごいなといつも思ってしまう。そこを声を大にして褒め称えたい。東大の作問はすごいぞ!

で、題材が最先端であったり、話題のものであり、しかも高校生の生物学の延長線上だけれど初耳だったり、少し発展的だったりする、驚きを伴う知識が乗っかってるのがまたよい。この問題を解くだけで勉強になるんだからすごいや。ちゃんと解ける問題で構成されているところも言わずもがな。すごいよ。

 

 

第2問

Ⅰ 花芽形成と光・温度条件

花芽形成をするためのフロリゲン合成は日長以外の条件も使ってるよ~というリード文。そうだね。

実験1ではシロイヌナズナを実験室内と北半球野外とで栽培したらなんだか花芽形成の様子もフロリゲン量の変化の仕方も違うので、野外環境を参考に温度や光条件を変えてみたら野外の状態を再現できたよ!というもの。温度を一定値から波打つように変え、光条件では740nm付近の光の強さを上げると合うという。お見事だなぁ。逆にこれだけで再現できるのすごいな。

実験2は光受容体Xの変異でフロリゲン発現の様子が変わるよというもの。しかも全部が影響を受けるわけじゃなく、特定のピークだけが大きく影響されるという。面白いね(面白いしか言ってない気がする)

 

問題に突入!

Aは適語補充。栄養成長と生殖成長、東大レベルで聞かれると「本当にこれで合ってるよな……?」って少しどきどきしちゃう。大事な用語ではあるんだけども。

Bは短日植物と長日植物を選ぶやつ。教科書レベルなんだけど地味に難しい。ちゃんと覚えようね。

Cはフロリゲンの性質として正しいものをすべて選ぶやつ。すべて選ぶは毎回ちょっと気構えしちゃう。今回のは簡単でよかった。

Dは(このブログでは上でもう言っちゃったけど)野外条件に合わせるために実験室の条件をどう変えたの?というのを述べるやつ。

Eは実験1を見ながら、野外でのフロリゲン発現制御について温度条件と光条件に着目して説明するというもの。私は地味にここがきつかった。どう記述したらいいんだ?と思いそのまま書いたらそのままでよかったらしい。制御、とかいうからもっとなにか書かなきゃいけないのかと思ってしまった……。

Fは光受容体Xなにものでしょう?というもの。740nmの波長の光、と言われた時点でフィトクロムの気持ちになる。加えてそのほかの被子植物光受容体をふたつ答えなければならない。私はフォトトロピン、クリプトクロム……かな。

Gはフロリゲンの発現制御について実験1,2からわかることを全部選ぶというもの。また全部!全部は怖いよ。数を絞ってくれないか?まぁでも今回は絞りやすい選択肢だからいいか……。

 

実験3はハクサンハタザオを使って春化の仕組みを調べるというもの。ハクサンハタザオを北半球の野外で育てて、遺伝子Yの年周期での発現量を追いかける(日長と気温も)。見事にすべて同じペースで波打っている(位相はずれている)のがすごい。

で、問のH。遺伝子Yの発現量と気温変化の関係性と、それによるフロリゲン発現制御について考察して述べる。気温に遅れて遺伝子Yの発現量は増減し、少ないとフロリゲンを誘導することがグラフと文章から読み取れる。

Iは結局春化ってどうハクサンハタザオの花芽形成に役立つの?というもの。また全部!!!!!!!!!!!!!全部やめてほしいな。

 

Ⅱ 異なる緯度での花芽形成と品種開発

異なる緯度だと日長が違うし温度も違う、日本だと夏の長さも違うから困るよね!?ということで、北海道のイネ品種として適切なものと本州のイネ品種として適切なものは実は違う、という話。そりゃそうだよな。よく考えたらそうだよなとなるけれど今まであまり考えたことがなかった。

で、実際には光周性による花芽形成のタイミング制御に関わる遺伝子の突然変異体が品種として選抜された例が複数知られているそうな。へぇ~。で、とある品種Zについては、2つの遺伝子の機能が失われていると。品種Zの祖先品種Wでは2つにくわえてもうひとつの遺伝子の機能が失われていると。よって品種Zを作る際に1つの遺伝子だけが野生型遺伝子に置き換えられたっぽいぞという話が述べられている。

Jは適語補充。北海道の夏の日長の長さが本州より長いか短いかが分かれば大丈夫。だと思う。

Kは減数分裂第一分裂で特有の過程を選ぶもの。まぁ知識だな。

Lは祖先品種Wのような複数遺伝子機能欠損変異体をどうして選抜できたのだろう?という理由として適切なものを選ぶ問題。また全て!!!!!!!でも合理的に考えれば絞れるのでよい。受験生はイネが自家受精であることを知っているのだろうか?

Mは品種Zを作るときにどういう経過をたどったのか考えるというもの。結局は交配過程について述べるよう要求されているだけなので、F1をどのかけ合わせで作るかちゃんと述べて、F1自家受精の中でホモ接合体を選ぶことを述べればよろしい。

Nは交配育種でどんな遺伝子でも自在に組み合わせられるわけではない、という。どういう条件だと難しくなるか?というもので、結局は目的とするふたつの遺伝子がしっかり連鎖していたり、乗換えすらできないほど対立遺伝子間配列が似ていなかったり、対立遺伝子の組み合わせが生存不利だったりしたらだめなわけで。それを選ぶだけ。終了!

 

そんなわけで第2問は植物尽くしだったわけだが、後半は品種開発という実用的な話に向いて中々良い問題構成だった。スタート地点も学校では中々掴みにくい活き活きとした植物のフロリゲン合成変化の様子が見られてよいと思う。日長条件だけ同じにすれば絶対同じ結果になる、と思っている受験生も少なくないだろう。そんな中で温度を波打たせる重要性や、光の中身(どの波長が入っている必要があるか)に言及するのはとても「リアル」でよいなと思う。問題もそこまで難しくなかった。

 

 

第3問

Ⅰ 神経管の分化とタンパク質濃度勾配

え!!?また発生でいいんですか!!!?!?!?うれしい。発生好きなので……。

ということで第3問のこの問題では神経管とタンパク質濃度と分化のお話が述べられている。脊索から分泌されるタンパク質Dの濃度に従って、神経管の細胞が遺伝子A発現細胞、遺伝子B発現細胞、遺伝子C発現細胞に分化する。

実験1は上で言ったことを確認するための実験。

実験2は野生型マウス胚で遺伝子Aを欠損させたり遺伝子Aを強制発現させたりして、遺伝子Aと遺伝子Bの発現細胞の分布がどうなるか見るというもの。

実験3は神経管を切り出して、培養皿で異なる濃度のタンパク質Dに異なる時間浸すことでどの遺伝子発現細胞がどれだけ現れるかを観察する。加えて遺伝子Eからできるタンパク質Eがタンパク質Dと結合する受容体タンパク質らしいので、それをRNAiで減らした状態で異なる濃度のタンパク質D存在下での24時間培養結果を見る。

 

Aはニューコープの実験を説明する問題!過去の実験を理解していることは本当に大事。ニューコープ、ちゃんと勉強しておきたい。

Bはショウジョウバエの発生で体節形成時に出てくる3つの分節遺伝子の名称と順序を書き出すというもの。受験生覚えているのか……!?ギャップして、ペアルールして、セグメントポラリティーですよ。どういう順で体節を作っていくかのイメージがあれば名前とリンクして覚えられる気がするけれど。

Cはリード文の穴埋め。簡単。

Dは実験1からタンパク質Dと遺伝子A、B、Cの関係について正しいものを1つ選ぶ!1つ!!ありがたい。しかも簡単。

Eは実験2から遺伝子A、Bの関係考察して正しいものをすべて選ぶ。こっちが1つの方がよかった。なぜこっちがすべてなのか。

Fは実験3の結果からタンパク質D濃度と培養時間の関係、それに伴うどの遺伝子を発現するかのグラフとして正しいものを選ぶ。冷静にグラフの値を読み取れば選べる。例えば培養時間36時間でタンパク質D量が1のとき、遺伝子C発現細胞は0%になることがわかる。ここから(3)はおかしいと分かる。みたいな感じで、サクサク見ていけば絞ることができる。大事なのはどの値をチェックすると早くグラフの判別ができるかに気づけることだ……。

Gはタンパク質Eについての考察。読み取るだけ。

 

Ⅱ カドヘリンと細胞選別

神経管といえば細胞選別だもんね!(いや別に神経管以外でも細胞選別はもちろんいくらでもあるけれども)ということで細胞選別の話。

実験4で神経管の遺伝子A発現細胞、遺伝子B発現細胞、遺伝子C発現細胞を色んな組み合わせでくっつけて、その細胞間の接着力を測定する。測定方法の説明が大変面白い。ガラスピペットで綱引きして、細胞間の絆が勝つかどうかを見るんだと。単純な系でいいね。

実験5では細胞接着に関わるタンパク質F、Gをいじる。欠損させたときの接着力を測定する。

 

Hでは調べたい遺伝子の発現を追うために、目的遺伝子の翻訳領域の下流側にGFPをコードする遺伝子をつなげて細胞に導入するって方法があるよと紹介しつつ、それをするときに何を気を付けて融合DNA配列を作る必要があるか?という問題。普通に考えれば大丈夫。

Iはカドヘリンについての説明文に適語補充。

Jは3つの細胞で接着力測定したらどういう結果になると思う?というもの。普通に考えればできる。

Kはタンパク質F、Gのはたらきについて述べた文として正しいものをすべて選ぶ。最後まですべて……でもこれは簡単な方なのでよかった。

 

 

ということで第3問「も」私の好きな発生分野だったのでうれしい気持ちになった。実験内容自体はそこまで新規のものではない。脊索から出るタンパク質の濃度によって神経管が分化することは頻出題材だし(たぶんこれもShhタンパク質だよな?それとも別のタンパク質なんだろうか……)、カドヘリンの細胞選別についても授業で扱う上によく知られているもので、入試題材としても時々見受けられる。しかしそれらが発展的に掘り下げられ探求されているという点で一味違う。し、遺伝子Aと遺伝子Bの関係性を取り上げることや、濃度と培養時間のグラフ(問F)で整理するところなどはよい発展のさせ方で好ましい。楽しくて、頭を使えて、学べる。なんと素晴らしい入試問題だろうか……(感嘆

発生は、いいぞ……。

 

 

 

総評

今年も素晴らしい入試問題だった。

まず何より「解ける」ということ。これが素晴らしい。答えがバシッと決まるのは神。しかもこの複雑さで?信じられない。

次に題材の良さ。上でも述べたが、最先端だったり、話題のものだったりを無理なく持ってくるのがすごい。授業で勉強したことを用いて、授業以上に踏み込んでいけるのがすごい。感動があり、学びがあるのがすごい。ちゃんと探求できるのがすごい。

なによりちゃんと現場で使われている、しかし受験生に馴染みのない実験手法をしっかり使っていくところ。これがすごい。説明力がすごい。理解させるのがすごい。使い方がすごい。なにもかもすごいしかない。

 

今回の問題は、今までももちろんそうだけれど特に「色んなものがかみ合わさって生命現象が作られている」ということを強く感じさせる問題だった。

遺伝子同士、タンパク質同士の局所的な関わり方を抜き出すと抑制、促進、結合、解離……などの単純な働きでしかないものが、複数関わることで複雑に絡み合いながら生命現象を織り上げていく様子はとても美しい。し、それを体感させる入試問題もまた美しい。

正直登場人物が多すぎて&色々絡まりすぎて受験生は辟易するのだろうが、それでも東京大学の処理の仕方は比較的良い方だと思う。普通、これだけの登場人物を絡めて問題を美しく作り上げられない。加えて複数の登場人物が出てきたら、もっと面倒くさく、読みにくく、わかりにくい問題文になってしまうのが当然だ。並の人間にはこれだけの登場人物を整理し、問題として組み上げ、段階的に解き手を導いて高みに、最終目標に近づけていくことはできないのだ。それを可能にしているという点で、東京大学の入試問題には芸術的な美しさを感じる。

また、液-液相分離などの概念は生物学を専門に学び始めた者もハッとさせられる、結構印象的な概念だと個人的には思っている。ただのタンパク質の動き、とかではなく、液滴を作ることで局所的な化学反応の場を作ったり、挙動を制御したりする……そうか、その手もあるのか、というハッと感。私は初めて学んだ時それを感じた。もちろん液-液相分離について色んな議論があることは知られているが、「こういう制御もあり得るんだ、確かにできるよな」というコロンブスの卵的な考えとの出会いは大事だと思うのだ。この出会いがきっかけとなり、細胞を観察したり生命現象を観察したりした時に「ただのごみだな」「ただのノイズだな」と思って見過ごすはずのものを見過ごさなくなり、大発見につながったら……それは素晴らしいことではないか?つまり、自分が学んだことで理解できること『だけ』ではない、という至極当たり前だけれどとても大切なことを受験生にわからせることに価値がある。学んでいない、改めて言葉にされていない現象だって無数にあり、ピタゴラスイッチのように具現化できるシステムならどれだけばかげていても単純でも細胞の中で採用されている可能性は『ある』のだ。それを知るきっかけになればそれだけでこの入試問題の価値は十二分にある。そう思わないだろうか?

 

 

ということで、最初にも述べたようにあまり生物学に馴染みのない人にはどう面白いかを説明しにくいが、生物学を齧った人となら感動を分かち合えそうな芸術的な問題を解けて満足した。よかった。東京大学ありがとう。

2024年度大学入試共通テスト 生物 所感

基礎はこっち↓

i-my-mine.hatenablog.com

問題のリンクはここ↓

 

edu.chunichi.co.jp

 

やるぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

第1問 糖代謝(キシロースオペロン)

納豆菌がエネルギー源とする稲わらの中にはグルコースだけじゃなくてキシロースもあり、納豆菌に近縁の細菌Nではキシロースも使えるよ、という導入。題材自体はそこまで知名度が高いものではないので、キシロースオペロンのことを知らない受験生は結構多いのでは?そういう意味ではとても共通テストらしい。

問1

ただの知識ではあるんだけど、代謝の関係でよく見られる若干細かめの、かつ理解を要する知識問題。私も「エネルギー代謝で一問め作って!」って言われたらこういう系統で出すだろうな。

問2

ここから実験に入る。オペロン発現量と糖濃度の遷移を一緒に示すやつ。これを見ることで「先にグルコースを使い切って後でキシロースを使うようになる」ということと、「キシロースオペロンの発現量はグルコースを使っている時(=キシロースを使っていない時)には低い」ということが読み取れる。細胞数の増え方の傾きを見るとグルコースの時の方がキシロースの時よりも増えるテンポがいいらしい(しかもキシロースにバトンタッチするところでは一回数が一定化する様子までグラフに現れている)。どうして世の生物はグルコースを好む傾向があるのかな?謎。

野生株とは糖の利用の仕方が異なる変異株Mのグラフも提示されるのだが、こちらはキシロースを先に使っている……という解釈で合っているのか?両方ともだらだら微量に使っているのだろうか。最初の挙動がよくわからない。開始400分くらいまでどちらの糖も消費せずに増えている気がするのだけれど。

で、問2ではこれらを踏まえて適語補充をする。「イ」の選択肢はただの「リプレッサーってなーんだ?」という知識問題だが(たぶん深く考え始めるとドボンするタイプの……)。

問3

キシロースオペロンの発現には2つ仮説が立てられるよね?ということで、その2つが提示される。

①キシロースオペロンはキシロースが存在すると発現するが、グルコースが存在するとキシロースが存在しても発現は抑制される。

②キシロースオペロンの発現はグルコースのみによって制御される(キシロース有無は関係なく、グルコースがあれば発現せずグルコースがなければ発現する)。

ふたつの仮説をまとめるとこういう違いがあるはずだ。


で、このふたつの仮説どちらが正しいか見分けるためにどういう実験を比較したらいいかな?という問いである。まぁストレートに考えれば②の仮説が「グルコースの有無だけでスイッチされる」というものなんだし、グルコースの有無だけの条件を変えて実験結果を比較したいなと考えたい。その上仮説①は「キシロースの有無でオペロン発現が変わる」をベースとしているから、キシロースがいると話がややこしくなるのでキシロースはない方がいい。そんなわけでaとcを比較するのが妥当だろう。実験結果も仮説①と②で変わると予想されるので、ちゃんと見分けられそうだ。仮説が複数立ち、それを選別するという行為はとてもリアルに即していて個人的には良い問題だなと思う。

※Xで指摘してもらって自分もそうだなと思ったのだが、この問題については仮説①はキシロースが関係ある、仮説②はキシロースが関係ない、という風に読み替えることもできて、その場合bとcの比較でもふたつの仮説の可能性検討は可能になってしまうと思われる。問題文が「グルコースの有無」に着目させたがっているので誘導に乗っかってaとcにしてしまったが、よく考えたらbとcでもいいのではないか……?と私も同意の気持ち。実際どうなんだろう?共通テスト側はこれも答えとして認定するのだろうか。

 

総評

題材の適度な新規さと展開の仕方の滑らかさ的に共通テストらしい良い一問だったと思う。特に問3のような「仮説が複数考えられる」という提示は、グラフや結果を「こうだ!」と決めつけて見てしまう視点を反省する良い気づきを与えるのではないだろうか。思い込みではなく疑い、なんとなく感じる違和感と「これもあるんじゃないか?」という寄り道から新たな発見につながることもきっとある、し、結構重要なことだと個人的には思う。加えてその思いついたことを検証する系を自身で導けることも大事な能力だと思う。良い能力を測ろうとしているな、と思う。

 

 

第2問 生体膜(イオンの移動、孔辺細胞、神経)

リード文は当たり障りのないよくある生体膜のお話。チャネルやポンプが生体膜にはあって、それが選択的透過性を担うというやつ。それに関連するものとして挙げられた植物の孔辺細胞と動物の神経細胞が問題のメインになってくる。

問1

知識!だが、これは結構細かめだ。例えば「担体は受動輸送に関わらない」はもちろん正しい記述だが、グルコーストランスポーター等を正しく理解していないと一瞬詰まる受験生も多いのではないか(変形するよな?エネルギーはどうしてるんだ?とか……)。

正答である「水の透過性は特定の輸送タンパク質の働きにより高められる」もストレートとは言えない文章だ。アクアポリンは確かに輸送タンパク質だし、それによって透過性は「高められる」が、こういう文章の形態で事象を理解しておく必要性は本当にあるのだろうか……?むやみに難しくしているだけではないか?と若干思わないでもない。

問2

孔辺細胞とカリウムチャネルと光の関係を探るべく実験する。表でまとめてしまえば決して難しいものではないだろう。

細胞が膨張する=細胞内に水が入る=水が入ってくるくらい細胞内のイオン濃度が濃くなる=K+が細胞内に流入している ということさえ分かれば難しくはない。というかこの辺については高校でも教えているはずなので、この場でいきなり処理させられる問題でもないだろう。たぶん……。とはいえめちゃくちゃメジャーな内容というわけでもないので、よく勉強しているかどうか、理解できているかどうかが分かれ目になりそうだ。

問3

ニューロンの膜電位変化(活動電位)とその周辺のイオン関係の動きを理解しているか?というやつ。そもそもニューロンのこの辺の現象に関しては、知識と理解両方を必要とされるものなので、知識と理解どちらもあるか測るにはもってこいの問題だろう。

問4

ただのニューロン関係の知識。

 

総評

新規題材とかではなく、ものすごく共通テスト感がある問題というわけでもなく。ほどほど、という印象の問題だった。知識のウェイトが若干重い上に、その知識の保持の仕方として「本当にそれを求めているのか?」という問い方が見受けられる。単に難しくしようとするのではなく、こう、理解していてほしいことを理解している、ということを確認するためにストレートではない問い方をするのはありだが、単純な見掛け倒しのための変形はあまり好きじゃない。

 

 

第3問 骨格筋(体節の分化、グリセリン筋)

リード文で体節の分化(背側表皮に近いやつは筋肉になっていき、腹側の方は脊椎骨などになっていく)に触れていておぉー!?となる。こういうのは嬉しい。個人的に発生は好きなので。それに学校でもあまり取り上げられない内容だろうしね。

問1

筋肉の知識問題。また若干細かさを感じる……けどまぁいいか。そこまで酷いものはない、と思う。

問2

グリセリン筋とスキンド筋の実験!受験生にとっては「見たことはあるけど沢山は解いてない」部類の問題だろうなぁ。しかも今回の問題ではある条件での結果予測が求められているのだが、この結果予測のためには実験結果解釈だけでなくグリセリン筋とスキンド筋の理解(リード文をちゃんと読む)に加えて筋肉の構造理解、収縮の仕組み理解という元々の知識も必要になる。し、正直自分はふたつを事前に知ってたから解けたけど、よく知らない状態でこの問題文の説明や実験だけで本当にすっきり解けるのかな……?と若干疑問。瞬時にみんな解けたんだろうか?

問3

体節分化のよくある移植実験。脊索を移植したり、神経管の背側断片を移植したり。で、それら結果を踏まえての実験結果予測。いいね。私はこういうのが好き。

 

総評

実験結果予測がふたつも連続するとは……という感じだが、きっと新傾向的なことをしたいのだろうなぁと思うなどした。問3はまだしも問2は若干牙をむいてる気がするが。
なんにせよあまり馴染み深い題材ではないので受験生は頭をフル回転させただろうなと思う(または最初から放棄したか……)。こういう自身の知識と頭を駆使する即応力を求められているのだとしたら、模範的な出題なのだろう。

 

 

第4問 植物(ジャガイモの塊茎形成と短日条件)

ジャガイモの塊茎(無性生殖)は短日条件で作られるんだよ~というリード文。身近なものが自分の知識と結びつくと楽しいだろうな。良い題材。

問1

無性生殖と有性生殖の特徴の知識問題。ふつう。ひねりもない。

問2

フィトクロムと照射光を理解してるかどうかの問題。ジャガイモver初めて見た。楽しい。知識だけど丁寧に処理しないと間違えちゃうので要注意。

問3

「ジャガイモは塊茎作ろうとすると同化物をより地下茎に分配するようになるんじゃない!?」という思いつきからの検証実験を考えるもの。いいぞ!すごくいいと思う。素直に考え方もいいし、検証方法を考えさせるのもいいし(どの重量を測ってどういう計算をしたらいいか考える)、かなり好き。計算式の立式、生物で受験する人はすぐに捨てたがるやつだけど本当は大事だと私は思うよ(冷静に考えればわかるし、今後研究とか考えたり手法理解したりするときにも大事だもん)。共通テストが測りたい能力に即していると思う。

 

総評

上でも述べたので繰り返しになるが、身近な題材が自身の知識と結びつくのは楽しいので題材がとても良いなと思った。加えて最後の問題で疑問提示をし、それを検証しようとする。すごく実生活の中での実践感があるというか、生物学で培った知識や考え方を「活かす」ってこういうことだよな、と……。個人的にはかなり好きな出題だった。

 

 

第5問 陸上生態系(各気候帯での森林と農地)

森が主に農耕地利用のためにどんどん消えてって蓄積された有機物が消えているよというリード文。

問1

森の生産構造図を選び、ついでに森の相対照度のグラフとして正しいものも選ぶ問題。森の非同化器官って本当に多いね。そんなに難しい問題ではないけれど、グラフ選択という意味で少し新傾向っぽい。

問2

森林と農耕地に蓄積されている有機物の量と純生産量の推定値を見て、その表の値を処理して正しくない考察文を選ぶ……というやつで、本来は計算をちゃんとやっていく必要があるのだろうけれど、どう考えたって②の文章が直観的におかしい。ので終わり。

問3

森林から農耕地にするとどうしてだめなの?という文章に適語補充をするもの。別に難しくない。ストレート。

 

総評

特にこれといった感想もないが、問2の誤答は表をもうちょっと使うものだったら表の処理力をちゃんと計れたのでは?という気がしないでもない。

 

 

第6問 

A 海の生物(分類)

結構平凡な磯観察の会話。ハイパー知識ありまくり高校生の会話ではないらしい。

問1

動物の定義の問題。知識。でも聞いてるのは「生物学の」というよりは「五界説の」ではないのか?

問2

カメノテ、イソギンチャク、ウニが動物の系統樹のどこに配置されるか判断する問題。ただの知識!

 

B 遺伝子の動きのシミュレーション(無性生殖)

サイコロを振って、その出た目から6匹の親それぞれが何個体残すか決め、それを繰り返すことで世代とともにどう遺伝情報が変わっていくかを見るというもの。初めて見る系で最初若干戸惑ったが、理解すればどうということはない。例えば6個のサイコロを振って1の目が2個出たら、親1が2匹子を残せるというシステムで、それを繰り返していくだけ。やってみると全ての親が平等に遺伝情報を残していけるわけじゃないということがよくわかり、大変面白いシミュレーションだなと思った。

問3

前提をちゃんと理解していれば分かる問題。問われているのは読解力……というべきか。

問4

現実の生物集団で起こる遺伝子頻度の変動についての知識問題。特に難しくもない。

 

総評

Bのシミュレーションは大変面白いアイデアだった。どこから引っ張ってきたアイデアなのだろうか?加えてこれで本当に集団中の遺伝情報伝達モデルとしていいのだろうか。自分は進化にあまり明るくない人間なので、これがどれくらい良いモデルなのか少し気になる。自分の目から見る分には面白いが……。

それ以外は純粋な知識問題。やはり知識のウェイトが高いような気がする。シミュレーションをもっと活用したらいいのに、実際には1問しかなかったのも少し残念だ。面白い題材を深堀りする問題には中々しにくいのだろうか(連動すると困る、とかかな……)。

 

 

完走の感想

全体を通してなんだか妙に知識のウェイトが上がったような気がします。しかもその知識の問い方(文章)が若干いじわるな気がしました。結局は細かい知識を捻った言い方されても冷静に判断できる力が欲しい、という方向になりつつあるのでしょうか。それってなんかちょっと違うな、と思わないでもなく……。

「絶対に覚えてほしいこと」をちゃんと覚えているかどうか、それを測ることは大切なことだと私は思うんですよね。センター試験みたいに知識について執拗に確認するのだって私は大事なことだと思っています。でもわざわざ「共通テスト」というものに変えて、求める力と問う力を変える、と明言して、その結果がこれでいいのか?とは思うわけです。これで測ることのできる力が本当に求められているものなのか?と。

言い方を変に難しくすれば勿論点はとりにくくなります。ある意味で「正しく読解できる」「知識がちゃんと定着している」なんなら「横断的な理解や知識のつながりが意識できている」子が正答できるものでもあるでしょう。でもこういう問題ばかり解けることを目標にされたらそれってなんだか違いませんか?とちょっと思うんですよね。
点数差をつけるためには仕方のないことなのかもしれないけれど、確かめるべき知識をちゃんと確かめられる形にしてもらえたらいいな……。

 

で、もうひとつ気になったのがときめきの少なさ!

生物基礎も今年度の問題はときめく題材や問題が少ないなぁと思いましたが、生物も同様にときめきが少なかったです。なんかもっといつも「わー!!これめちゃいい!!!」みたいな気持ちになる問題があった気がする。今年度はちょっとテンションが上がって終わり、というものがちょいちょいあるくらいで、全体的なときめき度は低かったなと……。解いた後の高揚感が全然なくて、ちょっと残念でした。目新しい題材を全く使ってない、というわけではないんだけどなぁ……新傾向的な問題だってちゃんとあったのに。なぜだろう。こればっかりは個人の趣味なのかもしれない。し、私の趣味に合う問題が良問だとも限らないのでね……。

でもでもでも!生物基礎でも言ったんですが、やっぱり問題を解いたらおまけで面白いことが知れたり、感動できたり、自分の知識とバチッとはまる感覚に興奮したり!そういうのが欲しいんですよね!!!「こんな身近なことなのに全然知らなかった!」とか、「こんなことも世界には実現し得るのか!」って感動したい!!センター試験にはそれを求めないけど共通テストなら求めてもいいと思うんだけどな!?

 

とはいえ昨年度の生物共通テストが「ふさわしくない」の評価1をつけられたという話もありますし、作問側としては何がいいのか未だに迷走気味というところもあるのでしょう。「問題分量を減らさなきゃ……」「解ける情報量にしなきゃ……」と苦心した結果が今回のものなのかもしれません。新規題材を出そうとすると背景だったり骨組みだったり色々導入をしてあげないといけなくて、その分情報も読む量も増えて受験生の負担は増えちゃうもんね。なかなか難しい問題です。

 

ということで作問側の苦労もわかるぜ……!!!!と思いながら解いた生物の問題でした。難易度は去年に比べたら易化だろうな、酷いひねりもなかったし、知識多いし。

 

 

なんの能力があったらいい?

ほぼコピペになりますが。

  • 知識
    • 明確な定義
    • 関連付け(直立二足歩行→骨盤の変形、みたいな)
  • 実験手法理解(なんのために何をしているか)
    • 穴についても理解をする
  • 測定手法などの理解
    • 前提は何か
    • 現実と前提との乖離、そこで起こりうること
  • 実験デザイン力
    • 仮説を検証する実験
    • ある結果を求めるのに必要な実験
  • 「この実験・知である結論を出すのに足りるか」という過不足を認識できる力
  • グラフや表、図の読み取り力
    • 新規でも対応できる力
  • 複数の情報を同時処理する力(大量の実験、大量のデータ)
  • 論理的思考力(ロジックを組み立てる、矛盾を見つける)
  • 数学的処理能力
    • 計算式から逃げない
  • 典型を押さえていること
    • 身近な出来事に精通していること
      • かつそれを調べられている、疑問に思えていると尚よし
  • 冷静に文章を読み、処理する力
  • 読解力(どれだけ自分が知っている知識から乖離した文章でも、ちゃんと同じ意味だと結び付けられる力も含む)

とはいえ来年度はあれですよね、教科書改定後の初共通テストになるわけで。そうすると問われる問題の種類も若干変わりますし、どんな感じになるのかなぁと今から若干そわそわします。

まぁ、教科書が変わったところでやることは同じなんですが。

 

ということで、あくまで個人的な意見と感想を書き連ねさせて頂きました。違うことを思っていただいても全然構いません。「私はこう感じた」というだけなので、そこはご了承ください。

 

追試はどんな問題が出るか今から楽しみです!

2024年度大学入試共通テスト 生物基礎 所感

4回目の共通テストだぁ!!!!!!!!!!

受験生の皆様、お疲れ様でした!

 

問題のリンクを貼っておくわね

edu.chunichi.co.jp

 

 

第1問

A 細胞と遺伝子

正直めちゃ知識問題。知識、知識、問3で若干理解……と言いつつ問3って典型中の典型問題だからね。ただのアベリーの実験だもの。

共通テストの解き感覚というよりはセンター試験の感覚。うーん、The・王道。

 

B 細胞分裂(細胞周期チェックポイント)

問4では紫外線を当てて細胞周期のDNA量変化を見る。どこで止まってますかと聞く。細胞周期のどの様子のところが何期かちゃんとわかっていればわかるよという話なんだろうが、「細胞周期が停止したのはどの時期でしょう」でG1,S,G2,Mを出してくるのはなんだかもやりがあるのは私だけ?G1/Sで止まってる、みたいなイメージが強いので、G1の中で止まっているというよりはG1→Sへの移行が止まっている、という感覚なんだけども……実際どちらの方が正確な表現なんだろう。勉強が足りないなぁと反省するなど。

問5では細胞の観察像も見せた上で何を阻害する薬剤だったか考える。よくある問題だ……とはちょっと思うけれど、思考力を問うにはいいのかも?知識と理解と思考を全部問えるものだもんね。

 

総評

正直あまりテンションは上がらなかった。Aはなにもおもしろポイントはないし、Bは問4でもやっとしてしまったし(でもこれは自分の理解不足のせいかもしれないので保留したい)。目新しい素材、目新しい問い方というわけではなく、どちらかというとやはりセンター寄りだなと思う。知識のウェイトもかなり高いしなぁ。

 

 

第2問

A 血液

これまたはちゃめちゃ知識問題!どうしてこんなに知識だらけなの??問1~問3まで全部ストレート知識だが。

 

B 人体模型の修復(腎臓)

人体模型にぶつかっちゃったから腎臓を元の位置に元の管に接続して直そうね~★というやつ。シチュエーションは面白い。問4はまぁまぁ好き。

問5は知識なんだけど、あまり見ないタイプの問い方で面白かった。結局は「輸尿管を流れる液体に含まれるものなーんだ?」=「尿に含まれるものなーんだ?」という問なんだけれど、聞き方次第で印象が結構変わるものだなぁと思うなど。

問6は有名な動脈に墨汁流すやつ。皮質に糸球体があるからね、黒くなるんじゃよ……。あんまりこれを問題にして聞かれた記憶はないけれど、有名な実験だもんなという気持ちもある。

 

総評

Bは少しだけ共通テスト感がにじんでいたものの、全体的にやっぱり知識ウェイトが高い気がする。その上思考力を問う〆問題が見覚えしかない実験で、全然目新しくないのが気になる。共通テストって目新しいものを取り入れるんじゃなかったっけ?目新しいもの=思考力を問えるもの ではないとはいえ、なんかな……。

 

 

第3問

A 日本のバイオーム

問1問2はめっちゃバイオームの知識問題。

で、急に問3でギアチェンジする。問3では中部地方のある山地で、火入れと刈り取りによる管理という伝統が各地で変わってきたのに伴い植生がどう変わったかなと考えさせる問題だった。これは普通におもしろいしへぇ~となる問題だった。毎年火入れ刈り取りするより2年に一回火入れ刈り取りする方が種数的にもレア草本種数的にもいいんだね。

 

B 外来生物

知識!なんだけど、なんかなぁという問題だ。問4で「外来生物が関わっていない記述を選べ」と出して外から生物持ち込んだかどうかだけで文章判定させるのもなんかなぁと思うし、問5で外来生物管理方法として正解としたものが果たして本当に正解なのか、逆に誤答を本当に誤答と言い切って良いのかなんだかもやっとする問題だった。

 

総評

A問3は好き。こういう驚きや学びがあると楽しい。おわり。やっぱり知識ウェイト高くない?????

 

 

完走の感想

なんだか例年に比べて知識ウェイトがかなり高い気がしました。応用っぽい立ち位置の問題も典型が目立ち、「おっ、これぞ共通テスト!」という印象を受けるものはほぼなかったです。自分の中では第2問Bと第3問Aが若干共通テスト感を感じましたが、ほかはセンター試験だよと言われても違和感なさそう。なんならセンター試験の方がひねってたまである。

共通テストは結局何を問いたいのか?というのが迷走しているのかな、と若干思わないでもないですね。「完全に『はじめて』なにかに出会う場面で今までの知識や考え方を総動員してその現象を理解できる」というムーブを問うのに本当にふさわしい問題群だったのでしょうか?そんな理想的な問題そうそう簡単には作れないことは重々承知の上ですが。

あと、これは完全に個人的な意見ですが「ときめき」のある問題が解きたいですね!今回はほぼなくって……。もっと問題のリード文を読んでワクワクしたい。こんなのがあるんだ!って思いたい。へぇ~って思いたいし、そうなの!?って思いたい。そういう題材と自分の知識が絡んだ時のあの快感を味わいたい……。

 

ということで、一言でいうならば「知識だなぁ」という感想でした。

次回は生物の方の所感を書きます!!!

2023年が終わっちゃったよ

2023年が終わった~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

えっちょっとまって本当に早すぎるなんで????

早すぎるし同時に何やってきたかも何も思い出せないし何かがバグっている。おかしい。

 

とはいえ1年生きてきたらしいのでね……。何をしてきたか思い出しながら書き、今年の目標も立てようと思います。

 

去年はどんな年だったかな

webイベントを開催した

pictsquare.net

ぷらんちゅ・シダダンwebオンリーイベをやりましたわ!!!!!!!!

結論から言うと「控えめに言って最高」ってやつでしたね。控えめに言う必要ないだろ!!!!!最高だったわ!!!!!!!!!!!

サークルの皆様が素晴らしい作品を各々出展してくださり、その上沢山の人が会場に来てくださり。本当に幸せな時間を過ごすことができました。ぷらんちゅやシダダンを愛してくれる人と交流できて本当に嬉しかった!

 

沢山グッズも購入しました!えへへ。かわいいアクキーと、

かわいいアクスタ!

そして素敵な同人誌……!!

画像

ネップリも沢山出してもらえて本当に嬉しかったんですが、日本にいなかったので印刷……できず……くやしかった……!!!!!

本当にいい思い出になりました。ありがとうございました!

 

シンガポールに沢山友達が遊びに来てくれた

シンガポールに沢山友達が遊びに来てくれたので、一緒に遊びまくりました!!植物園に行ったり、バードパークに行ったり、バーベキューしたり、這いつくばったり。楽しかったねぇ。

 

気になっていたものに色々挑戦した

手当たり次第気になっていたものに手を出しました。その中でも大当たりだったなと想うのがこれ!日本でも売っている「ブルダック」の炒め麺!めちゃくちゃ……辛い!そしてうまい。栄養は偏りまくりですが、おすすめです。

あと台湾唐揚げって美味しいよ。皆食べたらいい。気になってて食べたらあっさりハマってしまいました。五香粉を使ってるのかな?

 

ソテツの勉強をした

ソテツも同定ポイントとかあるのかな~?と思って少し勉強しました。結論ソテツの同定はめちゃくちゃ大変だということがよくわかりました。大変だということがわかるだけでも大事だよね。かろうじてザミア科とソテツ科のどちらかなのかはざっくりわかるようになってきた気がします。

 

ゆるふわ生物学の本を一部担当した

ゆるふわ生物学の本の一部文章や一部イラスト原案をお手伝いしました!結構頑張って書いた。あとは校正とか……校正とか校正とか……。校正がなんなら一番大変だったまである。

なんにせよ無事出版されて本当に良かったです!ゆるふわ生物学の誠実さがぎゅっと詰まった一冊で、とっても素晴らしい本なのでぜひ!

 

現地の人と交流した

シンガポールの人々と交流して色んなところに行きまくりました!これはうまい韓国料理のお店。若い人はチキンが好き。

これはマッケンチーズ。若い人はチーズが好き。

これはMr.Coconutのココナッツシェイク。美味しい。

これはLuk lukという串揚げ料理。うまい。若い人は油が好き……。

これは……何料理だっけ?おすすめのものをわんさかホーカーで出してもらったときの様子。テンペがめちゃくちゃ美味しいという新発見!ミーポックもおいしい。

これはカヤとバタフライピーを使った緑と青のお菓子。美味しい!

現地の人に色々教えてもらいつつ、新しい体験を沢山させて頂いたおかげで多くのことを学ぶことができました。感謝しかないね。ありがたや。

 

マクロレンズでの撮影をはじめた

紅茶さんにマクロ撮影をするための機材一式をいただきまして、マクロでの撮影をしはじめました!シダの環帯まで見える!めちゃくちゃすごい!!

シダ撮影が捗ってしょうがなくって……。マクロ撮影があるおかげでシダ活も一年心置きなく楽しむことができました!ありがてぇ!

 

TWGでアフタヌーンティーした

人生で一回くらいTWGでアフタヌーンティーしたい!という気持ちがあったので、やってきました。

トリュフのサンドウィッチ?が美味しかったよ~。紅茶は勿論美味しかったです。自分たちはHarmutty SFTGFOP1という紅茶が好きなのでそれを頂きました。ミルクティーがおすすめの紅茶です。機会あればぜひ試してみてください!

 

日本に帰ってきた

そんなこんなでシンガポール生活を楽しんでいたんですが、遂に日本に帰る日が……!!!シンガポールを離れるのはとっても悲しくて、日本で生きていけるかとっても不安だったんですが、そんな気持ちとは関係なく飛び立つ日は来るもので。無情……。

しかし日本に帰ってきたことで嬉しいこともありました!ひとつめはネップリができるようになったこと!!!!!!!さとおめさんが過去のネップリを全部再登録してくださった(プラスアルファで新作も!)ので、全部喜んで印刷しまくってきました。嬉しい~~!!!!

嬉しいことふたつめは、日本の作家さんの通販ができること!グッズも買える!!!!!!ってことで手ぬぐいINAHOさんのグッズを購入させて頂きました!!ずっと欲しかったんだ……。沢山おまけをつけてくださり感謝……!!!

手ぬぐいINAHOさんの編み物アクセサリー、本当におすすめです!自分は重たいものをつけるとすぐだめになっちゃう人なんですが、このアクセサリーは軽いから一日つけてても平気!しかもかわいい!!タマシダブレスレットも買いたいなぁ。

 

競馬場に行った

人生初の競馬場に行きました!ほぼ賭けてないけど!馬がかわいくてかっこよかったです。あとは売っているごはんが美味しかった。

お馬さんを眺めるのもいいなと思える体験でした。また休日遊びに行こーっと。

 

iPadを買った

買いました。Airです。ペンが真横にくっつけるだけで充電できるから便利。

色んなPDFがここで見られるので&持ち運びに便利なので本当にありがたい……!!!イラストもすごく描きやすいし。買ってよかった……。

 

つくばシダ展に行った

タイトル通り!!!!!!!!!!!

今思い出しても本当に……本当に本当に最高の企画展でした。あぁ……最高だったなぁ……。

現地でぷらんちゅシダダンオフ会みたいになって、どんどん一緒に歩くメンバーが増えてくのは笑いましたが。

なちさんからはシールを頂きまして!最高!

さとおめさんから頂いたシダ展記念ネップリもかわいくって……本当にありがとうございました……特別描き下ろしとはなんと贅沢な……!!!!!!!!

 

つくばシダ展振り返り配信をやった

つくばシダ展が良すぎたので振り返り配信もしました!海老原先生まで出て頂いたのは未だに現実だったのか……?と不安になるほどです。贅沢な配信だった……。


www.youtube.com


www.youtube.com


www.youtube.com

 

シダ遠征をした

シダを見るためだけに遠征もしました!何回か!!

毎日のようにシダを見に行きたいけれどお金と時間が足りない。つらい。

でも毎回素敵な収穫があって行ってよかったなぁ~~~としみじみ思っています。

 

シダダンを3作出した

シダダン3, 4, 5を出しました!

……が、シダダン3を最初ノベルゲームコレクションで公開しようとしたら、「あまりにも教育的で難易度が高すぎる」という理由で掲載却下されてしまって本当に困りました。

Plicyさんが場所を使わせてくれて本当に良かった……感謝……!!!!!!

アップデートも手軽にできるし、公開も審査を待つ必要がないのでシダダン3以降は全部Plicyで公開しています。

plicy.net

plicy.net

plicy.net

シダダン3ではミニゲームでのボイス実装という今までやりたかったことがひとつ叶って大変うれしかったです!!!ボイスを担当してくださった方、本当にありがとうございました!

テストプレイ、相談、ファンアート、エンドカード……沢山の人の温かいご協力でゲームを作ることができています。改めて本当にありがとうございます!!

 

ぷらんちゅ・シダダン公式サイトを作った

ゲームが増えてきたので公式サイトも作りました。もうちょっと工夫したいけど、当面これで運営かな……?

sites.google.com

 

MMDを勉強した

勉強して、キャラクターを動かすことに挑戦もしました!

本当に「やってみただけ」という感じだけれど、いい経験になった……!

 

デジタル絵を勉強した

surfaceiPadでデジタル絵が描けるようになったので、色々と絵の勉強をして描いて試しました。

でも結局一番基本中の基本の人体構造がうまく捉えられないというか……パース理解が無理というか……。地道にやっていかないとだめだね。楽しくやっていけたらいいなと思います。

原神の漫画やイラストは勉強も兼ねてなんと毎週出し続けました。偉い。よく頑張ったと思う……!

 

ネップリを出した

デジタル絵の勉強の延長線上で、人生初ねっぷりも出したりしました!

 

 

初めて自分用同人誌を作った

溜まりまくった原神漫画やイラストで同人誌を作りました!自分用なので1冊だけ……。

自分が描いたものが本の形になるってすごい!感動しました!!

 

ドラムを叩いた

初めてドラムをスタジオで叩きました!基本中の基本ができていないので、全然手と足がついてこないし、一定のリズムでたたけない……。

うまく叩けるようになりたいなぁ。

 

哲学の勉強を継続した

思想書読書会への参加を継続し、毎月一冊思想や哲学に関する本を読み続けました!少しは教養が身についただろうか。

というよりも、色んな考え方を知るというか、そういう捉え方もあるのか……というぼんやりした知が自分の生き方をかなり楽にしてくれている面があると思います。よき。

 

人のおすすめ本を沢山読んだ

人からおすすめされた本をとにかく沢山読みました!良い読書を沢山できた。

 

日本の冬を耐えて生きた

シンガポールは年中30度なのに、日本は……。寒すぎてどうにかなってしまうのではないか、と夜道で涙を流すこともありましたが、なんとか生き抜いてきました。これからも生き抜きたいです。どうしてみんな平然と生きていられるんだ……。

 

彩子さんとシダダン配信やりきった

三島彩子さんとシダダンをやりながらシダについて話しまくる配信をしました!シダダン4まで全部!!

彩子さんがどんどん強くなっていくのも、好きなシダを沢山見つけてくれるのもすっごく嬉しかったなぁ。

 

 

できなかったことも沢山あった

時間が有り余ってるはずなのにできないことだらけでした。

勉強も満足にできず、刺繍も、編み物も、プログラミングも、言語も……。

 

2024年はどんな年にしたいかな

2024年は沢山シダを見たい!少なくとも10種は新しいものを見つけたいです。

あとは何かをしっかり勉強したい。何にしようかは悩み中。

忙しくなっちゃったけどシダダンかぷらんちゅも一作は出したいなぁ。毎日疲れてへとへとだけどできるだろうか……。

継続したいものはちゃんと継続していけるといいなと思います。哲学読書会とかね。

他にもやりたいことは沢山あるのですが、あまりうまく自分を制御できない傾向にあるので(なんかいっぱいいっぱいになっちゃいがち)、色んなことをえいやっとやっていけるといいなと思います。計画的にやれるといいな。

 

ということで今年もよろしくお願い致します!!!!!!!